日本調剤

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日本調剤株式会社
Nihon Chouzai Co., Ltd.
種類 株式会社
市場情報
略称 日調剤・JP
本社所在地 日本の旗 日本
100-6737
東京都千代田区丸の内一丁目9番1号
グラントウキョウノースタワー37階
設立 1980年3月7日
業種 小売業
法人番号 9010001064753 ウィキデータを編集
事業内容 保険調剤薬局チェーンの経営
代表者 三津原庸介(代表取締役社長)
資本金 39億5,302万円
(2020年3月31日現在)
発行済株式総数 1602万4千株
(2018年9月30日現在)
売上高 連結:2,685億20百万円
単独:2,237億75百万円
(2020年3月31日現在)
総資産 連結:1,855億51百万円
単独:1,448億64百万円
(2020年3月31日現在)
従業員数 連結:5,552人
単独:4,458人
(2022年3月31日現在)
決算期 3月
主要株主 三津原博 29.88%
三津原庸介 21.19%
有限会社マックスプランニング7.15%
日本調剤従業員持株会2.83%
三津原陽子2.55%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)1.88%
三津原恵子 1.72%
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 1.35%
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口9)1.14%
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口5)0.86%
(2018年9月30日現在)
主要子会社 日本ジェネリック
メディカルリソース
関係する人物 三津原博(初代社長)
外部リンク https://www.nicho.co.jp/
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日本調剤株式会社(にほんちょうざい、英:Nihon Chouzai Co., Ltd.)は、東京都千代田区に本社を置く、保険調剤薬局チェーン企業。東証プライム上場企業。

事業

調剤薬局チェーン大手。全都道府県に調剤薬局を出店している。2030年に「売上高1兆円、調剤薬局市場でのシェア10%」という長期ビジョンを策定[1]

物販1店舗を除き、処方せんでの調剤を行う調剤薬局専業である。約6割が大病院門前を中心とする門前薬局タイプ、残りが地域密着型面薬局、医療モール型薬局、近年では病院敷地内薬局のタイプも手がける。日本調剤グループ理念として「すべての人の『生きる』に向き合う」を掲げる。

同社監修のJPラーニングは全国どこにいても薬剤師の知識・技能を修得できるeラーニングシステムで、同社以外の薬剤師も利用している。より多くの薬剤師に学術発表の機会を提供することを目的として2016年より全国規模での社内学術大会を開催。2019年4月より専門薬剤師資格取得に対し手当を支給するなど、薬剤師教育に熱心な企業といわれる。

薬局現場におけるCS(Customer Satisfaction:顧客満足)教育について、2016年2月には「リクナビNEXT」主催の「グッド・アクション」現場活性化部門を受賞した[2]。「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づき三年間の行動計画を策定、2018年6月に優良企業として「えるぼし認定」の3段階目を取得[3]。同年12月に「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2018」の企業部門(1000人以上の部)において、調剤薬局・ドラッグストア業界で初受賞した[4]

また、社内システムを自社開発するなどITの活用にも積極的で、2014年10月には”従来のお薬手帳の機能を最大限に生かし、かつインターネット環境を活用し最新機能を搭載した情報提供サービス”としてスマートフォンアプリの「お薬手帳プラス」をリリースした。「お薬手帳プラス」の機能には服薬情報の管理に加え飲み忘れ防止機能、処方せん送信機能、家族の服薬情報一元管理、つながる(薬局とのコミュニケーション機能)などユーザーの健康管理をサポートする機能を備えている。2018年10月に「お薬手帳プラス」はiOSの“ヘルスケア”、Androidの“Google Fit”とデータ連携を開始した[9]。アプリ会員数は2016年9月には10万人[5]、2017年9月には20万人[6]、2022年2月には100万人を突破し利用者はさらに増加している[7]。2018年8月にオンライン服薬指導の事業を認可され[8]、2020年9月にはオンライン服薬指導を行うシステム「日本調剤オンライン薬局サービス NiCOMS」を自社開発し、全国の同社店舗で運用している。

調剤薬局事業のほかに、ジェネリック医薬品の供給分野にも着手、ジェネリック医薬品の製造販売事業として2005年に子会社「日本ジェネリック株式会社」を設立。新薬の特許が切れた後に販売されるジェネリック医薬品(後発医薬品)の普及活動を積極的に進めており、2013年3月期決算では営業利益が黒字化[9]。2013年4月にはジェネリック医薬品メーカーの長生堂製薬株式会社を子会社化して同事業を強化している。また、日本調剤の薬局において先発医薬品からジェネリック医薬品へ変更したことによる医療費削減額を公表している。2017年度は約237億円[10]の効果があったとしている。

その他のグループ企業として業界初の調剤薬局が母体となった薬剤師専門人材会社として日本調剤ファルマスタッフ株式会社(現・株式会社メディカルリソース)を設立。医療関連情報提供・コンサルティング業務を手がける株式会社日本医薬総合研究所がある。

2018年7月に「DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付」を調剤薬局業界で初めて取得した[11]。本格付は、株式会社日本政策投資銀行が従業員への健康配慮の取組に優れた企業を評価・選定する世界初の融資メニューである。

沿革

  • 1980年(昭和55年)
    • 3月 - 調剤薬局の経営を事業目的として、北海道札幌市に日本調剤株式会社を設立。
    • 4月 - 第1号店として、札幌市中央区に日本調剤山鼻調剤薬局を開局。
  • 1987年(昭和57年)
    • 8月 - 東京支店開設。
  • 1993年(平成5年)
    • 10月 - 横浜支店開設。
  • 1994年(平成6年)
    • 1月 - 東北支店開設。
    • 1月 - 子会社として宮城日本調剤株式会社(現・株式会社メディカルリソース)を設立。
  • 1995年(平成7年)
    • 4月 - 本社を東京都に移転。札幌支店、九州支店開設。
  • 2000年(平成12年)
    • 3月 - 宮城日本調剤株式会社の商号、目的を変更し、日本調剤ファルマスタッフ株式会社を開業。
    • 10月 - 大阪支店開設。
  • 2001年(平成13年)
    • 4月 - 名古屋支店、広島支店開設。
  • 2004年(平成16年)
  • 2005年(平成17年)
  • 2006年(平成18年)
    • 9月 - 東京証券取引所1部に上場。
    • 10月 - 子会社として株式会社メディカルリソースを設立。
  • 2007年(平成19年)
  • 2008年(平成20年)
    • 7月 - 日本調剤ファルマスタッフ株式会社に株式会社メディカルリソースを事業統合、株式会社メディカルリソースに商号変更。
  • 2010年(平成22年) - 日本ケミファとの提携解消[12]
    • 6月 - 薬局店舗が300店舗突破。[13]
  • 2011年(平成23年)
    • 3月 - 国内全都道府県での出店を達成。
  • 2012年(平成24年)
    • 1月 - 薬局店舗が400店舗を突破。
    • 1月 - 子会社として株式会社日本医薬総合研究所(連結子会社)を設立。
  • 2013年(平成25年)
    • 東京国税局から、約21億円の申告漏れを指摘され、修正申告を行う[14]
    • 4月 - 長生堂製薬株式会社の株式を取得し、子会社化。
    • 7月 - 「IT Japan Award2013特別賞」を受賞。
  • 2014年(平成26年) - 電子お薬手帳「お薬手帳プラス」運用開始。[15]
    • 10月 - 薬局店舗が500店舗突破。
  • 2015年(平成27年)
    • 11月 - 神奈川県未病事業に参加。[16]
  • 2016年(平成28年)
    • 2月 - 「リクナビNEXT」主催「グッド・アクション」現場活性化部門を受賞。[2]
    • 8月 - 横須賀市ジェネリック医薬品推奨薬局に選定。[17]
    • 8月 - 月間平均残業時間30時間以下企業で株価上昇率が高い企業ランキングで第1位。[18]
    • 10月 - 水野薬局(日本初の調剤薬局水野薬局)を子会社化。[19][20]
  • 2017年(平成29年)
    • 2月 - 第一生命グループと業務提携。
    • 5月 - 第一生命グループと日本調剤、共同店舗の営業開始
  • 2018年(平成30年)
    • 1月 - 薬剤師の育成を目指し専門性を評価・推進する新制度「薬剤師ステージ制度“JP-STAR”」を構築
    • 2月 - 倉敷中央病院内にセルフメディケーションを推進するヘルスケアショップ「NICHO+くらしき」をオープン
    • 7月 - 調剤薬局業界で初めて「DBJ 健康経営(ヘルスマネジメント)格付」取得
    • 12月 - 「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2018」企業部門(1,000人以上の部)で第10位に入賞

事案

  • 2021年(令和3年)10月、当社の連結子会社・長生堂製薬(本社・徳島県)は、同年春に医薬品の経年劣化に関する検査で不正が発覚し、徳島県が立入検査を実施した結果、10月11日付で業務停止と業務改善の命令を出されたと発表した。県による一連の調査で10年以上も前から手順書とは異なる順番で薬を製造していたことも明らかになり、県は厳しい行政処分を下した[21][22][23]。10月14日、日本ジェネリック製薬協会は会員会社である長生堂製薬株式会社に対し、正会員の資格停止(5年間)の措置を決定したと発表[24]。10月21日、日本調剤は長生堂製薬の全株式を、同じく連結子会社である日本ジェネリックに譲渡し、長生堂を日本ジェネリックの完全子会社にすると発表した[25]

提供番組

関連会社

関連項目

脚注

  1. ^ "【日本調剤】調剤薬局市場でのシェア10%‐2030年への長期ビジョンを策定" 薬事日報 (2018年5月10日)
  2. ^ a b "。リクナビNEXT グッドアクション2015"
  3. ^ "女性活躍推進法に基づく優良企業として「えるぼし」認定の最高位を取得"日本調剤株式会社ニュースリリース(2018年6月25日)
  4. ^ "日本最大規模の女性アワード「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2018」日本調剤が企業部門(1,000人以上の部)で第10位に入賞 ~調剤薬局・ドラッグストア業界で初受賞~"財経新聞(2018年12月20日)
  5. ^ "お薬手帳アプリ会員数10万人突破"日本調剤株式会社ニュースリリース(2016年9月1日)
  6. ^ "お薬手帳アプリ会員数20万人突破"日本調剤株式会社ニュースリリース(2017年9月21日)
  7. ^ "数字でみる日本調剤"2019年4月23日閲覧
  8. ^ "日本調剤、オンライン服薬指導の認可取得"日本経済新聞(2018年8月16日)
  9. ^ "日本調剤、後発医薬品が初の黒字 13年3月期営業益が10億円強"日本経済新聞(2012年5月23日)
  10. ^ "ジェネリック医薬品への取り組み"2019年4月25日閲覧
  11. ^ "日本調剤(株)に対し、「DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付」に基づく融資を実施-調剤薬局業界初の健康経営格付取得-"DBJ日本政策投資銀行 (2018年7月17日)
  12. ^ “日本ケミファ、日本調剤との提携解消 調剤子会社と競合”. 日本経済新聞. (2010年8月27日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD2706L_X20C10A8000000/ 2014年1月13日閲覧。 
  13. ^ "【日本調剤】グループ店舗数が300店舗を突破‐今期は連結1000億円へ積極展開"薬事日報(2010年6月25日)
  14. ^ “日本調剤が21億申告漏れ 子会社支援を寄付金認定”. 共同通信. (2013年3月29日). http://www.47news.jp/CN/201303/CN2013032801001828.html 2014年1月13日閲覧。 
  15. ^ "【日本調剤】スマホやPCで服薬や健康管理‐自社開発のお薬手帳を来月導入"薬事日報(2014年9月22日)
  16. ^ "神奈川県がICTモデル事業に日本調剤の電子お薬手帳を活用"薬事日報(2016年2月8日)
  17. ^ "【横須賀市】ジェネリック薬推奨薬局、日本調剤の7店舗が認定"薬事日報(2016年9月5日)
  18. ^ Vorkers調査レポートvol.28「残業と株価の相関関係」
  19. ^ "日本調剤、初の調剤薬局「水野薬局」買収"日本経済新聞(2016年9月20日)
  20. ^ "【日本調剤】「水野薬局」を子会社化‐調剤事業のシナジー期待"薬事日報(2016年9月23日)
  21. ^ 各位”. 日本調剤株式会社 (2021年10月11日). 2021年10月19日閲覧。
  22. ^ “徳島県、長生堂製薬に業務停止命令 品質管理に問題”. 日本經濟新聞. (2021年10月12日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC11A6H0R11C21A0000000/ 2021年10月19日閲覧。 
  23. ^ “長生堂製薬に業務停止命令”. 西日本新聞me. (2021年10月11日). https://www.nishinippon.co.jp/item/o/814388/ 2021年10月23日閲覧。 
  24. ^ 会員会社に対する処分について(一般の方向け)”. 日本ジェネリック製薬協会 (2021年10月14日). 2021年10月23日閲覧。
  25. ^ 長生堂製薬を日本GEの子会社に再編 日本調剤、GMP違反業務改善計画の実効性向上が狙い(登録制)”. 日刊薬業 (2021年10月22日). 2021年10月23日閲覧。

外部リンク