惑星質量天体

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6つの惑星質量天体候補の光学スペクトル

惑星質量天体(わくせいしつりょうてんたい、Planemo)は、質量が太陽系小天体より大きく、活性な核を持つ褐色矮星恒星よりも小さい天体の総称である。この大きさの天体は恒星にはなり得ず、宇宙空間を漂っている[1][2]。恒星の周りを回る多くの惑星質量天体は惑星であるが、この言葉はこの大きさの範囲に含まれる全ての天体を含む。Planemoという言葉は、planetary mass objectを縮めたものである。この言葉はまだ科学的な文脈で普通に使われるには至っていない。2007年10月時点で、astro-ph archiveの中の4つの論文に表れているのみである。

言葉の起源

"Planemo"という記述は、天体の術語体系を明確にするため、カリフォルニア大学バークレー校の天文学教授Gibor Basriによって国際天文学連合に提案された[3]。この頃、天文学界は惑星の定義を巡って議論が続いていた。Basriの定義では、Planemoは、軌道を公転しているか否かに関係なく、「生涯に渡って核融合反応を起こさない(重力により球形を保っている)天体」となる[4]。これは故意に、Basriによる惑星の定義(「恒星の周りを公転する惑星質量天体」)と対比させたもので、議論を収束させることを意図したものである。

太陽系内

太陽系内では、下記に挙げる天体がBasriの定義を満たしている。それぞれの詳細は各記事を参照。

このリストは、太陽からの平均距離の順に並べられており、惑星と準惑星は太字で示されている。番号が付いたものはBasriの定義による惑星に数えられるものである。しかし、太陽系外縁部にはこれからこの定義を満たす天体がさらに見つかる可能性もある。

「球形」とは相対的な形で、このリストはこの閾値によっても変わる可能性がある。例えば、ハウメアは球形というよりもかなり扁平な形をしている。Basriは、「球形」というには、「非対称性によって生じる力を自身の重力で克服できるだけの十分な質量を持つこと」が必要であり、学術的には「等ポテンシャル面に従う」と述べている。国際天文学連合の定義では、「自身の重力が剛体の力に打ち勝ち、静力学的平衡と見なせる形」と定義している。

近年の発見

スピッツァー宇宙望遠鏡によって、Cha 110913-773444が発見された。この天体は木星の約8倍の大きさで、約50 - 100万歳と推定されている。塵の円盤に取り囲まれており、地球から約500光年の距離にある。

太陽系外の最初の惑星質量天体は、パルサーPSR 1257+12の周りを公転するもので、1992年にアレクサンデル・ヴォルシュチャンらによって発見された[5]。それまで惑星は主系列星にしか存在しないと考えられていたため、多くの天文学者が驚く発見だった。

関連項目

惑星に関係する術語

出典

  1. ^ Extra Solar Planets msn.com
  2. ^ www.space.com
  3. ^ Robert Roy Britt (2006年6月6日). “Mini-solar systems spark scientific debate”. MSNBC. 2010年1月7日閲覧。 “The scientists involved in the new research are calling the objects "planemos," short for planetary-mass objects that were born in the manner of stars and do not orbit normal stars.” (Image by space artist Jon Lomberg.)
  4. ^ 公転すべき恒星を持たず、ただ宇宙空間を漂っている惑星(自由浮遊惑星)を恣意的に惑星質量天体と呼称する場合がある。
  5. ^ Pulsar Planets Archived 2005年12月30日, at the Wayback Machine.

外部リンク