「フィンランドの大統領」の版間の差分
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大統領は[[内閣]](国家評議会)とともに行政権を行使する<ref name="Section 3">2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第3条</ref>。[[フィンランド内戦]]後の1919年に新たな憲法(基本法群)が定められ、大統領職が設置された<ref name="ndl"/>。1980年代以降は、大統領の権限が縮小され、[[議院内閣制]]への移行が図られた<ref name="ndl"/>。2000年及び2012年の憲法改正によって[[議院内閣制]]への移行が決定的なものとなり、現在では大統領の権限は形式上のものに制限されている |
大統領は[[内閣]](国家評議会)とともに行政権を行使する<ref name="Section 3">2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第3条</ref>。[[フィンランド内戦]]後の1919年に新たな憲法(基本法群)が定められ、大統領職が設置された<ref name="ndl"/>。1980年代以降は、大統領の権限が縮小され、[[議院内閣制]]への移行が図られた<ref name="ndl"/>。2000年及び2012年の憲法改正によって[[議院内閣制]]への移行が決定的なものとなり、現在では大統領の権限は形式上のものに制限されている{{sfn|山崎博久|2020|p=40-43}} |
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大統領は国民の直接選挙によって選出され、1回目の投票で過半数の票を得る候補者がいない場合、上位2名による[[決選投票]]が行われる([[二回投票制]])<ref name="Section 54">2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第54条</ref>。候補者は18歳以上<ref name="Section 14-27">2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第14条及び第27条</ref>の、生来のフィンランド国民に限られ<ref name="Section 54"/>、国会に議席を有する政党もしくは2万人以上の有権者団体の推薦が必要<ref name="Section 54"/>。任期は6年間で1回のみ再選可能<ref name="Section 54"/>。国会議員との兼職はできない<ref name="Section 27">2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第27条</ref>。非常時の代理が必要な場合については、首相が行う<ref name="Section 59">2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第59条</ref>。 |
大統領は国民の直接選挙によって選出され、1回目の投票で過半数の票を得る候補者がいない場合、上位2名による[[決選投票]]が行われる([[二回投票制]])<ref name="Section 54">2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第54条</ref>。候補者は18歳以上<ref name="Section 14-27">2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第14条及び第27条</ref>の、生来のフィンランド国民に限られ<ref name="Section 54"/>、国会に議席を有する政党もしくは2万人以上の有権者団体の推薦が必要<ref name="Section 54"/>。任期は6年間で1回のみ再選可能<ref name="Section 54"/>。国会議員との兼職はできない<ref name="Section 27">2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第27条</ref>。非常時の代理が必要な場合については、首相が行う<ref name="Section 59">2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第59条</ref>。 |
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このほかいくつかの布告権を持ち、法の承認と特命議会の招集を行うことができる。また、議会が可決した法案に対して[[拒否権]]を有しているが、議会はこの決定を覆すことができる。 |
このほかいくつかの布告権を持ち、法の承認と特命議会の招集を行うことができる。また、議会が可決した法案に対して[[拒否権]]を有しているが、議会はこの決定を覆すことができる。 |
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外交については形式上は大統領が行う<ref name="Section 93">2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第93条</ref>とされるが、実質的には首相及び内閣が行う{{sfn|山崎博久|2020|p=42-43}}。また、大統領は[[フィンランド国防軍]]の最高司令官であり、士官の形式上の任免権を有するが<ref name="Section 128">2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第128条</ref>、これも形式的なものである。軍の動員については、内閣の提案により大統領が行う<ref name="Section 129">2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第129条</ref>。 |
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== 脚注 == |
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==参考文献== |
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* {{Cite journal|和書|author=山崎博久 |date=2020 |url=https://doi.org/10.24703/takahogaku.38.0_1 |title=半大統領制から議院内閣制へ : フィンランドの経験から |journal=高岡法学 |ISSN=0915-9339 |publisher=高岡法科大学法学会 |volume=38 |pages=1-50 |doi=10.24703/takahogaku.38.0_1 |id={{CRID|1390848250107389952}} |ref=harv}} |
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2023年5月26日 (金) 06:13時点における版
フィンランド共和国 大統領 芬: Suomen tasavallan presidentti 典: Republiken Finlands president | |
---|---|
大統領旗 | |
庁舎 | Presidentinlinna (フィンランド語) Presidentens slott (スウェーデン語) |
任期 | 6年(3選禁止) |
初代就任 | カールロ・ユホ・ストールベリ |
創設 | 1919年7月27日 |
ウェブサイト | http://www.presidentti.fi/Public/ |
フィンランド共和国大統領(フィンランドきょうわこくだいとうりょう、フィンランド語: Suomen tasavallan presidentti、スウェーデン語: Republiken Finlands president)は、フィンランドの国家元首たる大統領[1]。
概要
大統領は内閣(国家評議会)とともに行政権を行使する[2]。フィンランド内戦後の1919年に新たな憲法(基本法群)が定められ、大統領職が設置された[1]。1980年代以降は、大統領の権限が縮小され、議院内閣制への移行が図られた[1]。2000年及び2012年の憲法改正によって議院内閣制への移行が決定的なものとなり、現在では大統領の権限は形式上のものに制限されている[3]
大統領は国民の直接選挙によって選出され、1回目の投票で過半数の票を得る候補者がいない場合、上位2名による決選投票が行われる(二回投票制)[4]。候補者は18歳以上[5]の、生来のフィンランド国民に限られ[4]、国会に議席を有する政党もしくは2万人以上の有権者団体の推薦が必要[4]。任期は6年間で1回のみ再選可能[4]。国会議員との兼職はできない[6]。非常時の代理が必要な場合については、首相が行う[7]。
大統領は、エドゥスクンタ(議会)で選出された首相を任命する[8]。また、首相の指名に基づき大臣の任命を行う[8]。国家公務員や外交官の任命権も大統領の職責である[9]。
このほかいくつかの布告権を持ち、法の承認と特命議会の招集を行うことができる。また、議会が可決した法案に対して拒否権を有しているが、議会はこの決定を覆すことができる。
外交については形式上は大統領が行う[10]とされるが、実質的には首相及び内閣が行う[11]。また、大統領はフィンランド国防軍の最高司令官であり、士官の形式上の任免権を有するが[12]、これも形式的なものである。軍の動員については、内閣の提案により大統領が行う[13]。
大統領の一覧
代 | 大統領 | 所属政党 | 期 | 在任期間 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | カールロ・ユホ・ストールベリ Kaarlo Juho Ståhlberg |
国民進歩党 | 1 | 1919年7月27日 - 1925年3月2日 |
5年 + 218日 | ||
2 | ラウリ・クリスティアン・レランデル Lauri Kristian Relander |
農民同盟 | 2 | 1925年3月2日 - 1931年3月2日 |
6年 + 0日 | ||
3 | ペール・スヴィンフヴュー Pehr Evind Svinhufvud |
国民連合党 | 3 | 1931年3月2日 - 1937年3月1日 |
5年 + 364日 | ||
4 | キュオスティ・カッリオ Kyösti Kallio |
農民同盟 | 4 | 1937年3月1日 - 1940年12月19日 |
3年 + 293日 | 任期満了前に辞任 在任中に死去 | |
5 | リスト・リュティ Risto Heikki Ryti |
国民進歩党 | 5 | 1940年12月19日 - 1943年 |
3年 + 229日 | ||
6 | 1943年 - 1944年8月4日 |
任期満了前に辞任 | |||||
6 | カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム Carl Gustaf Emil Mannerheim |
無所属 (軍人) |
7 | 1944年8月4日 - 1946年3月8日 |
1年 + 216日 | 任期満了前に辞任 | |
7 | ユホ・クスティ・パーシキヴィ Juho Kusti Paasikivi |
国民連合党 | 8 | 1946年3月8日 - 1950年3月1日 |
9年 + 359日 | ||
9 | 1950年3月2日 - 1956年3月1日 |
||||||
8 | ウルホ・ケッコネン Urho Kaleva Kekkonen |
農民同盟 | 10 | 1956年3月2日 - 1962年3月1日 |
25年 + 331日 | ||
11 | 1962年3月1日 - 1965年 |
||||||
中央党 | 1965年 - 1968年3月1日 |
党名変更 | |||||
12 | 1968年3月1日 - 1978年3月1日 |
任期を4年延長 | |||||
13 | 1978年3月1日 - 1982年1月27日 |
任期満了前に辞任 | |||||
9 | マウノ・コイヴィスト Mauno Henrik Koivisto |
ファイル:Mauno Koivisto.png | フィンランド社会民主党 | 14 | 1982年1月27日 - 1988年3月1日 |
12年 + 33日 | |
15 | 1988年3月1日 - 1994年3月1日 |
||||||
10 | マルッティ・アハティサーリ Martti Oiva Kalevi Ahtisaari |
フィンランド社会民主党 | 16 | 1994年3月1日 - 2000年3月1日 |
6年 + 0日 | ||
11 | タルヤ・ハロネン Tarja Kaarina Halonen |
フィンランド社会民主党 | 17 | 2000年3月1日 - 2006年3月1日 |
12年 + 0日 | ||
18 | 2006年3月1日 - 2012年3月1日 |
||||||
12 | サウリ・ニーニスト Sauli Väinämö Niinistö |
国民連合党 | 19 | 2012年3月1日 - 2018年3月1日 |
12年 + 96日 | ||
20 | 2018年3月1日 - (現職) |
関連項目
脚注
- ^ a b c “各国憲法集9 フィンランド憲法”. 国立国会図書館調査及び立法考査局 (2015年3月). 2017年6月25日閲覧。
- ^ 2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第3条
- ^ 山崎博久 2020, p. 40-43.
- ^ a b c d 2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第54条
- ^ 2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第14条及び第27条
- ^ 2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第27条
- ^ 2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第59条
- ^ a b 2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第61条
- ^ 2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第126条
- ^ 2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第93条
- ^ 山崎博久 2020, p. 42-43.
- ^ 2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第128条
- ^ 2000年フィンランド憲法(2011年最終改正) 第129条
参考文献
- 山崎博久「半大統領制から議院内閣制へ : フィンランドの経験から」『高岡法学』第38巻、高岡法科大学法学会、2020年、1-50頁、doi:10.24703/takahogaku.38.0_1、ISSN 0915-9339、CRID 1390848250107389952。