ロイヤル・サブリン級戦艦

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ロイヤル・サブリン級戦艦
HMS Resolution 1892 dressed.jpg
1897年に描かれた
「レゾリューション(HMS Resolution)」
艦級概観
艦種 戦艦
艦名
前級 トラファルガー級
次級 マジェスティック級
バーフラー級(二等戦艦)
性能諸元
排水量 常備:14,150トン
満載:15,580トン
全長 125.12m
全幅 22.86m
吃水 8.38m
機関 形式不明円缶8基+
垂直型三段膨張式レシプロ機関2基2軸推進
最大出力 11,000馬力
最大速力 17.5ノット
航続距離 10ノット/4,720海里
燃料 石炭:1,100トン
乗員 712名
兵装 アームストロング 34.3cm(30口径)連装砲2基
アームストロング 15.2cm(40口径)単装速射砲10基
アームストロング 5.7cm(40口径)単装速射砲16基

オチキス 4.7cm(43口径)単装機砲12基
45cm単装魚雷発射管7門
装甲(ニッケル鋼製) 舷側:356~457mm(水線最厚部)
甲板:76mm(水平部)、102mm(舷側傾斜部)
主砲バーベット:432mm(最厚部)
副砲防御:0mm(1904年:127mm)
司令塔:356mm(側盾)

ロイヤル・サブリン級戦艦 (Royal Sovereign class battleship) は、イギリス海軍が建造した戦艦の艦級。近代戦艦の始祖と呼ばれ、前弩級戦艦の基本設計を確立した。日本の富士型戦艦の原型であることでも知られる。

概要[編集]

本級は1889年海軍計画により一挙7隻の建造予算が認められた。設計段階で前級である砲塔装甲艦トラファルガー級をタイプシップに採り、運用実績による教訓をもとに時の造船局長ウィリアム・ホワイトの手により改設計された。前級は防御能力の向上に設計の重きをおいて主砲の全集で防御する砲塔形式を採用していたが、当時の技術力では小型化が難しく重量増加を招き、船体形状を凌波性に欠ける低乾舷に設計せざるを得ず、このため大西洋の凌波性で大きく劣る事となってしまった。

そこで、本級において思い切って砲塔の防御を取り払って軽量化して、前後部の乾舷を従来の艦より甲板1層分上げ、艦首部の甲板は水面上5.5mとなって凌波性を向上させる事が出来た。これにより前弩級戦艦の特徴の一つである「高い乾舷」を実現した。設計段階では戦闘時には鉄のカタマリである鉄弾を撃ち出して敵艦を破壊する戦術であったが、速射砲による榴弾を上部構造物に撃ちこむ戦術が始まると本級の主砲形式は砲身・砲員に重大な損害を受ける確率が大きかった。また、平時の運用において、外洋航行時はここから波が浸入して浸水を招いた。

本級の船体構造は強固に設計・建造されており解体されるときまで船体構造は保っていたが、乾舷が高くなったことにより船体重量が増えてしまい、「ラミリーズ」の進水式において途中で船体が停止してしまい1時間26分をかけて進水を完了した。また、重心が上がったために竣工時の本艦はローリングが激しく、1894年から外洋航行時の横揺れ防止の為にビルジキールが装備してようやく収まった。

その他の本級の特徴としては対水雷艇兵器として速射砲を採用し、その搭載数を10門と増加した事。1889年に発注が行われ、1892年からその翌々年にかけてロイヤル・サブリン、エンプレス・オブ・インディア、ロイヤル・オーク、ラミリーズ、レパルス、レゾリューション、リヴェンジの7隻及び準同型艦フッドの合計8隻が就役した。弩級戦艦の竣工などにより陳腐化したため、1911年から1915年にかけてスクラップや標的艦となるなどして退役した。

フッドの改設計[編集]

本級でも8番艦のフッドのみは密閉式砲塔を備えているが、これはロイアル・サブリン級の防御能力において時の軍令部長フッド大将の強い要求により改設計したのが「フッド」である。外観上の相違点は再び主砲を全周において防御する円柱型の砲塔構造に改めた。船体前後部の乾舷は前級同様の低いものであり、そのためフッドは本級の最終艦でありながら近代以前の戦艦に分類されることがある。(左の画像参照)

密閉型旋回砲塔を採用し、かつ乾舷を高くする設計は、次代のマジェスティック級戦艦で実現している。

艦形[編集]

本級の武装・装甲配置を示した図。

本型の船体形状は乾舷の高い平甲板型船体で衝角の付く艦首から艦首甲板上に34.3cm連装砲を乗せたバーベットが1基、その背後から上部構造物が始まりに司令塔に乗せた操舵艦橋の両脇には船橋(ブリッジ)が付く。艦橋の背後にはミリタリーマストが立つ。ミリタリーマストとはマストの上部あるいは中段に軽防御の見張り台を配置し、そこに37mm~47mmクラスの機関砲(速射砲)を配置した物である。これは、当時は水雷艇による奇襲攻撃を迎撃するために遠くまで見張らせる高所に対水雷撃退用の速射砲あるいは機関砲を置いたのが始まりである。形状の違いはあれどこの時代の列強各国の大型艦に多く用いられた様式であった。

本艦のミリタリーマストは頂部と中段に見張り台が設けられた。前部ミリタリー・マストの背後には2本煙突が立つが、配置は左右に1本ずつ立てる並列配置で本級で最後となった。煙突の周囲は煙管型の通風筒が立ち並ぶ艦載艇置き場となっており、ミリタリー・マストを基部とするクレーン2基と2本1組のボート・ダビッドとが片舷2組ずつ計4基で運用された。艦載艇置き場の後部には基部にクレーンの付く後部ミリタリー・マストが立ち、後部甲板上に2番主砲1基が配置された。副砲の15.2cm速射砲は舷側甲板上に防盾の付いた単装砲架で片舷3基ずつと舷側の中央部にケースメイト(砲郭)配置で片舷2基ずつの計10基を配置した。

武装[編集]

主砲[編集]

本級の主砲の34.3cm連装砲。本級は重量軽減のために砲塔形式ではなく防御力が劣っていた。

本型の主砲は前級に引き続き「アームストロング 1885年型 34.3cm(30口径)後装式砲」を採用した。その性能は600kgの砲弾を、最大仰角13.5度で10,930 mまで届かせられた。この砲を新設計の連装砲架に据え付けた。砲身は砲架に直接固定され、砲身と砲架を丸ごと水圧駆動のアクチュエータで上下させる形式であった。砲身の俯仰能力は仰角13.5度・俯角3度で、装填時は目一杯仰角をかけて砲尾を装填機に近づけてからラマー(押し棒)で砲身内に砲弾や装薬を装填した。砲架の旋回角度は単体首尾線方向を0度として左右135度の旋回角度を持ち、砲身の俯仰・砲塔の旋回・砲弾の揚弾・装填は主に蒸気ポンプによる水圧で行われ、補助に人力を必要とした。発射速度は2分間に1発であった。この砲を新設計の連装式の露砲塔に収めた。

露砲塔というのは、現在の砲塔形式とは違い、火砲の装填機構や旋回・俯仰角機構を収めた基部のみを装甲で覆う型式を指す型式である。この時代の艦砲は現在と異なり、ライフル銃のように直接標準で撃ち合うような代物であったために砲の上面に砲弾が当たるとは考えられておらず、砲員を守るため基部のみを防御する考えであった。そのため、基部から上は吹き晒しか、断片防御ができる程度の装甲でできたお椀状のカバーをつけるかで、ロイヤル・サブリン級は前者の形式を採っていた。

砲塔のバーベットは上方から見て洋ナシ形状の奥に向けて尖った楕円筒となっているのは、奥部に砲弾の装填機構や弾薬庫から砲弾を輸送する揚弾筒が砲塔と別個に備わっているためである。既にフランス海軍の主力艦では現代と同様に内部に揚弾筒などの機構を内蔵する物が実用化されているのだが、この頃のイギリス海軍の砲塔旋回機構は構造が複雑であったために別個に設けられたためである。

その他の備砲・水雷兵装[編集]

副砲には「アームストロング 1892年型 15.2cm(40口径)速射砲」を採用した。その性能は45.4kgの砲弾を、仰角20度で9,140mまで届かせられた。この砲を単装砲架で舷側に片舷5基ずつ計10基配置した。俯仰能力と旋回角度は装備形式により異なり、甲板上は仰角20度・俯角5度で旋回角度は300度、舷側ケースメイト配置は仰角15度・俯角3度で旋回角度は180度で異なっていた。砲身の俯仰・砲塔の旋回・砲弾の揚弾・装填は主に人力を必要とした。発射速度は毎分5~7発の設計であった。

他に近接戦闘用にフランス製の「オチキス 4.7cm(43口径)単装機砲」を採用した。その性能は1.5kgの砲弾を仰角12度で5,944mまで届かせられる優秀砲でイギリスでライセンス生産され、この時代の主流対水雷艇砲として第一次世界大戦末期まで用いられた。この砲を単装砲架で12基を装備した。俯仰能力は仰角25度・俯角5度である。砲身の俯仰・砲塔の旋回・砲弾の揚弾・装填は主に人力を必要とした。発射速度は毎分20発であった。他に対艦攻撃用に45.7cm魚雷発射管を単装7基を装備した。

艦名[編集]

  • ロイヤル・サブリン Royal Sovereign:「王の統治」といった意味を持つ伝統的艦名。トラファルガーの海戦の副将コリンウッドの乗艦の名でもある。
  • エンプレス・オブ・インディア Empress of India:「インド女帝」。当時のヴィクトリア女王のこと。
  • ロイヤル・オーク Royal Oak:清教徒革命のとき、後のチャールズ2世が隠れて追手から逃れたオークの木
  • ラミリーズ Ramillies
  • レパルス Repulse
  • レゾリューション Resolution
  • リヴェンジ Revenge
  • フッド 本型の準同型Hood(準同型):18世紀の提督サミュエル・フッド。子爵。

参考図書[編集]

  • 「世界の艦船増刊第30集 イギリス戦艦史」(海人社)
  • 「Conway's All The World's Fighting Ships 1860-1905」(Conway)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]