ぴゅう太

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ぴゅう太

ぴゅう太(ぴゅうた)とは、1982年8月20日に株式会社トミー[1](現タカラトミー)より59,800円で発売された16ビットゲームパソコン。初代機は日本語記述のBASIC(G-BASIC)を搭載しており、型番はTP1000だった。ぴゅう太という名称は子供用のこん「ぴゅーた」というところから名付けられている。

概要[編集]

プログラミング言語に日本語記述のG-BASIC(Gはグラフィックの略)、グラフィックソフトにG-GRAPHICを標準搭載し、自作のゲームを作る事ができる。パソコンとしては低価格、低機能で、「基本はゲーム機で、キーボードが付いていてパソコンとしても使用できる」というスタンスのマシン。RAMエリアはビデオRAM兼用で16KBと少ないが、グラフィック関連のコマンドでは内蔵キャラクターや背景を流用する事で、コンピュータゲーム作成にはアドバンテージがある。当時、プラスチック製のキーボードは高価だったため、ゴム製のキートップを使用している。

広告では「パソコンなんて、過激なオモチャじゃ!」というキャッチフレーズが使われた。イメージキャラクタは、学生帽をかぶった恐竜ティラノサウルス玩具メーカーであるトミーは玩具店への販売チャンネルを持つ事から、デパートなどの玩具売場店頭で実機展示されていた。

他の玩具メーカーからほぼ同時期に、同価格帯のゲームパソコンとして、バンダイからはRX-78が、タカラからはゲームパソコンM5が発売されていたが、RX-78はシャープOEM、M5はソードのOMEだったのに対して、ぴゅう太はトミーの自社開発であった[2]

日本国外では "TUTOR" という名前で発売された。ハードウェアの仕様はテキサス・インスツルメンツ社のTI-99/4Aと酷似しており、内蔵BASICにおいて予約語に対応する1バイトトークンや、スクラッチパッドメモリの位置までもほとんど同じであることから、TI-99/4Aのクローン機とみなされることもある。

スプライト機能(ぴゅう太では「アニメ」という名称だった)を備えていた事で、当時の本格的なパソコンのBASIC言語では作りづらかったアクションゲームを、有利なスピードで動作するものが製作できた。ただしこれは、同マシンのCPUが16ビットだったからというよりも、周辺の処理機能が充実していたためといわれる[要出典]

トミーは初年度の売り上げ目標を約9万台、50億円と掲げ[3]、「お絵描きパソコン」として小中学生を対象に売り込み、1982年8月の販売開始から4ヶ月で4万台を出荷した[4]。しかしその後は1983年7月に高性能で15,000円と安価なゲーム専用機のファミリーコンピュータ任天堂から発売され、トミーも同月にぴゅう太互換のゲーム専用機ぴゅう太Jr.を19,800円を投入するものの売れ行きは急激に落ち込んだ。1985年2月には生産を中止して撤退した[5]。1984年5月時点で、国内向けと輸出用の合計で12万台が出荷された[4][6]

後継機[編集]

  • ぴゅう太Jr. (TP2001、価格 19,800円)
キーボード、G-BASICを省きゲームに特化。ただしテレビ画面に絵(CG)が描けるという機能を持つ。出力端子はRF出力になっている。
  • ぴゅう太mk2 (TP1007、価格 29,800円)
英語記述のG-BASIC、プラスチック製のキーボードを搭載。やはりこちらの出力端子もRF出力である。

仕様[編集]

  • CPU: TMS9995
  • VDP: TMS9918
    • 解像度 256 × 192ドット
    • 表示能力: 16色、横8ドット中2色まで
    • スプライト 8 × 8 もしくは 16 × 16ドット、32枚、横方向の同時表示可能数は4枚、単色
    • ハードウェアスクロール機能なし
  • メモリ: ROM 内蔵20Kバイト RAM 内蔵16Kバイト
  • キーボード: JIS規格準拠 56キー
  • サウンド: 擬音4種類/3和音
  • 重量: 1.7kg
  • メディア: カートリッジ
  • データレコーダコンパクトカセット) - インターフェースは標準搭載。デッキはオプション。
  • ゲームアタプタ

特徴・評価[編集]

数万円台という価格は当時の児童向け玩具としては高価で、玩具店で販売する事には難があった。加えて玩具メーカーの製品という事や、見た目が玩具然としている事も、同機種の性能面での評価を妨げていた部分は否めない[独自研究?]

ゲーム機として見た場合、付属のコントローラーが操作しにくいという声が多かった。これは方向指定を行う部分が平たいディスクパッド状になっている縦長コントローラで、後にレバー式コントローラの発売予定もアナウンスされた[7]

1983年7月にはパソコン機能を省いた「ぴゅう太Jr.」の登場で価格が改善され、(パソコンではなく)家庭用テレビゲーム専用機の市場に参戦した。しかしこの時期ファミリーコンピュータ(ファミコン)をはじめとする数多くのカートリッジ式家庭用ゲーム専用機の新機種ラッシュと重なっており、本機もそのうちの1つとして次世代機競争に似た様相に巻き込まれる形で苦戦を強いられた。当時の月刊コロコロコミック[7]では同年3 - 7月に登場した6機種が特集されているが、その中で「ぴゅう太Jr.」はテレビ画面にユーザーが絵を描ける機能が特徴とされており、画面性能が高く評価されていた。また当時ファミコンが6本・SG-1000が8本しかタイトルが無かった1983年秋の時点で既にぴゅう太Jr.対応ゲームタイトルは19本も揃っており、業務用と同じタイトルも存在するなど、ソフト面の充実も評価されていた。しかしコントローラの操作性の悪さなどで同誌による総合評価は伸び悩み、6機種中5位に終わっている。

鈴木みその『あんたっちゃぶる』においてメガドライブ発売後、スーパーファミコン発売直前に執筆された既存のゲーム機戦争を取り扱った回では、「16ビットのため考えは素晴らしかったが時間が掛かり過ぎた」ため、「売れ残ること山の如し」という取り上げられ方をした[8]

G-BASIC[編集]

特徴[編集]

G-BASICはコマンドが日本語(カケ、マワレ、など)である点が特徴だが、構文自体は自然言語解析などをしていたわけではなく、「PRINT」を「カケ」のようにカタカナ語に置き換えただけのものである。一般的なBASICとの互換性は低く、普及することはなかった。

性能面でも、命令数が少ない、マルチステートメントが使えない等、当時の標準的なBASICよりも貧弱で扱いにくい部分があり、フリーエリア(使えるメモリ)も少なかった。

マイコンBASICマガジンなどのプログラム投稿誌では、ユーザーの手によって、同機種用プログラムソースが掲載された。この際、リストが日本語であることに加えて、ぴゅう太特有の、G-GRAPHICと連携するためにプログラム入力時 G-GRAPHICでどのような絵を描けばよいかの指示が併載され、誌面上では異彩を放っていた。G-GRAPHICとG-BASICが連携する部分は、後年のファミリーベーシックの構造に類似している。

主なステートメントとコマンド[編集]

  • GOTO ニイケ - 指定した行への移動
  • GSUB ヲヨベ - 指定した行をサブルーチンとして実行
  • FOR〜TO〜STEP〜NEXT マワレ〜カラ〜カンカク〜トジル - ループ実行
  • PRNT カケ - 画面に表示
  • GRUN ジッコウ - プログラム実行
  • STOP トマレ - 止める
  • END オワリ - 終了
  • TONE NO1|NO2|NO3|NO4 オト イチオン|ニオン|サンオン|シオン - 効果音発声
  • IF~THEN モシ~ナラバ - 判断
  • LET シキ - 変数に値を代入

他のBASICに見られないコマンドとして以下のものがある。使用する画像、アニメーションは別途作成しておく必要がある。

  • _セル - 画面に表示されている背景の表示、入れ換えを行う
  • _アニメ_n - 指定したアニメーション画像の表示、入れ換えを行う
  • _キイ_n_ - 付属するジョイコントローラーの操作(コントローラーの倒された方向、ボタンが押されているか否か)を取得する

主なソフト[編集]

ROM[編集]

  • ボンブマン - 爆弾魔の投擲する爆弾を消火する
  • モンスターイン - ロードランナータイプのゲーム(敵を掘った穴にすべて埋めるとステージクリア)
  • ザウルスランド - もぐらたたきゲームの亜流、プレイヤーは原始人になってマンモスや恐竜を叩きまくる
  • ターピン - 子亀をゴールまで導くゲーム
  • フロッガー
  • スクランブル
  • ナイトフライト - 陣取りゲーム
  • マリンアドベンチャー - 深海魚を撃って海底都市にたどり着くシューティングゲーム
  • ミッションアタック - バイクに乗って擬似3Dシューティング
  • トラフィックジャム - 道路を塗りつぶすいわばドットイートアクション
  • ミステリーゴールド - ディグダグタイプのゲーム
  • ドンパン - 横スクロールアクションゲーム、燃料は風船を取ることで回復する
  • ミッキーマウスのアスレチックランド - 横スクロールアクションゲーム
  • プーヤン
  • ジャングラー
  • ガッタンゴットン
  • メイズパトロール - 迷路ゲーム
  • トロン - トロン (映画)のゲーム化
  • Mr. Do!
  • バミューダトライアングル - 潜水艦シューティング
  • 四人麻雀
  • トリプルコマンド - ステージ毎に戦艦、戦車、戦闘機と自機が変化するシューティングゲーム。
  • スーパーバイク - 横スクロールアクションゲーム
  • レスキューコプター - 救難ヘリでいろいろな救助活動を擬似3Dシミュレート
  • ベースボール - 要アダプター
  • バトルファイター - 低空、中空、高空概念のある縦スクロールシューティング

ザウルスランド、ナイトフライト、モンスターイン、ドンパン、Mr.Do!はMSXパソコンに移植され、1984年にカセットテープでリリースされた。

デモカートリッジ[編集]

  • DEMONSTRATION カラーグラフィック demo2
  • DEMONSTRATION G-BASIC demo3
  • DEMONSTRATION カートリッジ

未発売[編集]

  • カジコジ
  • ジャック・イン・ザ・ボックス

TAPE[編集]

  • 黒ヒゲ危機一髪
  • スロットマシン
  • 富士山と新幹線
  • ムーンランディング
  • ネズミのチーズとりゲーム
  • 一發逆転魚雷戦/UFOアタック
  • 算数教室/数の学校

脚注[編集]

  1. ^ 「キディコンピュータに新たな波,トミーの16bitキディコン”ぴゅう太”」、『ASCII』62号、アスキー出版、1982年8月、P63。
  2. ^ 宮永好道『誰も書けなかったパソコンの裏事情』並木書房、1998年、pp.100-101
  3. ^ 杉本研一『任天堂のファミコン戦略 1千万家庭の情報ネットワーク』ぱる出版、1986年、p.49
  4. ^ a b 赤木哲平『セガvs.任天堂 マルチメディア・ウォーズのゆくえ』日本能率協会マネジメントセンター、1992年、p.98
  5. ^ 児島郁夫『風雲ゲーム業界戦国時代』オーエス出版社、1994年、p.72
  6. ^ 日経産業新聞』1984年5月30日付、14頁。
  7. ^ a b 月刊コロコロコミック1983年10月号、pp.154 - 157
  8. ^ 鈴木みそ時代劇スペシャル 天と地とリス」『あんたっちゃぶる』1、アスキー出版局、1993年3月、48頁。ISBN 4-7561-0677-3

競合機[編集]