河川哨戒艇

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河川哨戒艇

河川哨戒艇(かせんしょうかいてい)は、河川の警備を目的とした軍艦の一種。英語ではPatrol Boat, Riverと言い、その頭文字を取ってPBRとも呼ばれる。

アマゾン川など大河における運用を想定し、艦底は喫水の浅い平底で、ウォータージェット推進を搭載している。主としてアメリカ合衆国海軍で使用されていた。また、旧南ベトナム海軍にも大量に供与されており、アメリカ陸軍も少数を運用していた。

元来は民間用のプレジャーボートであり、これを軍用に改造したものである。居住設備はなく、乗組員はLST水上機母艦を改装した母艦で支援されていた。

ベトナム戦争の際1966年から1970年の間、メコン川でアメリカ海軍が南ベトナム民族解放戦線(ベトコン)のゲリラを掃討するためPBRを大量に派遣し、ナパーム弾重機関銃を搭載してUH-1ヘリコプター等と共同で流域のゲリラの討伐を行った。ただし、PBRそのものは火力・装甲ともに脆弱であったため、活動は哨戒や臨検に留められ、本格的な掃討は揚陸艇を改造した砲艇やアルファ・ボートと呼ばれる強襲支援哨戒艇、航空機が当たった。

このとき派遣された艦隊は、ミシシッピ川で訓練を受け、「ブラウンウォーター・ネイビー(茶色い水の海軍)」と呼ばれた。また、アメリカ海軍の特殊部隊SEALsも、特殊作戦でPBRを使用した。合計で250隻ほどのPBRが派遣され、終戦後も1995年までカリフォルニア州で使用されていた。

映画地獄の黙示録」でも、PBRが多数登場している。

ベトナム戦争中から戦争後にかけて、ブラジルタイミャンマー(ビルマ)など同盟国にも多くが供与されたが、老朽化・陳腐化などから退役しているものが多い。しかし、コロンビアなどベトナムに類似している環境にある国では現在でも使用されている。

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