北朝鮮人権問題

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北朝鮮人権問題(きたちょうせんじんけんもんだい)とは、北朝鮮当局による拷問、公開処刑、外国人拉致、意思表示の権利剥奪、強制収容所、300万人以上と言われる国民の餓死や脱北を始めとする各種の圧政や人権侵害に関する問題。北朝鮮には多数の政治犯収容所(強制収容所)が存在し、自国民を殺害し圧政を引いている他、主としてスパイ養成を目的とした外国人拉致を行い現在も認めていない拉致被害者がいるとされる。

看守や脱出者の多数の証言によれば、北朝鮮各所にある強制収容所では、日常的に裁判無きまま収容者が殺害されている他、収容所内での餓死や病死も多い。北朝鮮政府は収容所の存在を認めていない。また政府幹部が多額の政府予算により贅沢な生活を送る一方、国民の生活は極度に困窮し現在でも毎年数万人以上の餓死者が出ている。秘密警察により政府を批判する者や批判的な者、日本からの帰国者など反政府活動を行う可能性があるとされた国民が数万人以上が収容所に送られ、その多くが正式な手続きはないまま殺害された。言論の自由や自由な報道、政府批判、自由選挙、信仰の自由、その他の基本的人権の尊重は、政府幹部を除き一般国民にはほとんどない。強制収容所に15万~20万人が拘束されるなど深刻な事態が存在する。

国連による北朝鮮の人権状況決議

2005年12月16日には、国連総会本会議において「北朝鮮の人権状況」決議が採択された。欧州連合(EU)提案の決議案は、ジュネーヴ国連人権委員会(53か国)で2003年から3年連続で採択。しかし事態が改善されていないとして、2005年にEUは国連総会に提出。決議案はEUが策定、日本や米国などが共同提案国となった。人権問題を扱う総会第3委員会で11月に採択され、本会議に送られ賛成88、反対21、棄権60で採択された。

2006年12月20日には、国連総会本会議において「北朝鮮の人権状況」決議が賛成99、反対21、棄権56で再び採択。北朝鮮政権による組織的な人権侵害が広く行われ、拷問、公開処刑、堕胎強要、外国人拉致、意思表示の権利剥奪などを非難し非常に深刻な懸念を表明する内容。外国人拉致を未解決の問題とし「他の主権国家の国民の人権侵害」との表現も加え非難を強めた。北朝鮮内での女性の人身売買なども合わせ、「組織的で広範かつ重大な人権侵害」への懸念を表明し、国連事務総長に包括的報告を行うよう求めている。決議に法的拘束力はないが、北朝鮮の人権状況改善や拉致問題解決を求める国際社会の意思を改めて示した。決議は日本とEUが主導して提出し、韓国は昨年の棄権から今回、賛成に転じた。中国ロシアは反対票を投じた。北朝鮮は国連の特別報告者による入国調査を認めず国連のすべての非難決議を拒否するとの態度を取っている。

米国人権報告書

2007年3月6日に米国務省が発表した、世界各国の人権に関する状況をまとめた年次報告書(人権報告書)でも、日本人拉致問題に言及した他、北朝鮮について「世界で最も孤立し、抑圧的な体制だ」と非難。北朝鮮国内にある強制収容所に推定15万~20万人が拘束されているとして金正日総書記の独裁体制を批判。北朝鮮の人権状況は「依然悪く、おびただしい数の深刻な人権侵害が続いている」と指摘。「裁判によらない死刑の執行、拉致、政治犯を含む恣意(しい)的な拘束」が続いているとし「市民に自らの政府を転換する権利はない」とした。政治犯を取り巻く状況は過酷で生命に脅威を与えるものだとし、拷問も日常的に行われていると指摘。

北朝鮮を脱出して中国に入国する北朝鮮住民の数は2005年に減少して以来横ばいだが、現在でも数万人が中国国内に滞在し、貧困のため北朝鮮の住民が娘を中国に売り渡し囚人や売春婦のような生活を強いられていると報告している。このほか北朝鮮はポーランドモンゴルロシアリビアサウジアラビアなどに労働者を派遣。チェコでは約400人の北朝鮮出身の女性が衣料や皮革産業で働いている。労働者の給料の大半は北朝鮮当局に支払われており、労働者は北朝鮮の監視を受け生活圏外への移動の自由もないと非難している。また中国政府が中朝国境地帯で、北朝鮮を脱出した住民をが強制送還していることも「深刻な問題」とし、中国は脱北者を適切に保護していないと批判した。

関連項目

外部リンク


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