アミグダリン

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アミグダリン
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識別情報
CAS登録番号 29883-15-6
PubChem 34751
MeSH Amygdalin
特性
化学式 C20H27NO11
モル質量 457.429 g/mol
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

アミグダリン (amygdalin - C20H27NO11) とは、青酸配糖体の一種。レートリル (laetrile) とも呼ばれる。主にウメアンズモモビワなどのバラ科植物の未成熟な果実種子などに含まれる。加水分解されるとシアン化水素を発生する。

解説[編集]

アミグダリンそのものには毒性は無い。エムルシン (emulsin) という酵素によって加水分解されるとグルコースマンデロニトリルが生成され、さらにマンデロニトリルが分解されると杏仁豆腐やビワ酒に共通する芳香の原因になるベンズアルデヒドシアン化水素(青酸、猛毒であるが長期保存すれば分解されて無害になる)を発生する。

エムルシンはアミグダリンを含む未熟な果実などと一緒に含まれる事が多く、アミグダリンを含む果実が熟すにつれてエムルシンの作用によりアミグダリンは分解され、濃度が下がっていく。この時に発生する青酸も時間と共に消失していく。このため、熟したウメやアンズなどをヒトが経口摂取しても青酸中毒に陥る心配はほとんど無い。

エムルシンは、動物の体内に存在するβ-グルコシダーゼという酵素の一種である。高濃度のアミグダリンが残った果実などを経口摂取すると、エムルシンとβ-グルコシダーゼによってアミグダリンは体内で加水分解され、青酸を発生し、中毒を起こす。ただし、致死量は遊離した青酸の状態でおよそ60mgとされており、この量を満たすためには多くのアミグダリン(未成熟なウメで100~300個ほど)を必要とするため、少量であればに至るほどの効果は表れない。

アミグダリンの食品利用と健康被害[編集]

アミグダリンを含む食品あるいはそれを加工した商品はアーモンド、杏仁豆腐、ビワ酒や枇杷茶、カリン漬等広広囲にわたる。アミグダリン分解産物のベンズアルデヒドが独特の芳香をもつため広く利用されている。また漢方薬の咳止めの有効成分としても研究されている[1]

一方で幾つかの薬効に対して否定的な研究も存在する 例えば癌(悪性腫瘍)に効く成分とされる事があるが、米国国立癌研究所(NCI)[2]によると、癌への治療や改善、延命などに対して効果が無く、逆に青酸中毒を起こし死に至る恐れがある事を指摘している[3]

また、アミグダリンをビタミンB17として扱った事があったが過去の話で、現在では否定されている[3]健康食品サプリメント)などに配合される事もあるが、生体の生命活動に必須となる栄養素ではなく、欠乏症の症例も出ていない事からビタミンの定義から外れてしまう。つまり、アミグダリンはビタミンとは言えない。それどころか、サプリメントとして使用したために青酸中毒となり、健康障害を引き起こしたり、場合によっては死に至るなどおよそ健康とはかけ離れた結果となった例が多数報告されている。[4][5]なお、米国では米国食品医薬品局(FDA)により、アミグダリンの販売は禁止されている[5]

国立健康・栄養研究所は、「癌に効き、癌細胞だけを攻撃する」「ビタミンの一種であり、アミグダリンの欠乏が癌や生活習慣病の原因となる」などといったアミグダリンの持つとされる健康効果について、その科学的根拠が確認できない、あるいは否定されているにもかかわらず、その健康効果を強調した健康食品が後を絶たないことや、そのような健康効果について特別な期待をして過剰摂取することは健康障害を招く危険性があるとして注意を呼びかけている[5]

脚注[編集]

  1. ^ Miyagoshi M, Amagaya S, Ogihara Y. "Antitussive effects of L-ephedrine, amygdalin, and makyokansekito (Chinese traditional medicine) using a cough model induced by sulfur dioxide gas in mice." Planta Med. 1986 Aug;(4):275-8.
  2. ^ NCI
  3. ^ a b Vickers A. "Alternative cancer cures unproven or disproven?" CA Cancer J Clin. 54(2), 2004 Mar-Apr, pp110-8. PMID 15061600
  4. ^ アミグダリン、レートリル、レトリル - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所])
  5. ^ a b c 話題の食品成分の科学情報:アミグダリンについて (国立健康・栄養研究所)

参考文献[編集]