YDIZZY

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YDIZZY
生誕 1994年
出身地 日本の旗 日本 東京都渋谷区神山町
ジャンル ヒップホップ
職業 ラッパー
活動期間 2015年 -

YDIZZY(ディージー[1]、1994年[2] - )は、日本のラッパーである。ヒップホップクルーであるkiLLa(キラ)の中心メンバーであり[1]、退廃的なムードと享楽的な世界観を持ち味とする[3]。過去の名義としてdiZZyがある[4]

来歴

メディア外部リンク
音楽・音声
Stream Mic Check by YDIZZY | Listen online for free on SoundCloud
NO FEAR feat. JOHNNY & YDIZZY - YouTube
映像
diZZy, kZm, Junkman - Ice Cold City (Prod. LISACHRIS & Chaki Zulu) - YouTube
YDIZZY - MURIMURI Ft. Arjuna - YouTube
YDIZZY - Byuuun! Ft. BLAISE - YouTube

生い立ち

1994年渋谷区神山町で生まれる。音楽は「気づいた時から好き」であった。小学1、2年生の頃から自分でCDを借り、気に入った曲をMDに集めて自分だけのアルバムを作り、ウォークマンで聴きながら学校に通っていた。当時はザ・ブルーハーツ横浜銀蝿、ヒップホップではLL・クール・J50セントD12などを好んで聴いていた。日本語ラップは、K DUB SHINEが「地元の先輩」で、身の回りでよくライブしていたこともあり、キングギドラなどを聴いていた[2]。この頃、同じ小学校のひとつ年上だったNo Flowerと出会う[4]。幼稚園児のときは医者、小学生の時はヤクザになるのが夢だった[5]

小学生のころからバスケットボールをはじめ[2]、Arjunaと、その弟であるBLAISE[4]kZm[6]と出会う。中学卒業後は「中目黒にある学校の体育科」に通い、そこで後輩のKEPHAと親交を深める[7]。YDIZZYはストリートボールの大会であるALLDAYにも出場し、バスケットボール選手になることを目指していたものの、メンタルが弱すぎたことと背が伸びなかったこと、捻挫が癖になってしまったことを理由に挫折した[5]

高校卒業後も彼らは代々木公園に集まり、ストリートバスケを行った[4]。プレイヤーとしては「ポイントガード寄りのシューティングガード」だった。kZmが18、9歳のころ、「自分たちが着たい服が世の中にない」という理由から「kiLLa」というブランドを作り、「そのブランドのルックを作る時に、周りのイケてる奴らを出した」ことを契機として、この友人集団はヒップホップクルーのkiLLaとして知られるようになる[6]

キャリア

YDIZZYらの集団にkiLLaという名前がついたころ、クルーは音楽を作りはじめるようになる[4]。最初にラップをはじめたのはkZmで、YDIZZYが成人をむかえる少し前のことだった[7]。彼はクラブで遊ぶことはあっても自分がプレイヤー側になることにはあまり興味を持っておらず[5]、当初はkZmの楽曲制作も冷めた目で見ていた[7]。Arjunaがラップをはじめ、クルーで彼らの音楽が流れはじめる中でYDIZZYも音楽に興味を持ち出し、流れに乗るかたちでラップをはじめることとなる[2][7][8]。当初はバスケのゲームが終わった後にビートを流し、遊びでラップしていたという。はじめて収録した曲は「Mic Check」で、「意気込み的にはそん時ゼロだったすけど、けっこうイケイケで行った」という[2]2015年3月15日にミックステープ『Syndrome』をリリースする[9]

ラップをはじめて3~4か月ほど経った、「Ice Cold City」をリリースしたころ、Chaki Zuluに声を掛けられ、アルバムの制作を持ちかけられる[2]。また、2016年には彼を経由した縁もあり、Anarchyの「NO FEAR」にも参加した[4]。この頃、YDIZZYは「人とも喋れないし、本当に何もできなくなって、家から出れなくなって」しまった時期を経験した。彼は自殺を考え、青木ヶ原樹海まで足を運んだものの、命を絶つことはできず、家に戻った。kiLLaのメンバーは彼のもとを訪れ、励ましてくれたもののYDIZZYはそれに対して「ほんと無理、無理、ほんと無理だから」と言い続けた。1stアルバム『DIZZiNESS』に収録される「MURI MURI」はこの経験をもとにつくられた。こうした時期が3~4か月ほどつづいたものの、Youtubeでラッパーのライブや、Chief Keefのドキュメンタリーなどを視聴して立ち直る[5]

この理由はみんなよくわからないって言うけど、なぜかって言ったら、おれの元々の夢は仲間と笑っていられることで、笑うためにはおれは戻らないといけないし、やっぱ仲間のために裏切れないし、それで戻った。やるって決めて、速攻でランニング始めて、すごい太ってたから。その日にリリック書いて。それまでは全然書けなかったから、その勢いでごまかして書いて、書けたからNO FLOWERに「まだ遅くない?」って聞いたら「全然遅くないよ」って言われて。

—YDIZZY(FNMNL 2017)

2016年の9月か10月ごろにYDIZZYはスランプから脱却し[5]10月28日には2ndミックステープ『Syndrome II』[10]2017年3月29日には『Syndrome III』をリリースする[11]。これらのEPは、「待ってたくれた人たちのため」にフリー音源として公開された[5]

1stアルバムである『DIZZiNESS』は2017年6月7日にリリースされた。レコーディングスタジオにあまり入らなかったことや、スランプがあったことなども関係し、アルバムの完成までには2年ほどかかった[5]。ビートはすべてChaki Zuluが担当し、ラップにも客演は入らなかった[7]。YDIZZYは同アルバムを「今できる俺の全てで、今の俺のベスト」と位置づけ[7]、性別や、普段ヒップホップを聴くかに関わらず、「全員に聴いてもらいたい」と語った[12]10月1日には『Syndrome IV』をリリースする[13]。同盤にはkiLLa外部から、アメリカのラッパーであるBONE$ THE SPITTAと台湾のラッパーであるYZが参加した[14]

その後、2017年末より消息を絶つも、2018年9月16日にアルバム『TROCKSTAR Season1』をリリースする[15][16]。その後、再び1年にわたり沈黙を守ったのち、2020年2月2日に同アルバム収録「Byuuuun!」のMVを公開する[17]。5月2日にはBLAISEとの共作アルバムである『SOBADSO』をリリースする[18][19]。2021年11月26日に『TROCKSTAR Season2』をリリースする[20]

音楽性

FNMNLは、YDIZZYの音楽性を「退廃的なムードと享楽的な世界観をラップと歌で共存させるスタイル」であると表現している[3]

「頭の中で出てきた音に対して言葉を足してく」ようにして楽曲を制作している[2]。1曲をつくるのに30分ほどしかかからないが、細部を調整し、完成させるまでには3~4時間かけるという[12]。最も影響を受けたラッパーとしてエミネムを挙げているほか[21]、影響を受けたアーティストとして今井美樹森山直太朗MAXO CREAM英語版XXXTENTACIONCHIEF KEEF[12]、よく聴くアーティストとして尾崎豊WANDSを挙げている[5]

ディスコグラフィ

アルバム・EP

タイトル 発売日 備考
DiZZiNESS 2017年6月7日 [5]
TROCKSTAR Season1 2018年9月16日 [16]
SOBADSO 2020年5月2日 BLAISEとの共作アルバム[18][19]
TROCKSTAR Season2 2021年11月26日 [20]

ミックステープ

タイトル 発売日 備考
Syndrome 2015年3月15日 [9]
Syndrome II 2016年10月28日 [10]
Syndrome III 2017年3月29日 [11]
Syndrome IV 2017年10月1日 [13]

出典

  1. ^ a b ヒップホップ業界で注目のkiLLaの中心的メンバーYDIZZY(ディージー)を紹介!!”. block.fm (2018年7月22日). 2022年11月23日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g YDIZZY | FLJ TOKYO”. FLJ (2017年5月31日). 2022年11月23日閲覧。
  3. ^ a b ベストサマーチューン 2017 Selected by YDIZZY”. FNMNL (2017年8月8日). 2022年11月24日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 世界を見据えるネオ東京の先鋭、kiLLaが初フル作『GENESIS』に込めた野心を明かす”. Mikiki (2018年1月30日). 2022年11月23日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i 【インタビュー】YDIZZY 『DIZZiNESS』| 仲間と笑うために戻ってきた”. FNMNL (2017年6月24日). 2022年11月23日閲覧。
  6. ^ a b 【インタビュー】YENTOWNの最年少ラッパー・kZmが、1stアルバム『DIMENSION』でHIPHOPをさらなる次元へと誘う”. Qetic (2018年3月28日). 2022年11月23日閲覧。
  7. ^ a b c d e f 【YDIZZYインタビュー】「今できる俺の全てで、今の俺のベスト」(前編)”. ABEMA HIPHOP TIMES (2017年6月17日). 2022年11月23日閲覧。
  8. ^ いかにKiLLaは、「渋谷」や日本語ヒップホップと向き合うか? 更新された新たな「渋谷の姿勢」”. FUZE (2017年10月2日). 2022年11月23日閲覧。
  9. ^ a b Stream YDIZZY | Listen to Syndrome playlist online for free on SoundCloud” (2015年3月25日). 2022年11月23日閲覧。
  10. ^ a b Stream YDIZZY | Listen to SyndromeⅡ playlist online for free on SoundCloud”. 2022年11月23日閲覧。
  11. ^ a b Stream YDIZZY | Listen to SyndromeⅢ playlist online for free on SoundCloud”. 2017年3月29日閲覧。
  12. ^ a b c 【YDIZZYインタビュー】「今できる俺の全てで、今の俺のベスト」(後編)”. ABEMA HIPHOP TIMES (2017年6月30日). 2022年11月23日閲覧。
  13. ^ a b SyndromeⅣ”. 2022年11月23日閲覧。
  14. ^ kiLLaのYDIZZYによる最新ミックステープ『SyndromeⅣ』がリリース”. FNMNL. 2022年11月24日閲覧。
  15. ^ JJJにYDIZZY、Shurkn PapにBlack Boboiまで!FridayNightに贈るパーティーシリーズ「Emotions」最終ラインナップ”. EYESCREAM (2018年9月13日). 2022年11月24日閲覧。
  16. ^ a b TROCKSTAR Season 1”. 2022年11月23日閲覧。
  17. ^ 〈kiLLa〉のYDIZZY、およそ1年の沈黙破り新曲「JIMINY」リリース & 「WTF」MV公開”. Spincoaster (2020年2月22日). 2022年11月24日閲覧。
  18. ^ a b YDIZZY & BLAISE、「SOBADSO」を配信開始|THE MAGAZINE”. 2022年11月23日閲覧。
  19. ^ a b SOBADSO”. 2022年11月23日閲覧。
  20. ^ a b TROCKSTAR Season2”. 2022年11月23日閲覧。
  21. ^ 24 Hours in Tokyo With YDIZZY”. COMPLEX (2017年9月28日). 2022年11月23日閲覧。