スループ

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スループの帆装図

スループ (オランダ語 sloep) は帆船の一種で、一本のマスト縦帆(船の中心線に沿う方向の帆)を持つ小型の船を指す。軍艦にもスループという艦種があるが形状が異なり、帆装形式ではブリッグ型などに該当するものである(#スループ(軍艦)参照)。

スループは、ガフ帆1枚とマスト1本という点でカッターと共通する帆装である。両者の区別としては、以下のようなことが言われる。

  • マストの位置がカッターよりも船首寄りである。そのため、スループのジブ(船首三角帆)はカッターのものよりも小型で、通常は数も1枚しか持たない。ただし、スループであってもフレンドシップ・スループなどの形式では複数の船首帆を持っており、船首帆の数は決定的な区別要素ではない。結局のところ、マストの位置がスループを定義づける最大の要素ということになる[要出典]
  • 両者を区別する最も明快な要素は、フォアステイ(マストと船首の間に張られた線)の張り方である。スループの場合、バウスプリットの突端(the outboard end of the bowsprit)とマストの間にステイが張られており、そのためにバウスプリットを動かすわけにはいかず、常に設置しておかねばならない。これに対してカッターの場合、バウスプリットではなく船殻の船首端にステイが張られている。これにより、カッターの場合はバウスプリットを外して収容することも可能で、混雑した港内での航行時や、強風下でのジブの収納の際に便利である[要出典]

スループ(軍艦)

軍艦としてのスループの概要

18世紀から20世紀まで用いられたフリゲートよりも小型の軍艦。一般の(軍艦でない)スループとは大きさや帆装が異なるため、特にスループ・オブ・ウォーとも呼ばれる。帆走時代のものは一層の砲甲板に10から20の大砲を搭載しており、2本か3本の帆柱を有していた。帆柱が2本のものをブリッグ・スループ、3本のものはシップ・スループに分類するが、厳密な帆装形式による区別ではなく帆柱の数による区別であり、シップ・スループでもシップ形式の帆装とは限らない。主に船団護衛艦や沿岸警備艦として用いられた。

帆走時代から機走軍艦の時代へと移るに従い、砲艦海防艦などに呼びかえられあまり使用されない分類となったが、第一次世界大戦において航洋型の船団護衛艦の分類としてイギリス海軍で復活した。その後、第二次世界大戦にかけて、船団護衛艦のほか艦隊型掃海艇哨戒艦艇、植民地警備艦などの多様な性格の小型艦がスループの名で建造された。しかし、より量産性の高いコルベットフリゲートに船団護衛艦の主力の地位は移り、第二次世界大戦中のブラックスワン級スループを最後にスループの名を持つ艦は建造されていない。

なお、フランス海軍の植民地通報艦や、日本海軍が第二次世界大戦期に建造した海防艦などは、英語文献においてスループと分類されていることがある。

代表的なスループ(軍艦)

イギリス海軍のFowey

関連項目