狗神 (小説)
『狗神』(いぬがみ)は、坂東眞砂子による小説。また、それを原作にした2001年の日本映画。
概要
[編集]童話作家・フリーライターとして知られた作者が『死国』に続き、手掛けた一般小説の2作目。1996年1月にカドカワノベルズで発表・掲載され、1996年12月18日に角川文庫から出版された(ISBN 4-04-193203-3)。高知県の尾峰を舞台に犬神(狗神)憑きやそれにまつわる差別・伝承や兄妹による近親相姦を題材にした悲劇と恐怖を描く。2001年1月27日に映画が公開された。
あらすじ
[編集]尾峰のある村に住む41歳の女・坊之宮美希は、紙漉きで和紙を作りながら慎ましく暮らしていた。実は美希は10代の頃、それと知らずに実兄の隆直と肉体関係を持って裏切られた上、子供を死産したという辛い過去があり、人生も恋も諦めて過ごしていた。
ある日、美希は近くの池野中学校に赴任してきた青年教師・奴田原晃と知り合う。年齢違いの晃の積極的なアプローチにより、美希は彼に魅かれていく自分を抑えられなくなっていく。
しかし実は、彼女の血筋の坊之宮家は「狗神筋」として村人から忌み嫌われていた。ある日、次々と村人が倒れる正体不明の怪現象が起き始め、日に日に彼女や家族・一族に対する村人達の差別は酷くなっていく。彼女の幼馴染である土居製紙の長男・土居誠一郎が村で唯一の味方になってくれるが、彼の母・克子が謎の鳴き声を発し始め、変貌して倒れてしまうという事件が起きる。
だんだんと明らかになる美希と晃の意外な関係。そして、当主・隆直ら主導による坊之宮家の先祖祭りが始まる時、かつてない惨劇が起きようとしていた……。
映画
[編集]2001年1月27日全国東宝系公開。同時上映は『弟切草』。R-15。第51回ベルリン国際映画祭で上映された。上映時間:105分。興行収入は6億円[1]。
キャスト
[編集]- 坊之宮美希:天海祐希(少女時代:田中沙斗子)
- 奴田原晃:渡部篤郎
- 坊之宮隆直:山路和弘(少年時代:榎田淳弘)
- 土居誠二:原田遊人
- 坊之宮道夫:矢島健一
- 坊之宮百代:深浦加奈子
- 坊之宮園子:街田しおん
- 坊之宮博文:入江雅人
- 坊之宮喜代美:近内仁子
- 坊之宮理香:渡瀬美遊
- 沢田フサ:広岡由里子
- 殺生人味元:佐藤京一
- ヒデ:冨樫真
- ごぶ:光岡湧太郎
- 義イ:猪野学
- 来:澤田誠志
- 大作:安藤岳史
- 治:重松収
- 治の息子:村井克行
- 尚美:岡林桂子
- 本多:加藤満
- 老人:浜田寅彦
- 妊婦:増田未亜
- 坊之宮富枝:藤村志保
- 土居克子:淡路恵子
スタッフ
[編集]- 監督・脚本:原田眞人
- プロデューサー:鍋島壽人・井上文雄
- 製作総指揮:原正人
- アソシエイト・プロデューサー:山田俊輔
- 音楽:村松崇継
- SFXスーパーバイザー:松本肇
- 音響監督:柴崎憲治
- 助監督:冨永憲治
- 美術:稲垣尚夫
- 撮影:藤澤順一
- 衣装:杉山敦子
- 製作協力:東映東京撮影所
- 製作:「狗神」製作委員会(角川書店・アスミック・エース・日本出版販売・東宝・住友商事・IMAGICA)