ボラード

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岸壁に設置された繋留用のボラード(係船柱)

ボラード英語: bollard)は、岸壁に設置してを繋留したり、道路広場などに設置して自動車の進入を阻止したりする目的で設置される、地面から突き出した杭である。本来の意味は、岸壁に設置して船を繋留する目的の方であったが[1]、今では道路交通を制御したり指示したりするための様々な構造物をも指す。この単語は木の幹を意味するboleという単語と関連している可能性がある。

繋留用のボラード[編集]

繋留用ボラード、イギリス、ライム・リージス (Lyme Regis)

繋留用のボラードは係柱、係船(繋船)柱ともいう。2本並んだ双係柱のみをボラードと呼び、単一のものはビットと呼んで区別することもある。また船側でロープを掛ける突起物をボラードと呼ぶこともある。

英語のボラードという言葉は、ノルマン・フランス語のBoulardという単語から来ており、この言葉は今でもノルマンディー地方でしばしば見られる。この単語は岸壁に設置して船を繋留する短い木、鉄、石の柱を意味する。完全な円筒形のボラードは珍しく、典型的には上部の直径がキノコのように大きくなっていたり、上部が90度曲がって水平に伸びていたりして、繋留用ロープがほどけないようになっている。単一のボラードはしばしばクロスロッドを備えていて、8の字結びができるようになっている。

先に別の船が係留している場合は、そのロープのスプライス(輪)の中に自船のスプライスを通してから、係留することになる。こうすれば、どちらでも先に出航できる。

道路のボラード[編集]

歩道と車道を区分するボラード、アメリカ合衆国メリーランド州

道路のボラードは、ある一定の範囲に車両の進入を規制したり、車両の進行方向を誘導したりする目的で用いられる。進入を規制する目的では車止めと呼ばれることもある。 材質は石、木、鉄、ステンレス、プラスチックなど様々なものがある。単なる棒状に限らず、円錐状になっていたり四角柱になっていたり、その他上部に様々な意匠が取り付けられていることもある。路面に埋め込まれたり固定されたりして移動不可能なものと、取り外しが容易に可能なものがある。取り外し可能なボラードは、緊急車両や業務車両の出入りに用いられる。取り除く場合は、地下の空洞にそのまま下ろして格納する方式のものと、取り外した穴に蓋をするものがある。

ボラードを一列に並べる時には、規制対象の車両がその間を通過できないくらい間隔を狭くする一方で、自転車や歩行者が通行可能な程度の幅を取る。またボラードの間に鎖やテープ、ロープなどを渡して歩行者の通行を規制し誘導できるものもある。

歩行者の空間と自動車の通行路を区分するためによく用いられる。歩行者天国を設定するためにも用いられる。

交通誘導用のボラード
プラスチック製のボラード

交通を誘導する目的のボラードには、道路標識のような表示が付いていたり、内部に照明が備えられて夜間に光るようになっていたりする。こうしたボラードは車道中央の安全地帯などで見られる。また対向車線との間に設置して、通行を区分したりUターンや対向車線を横断して脇道へ入ることを規制したりする。こうした目的ではプラスチック製のボラードが多く使われている。

ボラードは多くの場合固定的に同じ場所で用いることが前提となっており、道路工事の現場など一時的に使用する目的では自由に持ち運びができるロードコーンがよく用いられている。

ライジングボラード[編集]

最新のボラードとして「ライジングボラード」がある。これは動力により自動的に昇降し、必要に応じて自動車の通行を許可したり遮断したりする。重要施設などの警備に用いて、自動車を利用したテロリストや不審人物が接近するのを防ぐ一方で、関係者の車両を自由に通行させるといった目的で用いられる。また車両の種類や時間帯に応じて通行規制を行う場合に、自動的に動作するようになっているライジングボラードが用いられることがある。

ライジングボラードが下がっている時に、正規の通行許可を持っていない自動車が強行突破しようとすると、ライジングボラードがせり上がってきて通行を阻止しようとする。この場合、しばしば自動車を下から突き上げるようにして止めることになる。

登山におけるボラード[編集]

登山の用語では、ボラードは安定したアンカーポイントを作るための大きな雪や氷の塊のことを意味する。ボラードの大きさは雪質に応じて変化する。柔らかくて緩い新雪の場合は大きなものが良い。ボラードはとても強固なものであるが、作るためにとても時間が掛かるため、ピケットやアイススクリューなどのように用いられることは一般的ではない。

ジーロングの装飾つきボラード[編集]

オーストラリアビクトリア州ジーロングでは屋外公共彫刻の一種として、風景を飾る装飾つきボラードが置かれている。通常これは木材でできており、伝統的な円筒形の木製繋留用ボラードの形からわずかに形を変えただけであるが、明るく人間の形に似せて塗装されている。歴史上の人物であったり現代の人物であったり、特定の人物であったり一般の人であったり、こうした人々のボラードは、1人で、あるいは集団で水辺や人々が集まる場所に置かれている。装飾付きボラードはジーロングのよく知られた特徴となっており、オーストラリアの主要な港としての歴史を反映している[2]

その他の意味[編集]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]