ハカ (ダンス)

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ハカを舞うマオリ族の男性たちを描いた肖像画

ハカHaka)は、ニュージーランドマオリ族民族舞踊

概要[編集]

1904年、ルアトキ(ベイ・オブ・プレンティ地方)を訪問したランフリー総督訪問団を歓迎しハカを舞うマオリ族の男女(1904年3月撮影)

本来はマオリ族の戦士が戦いの前に、手を叩き足を踏み鳴らし自らの力を誇示し、相手を威嚇するダンスである。

現在では国賓や海外からの訪問者を歓迎する舞として披露されるほか、ラグビーニュージーランド代表(オールブラックス)が国際試合前に舞う民族舞踏として有名である。英語で「ウォークライWar Cry、闘いの雄叫び)」、日本語で「ときの声」と呼ばれる。

ニュージーランド・マオリ(ネイティブ・ニュージーランド人によるラグビーの代表チーム)が行ったことが起源で、ラグビーニュージーランド代表へと受け継がれた。パシフィック・アイランドのチームにもそれぞれのウォークライが存在し、トンガサモアフィジーの各代表チーム、3カ国選抜チーム、パシフィックアイランダースも独自のウォークライを持ち、トンガは「シピタウ」、サモアは「シヴァタウ」、フィジーは「シンビ」と呼ばれる。

ハカはニュージーランドでは一般的な民族舞踊であり、現在では相手に対し敬意や感謝の意を表する舞として披露されることから、結婚式、葬儀、卒業式、開会式、歓迎式典など、あらゆる場面で目にする機会が多い。死者の御霊を供養し哀悼の意を表す形として葬儀でハカを舞うこともある。ハカ=攻撃的=挑発的と解釈されることはなく、ハカ=平和的=友好的と解釈される。

ニュージーランドの小学校ではマオリ教育の一環としてハカの講習会が開かれるため男女共にハカを舞うことができる(通常闘いに参加しない女子がハカを舞うことはないが、マオリ教育の一環(民族舞踊の指導)として女子生徒にもハカを教授する)。

伝説[編集]

マオリの伝説によると太陽神タマ=ヌイ=ト=ラには2人の妻、夏の女神のヒネ=ラウマティと冬の女神のヒネ=タクルアがいた。ヒネ=ラウマティの産んだ息子、タネ=ロレが踊りを作り出したとされている。

オールブラックスとハカ[編集]

フランス戦のハカ(2006年)

伝承によるとラグビーニュージーランド代表(オールブラックス)のハカ、カマテ1810年にンガティトア部族のテ・ラウパラハ族長が踊ったものである。テ・ラウパラハは敵に追われて、地下の食料庫に逃げ込み隠れていた。這い出してみると目の前に人がおり、殺されると観念したが、幸運なことにテ・ラウパラハと親しい部族の長であった。救出された喜びと感謝の気持ちを込めて踊ったものがカマテである。

1905年のイギリス遠征の際にオールブラックスが戦いの踊りの要素を取り入れたものを初めて踊り、以後代表チームに受け継がれることとなる。試合前にハカを舞う意味は、ニュージーランドチームはこの対戦を喜んで受け入れ、対戦を望んでくれたチームに対し敬意を表する意が込められている。

ハカを先導するリードは伝統的にマオリ族の血を引く選手が行っていたが、元オールブラックスのタナ・ウマガサモア系移民の子孫であり、偉大なオールブラックスキャプテンとして迎えられたため特例としてリードを行なっていた。ウマガの後、その慣例は守られない時期もあったが、現在では、マオリの血を引くピリ・ウィプーが、控えであってもリードを行うなど維持されている(2011年10月現在)。

2003 ラグビーワールドカップでの対トンガ戦では、ニュージーランド代表のハカの最中に、興奮したトンガ代表が対抗してシピタウを行い、「ハカ・バトル」として話題となった。戦前の取り決めではお互いを尊重して、ニュージーランドのハカが終わってからトンガがシピタウを行うとしていたが、試合前の異様な盛り上がりと相手チームのハカにトンガ代表が刺激され、結果、ハカ合戦に発展した[1]

2005年8月28日、トライネイションズの対南アフリカ戦において、新しいハカ、カパ・オ・パンゴ(Kapa o Pango)が突如披露された。このハカは、終幕に首を切るようなジェスチャーが含まれ問題視されたが、ニュージーランド側から、「相手の首を切る挑発的な意味ではなく、自らの首をかけて戦う意気込みを示すもの」との趣旨の説明があるなど議論が重ねられ、現在では、首を切るジェスチャーが維持されている。

オールブラックスのハカは非常に洗練されたパフォーマンスとして知られているが、一昔前まではまったく練習していない選手がいたり、練習していても切れのないものであった。現在では試合前日にハカの練習を行っているため洗練されたパフォーマンスを維持している。

カマテの歌詞:
リード
カ マテ! カ マテ!
コーラス
カ オラ、カ オラ!
リード
カ マテ! カ マテ!
コーラス
カ オラ、カ オラ!
テネイ テ タナタ プッフル=フル ナア ネ イ ティキ
マイ ファカ=フィティ テ ラ!
ア ウパネ! ア フパネ!
ア ウパネ! カ=ウパネ!
フィティ テ ラ!
ヒ!
カマテの意味:
私は死ぬ! 私は死ぬ!
私は生きる! 私は生きる!
(以上を2回繰り返し)
見よ、この勇気ある者を。
ここにいる毛深い男が再び太陽を輝かせる!
一歩はしごを上へ! さらに一歩上へ!
一歩はしごを上へ! そして最後の一歩!
そして外へ一歩!
太陽の光の中へ!

ニュージーランド代表とハカ[編集]

1994年ラグビーニュージーランド女子代表もマオリ族から別のハカを教わり国際大会で踊っている。

ソフトボールニュージーランド代表シドニーオリンピックの地区予選で試合前に行った。

野球ニュージーランド代表(ダイヤモンドブラックス)は国際大会デビュー戦となる2013 ワールド・ベースボール・クラシック予選初戦の台湾戦の試合前にハカを踊った。

その他、ホッケーニュージーランド代表(ブラック・スティックス)、アイスホッケーニュージーランド代表(アイス・ブラックス)、バスケットボールニュージーランド代表(トール・ブラックス)も試合前にハカを舞うことがある。

その他[編集]

日本では1991年中外製薬の栄養ドリンク「グロンサンDX」のテレビCMで、田中実(後に高田純次バージョンも追加)らがスーツ姿でハカを踊っていた。語句は日本語風にした「頑張って、頑張って、仕事(遊び)!」。

大日本除虫菊「虫よけキンチョール」のテレビCMは、玄関先で掃き掃除をしている坂東三津五郎に、蚊の被り物を着用したマオリ族風の男性数人がハカを踊りながら襲いかかり、三津五郎を持ち上げてどこかへ連れ去るという内容だった。

2010年日本コカ・コーラが制作した「コカ・コーラ ゼロ」用テレビCMで、安室奈美恵のダンスチームとハカダンスチームがダンスバトルを行うテレビコマーシャルを放送。このハカについてマオリ族から「伝統的なハカを正しく伝えていない」と批判的な意見が寄せられた。また、黒いシャツを着た男性ダンスグループの服装がオールブラックスのユニフォームと類似していることから「商標権の侵害に当たる可能性がある」と、オールブラックスのユニフォームを管理するニュージーランドラグビー協会(NZRU)からも批判的な意見が寄せられた[2][3][4][5]

脚注[編集]

  1. ^ The Haka - New Zealand Vs Tonga - YouTube(投稿日: 2006年10月30日)
  2. ^ ニュージーランド・ヘラルド紙(電子版(英語)),2010年2月14日
  3. ^ 共同通信,2010年2月15日
  4. ^ stuff.co.nz(電子版(英語),2010年2月22日
  5. ^ ディリー・テレグラフ,2010年2月22日(電子版(英語))

外部リンク[編集]