クズリ
クズリ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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クズリ Gulo gulo
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Gulo gulo (Linnaeus, 1758) | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
クズリ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Glutton Wolverine | ||||||||||||||||||||||||||||||
クズリの生息域
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クズリ(貂熊[2]、屈狸[2]、Gulo gulo)はネコ目(食肉目)イタチ科クズリ属に分類される哺乳類。本種のみでクズリ属を構成する。
分布
- G. g. gulo ユーラシアクズリ[3]
- G. g. luscus アメリカクズリ[3]
形態
体長65-105センチメートル[5][6]。尾長17-26センチメートル[5][6]。体重7-32キログラム[5][6](平均体重オス15キログラム、メス10キログラム[4][5])。頭部は大型[5]。全身は長い体毛で密に被われる[5]。毛衣は黒や濃褐色で、肩から体側面、尾の基部にかけて明褐色の帯模様が入る[4][5]。
耳介は小型で丸みを帯びる[5]。歯列は門歯が上下6本ずつ、犬歯が上下2本ずつ、小臼歯が上下8本ずつ、大臼歯が上顎2本、下顎4本で計38本[4][5]。小臼歯は頑丈で、顎の力が強いことも相まって獲物の骨もかみ砕くことができる[4]。四肢は短く頑丈[4][5]。指趾の裏は大型で、雪上でも体重が分散し移動することに適している[4][5][6]。
出産直後の幼獣は体重0.1キログラム[5]。乳頭の数は4[5]。
分類
亜種を独立種とする説もある[5]。
- Gulo gulo gulo (Linnaeus, 1758) ユーラシアクズリ European wolverine[3]
- Gulo gulo luscus (Linnaeus, 1758) アメリカクズリ North American wolverine[3]
生態
タイガやツンドラに生息する[4][5]。地表性だが、樹上に登ったり泳ぐこともある[5]。夜行性だが、昼間に活動することもある[5]。岩の割れ目や木の根元、他の動物の古巣などに草や葉を敷いた巣穴をつくる[5]。1日45キロメートル移動することもあり、10-15キロメートルを休まずに走行することもある[5][6]。また特殊な足の構造をしており、表面張力を生かした雪上での行動を得意とする。
食性は雑食で、哺乳類、鳥類の卵、動物の死骸、果実などを食べる[5][6]。小型の獲物は頸部に噛みついて倒すが[5]、食糧事情が乏しい冬季になるとシカやヒツジ[4][5][6]、ヘラジカ[1]などの大型哺乳類を捕らえることが知られている。なお大型の獲物を襲う際は、正面からの行動では無理が生じるため、主に木の上から奇襲し、その強靭な顎で相手の脊髄や延髄といった急所をピンポイントに破壊する手法をとる。大きな獲物は解体してから地中や泥中、雪中に埋めたり、樹上に引っ掛けて貯蔵する[4][5]。通常は自身より大型の捕食者を襲うことはないが[7]、飼育下ではホッキョクグマを殺傷した記録がある[8]。
繁殖形態は胎生。4-7月に交尾を行う[5]。12-翌3月に受精卵の着床が遅延するため交尾の翌年に出産するが[6]、実質的な妊娠期間は30-40日[5]。1-4月に1-5頭(主に2-4頭)の幼獣を産む[5]。食物の豊富な場合は1-2年に1回繁殖するが、食物が少ない場合は繁殖しない[4][6]。授乳期間は8-10週間[5]。生後2-3年で性成熟する[5][6]。寿命は約13年で[4]、飼育下では17年4か月の飼育記録がある[5]。
人間との関係
毛皮が利用されることもある[4][6]。毛皮目的の乱獲[6]、害獣としての駆除などにより生息数は減少している[4][5]。
呼称・語源
- 英名のwolverine(ウルヴァリン)の語源は不詳[9]だが、wolver(wolf + erで「狼のようにふるまう人」あるいは「狼狩りをする人」の意)に接尾辞ing(「〜に属する」の意)がついて派生したものとの説がある[10]。gluttonはラテン語gluttio(「のみこむ」の意)より派生し「大食漢」の意味をもつ[4][10]。これらの他に英語では、carcajou、skunk bearの別名がある[10]。ちなみに、Wolverine State(クズリ州)とはミシガン州の俗称[10][11]でもある。なお、アメリカンコミックスのX-メンには、クズリの特徴をもったミュータントのキャラクター、ウルヴァリンが登場する。
- 和名のクズリは元はニヴフ語における呼称とされる[2]。
映像
- テレビ番組
- 2006年10月15日のNHK総合テレビジョンの番組『ダーウィンが来た! 〜生きもの新伝説〜』において、「北欧 クズリ最強伝説」が放送された[12]。
- 2011年と2012年にNHK教育テレビジョンの番組『地球ドラマチック』において、アメリカPBS制作の "Wolverine: Chasing the Phantom"[13]が「極寒に生きる クズリ〜謎の生態に迫る〜」として放送された[14]。
脚注・参考文献
- ^ a b c d Abramov, A., Belant, J. & Wozencraft, C. (2009), Gulo gulo. The IUCN Red List of Threatened Species 2009: e.T9561A13000870, doi:10.2305/IUCN.UK.2009-2.RLTS.T9561A13000870.en
- ^ a b c 『広辞苑』第5版、岩波書店、1998年。
- ^ a b c d 『リーダーズ英和辞典』(第2版、1999年、研究社)および『ジーニアス英和大辞典』(2001年、大修館書店)によれば、英語ではユーラシアクズリをglutton、アメリカクズリをwolverineと呼び分ける。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科1 食肉類』、平凡社、1986年、122-123、134-135頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af 今泉吉典監修 『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』、東京動物園協会、1991年、40-41頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、講談社、2000年、22、142頁。
- ^ “Wolverine Species Profile, Alaska Department of Fish and Game”. 2016年3月10日閲覧。
- ^ Allardyce, Mark (2000). Wolverine – A Look Into the Devils Eyes. pp. 20, 165. ISBN 978-1-905361-00-7
- ^ Online Etymology Dictionary "wolverine"
- ^ a b c d 『リーダーズ英和辞典』(第2版、1999年、研究社)および『ジーニアス英和大辞典』(2001年、大修館書店)
- ^ Michigan#State_symbols_and_nicknames(英語)
- ^ 第26回「北欧 クズリ最強伝説」
- ^ Nature: Season 29, Episode 5(英語)(2010年制作。60分、英語版によれば53分。)
- ^ 本放送2011年12月10日、再放送2011年12月19日、アンコール放送2012年12月8日、アンコール放送の再放送2012年12月17日。44分。