輸送艇1号型

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輸送艇1号型
基本情報
艦種 輸送艇
運用者  海上自衛隊
建造期間 1987年 - 1992年
就役期間 1988年 -
建造数 2隻
前級 ゆら型
次級 最新
要目
基準排水量 420トン
満載排水量 540トン
全長 52.0 m (170.6 ft)
最大幅 8.7 m (29 ft)
深さ 3.9 m (13 ft)
吃水 1.6 m (5.2 ft)
主機 三菱S6U-MTKディーゼルエンジン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 3,000馬力[1]
速力 12ノット (14 mph; 22 km/h)以上
航続距離 1,706海里 (10ノット巡航時)[2]
乗員 個艦要員:28名+地上部隊:70名
兵装 JM61-M 20mm機関砲×1門
レーダー OPS-19B 航海用
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輸送艇1号型(ゆそうていいちごうがた、英語: JMSDF LCU-2001 class utility landing crafts)は海上自衛隊輸送艇の艇級。1987年から1992年にかけて2隻が建造された。

概要[編集]

沿岸僻地地帯や離島に対する人員・物資を輸送するためのLCU型輸送艇である。海上自衛隊では、小型の輸送艦としてゆら型を有していたが、本型はそれを基に簡易化・小型化を行っている。

本型は最大で、人員200名、物資25トンを搭載できるとされている[2]。ビーチングのために、艦底は平底となっており、離礁用が艦尾にある(主錨は艇首左舷にある)。艦の前部が開放式の積載スペースとなっており、ここに車両・物資を搭載する。また、他に兵員70名を搭載できる。

アメリカ陸軍ラニーミード級汎用揚陸艇と全長はほぼ同じであるが、排水量は半分程度である。ラニーミード級では戦車3両を搭載できるのに対し、本型は、ゆら型同様戦車の搭載に対応していない。人員の長距離輸送能力を重視したことによるとされる。

物資の揚陸方法は、海岸に擱座し、艦首のバウランプを下ろして行う。ゆら型では、バウドアとランプの二段階になっていたが、本型では一枚のバウランプのみになっており、艦首形状も平らになっている。

艦の後部には艦橋があり、その下の構造物内に居住区等と機関部がある。武装として、人力操砲のJM61-M 20mm機関砲を艦橋頂部に1基備えている。

2021年から順次、ロービジ(「ロービジビリティ」Low-visibilityの略[注 1])塗装へ塗装変更が進んでいる。その内容としては、煙突頂部の汚れを目立たなくするための黒帯の廃止、艦番号及び艦名の灰色化かつ無影化、対空表示(航空機に対し艦番号下2桁を表示するための塗装)の消去[3]

2022年4月7日輸送艇1号が除籍[4]

同型艇[編集]

艇番号 艇名 造船所 起工 進水 竣工 除籍 所属
LCU-2001 輸送艇1号 佐世保重工業 1987年
(昭和62年)
5月11日
1987年
(昭和62年)
10月9日
1988年
(昭和63年)
3月17日
2022年
(令和4年)
4月7日[4]
最終所属
佐世保地方隊
佐世保警備隊
佐世保基地
LCU-2002 輸送艇2号 1991年
(平成3年)
5月15日
1991年
(平成3年)
10月7日
1992年
(平成4年)
3月11日
横須賀地方隊
横須賀警備隊
横須賀基地

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ 海上自衛隊のホームページによる
  2. ^ a b 長崎県防災会議 (2012年6月). “長崎県地域防災計画 基本計画編 自衛隊派遣要請計画” (PDF). 2013年11月20日閲覧。[リンク切れ]
  3. ^ イカロス出版 2021.
  4. ^ a b 海上自衛隊佐世保地方総監部 [@jmsdf_srh] (2022年4月7日). "【自衛艦旗返納行事】". X(旧Twitter)より2022年4月7日閲覧

注釈[編集]

  1. ^ 自衛隊公式SNS等で「ロービジュアル」との記載があるが、これを訳せば「低い視覚」「低画質」などとなり文法的におかしく、正しい軍事用語としては「ロービジビリティ」(訳:低視認性)が存在し、各種文献にも「ロービジュアル」の記載がないことから、誤植と判断する。

参考文献[編集]

  • イカロス出版(編)「「いずも」第一次改修の全て」『JShips』第100巻、イカロス出版、2021年10月、14-17頁、ASIN B09CRM4GNV