後背位

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後背位
古代ギリシャの壷に表現された後背位
ポール·アヴリル による後背位のイラスト
ヨハン・ネポムク・ガイガー英語版(1840)による後背位の水彩画

後背位(こうはいい)は、性交体位の一種。日本語での通称は、バック(バックスタイル)。

各言語や書物での呼称[編集]

  • 中国語―(「虎歩」)(「白虎騰」)
  • カーマ・スートラ』 - 「牛の結合(牡牛性交、牡牛交合)」[1]

(「虎の跳躍」)

  • 古代ギリシャの喜劇『女の平和』には「チーズ削りの上の雌ライオン式に立ち」というせりふがあり、おそらくこの体位である。
  • ラテン語 - coitus more ferarum(「動物のやり方」)―哺乳類は大抵、後背位
  • 英語 - doggy style(「犬のやり方」)、on all fours(「四つ足で」)、from behind(「背後から」)
  • フランス語 - levrette(「グレートハウンドの雌犬」)
  • イタリア語 - pecorina(「小さい羊」)
  • オランダ語 - hondjeshouding
  • 日本では、古事記のイザナギとイザナミが行った、「鶺鴒のやり方」が最初の後背位である。

江戸時代には「鵯越え」と呼んだこともある。これは『平家物語』にある一ノ谷の戦いにおける、背後の山越しに後方から攻撃をかけるのに見立てたものである。同様に、大砲で攻撃するのを見立てたのが「押し車」である。他に、「将棋攻め」や「碁盤攻め」が派生

概要[編集]

女性または受け役が四つん這いになって肘をついたところに、男性または立ち役が膝をついて背後から性器を挿入する体位。

性行為に慣れたカップルには有名であるが、男女で見方が大きく変わる体位でもある。女性によっては動物のようで恥ずかしくて嫌だという感情を持つ者もいる(逆に、獣になったようで興奮するという者もいる)。後背位が動物的と言われる理由は、女性が四つんばいの姿勢を取ること、それは、匂える園にも書かれたように、ほ乳類の大部分の性交体位と似ているからである。ただし、一般には女性が膝をつくので、厳密には異なっている(これの状態を表した中国の甲骨文字から「色」をいう字が生まれた)。人類が類人猿と進化の道が分かれたころから行われている体位と思われる。また、女性の側からは、性器だけを相手に見せる形でもある。

ペニスに挿入する前に、男性の勃起した陰茎亀頭を女性のクリトリスに擦り付けて摩擦し、女性の性欲を高められる。後背位中の男性は女性の尻を掴むより腰を掴んだ方がよいとされる他、正常位よりもペニスが深く挿入されるために女性側の性感にも差異があるとされるが、医学的な検討は行われていない。

男性が女性との結合部や肛門を眺めながら深い挿入を行える体位でもあるが、女性の顔や乳房を眺めるには適していない。ただし、男性は腕が自由になるので女性の身体を掴みながら腰を使いやすい。いわば、挿入のためだけの体位、と言う面がある(「入る」ならば、自ずと「のぼる」)。ある太平洋の島の人々は、西洋人の宣教師夫婦(この夫婦は、催して正常位=仏語で「宣教師の体位」で行った)が来るまで、この体位しか知らなかった。

女性の乳房や肛門を初め身体の各部への愛撫を行えるという利点もある。ただし、そのためには上体を伏せねばならず、挿入とは両立が難しくなる。

以上の他、肛門性交の体位としても知られている。

身体への負担[編集]

膣口が背中側に近い下付き女性にとっては楽な姿勢だが、膣口が腹側に近い上付き女性は、背中をエビのように反り曲げて腰の部分を浮かせるようにしないと挿入がしづらく、そのような姿勢を長時間続けるのは身体への負担が大きい。肉付きが良い女性だと臀部の肉が障害となり、性交そのものが困難になることもある。また、身長の差があると、この体位は難しい。結合部の高さがちょうどよい位置に来ない場合に中途半端なガニ股などの無理な体勢を取ると、男女のいずれか両方とも腰を痛める可能性がある。

一般的には、女性の腹や胸の辺りになどの支持物を挿み置いたり、女性が上半身を机や椅子の上に預けると良いであろう。

脚注[編集]

  1. ^ ヴァーツヤーヤナ 「第6章 (14) 特殊な性交」『完訳 カーマ・スートラ(東洋文庫628)』 岩本裕訳、平凡社1998年1月9日、p. 131。ISBN 978-4-582-80628-1

参考文献[編集]

関連項目[編集]