マイケル・ウィーラン

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マイケル・ウィーラン Michael Whelan
イタリア『ルッカコミックス&ゲームズ』イベント会場にて(2017年11月)
本名 Michael Raymond Whelan
誕生日 (1950-06-29) 1950年6月29日(73歳)
出生地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カリフォルニア州カルバーシティ
運動・動向 シュルレアリスム
サイエンス・フィクション
サイエンス・ファンタジー
幻想絵画
芸術分野 イラストレーター
美術作家
ブックカバーデザイナー
出身校 サンノゼ州立大学
アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン(中退)
受賞 WSFS「ヒューゴー賞」プロアーティスト部門(13回)
WFC「世界幻想文学大賞」(3回)
ASFA「チェスリー賞」
DESI「優秀賞」
WAD「メリット賞」
MoPOP「SF&ファンタジーの殿堂」ほか多数
ウェブサイト michaelwhelan.com
活動期間 1974年 - 現在
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マイケル・ウィーラン(Michael Raymond Whelan、1950年6月29日 - )は、アメリカ合衆国出身のイラストレーター美術作家

イラストの分野では世界的に高名なアーティストで、SF幻想芸術の部門などで数多くの芸術賞を獲得。特にSF作家の最高栄誉「ヒューゴー賞」を最多受賞し、スーパーヒューゴーの称号を持つ。

人物[編集]

学生時代[編集]

カリフォルニア州ロサンゼルス郡カルバーシティ出身。父親が航空宇宙産業に関わる仕事のため全米各地を転々とし、空軍基地や施設近郊に居住する事が多かった。そのため軍施設の現場を目の当たりにする少年期を過ごし、その影響が後々のSF(サイエンス・フィクション)志向に繋がる。

高校時代に、コロラド州デンバーにある芸術校で夏期講習を受ける機会を得て、そこから美術をたしなむようになる。しかし高校卒業後は医学の道に進み、サンノゼ州立大学に在学。解剖生理学を専攻して人体解剖学を学ぶ。この時に医学のイラストレーションに関わることで高校時代のアート思考が甦り、改めて美術家を志すようになった。

1973年に大学卒業後、カリフォルニア州の芸術校「アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン」に入校。本格的な美術を学ぶ傍ら、ワシントンD.C.ワールドコン(世界SF大会)に自身の作品を出展していた。翌1974年、それらの作品が出版社の目に留まって初めての契約を掴み、出版物のブックカバーデザイナーとして採用される。そして仕事に専念するため同校を中退し、イラストレーターとしてのプロ活動を開始した。

イラストレーター活動〜以降[編集]

1975年、大手が集まるニューヨークの出版業者とビジネスするため、米東海岸コネチカット州に拠点を移す。 「DAWブックス」「デル・レイ・ブックス」「エース・ブックス」などSF部門の有力出版社に所属して実績を積み、特に有名SF作家 アン・マキャフリイの作品を手掛けた仕事が評判を呼んだ[1]。これらの作品が評価され、1980年にSF作家の最高栄誉「ヒューゴー賞」プロアーティスト部門を初受賞。以来同部門を7連覇し、他の部門も含め最多の15回以上獲得している(2020年時点)[2]。また、プロアーティスト部門の受賞が二桁以上に達した時点で歴代最高のアーティストと称えられ、1992年に特別賞「スーパーヒューゴー」を贈られた。

他にも、スティーヴン・キングピアズ・アンソニイエドガー・ライス・バローズハワード・フィリップス・ラヴクラフトマイケル・ムアコックC・J・チェリイロバート・A・ハインラインH・ビーム・パイパーブランドン・サンダースンといった著名な作家の作品を担当した。

1980年代に入るとブックカバーイラストだけでなく、音楽アーティストのアルバムカバーアートも手掛けるようになった。特に「ミートローフ」や「セパルトゥラ」といった[3]ロックアーティストの作品に提供する事が多い。

USAシアトル - SF殿堂館にて(2009年)

2000年代以降は、世界的にもSFアートの重鎮としての地位を確立し、各地域で名誉賞を含む大きな評価を得ている。2009年には、米ポップカルチャー・ミュージアムが設立した「SF&ファンタジーの殿堂」入りを果たした[4]

アルバム・カバーアート作品[編集]

※以下、アルファベット順

Cirith Ungol
Arthur C. Clarke - アーサー・C・クラーク
  • 『2061: Odyssey Three』(1988年) - BOXセット
Demolition Hammer
  • Epidemic of Violence』(1992年)
  • 『Necrology: A Complete Anthology』(2008年) - コンピレーション
The Empire Brass Quintet - エンパイア・ブラス
  • 『Passage 138 B.C. - A.D. 1611』(1994年)
Elric
  • 『Antihero』(2019年)
Evile - イーヴァイル
The Jacksons - ジャクソンズ(ジャクソン5)
Katharsis
  • 『666』(2000年)
Anne McCaffrey - アン・マキャフリイ
  • 『The White Dragon』(1978年)
Meat Loaf - ミートローフ
The Mist
  • 『Phantasmagoria』(2017年)
Northern Tales
  • 『Melancoma』(2004年)
Obituary - オビチュアリー
Sacred Oath
  • 『World on Fire』(2010年)
Sacred Rite
  • 『Is Nothing Sacred』(1986年)
  • 『Rites of Passage Vol.1』(2002年) - コンピレーション
  • 『Rites of Passage Vol.2』(2002年) - コンピレーション
  • 『Resurrection』(2007年)
  • 『Sacred Rite』(2014年)
Sepultura - セパルトゥラ
Smoulder
  • 『Times Of Obscene Evil And Wild Daring』(2019年)
  • 『Dream Quest Ends』(2020年)
Jonn Serrie - ジョン・セリー
  • 『Midsummer Century』(1993年)
  • 『Ixlandia』(1995年)
Soulfly - ソウルフライ
Spys
  • 『S·P·Y·S』(1982年)
V.A.
  • 『Music From The 21st Century』(1981年)
  • 『Celestial Journey II』(1997年)
  • 『Don't Turn Your Back On Love』(2020年)

書籍[編集]

主な画集など

  • Tomorrow And Beyond(1978)
  • Sorcerers(1978)
  • Wonderworks(1979)
  • Michael Whelan's Works of Wonder(1988)
  • The Biographical Dictionary of SF & Fantasy Artists(1988)
  • The Art of Michael Whelan: Scenes/Visions(1993)
  • SPECTRUM(1994)
  • Something in My Eye(1997)
  • Infinite Worlds(1997)
  • The Frank Collection(1999)
  • The Chesley Awards - A Retrospective(2003)
  • SPECTRUM 15(2008)

脚注[編集]

  1. ^ Danbury artist Michael Whelan enjoys challenge of sci-fi, fantasy genre”. Ctpost (2017年11月4日). 2018年7月14日閲覧。
  2. ^ Look what goes into making a Michael Whelan book cover”. THE VERGE (2017年3月16日). 2018年7月14日閲覧。
  3. ^ Sepultura relança o clássico “Arise” com material bônus”. THE MUSIC JOURNAL BRAZIL (2018年7月3日). 2018年7月14日閲覧。
  4. ^ Science Fiction and Fantasy Hall of Fame Members”. mopop (2018年). 2018年7月14日閲覧。

外部リンク[編集]