エチゼンクラゲ
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エチゼンクラゲ(海遊館にて)
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| 分類 | |||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||
| Nemopilema nomurai' | |||||||||||||||||||||
| 和名 | |||||||||||||||||||||
| エチゼンクラゲ | |||||||||||||||||||||
| 英名 | |||||||||||||||||||||
| Nomura's jellyfish |
エチゼンクラゲ(越前水母、越前海月、Nemopilema nomurai)は刺胞動物門鉢虫綱根口クラゲ目ビゼンクラゲ科エチゼンクラゲ属に属する動物である。大型の食用クラゲの1種で、傘の直径が2メートル重さ150キログラムになるものもある。体色は灰色・褐色・薄桃色などの変異があり、日本では人が刺されたという報告はほとんどされていないが、最近の研究では毒性が高めであることがわかった。
また、体の90%以上が水分である。東シナ海、黄海、渤海から日本海にかけて分布する。ときに大量発生すると漁網を破るなどの被害を与えることがある。ビゼンクラゲなどとともに食用にされる。
大型の根口クラゲ類は分厚く歯ごたえのよい間充ゲル(中膠)組織を持ち、古くから中華料理などの食材として利用されてきたものが何種かある。国産の食用クラゲは産出地域の旧国名ごとに和名がつけられており、ビゼンクラゲ(岡山県:備前国)、ヒゼンクラゲ(佐賀県:肥前国)と命名されている。
エチゼンクラゲには国内に食用加工の歴史がなく、出現も福井県(越前国)に限らず日本海沿岸全域にわたるものであるが、1921年12月に福井県水産試験場から当時の農商務省の岸上鎌吉博士の元へ標本が届けられて、初めて他とは違う種類であることがわかったことと、ビゼンクラゲに似ていることから、この名がつけられた。学名のnomuraiは、当時の福井県水産試験場長・野村貫一の姓から取られた[1]。
本来の繁殖地は黄海および渤海であると考えられており、ここから個体群の一部が海流に乗って日本海に流入する。対馬海流に乗り津軽海峡から太平洋に流入したり、豊後水道付近でも確認された例がある[2]。
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[編集] 生態
生態について現時点で知られていることは少ない。生活史は既に知られている他の根口クラゲ類と同様である。エサは主に小型の動物プランクトンだろうと考えられている。最近の研究で天敵としてアジやカワハギがあげられる。特にカワハギは集団でエチゼンクラゲを襲うことが判明し、石川県のカワハギ漁の漁師がエチゼンクラゲをカワハギ漁の餌として実験して効果が確認されている。
[編集] 漁業
渤海・黄海では漁獲され、食用に加工されている。ビゼンクラゲに比べて歯ごたえ等が悪く、価格が安い。傘の部分は表面がざらざらしている上に肉が薄い。口腕の部分はほとんど利用されることはない。
近年[いつ?]、日本に輸入されるクラゲのかなりの部分をエチゼンクラゲが占めるようになった。これは、中国国内の活況でビゼンクラゲの需要が伸びていることもあるが、クラゲの質の善し悪しを知らない日本人が多いために、安いクラゲを仕入れて今までと同じ値段で客に出す中華料理店が増えているためとも考えられる。
加工の仕方によっては刺身のような食感が得られるため、日本国内でもその特性に合った利用法を追求しようという動きが広がっている。鶴岡市立加茂水族館では常時エチゼンクラゲ料理を提供しており、漫画『もう、しませんから』ではクラゲラーメンなどを美味として取り上げている。
エチゼンクラゲの体内には豊富なムチンが含まれており、これを化粧品や再生医療に利用しようという研究もなされている[3]。
[編集] 大量発生による被害
近年、日本沿岸で大発生を繰り返しており、巨大な群が漁網に充満するなど、底曵き網や定置網といった、クラゲ漁を目的としない漁業を著しく妨害している。また、エチゼンクラゲの毒により、このクラゲと一緒に捕らえられた本来の漁獲の目的となる魚介類の商品価値を下げてしまう被害も出ている。1958年、エチゼンクラゲが津軽海峡まで漂い、時節柄浮遊機雷と誤認されて青函連絡船が運行停止になったことがあった[4]。古くからクラゲ漁を行っていない地域では、販路の確保や将来の漁獲の安定の見込みもないままにクラゲ漁用の漁具や加工設備を膨大な投資を行って整備するわけにもいかず、苦慮している。
大量発生の原因として、産卵地である黄海沿岸の開発進行による富栄養化、地球温暖化による海水温上昇、日本近海の沿岸開発による自然海岸の喪失でクラゲに適した環境になった。などの説が挙げられている。特に三峡ダムなどの開発が原因ではないかという仮説が立てられており、国立環境研究所などが検証を始めている[5]。また、魚類の乱獲によって動物性プランクトンが余ってしまい、それをエサとするエチゼンクラゲが大量発生、さらにはエチゼンクラゲの高密度個体群によって魚の卵や稚魚が食害されて、さらに魚類が減るという悪循環のメカニズムになっているのではないかとの指摘がある[6]。いずれも仮説の域を出ておらず、今後の研究の進展が待たれる。
なお、福井県では「エチゼンクラゲ」の名称が報道される度に福井県産の海産物のイメージダウンになることを危惧して「大型クラゲ」などと言い換えをするように報道各社に要望している[7]。
一方、エチゼンクラゲの大発生に伴って、エチゼンクラゲを餌として好むカワハギ類やオサガメなども繁殖する。2009年から2010年にかけてのウマヅラハギの豊漁はエチゼンクラゲの大発生によるものと見られている[8]。
[編集] 関連項目
[編集] エチゼンクラゲを飼育展示している水族館
[編集] 参考文献
- ^ 岸上鎌吉 「エチゼンクラゲ」『動物學雜誌』34巻、343-346頁、1922年。
- ^ 独立行政法人水産総合研究センター 日本海区水産研究所 「大型クラゲ関連情報」
- ^ 独立行政法人理化学研究所プレスリリース クラゲから採取したムチン、関節治療への応用で動物実験に成功
- ^ 小川元「大型クラゲの来遊について (PDF)」『岩手県水産技術センター平成15年度水産試験研究成果等報告会講要』、15-16頁、2004年。
- ^ 毎日新聞 2006年6月10日夕刊 エチゼンクラゲ:中国の三峡ダム開発→東シナ海環境変化→大発生 仮説検証へ
- ^ 『図解 最新・地球の真実』宝島社、124-127頁、2008年
- ^ 大阪読売新聞2005年10月21日夕刊 18ページ「エチゼンクラゲやめて 福井県、大型クラゲに呼び換え訴え」
- ^ 毎日新聞2010年1月4日 ウマヅラハギ:餌のエチゼンクラゲ追って?やってきた 大漁にホクホク--福井