大きいお友達

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大きいお友達(おおきいおともだち)もしくは大きなお友達(おおきなおともだち、おっきなおともだち)は、本来は子供(児童)を対象とした嗜好物に夢中になる大人を指す言葉である[1]

大友と略される[2]。派生語として「大きなお兄ちゃん」「―お姉ちゃん」がある。

アニメ・特撮などの分野

児童・少年・少女向けのアニメ漫画特撮ヒーロー番組などに夢中になっているおたくや大人のマニアのこと。当事者自らがこの言葉を使う場合は、自嘲・自虐的なニュアンスを含むことが多い。

この意味での「大きいお友達」は、『美少女戦士セーラームーン』のヒット以降に広まったとされる[1]。広まったきっかけとなったのは、同作のイベントで強引な行動を取り、付近にいた子供を泣かせた“おたく”に対し、声優久川綾が皮肉として使用したことであると言われている。ただし実際には、それより早く、セーラームーンのキャラクターショーで司会のお姉さんの「今日は大きいお友達もたくさん来ていますね」といった発言もあったとも言われる。その後も久川は、自身のラジオなどでこの言葉を多用するようになっていった。

また「大きいお友達」は資力にものをいわせ、時として「大人買い」を行うことから、彼ら大きいお友達もまた製作側のターゲットとして重要になってきたとされる。こういった層を対象にしたのはいつ頃かははっきりしないが、1982年の『魔法のプリンセスミンキーモモ』において内容は女児向け、キャラクターは大学生向けとして製作していたという噂も取沙汰され、1980年代から製作サイドに意識され始めたと思われる(ただし『ミンキーモモ』の構成・脚本を担当した首藤剛志は生前に連載していたweb上のコラムでこれを明確に否定しており、視聴者からそのように受け取られたり、アニメ雑誌などでそのような噂を書かれたりすることに対する不快感を表明していた[3])。

特に女児向け・少女向けアニメ作品の男性愛好家のことを指す場合が多く、2001年頃になって深夜アニメ(特に「萌えアニメ」)の数が多くなるまでは、アニメおたくの世界では中心的なジャンルであったといわれている。しかし、よりおたくの嗜好に応えた「萌えアニメ」が増大した現在では、わざわざ幼児を対象に制作されるこのジャンルのアニメを視聴するおたくは減少している。人気そのものも急速に下火になりつつあり、わずかに『プリキュアシリーズ[4]などにおいて一定の支持を得る程度にとどまっている。

また近年は「大きいお友達」によって「小さいお友達」が押しのけられるなどの影響が出ることを予測し、小学館の「ちゃお」・「ChuChu」陣営で主催するイベントでは児童を含む男性は参加できないようになっている(声優に男性にも支持されやすいタレントを起用した『きらりん☆レボリューション』や男性にコミックスが大量に売れた作家であるやぶうち優絡みのイベントにも例外なく適用される)。

ほかにも『オシャレ魔女 ラブandベリー』など、“大きいお友達”が寄りつかないようにデザインされた作品もある[5]

男児向け作品においては、“小さいお友達”向けと“大きいお友達”向けにシリーズが二極化した『トランスフォーマー』の例がある。このシリーズは元来子供向けであるにもかかわらず、主力商品たる変形ロボット玩具が技術の進歩により複雑化の道を辿り、低年齢層にとって遊びにくいものとなってしまったため[6]二極化を迫られたのである(トランスフォーマー カーロボット#玩具参照)。

「昨日○○仮面のショーにいったんだけど、前の方の席は大きいお友達ばっかで、異様な雰囲気だったな」などと使う[7](発言者も大きいお友達)。

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b 「空想美少女用語辞典」『空想美少女大百科 電脳萌え萌え美少女大集合!』宝島社別冊宝島〉、1999年1月3日、244頁頁。ISBN ISBN 4-7966-9421-8{{ISBN2}}のパラメータエラー: 無効なISBNです。 
  2. ^ 高月靖『ロリコン』バジリコ、2009年10月7日、139頁。  - 大友という略称は、2009年時点で「オタクの間では……すでに定着している」と記されている。
  3. ^ 首藤剛志 (2006年6月21日). “第54回 『ミンキーモモ』はロリコン向けか?”. WEBアニメスタイル シナリオえーだば創作術 だれでもできる脚本家. スタジオ雄. 2010年7月24日閲覧。
  4. ^ ““大きなお友達”向け? 「プリキュア」オールナイト上映会”. ITmedia News (ITmedia). (2010年3月25日). http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/25/news090.html 2010年7月24日閲覧。 
  5. ^ 中村聖司 (2005年8月30日). “セガ植村氏、「ムシキング」成功のノウハウを語る「ムシキングにおけるアーケードとコンシューマのアナログ的連動」”. GAME Watch. インプレス. 2010年7月24日閲覧。 “女の子版「ムシキング」として紹介されたファミリーエンタテインメント研究開発部の……(中略)。大きいお兄さんが並ばないように萌え路線は避けたと紹介して、場内を沸かせた”
  6. ^ 新丸一 著「『トランスフォーマー マイクロン伝説』玩具解説」、服部玲治、片山淳 編『超ロボット生命体トランスフォーマー マイクロン伝説 YEAR BOOK 2003』(初版)ジャイブ、2004年3月7日、41頁頁。ISBN 4-902314-28-2 
  7. ^ 伏見つかさ俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 第4巻(6版)、アスキー・メディアワークス電撃文庫〉、2009-28-10、59頁頁。ISBN 978-4-04-867934-3。"彼女が疑問に思ったとおり、ギャラリーのほとんどは哀しいかな成人男性であり、いわゆる大きなお友達――筋金入りのオタクたちだ。"。 

外部リンク