トイレットペーパー

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トイレットペーパー

トイレットペーパー: toilet paper)とは、トイレットで用便後に排泄器官の清拭に用いられる専用である。ロール状の巻紙を「トイレットロール」と呼称する。

概説

トイレットペーパーは用便後の清拭に用いられる紙である。日本では平紙を「ちり紙」、ロール状の巻紙を「トイレットロール」と呼称する。通常は便所個室内で専用什器に装着して使用し、国情によりロール径や幅が若干異なる。

日本では紙パックなどさまざまな再生パルプを多く用いておよそ4割が静岡県で製造され、「ティシュペーパー及びトイレットペーパー」として家庭用品品質表示法の適用対象で雑貨工業品品質表示規程[1]に、品質や寸法などは日本工業規格[2]に定めがある。使用量は日本人一人あたり年間およそ8キログラムとする推算[3]されるほど生活必需品で非常時に備え平時より備蓄が望まれる。

歴史

普及前は、富める人は羊毛レースを用い、その他は直接手を用いるか、木の葉、干し草トウモロコシの皮、、かんなくず、貝殻、ぼろ布や、付近にヤツデを植栽して葉を用いるなどしていた。使い捨てずに、古代ローマでは海綿日本では貝殻や籌木なる細長い板なども見られる。

帝政ロシアでは皇帝専用紙に皇帝の印が家臣によりなされ、ヘンリー8世の宮廷では、王族の用便後に素手で清拭する便所担当は特に信頼された廷臣が選ばれ、王と個別に相対する好機として影響力を期待し望む者も多かった。日本の江戸時代に、大奥御台所は大奥女中に拭わせる慣習の中、馴染めず自ら拭う御台所もいた。

14世紀に皇帝専用に中国で最初に生産され、初の工業製品は1857年アメリカ合衆国のジョセフ・カエティによりカエティの名前が印刷された用紙が生産された。

平らな裁断紙のトイレットペーパー(1960年代のフランス、「Le Troubadour"」という銘柄のパッケージ入り)。

日本では、トイレットペーパーが明治維新後にホテルや洋館で求められ輸入し、大正後期に国内生産が開始されるも吸水性と柔軟性に劣り、手揉みして用いた。明治中期頃より古紙が原料のちり紙とパルプが原料の落とし紙や京花紙などが主に用いられ、上下水道整備の進捗に伴い昭和30年前後から便所の様式が「汲み取り式」から「水洗式」へ「和式便器」から「洋式便器」へ変化し、合わせてトイレットペーパー生産量も増加している。

トイレットペーパーの種類

ロール紙はシングル巻きとダブル巻きがあり、シングルは長尺紙が一枚、ダブルは二枚重ねでそれぞれ巻かれ、三枚重ねのトリプル巻き商品もある。

エンボス加工されたトイレットペーパー
絵柄、香料付きトイレットペーパーの例

使用感、清拭、吸収性向上にエンボス加工を施す製品もある。紙色はの他、薄水色、薄ピンク、薄黄色、薄 などがあり、絵柄や、クイズと答え、ジョーク集 など印刷する商品も見られる。ボール紙製が多いが、コアレスなどの呼称で芯紙が無い商品、水解紙芯商品、芯紙を香料で着香する商品などもある。

市販品は、日本工業規格(JIS規格)で1巻27.5、32.5、55、65、75、100メートル、許容差+3と公定されているが、量販品は60メートル巻きが多い。

公共用途の業務用は一巻あたり150から210、最大500メートルと高頻度需要に適応しているが、1巻重量は最大1~2キログラムで軸が鉛直方向の専用大型什器に装着する交換頻度低減を目する製品である。

設置方法

三角折り、2個配置
壁でなくドアに設置

専用什器の紙巻器などで設置するが、巻き始めがロールと一体化して不便な事例も少なくない。[4]

巻き始めの先端を三角形に折る事例を、日本では三角折りと俗称する者も見られ、アメリカの消防署で緊急出動受令時に用便中でも迅速な対応を目した「ファイヤーホールド[5]に由来するなど様々語られており、ホテル、劇場、店舗など公共の場所で多々見られる。[注 1]

2個横向きに並列配置した2連紙巻器は紙切れの不便解消など[6]を目した商品で、公共施設などで設置が見られる縦に2巻配するものは、使用済み芯紙を取り除いて新たな1巻を使用する。

水洗便器とトイレットペーパー

便器の水溜りに滞留するトイレットペーパー
水解紙製のトイレットペーパーの芯

水洗便所でトイレットペーパーは洗浄水を流しても水流の関係で、便器トラップの水溜りでクルクルと回るだけで、流れに乗りにくい状況が発生する事がある。

特に、吸引作用が無く、水勢のみで洗い流す洗い出し式和式便器等の洗浄方式によっては、に完全に便器内から無くならず、滞留する現象が発生する。

これは大便洗浄の時にはきちんと流れて、小便洗浄時や紙だけ流す時は流れにくいのは、トイレットペーパーの紙の間に空気が入ってしまい、浮力により便器の水溜りでクルクルと回るだけで流れない事があり、この場合紙を丸めるなどして、ある程度固めてから、便器に捨てて、流す事で解消出来る。

トイレットペーパーが便器から流れきれない場合でも水解紙製であれば詰まりの原因にはならない。

また、公共のトイレでトイレットペーパーの芯を不心得者によって水洗便器に捨てられ、詰まりが発生することあることある事から、芯紙が無い、芯なしタイプや、水解紙製の芯のトイレットペーパーを使うことで、芯を便器に捨てられても詰まりの発生を防止することができ、最近ではパブリックな公共のトイレでは芯なしタイプや、水解紙製の芯のトイレットペーパーが使われる事が多くなっている。水解紙製のトイレットペーパーの芯は浄化促進剤が含まれており、便器のトラップの水溜りで完全に水解するように出来ている。

脚注

  1. ^ 日本では1900年代半ばに帝国ホテルで「清掃は完了している」旨の従業員同士の伝達手段として用い始め、客室でホルダー上部の「清掃済み」ラベルと併せ見た利用客らが自宅などで用い、それら居宅の訪問客が帰宅後に模倣して拡散しているとする解釈も見られる[要出典]
  1. ^ 雑貨工業品品質表示規程”. 消費者庁. 2013年5月23日閲覧。
  2. ^ 日本工業規格 (JIS P4501)
  3. ^ http://www.ss-sangyo.co.jp/item/img/10/pdf/mame_06.pdf
  4. ^ トイレットペーパーの装着は手前向きと奥向きの二方向いずれも利点があり選択は習慣や嗜好によるが、アメリカでは紙先を手前へ向ける事例が多く標本調査分析から使用者の社会経済的地位に関連性を指摘する論者も見受けられる。[要出典][誰?]
  5. ^ 1870年代にはトイレットペーパーが普及していたアメリカの消防署で、用便中の緊急出動受令時の迅速対応を目し考案された伊予消防等事務組合消防本部 公式ホームページ
  6. ^ ティドビット〜水まわりのまめ知識〜”. TOTO. 2013年5月25日閲覧。

関連項目

外部リンク