TI-99/4A

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TI-99/4A

TI-99/4Aテキサス・インスツルメンツ1981年1月にリリースした初期のホームコンピュータである。

リリース当初の価格は525USドルであった。TI-99/4A1979年に1,150ドルでリリースされたTI-99/4の拡張版。TI-99/4は電卓型のキーボードだったが、TI-99/4Aはグラフィックモードとフルキーボードが追加されている。

目次

[編集] 歴史

当初、TI-99/4Aは成功し、一時はホームコンピュータ市場の35%のシェアを獲得した。しかし、コモドールとの価格競争が始まり、対抗するために価格を下げることを余儀なくされた。1982年8月、TIは100ドルのキャッシュバックキャンペーンを展開し、ビル・コスビーは「コンピュータを売るのは簡単さ。買う人に100ドルずつ配ればいい」と揶揄した。

1983年2月、TIは価格を150ドルに下げ、赤字覚悟でマシンを売り続けた。そして1983年6月、TIは新たに設計した廉価版をやはり赤字覚悟で99ドルで販売した。TIは1983年第二四半期に1億ドルの損失を計上し、第三四半期に3.3億ドルの損失を計上した。1983年の秋、TIはホームコンピュータ市場から撤退することを発表した。

1984年3月、出荷停止となるまでにTI-99/4Aは280万台出荷された。

TI-99/4AはコモドールVIC-20に比べてメモリも多くグラフィックも進んでいたし、ある意味ではコモドール64に比較しても遜色なかった。しかし、その設計には批判が多かった。例えば、(高価で重い周辺拡張ボックスを買わない限り)全ての周辺装置は本体の右側に数珠つなぎに接続されるため、テープ装置やプリンタなどいろいろな周辺機器を揃えると机の上に置けなくなってしまった。また、48キーのキーボード配列も一般的なものではなかった。

しかし、99/4Aの最も大きな問題点はソフトウェアライブラリの制限だった。TIはソフトウェアの製品化に制限を加えたため、ソフトウェアは300タイトルに止まり、少数のヒットタイトルは当時他のマシンでも動作していた。比較すると、VIC-20のソフトウェア開発はオープンであったため700タイトル以上のソフトウェアがリリースされている。

結果として、TI-99/4AはVIC-20に比べて製造コストが高いにも関わらず、同じ値段で競争することを余儀なくされたのである。

TI-99/4Aは市場から無くなった後も熱狂的信者に支えられてきた。2004年にも周辺拡張ボックス向けにUSBカードとIDEハードディスクATAコントローラがリリースされている。

なお、1982年に日本の玩具メーカートミーが発売したぴゅう太は多くの点でTI-99/4Aと共通点があると言われている。

[編集] 特長

周辺機器を数珠繋ぎに接続した様子
  • CPU: TI TMS9900 3.3MHz。TIの16ビットマイクロプロセッサだが、アクセスできるRAMはわずか256バイト
  • メモリ: 16KバイトビデオRAM(拡張不可能)、256バイト CPU RAM (32Kバイト+256バイトまで拡張可能)
  • キーボード: フルキーボード。TI-99/4では電卓型キーボードだった。
  • ビデオ制御: TI TMS9918A VDP
    • テキスト表示: 32×24、40×24も可能(Basicから直接は不可)
    • グラフィック表示: 256×192
    • 16色 (うち1色は透明)
    • 32個の単色スプライト
  • サウンド: TI TMS9919
    • 3和音+1ノイズ(ホワイトノイズまたは周期的ノイズ)
    • ビデオとサウンドは外付けのRFモジュレータでひとつにして一般のテレビに接続することができた。
  • 周辺装置
    • 周辺拡張ボックス: 8拡張スロット+5.25インチフロッピーディスクドライブ(FDD)
    • サイドカー型拡張装置:本体横に各種装置を数珠繋ぎに接続していく方式で、音声合成装置などがある。
    • 本体にカートリッジ挿入機構を装備
    • 1980年代、TIは音声合成技術の第一人者であり、TI-99/4Aにも音声合成モジュールを接続することができた。
    • 2台のカセットテープ装置を外部記憶装置として接続可能
    • デジタル式ジョイスティックを2本接続可能(TIでは"wired remote controllers"と呼んでいた)
  • 内蔵ソフトウェア: TI BASIC。ANSI規格のBASIC言語であり、より一般的なMicrosoft BASICとは多くの点で異なる。
    • 後期のモデルではタイトル画面に"2.2"と表示され、アタリ社のようなサードパーティのROMカートリッジが使えないようになっている。

このマシンには性能を低下させるいくつかの設計上の問題があった。まず、CPUが直接アクセスできるRAMが256バイトしかないため、他のメモリ(16Kバイト)はVDP(後述)に接続された。次に、システムのROMと256バイトのRAM以外の全てのメモリと周辺機器は16ビット->8ビットのマルチプレクサを介してCPUに接続する必要があり、あらゆるアクセスに2サイクルかかってさらに追加のウェイト状態が必要になった。また、このマシンでは多くのハードウェアに1ビットのシリアルI/Oバス(Communications Register Unit 9901)を介してアクセスした。

[編集] VDP RAM と GPL

マシンはシステムRAMとして256バイトしかアクセスできないため、TIの技術者はTI-99/4Aのグラフィックプロセッサ TMS9918A に別途記憶領域としてVDP(ビジュアル・ディスプレイ・プロセッサ)RAMを持たせた。

VDP RAMは一時的にユーザが作成したBASICプログラムを格納するのにも用いられた。BASICはTI-99シリーズではインタプリタ言語Graphics Programming Language(GPL)を使って実装されている。GPLインタプリタはROM内にあり、電源が入るとまずGPLインタプリタに制御が渡る。GPLはTI社の9900シリーズ(ミニコンピュータ)によく似たコードであり、TI-99/4Aのアーキテクチャに合わせていろいろなタイプのメモリに統合的にアクセスする機能やメモリコピーやディスプレイのフォーマットなどの機能を持っていた。

16Kバイトのビデオチップ用メモリに加えて、CPUにもメモリを持たせるのは高価すぎると考えられた末のアーキテクチャである(VDPは4Kバイトモードと16Kバイトモードがあったが、4Kバイトモードでは不十分と考えられたため、16Kバイトモードが使用された)。CPUに直接接続されていないため、全てのビデオメモリはVDPを通して1バイトずつアクセスされた。

[編集] グラフィックROM

Graphics Read-Only Memory(グラフィックROM)も同様に1バイトずつアクセスされるメモリで、自動的にアドレスをひとつずつずらして読むデバイスとみなされた。CPUが直接扱えるまとまったRAMがないため、マシン語で書かれたプログラムは32Kバイトの拡張カードや4Kバイトのミニメモリモジュールを追加しないかぎり動作させることができなかった(訳注:つまり、VDP RAM上のプログラムはBASICだけであり、それを実行するのはROM上のGPLインタプリタ。GPLインタプリタの機能としてVDP RAMを読み書きできたということ)。このため、TI-99シリーズは極めて癖のあるマシンという噂がたち、一部に熱狂的なファンを生んだ。TI BASICしか使ったことのない人でもその性能が低いことは感じられていたが、アセンブリ言語は高速で動作した。