YDIZZY

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YDIZZY
生誕 1994年
出身地 日本の旗 日本 東京都渋谷区神山町
ジャンル ヒップホップ
職業 ラッパー
活動期間 2015年 -
YDIZZY
YouTube
チャンネル
活動期間 2015年 -
ジャンル 音楽
登録者数 約1.58万人
総再生回数 約440万回
チャンネル登録者数・総再生回数は
2023年2月23日時点。
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YDIZZY(ディージー[1]、1994年[2] - )は、日本のラッパーである。ヒップホップクルーであるkiLLa(キラ)の中心メンバーであり[1]、退廃的なムードと享楽的な世界観を持ち味とする[3]。過去の名義としてdiZZyがある[4]

来歴[編集]

メディア外部リンク
音楽・音声
Stream Mic Check by YDIZZY | Listen online for free on SoundCloud
NO FEAR feat. JOHNNY & YDIZZY - YouTube
映像
diZZy, kZm, Junkman - Ice Cold City (Prod. LISACHRIS & Chaki Zulu) - YouTube
YDIZZY - MURIMURI Ft. Arjuna - YouTube
YDIZZY - Byuuun! Ft. BLAISE - YouTube

生い立ち[編集]

1994年渋谷区神山町で生まれる。音楽は「気づいた時から好き」であった。小学1、2年生の頃から自分でCDを借り、気に入った曲をMDに集めて自分だけのアルバムを作り、ウォークマンで聴きながら学校に通っていた。当時はザ・ブルーハーツ横浜銀蝿、ヒップホップではLL・クール・J50セントD12などを好んで聴いていた。日本語ラップは、K DUB SHINEが「地元の先輩」で、身の回りでよくライブしていたこともあり、キングギドラなどを聴いていた[2]。この頃、同じ小学校のひとつ年上だったNo Flowerと出会う[4]。幼稚園児のときは医者、小学生の時はヤクザになるのが夢だった[5]

小学生のころからバスケットボールをはじめ[2]、Arjunaと、その弟であるBLAISE[4]kZm[6]と出会う。中学卒業後は「中目黒にある学校の体育科」に通い、そこで後輩のKEPHAと親交を深める[7]。YDIZZYはストリートボールの大会であるALLDAYにも出場し、バスケットボール選手になることを目指していたものの、メンタルが弱すぎたことと背が伸びなかったこと、捻挫が癖になってしまったことを理由に挫折した[5]

高校卒業後も彼らは代々木公園に集まり、ストリートバスケを行った[4]。プレイヤーとしては「ポイントガード寄りのシューティングガード」だった。kZmが18、9歳のころ、「自分たちが着たい服が世の中にない」という理由から「kiLLa」というブランドを作り、「そのブランドのルックを作る時に、周りのイケてる奴らを出した」ことを契機として、この友人集団はヒップホップクルーのkiLLaとして知られるようになる[6]

キャリア[編集]

YDIZZYらの集団にkiLLaという名前がついたころ、クルーは音楽を作りはじめるようになる[4]。最初にラップをはじめたのはkZmで、YDIZZYが成人をむかえる少し前のことだった[7]。彼はクラブで遊ぶことはあっても自分がプレイヤー側になることにはあまり興味を持っておらず[5]、当初はkZmの楽曲制作も冷めた目で見ていた[7]。Arjunaがラップをはじめ、クルーで彼らの音楽が流れはじめる中でYDIZZYも音楽に興味を持ち出し、流れに乗るかたちでラップをはじめることとなる[2][7][8]。当初はバスケのゲームが終わった後にビートを流し、遊びでラップしていたという。はじめて収録した曲は「Mic Check」で、「意気込み的にはそん時ゼロだったすけど、けっこうイケイケで行った」という[2]2015年3月15日にミックステープ『Syndrome』をリリースする[9]

ラップをはじめて3~4か月ほど経った、「Ice Cold City」をリリースしたころ、Chaki Zuluに声を掛けられ、アルバムの制作を持ちかけられる[2]。また、2016年には彼を経由した縁もあり、Anarchyの「NO FEAR」にも参加した[4]。この頃、YDIZZYは「人とも喋れないし、本当に何もできなくなって、家から出れなくなって」しまった時期を経験した。彼は自殺を考え、青木ヶ原樹海まで足を運んだものの、命を絶つことはできず、家に戻った。kiLLaのメンバーは彼のもとを訪れ、励ましてくれたもののYDIZZYはそれに対して「ほんと無理、無理、ほんと無理だから」と言い続けた。1stアルバム『DIZZiNESS』に収録される「MURI MURI」はこの経験をもとにつくられた。こうした時期が3~4か月ほどつづいたものの、Youtubeでラッパーのライブや、Chief Keefのドキュメンタリーなどを視聴して立ち直る[5]

この理由はみんなよくわからないって言うけど、なぜかって言ったら、おれの元々の夢は仲間と笑っていられることで、笑うためにはおれは戻らないといけないし、やっぱ仲間のために裏切れないし、それで戻った。やるって決めて、速攻でランニング始めて、すごい太ってたから。その日にリリック書いて。それまでは全然書けなかったから、その勢いでごまかして書いて、書けたからNO FLOWERに「まだ遅くない?」って聞いたら「全然遅くないよ」って言われて。

—YDIZZY(FNMNL 2017)

2016年の9月か10月ごろにYDIZZYはスランプから脱却し[5]10月28日には2ndミックステープ『Syndrome II』[10]2017年3月29日には『Syndrome III』をリリースする[11]。これらのEPは、「待ってたくれた人たちのため」にフリー音源として公開された[5]

1stアルバムである『DIZZiNESS』は2017年6月7日にリリースされた。レコーディングスタジオにあまり入らなかったことや、スランプがあったことなども関係し、アルバムの完成までには2年ほどかかった[5]。ビートはすべてChaki Zuluが担当し、ラップにも客演は入らなかった[7]。YDIZZYは同アルバムを「今できる俺の全てで、今の俺のベスト」と位置づけ[7]、性別や、普段ヒップホップを聴くかに関わらず、「全員に聴いてもらいたい」と語った[12]10月1日には『Syndrome IV』をリリースする[13]。同盤にはkiLLa外部から、アメリカのラッパーであるBONE$ THE SPITTAと台湾のラッパーであるYZが参加した[14]

その後、2017年末より消息を絶つも、2018年9月16日にアルバム『TROCKSTAR Season1』をリリースする[15][16]。その後、再び1年にわたり沈黙を守ったのち、2020年2月2日に同アルバム収録「Byuuuun!」のMVを公開する[17]。5月2日にはBLAISEとの共作アルバムである『SOBADSO』をリリースする[18][19]。2021年11月26日に『TROCKSTAR Season2』をリリースする[20]2023年6月23日に2年ぶりのアルバムとなる『Syndrome V』をリリースする[21]

音楽性[編集]

FNMNLは、YDIZZYの音楽性を「退廃的なムードと享楽的な世界観をラップと歌で共存させるスタイル」であると表現している[3]

「頭の中で出てきた音に対して言葉を足してく」ようにして楽曲を制作している[2]。1曲をつくるのに30分ほどしかかからないが、細部を調整し、完成させるまでには3~4時間かけるという[12]。最も影響を受けたラッパーとしてエミネムを挙げているほか[22]、影響を受けたアーティストとして今井美樹森山直太朗MAXO CREAM英語版XXXTENTACIONCHIEF KEEF[12]、よく聴くアーティストとして尾崎豊WANDSを挙げている[5]

ディスコグラフィ[編集]

アルバム・EP[編集]

タイトル 発売日 収録曲 備考
DiZZiNESS 2017年6月7日 [5]
TROCKSTAR Season1 2018年9月16日 [16]
SOBADSO 2020年5月2日 BLAISEとの共作アルバム[18][19]
TROCKSTAR Season2 2021年11月26日 [20]

ミックステープ[編集]

タイトル 発売日 収録曲 備考
Syndrome 2015年3月15日 [9]
Syndrome II 2016年10月28日 [10]
Syndrome III 2017年3月29日 [11]
Syndrome IV 2017年10月1日 [13]
Syndrome V 2023年6月23日 [23]

配信限定シングル[編集]

発売日 タイトル
2017年6月2日 GAAAA (feat. BLAISE)
2018年7月9日 Abloom
2018年7月16日 One Time
2018年7月23日 簡単じゃない
2018年8月6日 D. W. a... (feat. SALU)
2020年2月22日 JIMINY
2020年2月23日 WTF
2020年3月30日 EL thought
2020年3月31日 Melody
2022年2月28日 IDWD (First Day Out) / YDIZZY & BLAISE
2022年12月30日 SIMF
2023年1月27日 Hero
2023年2月3日 邪眼 (feat. NO FLOWER)
2023年2月10日 Different (feat. BSTA) / YDIZZY, BLAISE & S TILL I DIE

出典[編集]

  1. ^ a b ヒップホップ業界で注目のkiLLaの中心的メンバーYDIZZY(ディージー)を紹介!!”. block.fm (2018年7月22日). 2022年11月23日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g YDIZZY | FLJ TOKYO”. FLJ (2017年5月31日). 2022年11月23日閲覧。
  3. ^ a b ベストサマーチューン 2017 Selected by YDIZZY”. FNMNL (2017年8月8日). 2022年11月24日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 世界を見据えるネオ東京の先鋭、kiLLaが初フル作『GENESIS』に込めた野心を明かす”. Mikiki (2018年1月30日). 2022年11月23日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i 【インタビュー】YDIZZY 『DIZZiNESS』| 仲間と笑うために戻ってきた”. FNMNL (2017年6月24日). 2022年11月23日閲覧。
  6. ^ a b 【インタビュー】YENTOWNの最年少ラッパー・kZmが、1stアルバム『DIMENSION』でHIPHOPをさらなる次元へと誘う”. Qetic (2018年3月28日). 2022年11月23日閲覧。
  7. ^ a b c d e f 【YDIZZYインタビュー】「今できる俺の全てで、今の俺のベスト」(前編)”. ABEMA HIPHOP TIMES (2017年6月17日). 2022年11月23日閲覧。
  8. ^ いかにKiLLaは、「渋谷」や日本語ヒップホップと向き合うか? 更新された新たな「渋谷の姿勢」”. FUZE (2017年10月2日). 2022年11月23日閲覧。
  9. ^ a b Stream YDIZZY | Listen to Syndrome playlist online for free on SoundCloud” (2015年3月25日). 2022年11月23日閲覧。
  10. ^ a b Stream YDIZZY | Listen to SyndromeⅡ playlist online for free on SoundCloud”. 2022年11月23日閲覧。
  11. ^ a b Stream YDIZZY | Listen to SyndromeⅢ playlist online for free on SoundCloud”. 2017年3月29日閲覧。
  12. ^ a b c 【YDIZZYインタビュー】「今できる俺の全てで、今の俺のベスト」(後編)”. ABEMA HIPHOP TIMES (2017年6月30日). 2022年11月23日閲覧。
  13. ^ a b SyndromeⅣ”. 2022年11月23日閲覧。
  14. ^ kiLLaのYDIZZYによる最新ミックステープ『SyndromeⅣ』がリリース”. FNMNL. 2022年11月24日閲覧。
  15. ^ JJJにYDIZZY、Shurkn PapにBlack Boboiまで!FridayNightに贈るパーティーシリーズ「Emotions」最終ラインナップ”. EYESCREAM (2018年9月13日). 2022年11月24日閲覧。
  16. ^ a b TROCKSTAR Season 1”. 2022年11月23日閲覧。
  17. ^ 〈kiLLa〉のYDIZZY、およそ1年の沈黙破り新曲「JIMINY」リリース & 「WTF」MV公開”. Spincoaster (2020年2月22日). 2022年11月24日閲覧。
  18. ^ a b YDIZZY & BLAISE、「SOBADSO」を配信開始|THE MAGAZINE”. 2022年11月23日閲覧。
  19. ^ a b SOBADSO”. 2022年11月23日閲覧。
  20. ^ a b TROCKSTAR Season2”. 2022年11月23日閲覧。
  21. ^ YDIZZY 2年ぶりのアルバムにKEPHA、BLAISE、Jin Doggが参加|THE MAGAZINE”. THE MAGAZINE. 2024年4月10日閲覧。
  22. ^ 24 Hours in Tokyo With YDIZZY”. COMPLEX (2017年9月28日). 2022年11月23日閲覧。
  23. ^ SyndromeV / YDIZZY on OTOTOY Music Storehttps://ototoy.jp/_/default/p/17011282024年3月5日閲覧