カブトエビ

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カブトエビ
Triopsidae ja01.jpg
カブトエビ(実物は2-4cm)
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 甲殻亜門 Crustacea
: 鰓脚綱 Branchiopoda
亜綱 : 葉脚亜綱 Phyllopoda
: 背甲目 Notostraca
: カブトエビ科 Triopsidae
英名
tadpole shrimp

カブトエビ(兜蝦、兜海老、Triopsidae)は、鰓脚綱葉脚亜綱背甲目カブトエビ科に属する甲殻類の総称。淡水性の原始的な小型甲殻類。名前にエビとついているがエビ類ではない。

特徴[編集]

表裏

日本国内ではヨーロッパ、アジア、アメリカカブトエビの3種が生息している。アジアカブトエビは在来種と考えられる[1]が、残りの2種はいずれも移入種で、1916年香川県でアメリカカブトエビが発見され[2]、その後各地で発見されている。関東中部地方以西に広く分布している。

日本では6-7月、水田などに大量発生する。水田への注水後10時間程度で孵化が始まり6日程度継続して孵化する[3]、孵化から10日程度で産卵を行い 1-2ヶ月の短い一生を終えるが、成長速度と生存期間は水温で大きく変化する。水温が21℃の場合、アジアカブトエビは8日目、アメリカカブトエビは10日目、ヨーロッパカブトエビは16日目から産卵をする[4]。水田の水抜きで水が枯れる頃には泥中に卵が残っている。他の地域では頻繁に干上がるような浅い水たまりや池に生息することが多く、乾燥に強い耐久卵を持ち、水田の様な環境に適応したものと考えられる。大きさは 2-3cm で、頭部の形状はカブトガニに似ている。丸い背甲の裏面に多くの脚を持つ。いずれも鰭状の鰓脚で、歩行に適した足は持たない。雑食性で、泥中の動植物の遺体の破片や小型藻類、プランクトンを泥と共に捕食する。

細長い腹部とその先から鞭状に伸びた2本の尾は、ホウネンエビによく似ている。

日本での生息地域

  • アメリカカブトエビ:関東以西
  • ヨーロッパカブトエビ:山形県、長野県[5]
  • アジアカブトエビ:鳥取、関西地方

分類[編集]

分類上ミジンコ類と近縁。カイエビホウネンエビとも比較的近い。これらはいずれも甲殻亜門鰓脚綱に含まれる。いずれも頭部には発達した第2触角、胸部には多数の鰓脚を持ち、鰓脚を甲羅に包んだ構造をしている。カブトエビの場合、甲羅は平らに開いて背甲となり、第2触角の先から触角状の突起が伸びて、外見上の触角となっている。

カブトガニと比較、もしくは混同され、子供用の図鑑等で「クモに近い動物」といった解説がされていることがあるが、誤りである。カブトガニはエビよりクモに近いが、カブトエビは甲殻類であり、クモよりはエビに近い。しかし、十脚目のエビ類とは類縁関係は遠い。

ただ、両者とも、原始的な特性を現在に受け継いでいる生きた化石であることは共通している。

カブトエビ科 Triopsidae

  • カブトエビ属 Triops
    • オーストラリアカブトエビ T. australiensis
    • ヨーロッパカブトエビ T. cancriformis (雌雄同体)
    • アジアカブトエビ T. granarius (雌雄異体)
    • アメリカカブトエビ T. longicaudatus (雌雄同体)
  • Lepidurus
    • ヘラオカブトエビ L. arcticus

生きている化石[編集]

頭部の拡大写真

この類は甲殻類の中でも古い形質を残したものと考えられている。分化した当時から現在までほぼ同じ姿を保ち続けた生きている化石である。その生きている化石の特徴としてノープリウス眼がある。大きな目が二つついているように思われるが、真ん中に小さな目があり、全部で三つ目である。これはノープリウス眼が成体にも残っているものであり、原始的特徴と見なされている。

水田の除草[編集]

水田の雑草を食べるほか、水田において餌の捕食あるいは産卵のため、水底の泥をかき混ぜる事で水が濁り、濁りによって光が遮られ、雑草の発芽と生長が抑制される。その為「田の草取り虫」とも言われている。水田雑草の除草を目的とした場合、生存期間が最も長いアジアカブトエビが最適とする研究がある[4]。また、有機農法を行っている水田では水のpHが低い為、孵化しても死滅する[2]とする研究もある。

飼育・観察[編集]

アメリカカブトエビの卵
  • 「トリオップス」(Triops)などの名前で飼育セットが販売されていることもあり、そのほとんどがアメリカカブトエビであるが、別種のカブトエビやホウネンエビ、ミジンコ等が混入していることもある。飼育法は至って簡単で、乾燥した卵を水の中に入れるだけで1〜数日のうちに孵化する。熱帯魚用の餌などをカブトエビの餌にも使用できる。既述のように寿命が短く数ヶ月で死んでしまうが、卵を残していることが多いため、すべて死んでしまった水槽の砂を乾燥させ、再び水の中に入れると次の世代の個体が生まれることも多い。その手軽さから、中学生自由研究の課題にすることも多い。
  • 学研の「科学と学習」の「2年の科学」の教材付録には毎年夏にカブトエビ飼育セットが付いていた。

脚注[編集]

  1. ^ 片山寛之「カブトエビによる水田雑草の生物学的制御」、『日本応用動物昆虫学会大会講演要旨』第17号、日本応用動物昆虫学会、1973年4月3日、 202頁、 NAID 110001081026
  2. ^ a b 浜崎健児:慣行農法水田と有機農法水田におけるアメリカカブトエビTriops longicaudatus (LeConte)の発生 日本応用動物昆虫学会誌 Vol.43 (1999) No.1 P 35-40
  3. ^ アジアカブトエビ(Triops granarius)休眠卵が孵化する時間と幼生の変態段階 大阪教育大学紀要 第III部門 : 自然科学・応用科学 51巻 1号 p.17-16
  4. ^ a b 高橋史樹、郷田雅男、赤山敦夫「カブトエビ3類の生命表の比較」、『日本応用動物昆虫学会誌』第24巻第4号、日本応用動物昆虫学会、1980年11月25日、 229-233頁、 NAID 110001113220
  5. ^ 篠川 貴司:長野県の水田で採集されたヨーロッパカブトエビ 日本甲殻類学会 会員連絡誌 (9), 15-16, 2000-05-01

参考文献[編集]

  • 『カブトエビのすべて―生きている化石“トリオップス”』 秋田正人(著)八坂書房 ; ISBN 4896944542 ; (2000/05)
  • 『カブトエビの飼育と観察―ふしぎな生き物“トリオプス”』 やさしい科学 谷本雄治(著), さ・え・ら書房 ; ISBN 4378038811 ; (1998/04)
  • 内山りゅう『田んぼの生き物図鑑』,(2005),山と渓谷社

関連項目[編集]

外部リンク[編集]