白蛇伝 (1958年の映画)
白蛇伝 | |
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ファイル:Hakujaden poster.jpg 公開当時のポスター | |
監督 | 大川博 |
脚本 | 藪下泰司 |
製作 | 東映動画 |
出演者 |
森繁久彌 宮城まり子 |
音楽 | 木下忠司 |
配給 | 東映 |
公開 | 1958年(昭和33年)10月22日 |
上映時間 | 79分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『白蛇伝』(はくじゃでん)は、中国の四大民間説話のひとつ『白蛇伝』を題材にした、日本最初の総天然色長編漫画映画(アニメ映画)である。
概要
この映画が作られるまで、日本には長編アニメ映画制作のシステムがなかった。スタッフ達は、他国のアニメの研究からアニメーターの養成、アニメ用撮影機材の開発などまで着手しつつ、2年がかりで作りあげていった。
この映画の制作に携わったスタッフは、その後の日本アニメ界を牽引する役割を担っていった。また宮崎駿のように、この映画を観た経験がアニメ界に入るきっかけの一つとなった人物もいる。
演出は、それまで東宝教育映画部で短編アニメを製作していた藪下泰司。製作は東映動画(現・東映アニメーション)。配給は東映。公開日は1958年(昭和33年)10月22日。声の出演者は森繁久彌と宮城まり子。彼らの台詞を劇作家の矢代静一が執筆。他に、人物の動きをトレースしてアニメ化する手法「ライブアクション」のために、水木襄、松島トモ子や、当時東映に入社したばかりの佐久間良子らが起用されている。
あらすじ
許仙は西湖の畔に住む心優しい少年。幼い頃、許仙が飼っていた可愛い小さい白蛇を、大人たちに叱られて泣く泣く野原に捨てた。十数年後の嵐の夜、白蛇が美しい少女の姿に変わった。お供の青魚の精・小青と一緒に西湖に来て、白娘が法術を使い豪華な邸宅を作り出した。成人した許仙はある朝、友だちのパンダとミミィと笛を吹いていると、その笛の音に答えるかのように胡弓のとてもいい音色が聞こえる。そこで許仙は一人のとても美しい少女・白娘を見つける。許仙は自分の目を疑い、彼女を追いかける。一方、パンダとミミィはさっきの胡弓の音色を探しに行く。そしてパンダとミミィは胡弓を見つけ、家へ持ち帰る。夜になって、許仙は今朝の美しい少女が気になっていた。笛を吹いていると、その音に答えるかのような音色が胡弓から聞こえた。その後まんじりともせず、夜を明かした許仙たちは、この不思議な胡弓の持ち主を探しに行く。そこで小青という白娘に会う。許仙は小青に胡弓を返そうとするが「これは貴方のもの」と告げられる。そこで許仙は小青に「白娘様がお待ちかねよ」といわれ、立派な邸宅に招待される。白娘というのは、昨日のあの美しい人かもしれない。許仙は誘われるがままに歩いた。すると中から現れたのは、やはりあの人。許仙はあまりの美しさに、一目で恋をした。その後二人は花畑や庭園で夢うつつなひと時を過ごし、互いに愛し合った。小青たちもなんだか嬉しくなって、パンダとミミィと共に踊りだす。そこで不思議な法術で長い龍の飾り物に乗って宝物殿内に立ち入り、そのことを知らず小青たちは二つ輝く金の星ようなの宝石を持ち帰って許仙と白娘に与える。水晶玉によって、白娘の本性を、白蛇が変身した魔性の姿と見破った法海和尚は、宝物殿を守っていた衛兵たちを差し向けて許仙と白娘の間を裂き、豪華な邸宅はたちまち廃虚と化していた。ところが許仙は宝石泥棒と間違われ投獄された。そして許仙は蘇州へ追放され強制労働に従事させられていた。そこで許仙は法海和尚と出会い、許仙は法海和尚から「白娘の正体は白蛇」だと告げられる。白娘は法海和尚との法力合戦の末に相打ちになって敗れ、白蛇の正体を現していた。許仙は白娘が忘れられず夢の中に現れた高山の塔を訪れて、白娘は最後の力で現れ出た自身の幻影を残して消えていった。白娘の幻影を追った許仙は山崖から墜落し落命した。
その後、幻影と化した白娘は広い宇宙の星に住む龍王を求めて、自分の妖精の能力と法術を捨てる代償として、許仙の命を救う唯一の願いをする。白娘の願いを聞き届けた龍王の計らいで白娘は許仙の命を救う命の花を授けられる。
登場キャラクター
- 許仙(しゅうせん)
- 白娘(ぱいにやん)
- 小青(しゃおちん)
- 西湖底に住むの青魚の精。魚の正体が変身した白娘のお供。
- パンダ
- ミミィ
- 法海(ほっかい)
- 龍王(りゅうおう)
- 宇宙の星に住む、妖精の正体を支配する権能を持つ。
- ナマズ王(ナマズおう)
- 小青の伯父。深海に潜んでいる巨大な黒いナマズ。小青に頼み、大荒れの暴風雨を起こさせる。
映画が作られるまで
発端から企画の始動まで
日本発の初のカラー長編アニメ『白蛇伝』が作られるきっかけとなった映画に、『白夫人の妖恋』(1956年、東宝)がある。池部良、山口淑子、八千草薫ら出演したこの実写映画は、中国の説話『白蛇伝』を題材にしていた。この映画は香港で興行的に大成功を収めた。これを受け、『白夫人の妖恋』をアニメ化する企画が、香港の映画界から東映に持ち込まれた。
これがきっかけとなり、東映社長(当時)・大川博は、香港の下請けとしてでなく、独自の本格的なアニメ映画をつくることを考え始めた。当時大きな興行収益を上げるアニメはディズニー映画のみだったが、日本においてアニメ映画製作の体勢を整えていけば、将来大きな産業になるのではないかという、鉄道省の役人から東急の専務、そして東映の社長へと叩き上げてきた大川の、経営者としての予測もあった。
2時間規模のカラーアニメ映画を目指し、東映の教育映画部が中心となって『白蛇伝』の企画がスタートした。この企画のために集められたスタッフには、赤川次郎の実父である教育映画部の赤川孝一、キャラクター原案と美術を担当する岡部一彦、NHK技研出身で美術担当の橋本潔、演出担当の藪下泰司などがいる。
とはいえこの当時の日本には、アニメを制作する会社は影絵動画を含めてもごく少なく、そのいずれもが僅かの社員を抱えるのみの小会社だった。例えば業界最大手だった日動映画ですら、社員20数名の社屋のない会社であり、高校の空き教室を間借りしアニメ製作をしているような状態だった。
また、それまでに作られた最大規模のアニメ映画は大戦中の国策映画『桃太郎 海の神兵』(1945年、松竹動画研究所 白黒)で、上映時間は74分だった。アニメーションの専門家と言える人材がいない状況で、2時間規模のカラーアニメをつくろうとするこの試みは、当時の常識から考えて極めて無謀とも言えた。
東映は、動画会社の吸収、短編動画の制作、動画スタジオの建設、スタッフ養成など、数年がかりでアニメーション制作の体勢を整えつつ、その集大成として長編アニメ『白蛇伝』を完成させるという大がかりな計画を立てた。 1957年(昭和32年)6月末、『白蛇伝』の制作が正式に記者発表された。
東映動画の誕生と動画スタジオの建設
1956年(昭和31年)、東映は手始めとして、負債を抱えていた日動映画株式会社(1948年設立、設立時名称は日本動画株式会社)を社員ごと買収し、東映動画株式会社へと商号変更させた。この東映動画に『白蛇伝』のために集めたスタッフを送り込み、『白蛇伝』へ向けた慣らしの意味も込め、短編アニメの制作を開始させた。
建設中の動画スタジオのために、スタッフの養成も始まった。日動映画を吸収することで、東映はベテランのアニメーター達を手に入れた。その中には、山本早苗(後、戸田早苗)、大工原章、森康二などがいる。しかし長編『白蛇伝』のような大がかりなアニメを制作・量産していくためには、圧倒的に人数が足りない。そこで美術大学などにアニメーターとなる人材を求め採用した。この時に東映動画に入社した新人には、後に『ルパン三世』や『未来少年コナン』の作画監督を務めた大塚康生などがいる。この東映動画一期生達は、日動映画のベテラン達に指導を受け、日本アニメの基礎を担う人材へと育っていく。
1957年(昭和32年)には東京・東映大泉撮影所の敷地内に動画スタジオが完成。東映動画は同スタジオに移転した。やがて大泉周辺には、大小のアニメスタジオが集まるようになっていく。
フィルムボードとライブアクションの試み
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その後の影響
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受賞ほか
海外
- 第9回ベルリン市民文化賞
- ベニス児童映画祭グランプリ
- メキシコ名誉大賞
国内
スタッフ・出演者一覧
- 企画:高橋秀行、赤川孝一、山本早苗
- 製作:大川博
- 原案:上原信(作家・山根一眞の父/ペンネーム)
- 台詞構成:矢代静一
- 脚本・演出:藪下泰司
- 美術:岡部一彦、橋本潔
- 音楽:木下忠司
- 原画:大工原章、森康二
- 動画:大塚康生、喜多真佐武、中村和子、楠部大吉郎、藤井武、松隅玉江、坂本雄作、紺野修司、寺千賀雄、長沢寿美子、加藤洋子、赤坂進
- 撮影:塚原考吉、石川光明
- 背景:草野和郎、前場孝一
- トレス:進藤みつ子、山田みよ
- 彩色:伊藤澄子、宮崎正子、本橋文枝
- 編集:宮本信太郎
- 録音:森武、小松忠之
- 音響効果:吉武富士夫
- 風俗考証:杉村勇造
- 記録:山崎幸子
- 制作進行:稲田伸生
- 現像:東映化学工業株式会社
- 声優:森繁久彌、宮城まり子
関連商品
VHS
- 「白蛇伝」 劇場版アニメ·中古ビデオ VCTM-00094
DVD
- 「白蛇伝」 劇場版アニメ (発売日: 2002年7月21日 全1巻・片面2層 DISK枚数:1) DCTD-2106
- 「白蛇伝」 劇場版アニメ (期間限定生産版 発売日: 2008年7月1日 全1巻・片面2層 DISK枚数:1 MPEG-2) ISRC 4988101137541 DCTD-2106
- 特典内容
- 特殊仕様:ピクチャーディスク
- 封入特典:ピクチャーレーベル
- 映像特典:アートギャラリー
- 特典内容
- 「白蛇伝」 劇場版アニメ·台湾正規版 (全1巻・片面1層)
- 言語:日本語、中国語。
- 字幕:中国語(台湾繁体)字幕、On/Off選択を出来る。