クランベリー

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クランベリー
クランベリー
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : ビワモドキ亜綱 Dilleniidae
: ツツジ目 Ericales
: ツツジ科 Ericaceae
: スノキ属 Vaccinium
亜属 : ツルコケモモ亜属 Oxycoccos
英名
Cranberry
  • Oxycoccos
    • ツルコケモモ V. oxycoccos
    • ヒメツルコケモモ V. microcarpum
    • オオミノツルコケモモ V. macrocarpon
  • Oxycoccoides
    • V. erythrocarpum
赤:ツルコケモモ 橙:ヒメツルコケモモ 緑:オオミノツルコケモモ
赤:ツルコケモモ
橙:ヒメツルコケモモ
緑:オオミノツルコケモモ

クランベリー (Cranberry) とはツツジ科スノキ属ツルコケモモ亜属 (Oxycoccos) に属する常緑低木の総称。北半球寒帯酸性沼地に見られる。 主な種はツルコケモモ(蔓苔桃)、ヒメツルコケモモ(姫蔓苔桃)、オオミノツルコケモモ(大実蔓苔桃)、アクシバ(灰汁柴、青木柴)。果実には安息香酸が含有しているため注意が必要。

名前の由来

(crane) のベリー (berry) の意味。17世紀アメリカイギリス系移民が名づけた。

一般的にはクランベリーが鶴の好物であるということに由来するとされるが、花が開く前の花弁が鶴の首、頭、くちばしに似ているからとする説もある。

なお、ニシンの体積を測る単位クラン(cran、37.5ガロン)とは無関係である。

特徴

果実は非常に酸味が強く、生食には向かないが、菓子やジャム、クランベリージュースの原料となる。七面鳥の丸焼きに添える甘いクランベリーソースは、アメリカ合衆国カナダ感謝祭には欠かせない。

高さ10cm程度の矮小な低木で、枝は細く小さな常緑の葉をつける。花はダークピンクで反り返った花弁をもつ。果実は小さく、中が数室に分かれた空洞になっており、熟すとピンク色から深紅に色づく。加工用など傷が付いてもさほど支障のない場合、クランベリー畑に木が完全に沈むほどまで水をはり、水中で木を揺すると果実が外れて水面に浮かぶので、大型機械で果実をすくい取って収穫する。なお、畑にはった水はクランベリーの木を冷害から守る効果もあるため、春まで水を抜かずにそのまま越冬させる。

種類

クランベリーには以下の4種類がある。

Oxycoccos

ツルコケモモ
学名:Vaccinium oxycoccos
英名:Common Cranberry, Northern Cranberry
分布:北ヨーロッパ北アジア北アメリカ北部など、北半球の寒い地域に分布。
特徴:葉は5-10 mm。花は細く毛深い茎の先につき、ダークピンクで紫色の穂がある。果実は小さく薄いピンク色。
ヒメツルコケモモ
学名:Vaccinium microcarpum
英名:Small Cranberry
分布:北ヨーロッパ、北アジアに分布。
特徴:葉はツルコケモモより三角で花茎に毛はない。
オオミノツルコケモモ、ベアベリー
学名:Vaccinium macrocarpon
英名:Large cranberry, American Cranberry, Bearberry
分布:北アメリカ北東部に分布。
特徴:ツルコケモモより葉は長く10-20 mmある。

Oxycoccoides

アクシバ
学名:Vaccinium erythrocarpum (Vaccinium japonicum)
英名:Southern Mountain Cranberry
分布:北米アパラチア山脈南部の高地と東アジアに自生する。
特徴:

その他

同属のコケモモ英語でマウンテンクランベリー (mountain cranberry) と呼ばれることがあるが、リンゴンベリー (lingonberry) の方がより一般的である。

尿路感染症への使用

尿路感染症に有効であるとする報告がある[1]。ただし、無効であったとする報告も複数あり評価は定まっていない[1]紫色採尿バッグ症候群の治療に使用している施設もあるが、適切な製剤がないために適応が難しい[2]。また果汁にはシュウ酸が多く含まれるために、過剰な摂取はシュウ酸結石(尿路結石の1種)のリスクを高めるとされる[1]。ほかにも下痢や嘔吐などの副作用も報告されている[1]

ギャラリー

関連項目

外部リンク

  1. ^ a b c d 国立健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報
  2. ^ 市販品は、グランベリー果汁の含有率は低く大量のブドウ糖等が付加されているものが多いため:出典 ハーブ&サプリメント NATURAL STANDARDによる有効性評価 産調出版株式会社 渡邊昌日本語監修