エルボー・バット
エルボー・バット(Elbow Bat)とは、プロレス技(打撃技)の一種である。エルボー・パッド(Elbow Pad)、肘打ち、肘鉄砲、エルボーとも称される。
概要
肘を鍵型に曲げた状態で前方に突き出し、その肘関節部分、もしくはその少し前方の腕部分を相手の体(特に頭部・こめかみ)にぶつけて腕を振り抜く(原則としてプロレスでは肘の先端部での攻撃は反則)。 力の入れ加減・タイミング・当て方等により威力も大きく変わる技である。また、派生技も多い。 主に序盤から中盤にかけて繋ぎ技として繰り出されることが多く、使用者も多い。
三沢光晴はエルボー・バットを得意技とし、数種類を使い分けていた。三沢が考案、またはアレンジした派生技もある。
主な使用者は
など。
派生技
エルボー・バット系
ランニング・エルボー
- 助走を付けてのエルボー・バット。三沢がエルボーの中でもっともよくフィニッシュとして使用する。
- 主な使用者:三沢光晴、田中将斗、菊地毅、本間朋晃、入江茂弘、杉浦貴、鈴木鼓太郎、ブラックジャック・マリガン
ローリング・エルボー
- その場で一度旋回し、遠心力を利用して繰り出すエルボー・バット。スピニング・エルボーとも。逆回転し、バックハンド・エルボーを繰り出す形もある(後述)。クリス・ヒーローは相手の背後に回り首を取り、ネックブリーカーのような体制にしてから、その体制のまま相手の頭部にローリング・エルボーを放つことがある。また相手をロープに振って、相手がロープにリバウンドした瞬間を狙ってローリング・エルボーを放つこともある。
フライング・エルボー
- ジャンピング・エルボーとも。海外ではフライング・フォアアーム(Flying Forearm)と呼ばれる。ジャンプして相手に向かって飛んでいきながらエルボー・バットを繰り出す。
- 主な使用者:三沢光晴、棚橋弘至、ティト・サンタナ、ショーン・マイケルズ
ダイビング・エルボー
- コーナー最上段もしくはセカンドロープから立っている相手に向かって飛んでいき、エルボー・バットを繰り出す。また、三沢光晴は数回であるが空中で錐揉み回転を加えながら繰り出すスクリュー・エルボーも披露した事がある。
- 主な使用者:三沢光晴、秋山準
スライディング・エルボー
- 座り込んでいる相手、しゃがんでいる相手に向かって走って行き、直前で倒れこみ、エルボー・バットを繰り出す。
- 主な使用者は田中将斗で、スライディング・Dの名称で使用。三沢光晴は2006年頃よりここ一番で使用し、後に胴田貫(どうたぬき)[1][2]と称した。
- 田中はロープワークを活かしたスピーディーな助走から決めるのに対し、三沢は少し離れた位置から短い助走から倒れ込むように決め、その際に後頭部や側頭部を狙うことが多い。
ワン・ツー・エルボー
- 左右の腕で続けざまにエルボー・バットを連発する技。左右エルボー、ダブル・エルボー、速射砲エルボーとも呼ばれる。
- 主な使用者:三沢光晴、田中将斗、小島聡、鈴木鼓太郎
ショート・エルボー
- 至近距離からエルボー・バットを小刻みに連射する技。マシンガン・エルボーとも。相手の後頭部を片手で掴んで繰り出す場合が多い。
- 主な使用者:三沢光晴、菊地毅、鈴木鼓太郎
マウント・エルボー
- 相手に馬乗りの状態で、相手の頭部を片手で抱えて繰り出すエルボー・バット。
- 主な使用者:三沢光晴、杉浦貴
エルボー・アタック
- 串刺し式のエルボー・バット。コーナーにもたれかかっている相手に対し、助走を付けて、エルボー・バットを繰り出す。ジャンピング(フライング)式やバックハンド式もある。
- 主な使用者:小島聡、三沢光晴、田中将斗、本間朋晃
バックハンド・エルボー・バット系
バックハンド・エルボー・バット
- 鍵型に曲げた腕を後方に突き出して相手の体にぶつける技。主に走ってくる相手へのカウンターや、バックを取られたときの返し技として使用される場合が多い。バック・エルボーとも呼ばれる。
バック・スピン・エルボー
- 後方に旋回(ローリング・エルボーとは逆の方向)し、バックハンド・エルボーを繰り出す。ローリング・バック・エルボー、逆回転エルボー、バック・ローリング・エルボーなどとも呼ばれる。
ハンド・スプリング式バック・エルボー
- ロープに向かって走り、倒立して後方に倒れロープにもたれ、その反動を利用し着地すると同時にジャンピング・バックハンド・エルボーを繰り出す。鈴木鼓太郎はビットの名称で使用。
スペース・ローリング・エルボー
- 武藤敬司の考案した側転してからのバックハンド・エルボー・アタック。
その他
エルボー・スタンプ
- 主に頭部や背面・肩口・鼻っ柱などに、鍵型に曲げた腕を上方から下方へ振り下ろし、突き刺すように相手に打ち付ける技。エルボー・スタッブ、ハンマー・エルボーとも呼ばれる。ちなみにダスティ・ローデスの場合エルボーを打つ前に両腕をクルクル回してから打ち込む。
エルボー・スマッシュ
- 鍵型に曲げた腕の先端部もしくは少し前側の腕の部分を、斜め下方から上方へ向けてかち上げるように振り上げ、相手に叩きつける技。主に頭部(特に顎など)を狙って繰り出されるためアッパー・エルボーとも呼ばれるが、ジャンボ鶴田は腹部に繰り出す形も使用していた。
- ビル・ロビンソン、ワイルド・アンガス、ピート・ロバーツ、レス・ソントン、トニー・セント・クレアー、ウィリアム・リーガルなど、英国・欧州出身の選手が多用したことからヨーロピアン・アッパー・カットとも呼ばれる。ナイジェル・マッギネスやダグ・ウイリアムスもこの名称で使用し、コーナー上から立っている相手に対して飛んでいって繰り出すダイビング式も使用する。また、ドリー・ファンク・ジュニアはロビンソンとの幾度との対戦からこの技を自分のものとし、ドリーの門下生にも使用者が多い。
エルボー・スイシーダ
- トペ・エルボーとも。三沢が考案したトペ・スイシーダの応用技。場外で立っている相手に対して、場内から助走をつけてロープの間を抜けて飛んでいき、相手にエルボー・バットを繰り出す。元付き人の鈴木鼓太郎も使用する。
関連項目
脚注
- ^ プロレスレリング・ノア公式サイト 試合結果 2008年4月23日(水) Zepp Nagoya2015年11月閲覧
- ^ 実在の刀剣の同田貫に由来する架空の刀剣から命名。胴太貫とも表記されたこともある。