カフェ
カフェ(仏: café、伊: caffè)は、本来コーヒーの意味。転じて、コーヒーなどを飲ませる飲食店を意味する。ヨーロッパの都市に見られるある種の飲食店を意味し、特にパリやウィーンのものが知られる。新聞や雑誌がそこで読め、時の話題について談笑し、情報交換のできる場所として親しまれている。
名称
各国語の表記・発音は以下の通り。
- フランス語: café(フランス語発音: [kafe] カフェ、パリ周辺ではキャフェ)
- イタリア語: caffè(イタリア語発音: [kafˈfɛ] カッフェー)
- 英語: café(英語発音: [kæˈfei] キャフェイ)
パリの典型的なカフェ
街路に面し、歩道にせり出してテーブルや椅子が置かれている。店内にはカウンターやテーブル席もある。一般的に、カウンター席か立って飲むのが最も安く、次に店内テーブル席となり、テラス席が一番高い(1物3価方式)。店のある場所やメニューによって違いがあるが、テラス席はカウンター席のおよそ2-3倍くらいと考えてよい。給仕は原則として男性で、ギャルソンという。
カフェを頼むと、エスプレッソが出てくるため、日本でいう普通のコーヒーを注文する場合は、カフェ・アロンジェ(Café allongé、直訳すると薄めたコーヒー)という必要がある。その他、ビール、ワイン、サンドイッチなどを置いている。
基本的にパリのカフェには有名店以外クーラーがないため、盛夏時は比熱の関係で涼しい店内テーブル席やカウンター席に座る人が多い。冬はもちろん店内席の方が暖かい。有名店には、冬でもテラス席に座りたい人のために、テラス用屋外ヒーターを設置している店もある。トワレは地下にあるのが普通である。
カフェ小史
- イスラム圏
- イスラム圏にはヨーロッパより古くからコーヒーを飲ませる店があった。史上初めてのカフェが登場したのは、コンスタンティノープルだった。
- ロンドン
- ロンドンでは17世紀後半からコーヒー・ハウスが流行した。こちらの方がパリのカフェよりも歴史は古いが、後にはパブに取って代わられた。
- パリ
- 現存するフランス最古のカフェがパリのカフェ・プロコップで1686年の創業。18世紀に入るころには300軒ほどのカフェがあり、フランス革命前には700軒ほどになっていたという。ルソー、ディドロといった思想家のほか革命家や政治家もカフェに集まり、議論を行ったり、密議をこらす場面が見られた。カフェはフランス人の生活に根付いており、ヴェルレーヌやランボー、マラルメ、ピカソなどの文化人、芸術家が出入りしたドゥ・マゴ・パリも有名。
- ウィーン
- 17世紀末に初めてカフェ(Teetrinken、Kaffeehaus, Café)が開業したと言われ、18-19世紀に店舗の数も増えた。かつて文学者や芸術家が通ったという名物カフェが観光名所になっている。
- ヴェネツィア
- サンマルコ広場にあるカッフェ・フローリアン(Caffè Florian)は、Caffè Latteカフェラッテの発祥店でもある。1720年12月29日サン・マルコ広場に創業し、現在も同じ場所で営業している。当初はアッラ・ヴェネツィア・トリオンファンテ (Alla Venezia Trionfante) と名付けられたが、 現在では創業者であるフロリアーノ・フランチェスコーニ (Floriano Francesconi) の名をとって、フローリアンと呼ばれる。
- 向かい側の回廊には、1638年創業のカッフェ・クアードリがある。
イタリアのバール
バール(bar)は、イタリア・スペインなどの南欧にある軽食喫茶店の事を差す。食事にも重点をおいたリストランテ・バールから、コーヒー中心のカフェ・バール、 アイスクリーム中心のジェラテリア・バールなど様々なものがある。
カウンターで立ち飲みするスタイルで、バリスタがエスプレッソやカプチーノなどを作って提供する。朝食をとったり仕事帰りに気軽に立ち寄って一杯飲んでいく。軽食(パニーノ)や夏場ならジェラートなどが用意されている店も多い。公衆電話やトイレを備えるため、休憩所にも利用される。路線バスや路面電車の乗車券や煙草、トト・カルチョなどのくじを売るタバッキや、雑貨店など他の商店を兼ねている店も多い。
語源はバー(bar)に由来するが、バーのように酒類が主ではなく、喫茶や地域の情報交換場所として使用されている。夜は酒類も注文可能なことが多い。古くは男性のみが集まる場所であったが、女性の社会進出に伴い女性単独での利用も当たり前となった。テーブル席を別メニューとして高い料金をとる場合[1]が多く、カウンターに比べてあまり利用されない。
日本のカフェ
日本では、明治時代の終わりにパリのサロンを範とした「カフェー・プランタン」が開店した。本場のカフェでは男性が給仕をするが、プランタンでは女給を置いた。これが評判になり、その後のカフェーといえば、社交喫茶など風俗営業の業態に変質していった。
現在ではほぼ喫茶店等飲食のできる、カフェバー、インターネットカフェ、オープンカフェなどのような業種の総称として使われている。
2000年代よりカフェブームが起こった。以降は日本の都市で単にカフェと言った場合、ソファ、暖色系等のインテリア、白熱灯による薄暗い照明、あるいは近代建築や町家、倉庫などを活用して建物の雰囲気を生かしたインテリアにするなど、店主のこだわりがいくらかでも感じられる店のことを指すようになった。アメリカの「ラウンジ」文化の影響もあったと考えられる。
ギャラリー
脚注
- ^ レストランの閉店時間でもバールは開いていることがあり、テーブル席はそれに代わる役割もある。