白玉

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白玉団子(長崎県島原市の寒ざらし)

白玉(しらたま)とは、白玉粉と呼ばれる米の粉で作った団子である。

概要[編集]

白玉粉に重量の80 - 90%の水を加えてこねて、一口大の大きさに成形し、沸騰水で茹でて冷水に取り、汁粉に入れたり、あんみつみつまめかき氷に添えたりするほか、白玉汁として副菜になる場合もある。

比較的安価な餅粉は、白玉粉と同じく餅米を原材料とするが製法が異なり、代用すると白玉特有の滑らかな舌触りが得られない。米の代わりにジャガイモをゆでてつぶし、片栗粉と練り混ぜて小さなじゃがいも団子を作ることもできる[1]

のどごしや粒の大きさを指標に、生活科学部の学生は「備蓄食品アレンジレシピ」として2020年1月に白玉粉を使ったデザートのレシピを配布した。備蓄できる大豆製品である高野豆腐を粉末状にして活用、黒蜜をからめ、きな粉をまぶしたデザートである[2]

歴史[編集]

一説には鎌倉時代に、中国南宋の修行に訪れた日本の修行僧、日本への渡来僧が「湯円」をもたらしたといわれる。一般に広まったのは、江戸時代元禄のころで、砂糖や甘味の餡が入手しやすくなったので大衆化されたという[3]江戸後期から明治に流通した、白玉粉の商品パッケージを集めた貼り混ぜ帳を見ると、寒ざらし(寒製)をうたう商品が当時からあったとわかる[4]

白玉を食べる時期[編集]

白玉を食べる時期は特に定まっていないが、月見旧暦8月15日夜)に供されることが多い。また、一般化されていないが、全国穀類工業協同組合は、白玉を2つ並べると8の字になることから「8月8日は白玉の日」と定めている[5]

食品の物理的特性[編集]

振動を与えて食品の粘り(粘性)ともちもち感(弾性)を計測する資料として、白玉を用いた手法が考えられた[6]

脚注[編集]

  1. ^ 庄島 1868, pp. 22–23
  2. ^ 学生考案オリジナルレシピカード展開プロジェクト 2020, 「高野豆腐パウダーを使った黒蜜きな粉の白玉団子」
  3. ^ 白玉粉の歴史
  4. ^ 大久保 & 1800-1869, pp. コマ番号0007/jp2-0011/jp2
  5. ^ 今日は何の日?8月8日。今日は白玉の日(日本食糧新聞)
  6. ^ 杉山 1990, pp. 18-38 (コマ番号0028.jp2-)

参考文献[編集]

主な執筆者や編者の50音順。

  • 大久保葩雪 編「汁粉・白玉粉・笹の雪」『商牌雜集』(和綴) 11巻、国立国会図書館(電子化)、江戸後期-明治、(コマ番号0007/jp-0011/jp2)2頁。doi:10.11501/2591826国立国会図書館書誌ID:00010589721 インターネット公開(保護期間満了)貴重書・準貴重書等のため、原資料の閲覧には事前の申請が必要。
  • きょもり(著)、大阪市立大学生活科学部(編)「生活科学部「食品栄養科学科」&大学院「食・健康科学講座」学生考案オリジナルレシピカード展開プロジェクト」、大阪市立大学、2020年7月15日、OCLC 11918655412022年9月2日閲覧 2020年1月配布分。公立大学法人大阪 法人企画部 広報課発行。
  • 「白玉」『江戸物価事典』 6巻、小野武雄(編著)、展望社〈江戸風俗図誌〉、1979年、344頁。国立国会図書館書誌ID:000001413662 国立国会図書館内限定公開。当時の食品の値段を調べた。岩おこし幾世餅(いくよもち)、汁粉、揚げ昆布心太(ところてん)、水飩(すいとん)、ゆで卵、田楽、冷水売(ひやみずうり)。
  • 庄島元三郎『甘藷里芋馬鈴薯料理 : 日用経済』1868年(明治45年)、22-23頁。doi:10.11501/849031国立国会図書館書誌ID:000000486574 全国書誌番号:40069148ジャガイモから白玉を作る。別題『常食軽便料理法』
    • 「馬鈴薯白玉拵へ方(こしらえかた)」p.22 (コマ番号0017.jp2) 水で煮たジャガイモをつぶして片栗粉と5対1で練り混ぜ、平らに伸ばして蒸しあげる。そこに片栗粉を20-30(@3.75g×20-30)加えて練り、小さな団子に丸める。鍋の熱湯に放し、すくい上げて冷水にとる。
    • 「馬鈴薯白玉汁粉拵へ方」p.23 (コマ番号0017.jp2) 上記の割合で作った団子を使う。小豆の汁粉の代わりに、ゆでてつぶしたジャガイモを溶いて用いる。
  • 杉山 純一「食品の物理計測に関する研究」、豊橋技術科学大学、1990年、CRID 1110282785113105536doi:10.11501/3084413 インターネット公開。乙第13号、工学博士。

関連項目[編集]

白玉あんみつ(新潟県三条市、2018年)

外部リンク[編集]