インドニシキヘビ

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インドニシキヘビ
インドニシキヘビ
インドニシキヘビ Python molurus
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: 有鱗目 Squamata
亜目 : ヘビ亜目 Serpentes
: ニシキヘビ科 Pythonidae
: ニシキヘビ属 Python
: インドニシキヘビ P. molurus
学名
Python molurus
(Linnaeus, 1758)
和名
インドニシキヘビ
英名
Asiatic rock python
Indian python
Tiger python

インドニシキヘビPython molurus)は、ニシキヘビ科ニシキヘビ属に分類されるヘビ特定動物

分布

  • P. m. bivittatus ビルマニシキヘビ

インドネシアジャワ島スラウェシ島ボルネオ島)、カンボジアタイベトナム中国南部、マレーシア(ボルネオ島)、ミャンマーラオスアメリカフロリダ州(移入)

  • P. m. molurus テンジクニシキヘビ、インドニシキヘビ

インドネパールバングラデシュパキスタン

形態

全長オス250-350cm、メス300-450cmで、最大全長823cmの記録がある。体色は茶褐色で、大きな斑紋が並ぶ。頭部の斑紋はアルファベットの「V」字状になる。

  • P. m. bivittatus ビルマニシキヘビ

最大亜種。胴体には黒で縁取られた褐色の斑紋が入る。頭部の斑紋は明瞭。上唇にある鱗(上唇板)は眼に接しない。

  • P. m. molurus テンジクニシキヘビ、インドニシキヘビ

最大でも600cm程。ビルマニシキヘビに比べ体形は太く、黒で縁取られた暗褐色の斑紋が入る。頭部は赤く染まり、斑紋は不明瞭。上唇板が眼に接する。

亜種

生態

森林や水辺に生息する。熱帯雨林に多く生息し、水辺で多く見られるが乾燥地帯にも生息している。幼体時には樹上棲傾向が強いが、成長に伴いほぼ完全に地上棲となる。

食性は動物食で、大きさに応じたカエル、爬虫類、鳥類哺乳類を食べる。大型の個体ではヒョウの捕食例もある。ただし(ヘビはこの種に限ったことではないが)安静時の代謝は低く、成長すると6m近くになるビルマニシキヘビ成体は食物を一切摂取しなくても丸1年は生きていける[1]

繁殖形態は卵生で、1回に20-40卵、最大で100個以上の卵を産む。雌は卵を抱くようにとぐろを巻き、筋肉を収縮させ体温を上げて卵を暖める。

ビルマニシキヘビは変温動物だがある程度は代謝速度を自分で変化させられ、前述の産卵時以外に消化中は安静時の44倍まで代謝率が上昇し、さらに獲物を飲み込んでから48~72時間ごろには心臓が元の大きさから40%拡大し、血液生産量も5倍に増加する[1]

アメリカのフロリダ州に飼育個体が逃げ出したか捨てられたかした個体が確認されている。[2]

人間との関係

皮は革製品に利用される。基亜種は皮目的の乱獲により生息数が激減した。現在は生息地で保護されている。

飼育下でも5-5.5m程の個体は珍しくないのにもかかわらず、これまで6mを超える個体の正式な記録はなく、最大全長は6-6.5mとされることが多かったがアメリカのイリノイ州の動物園で飼育される個体が全長8.23m、体重182kgで「飼育下で最大の大蛇」として正式にギネスブックに登録された。

亜種ビルマニシキヘビの性質は大人しく、多くの動物園や生物学の研究所で飼育されている。ただし大型になることや人を捕食した例があることから動物愛護法により特定動物に指定され、飼育にあたっては地方自治体の許可が必要になる。

品種

  • 変種個体(ゴールデン)
  • パターンレス(グリーン) - 斑紋が消失している。
  • ラビリンス - 複雑な斑紋を持つ。

画像

脚注

参考文献

  • 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社、1984年、143頁。
  • 『爬虫類・両生類800図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、95頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 両生類はちゅう類』、小学館、2004年、117頁。
  • ロブ・ダン 著、高橋洋 訳『心臓の科学史 古代の『発見』から現代の最新医療まで』青土社、2016年5月、393-396頁。ISBN 978-4-7917-6922-3 
  • 山田和久『爬虫・両生類ビジュアルガイド ヘビ』、誠文堂新光社、2005年、75-76頁。

関連項目

外部リンク