「ヘール・ボップ彗星」の版間の差分

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{{天体 基本
{{彗星 |
| 幅 = 340px
| 日本語名 = ヘール・ボップ彗星
| 符号 = C/1995 O1
| = 彗星
| 和名 = ヘール・ボップ彗星
| 英語名 = Hale-Bopp
| 英名 = Comet Hale–Bopp
| 画像 = [[ファイル:Halebopp031197.jpg|200px|thumb|center|[[近日点]]を通過する少し前のヘール・ボップ彗星、1997年3月11日]]
| 画像ファイル = File:Comet Hale-Bopp 1995O1.jpg
| 発見者 = [[アラン・ヘール (天文学者)|アラン・ヘール]]、<br/>[[トーマス・ボップ]]
| 画像サイズ= 300px
| 発見日 = [[1995年]][[7月23日]]
| 画像説明 = 1997年4月、[[近日点]]を少し通過した後のヘール・ボップ彗星
| 符号・別名 = C/1995 O1、<br/>1997年の大彗星
| 仮符号・別名 = C/1995 O1、1997年の大彗星
| 元期 = 2015年6月27日 ([[ユリウス日|JD]] 2457200.5)<ref name="IAU minor"/>
| 分類 = [[長周期彗星]]
| 離心率 = 0.994917<ref name="IAU minor"/>
| 軌道長半径 = 185.86
| 近日点距離 = 0.935325<ref name="IAU minor"/>
| 遠日点距離 = 370.81
| 公転周期 = 2534
| 軌道傾斜角 = 89.4825<ref name="IAU minor"/>
| 近日点引数 = 130.8434<ref name="IAU minor"/>
| 昇交点黄経 = 282.2638<ref name="IAU minor"/>
| 前回近日点通過 = [[1997年]][[4月1日]]
| 次回近日点通過 = 4531年
}}
}}
{{天体 発見
| 色 = 彗星
| 発見者 = [[アラン・ヘール (天文学者)|アラン・ヘール]]<br/>{{仮リンク|トーマス・ボップ|en|Thomas Bopp}}
| 発見日 = 1995年7月23日
}}
{{天体 軌道
| 色 = 彗星
| 元期 = 2454724.5 TDB{{R|jpldata}}
| 軌道長半径 = 186 [[天文単位|au]]
| 近日点 = 0.914 au{{R|jpl1996}}
| 遠日点 = 363.2 au{{R|jpldata}}
| 離心率 = 0.995{{R|jpldata}}
| 公転周期 = 2520{{R|NK1553}} - 2533年{{R|Hale-Bopp4385}}<br />2456.41年{{R|jpldata}}
| 軌道傾斜角 = {{0}}89.2 &deg;{{R|jpldata}}
| 近点引数 = 130.7 &deg;{{R|jpldata}}
| 昇交点黄経 = 282.9 &deg;{{R|jpldata}}
| 平均近点角 = {{0}}{{0}}1.7 &deg;{{R|jpldata}}
| 前回近日点通過 = 1997年4月1日{{R|jpl1996}}
| 次回近日点通過 = 4385年12月25日?{{R|Hale-Bopp4385}}
}}
{{天体 項目|Earth [[最小交差距離|MOID]]|0.116 au{{R|jpldata}}}}
{{天体 項目|Jupiter MOID|0.00736 au{{R|jpldata}}}}
{{天体 物理
| 色 = 彗星
| 直径 = 60 km{{R|jpldata}}
| アルベド = 0.04{{R|jpldata}}
}}
{{天体 終了|彗星}}
'''ヘール・ボップ彗星'''({{lang-en|Comet Hale-Bopp}}、仮符号:'''C/1995&nbsp;O1''')は1997年ごろに明るくなった大彗星である。近日点通過後には[[見かけの等級]]は-1前後にものぼり、肉眼で18か月も見ることができた。これはそれ以前の最長記録{{仮リンク|1811年の大彗星|en|Great Comet of 1811}}の8か月を大幅に上回った。そのため、ヘール・ボップ彗星は'''1997年の大彗星'''とも言われる。


== 発見 ==
'''ヘール・ボップ彗星'''(ヘール・ボップすいせい、Comet Hale-Bopp、公式符号 '''C/1995&nbsp;O1''')は、1997年に非常に明るくなった彗星である。「'''1997年の[[大彗星]]''' (The Great Comet of 1997)」とも呼ばれている。HB彗星と略称されることもある。
ヘール・ボップ彗星は1995年7月23日に[[アラン・ヘール (天文学者)|アラン・ヘール]]と{{仮リンク|トーマス・ボップ|en|Thomas Bopp}}が発見した{{R|Shanklin2000}}。


ヘールは彗星を探そうと何時間もかけていたが成功せず、すでに知られている彗星を[[ニューメキシコ州]]の自分の私道で追跡していたところ、偶然真夜中に発見した。そのときの見かけの等級は10.5で[[いて座]]の[[球状星団]][[M70 (天体)|M70]]の付近にあった{{R|Circ6187|Mobberley2013}}。ヘールはまず{{仮リンク|DSO (天体)|en|Deep-sky object|label=DSO}}でないことを確かめ、さらに既知の彗星と照らし合わせ、M70付近には彗星が発見されていないことが分かった。背景にあった恒星に対してその天体が動いたため彼は[[天文電報中央局]]にメールを送った{{R|TimeDiscovery}}。
== 概要 ==
おそらく[[20世紀]]で最も広く観測されたであろう[[彗星]]である。18か月もの期間にわたって[[肉眼]]で見ることができ、これはそれまで記録を保持していた{{仮リンク|1811年の大彗星|en|Great Comet of 1811}}の2倍にもなった。


ボップは自身の望遠鏡を持っていなかった。彼が友人と[[アリゾナ州]]の{{仮リンク|スタンフィールド (アリゾナ州)|en|Stanfield, Arizona|label=スタンフィールド}}で星団や銀河を観測していたとき、偶然発見した。彼は新しい天体を発見したと思い、ヘールのように別のDSOがないか確認し何もないことが分かった。そして彼は[[ウエスタンユニオン]]を介して天文電報中央局に連絡した。当時天文電報中央局に務めていた[[ブライアン・マースデン]]は「電報で(ヘール・ボップ彗星の発見が)送られたのは初めてだ」と笑いながら言い、「つまり、アラン・ヘールが3回座標をメールで送ってきたということだ。」と言った{{R|NatGeo}}。
ヘール・ボップ彗星は[[1995年]][[7月23日]]に[[太陽]]から非常に遠い位置で発見され、太陽の近くを通過する頃には非常に明るくなるのではという期待が高まった。彗星の明るさをある程度正確に[[予想]]するのは非常に難しいが、ヘール・ボップ彗星は[[1997年]][[4月1日]]の[[近日点]]通過の頃には、予想通りかそれを超える明るさになった。


翌朝、未知の彗星であることが確認され、仮符号はC/1995 O1 とされた。これは{{仮リンク|IAU Circular|en|IAU Circular}}第6187号で公表された{{R|Circ6187|Bopp1997}}。
[[彗星核]]が50kmと極めて大きかった。過去に観測された彗星の中でも最大級であると推定されている。[[公転周期]]は約2530年と考えられている。


== 初期の観測 ==
1997年の春には、地球にあまり接近しなかったにも拘らず、-1[[等級 (天文)|等級]]前後の明るさになり、約3か月もの間肉眼で楽に見える状態が続いた。写真を撮ると、尾が明るく長く写り、白いダスト・テイル(塵の尾)と、青いイオン・テイル(イオンの尾)をはっきりと区別することができた。
ヘール・ボップ彗星発見当初の軌道の位置は太陽から7.3[[天文単位|au]]の場所にあり、木星と土星の間ぐらいであった{{R|Marsden1995|Kidger1996}}。ほとんどの彗星はこの距離ではかなり薄暗く見え、識別できないぐらいであるが、ヘール・ボップ彗星は[[コマ (彗星)|コマ]]を観測することができた{{R|Circ6187}}。また、{{仮リンク|アングロ・オーストラリアン望遠鏡|en|Anglo-Australian Telescope}}の1993年の画像にも注目されないまま残っており、後になって太陽から13.1auという距離で発見された{{R|McNaught1995}}。この距離ではほとんどの彗星は観測不可能で、[[ハレー彗星]]が同じ距離にあったとしても100倍ほど暗い{{R|Biver1996}}。後の分析によると彗星の[[核 (彗星)|核]]は直径60 ± 20kmでハレー彗星の6倍もある{{R|jpldata|Fernandez2000}}。


このような条件からヘール・ボップ彗星は1997年に近日点に到達したときに明るくなると予想された。しかし、彗星科学者らは彗星がアウトバーストを引き起こしてその結果光度が減少していくことを警戒していた。その例としては1973年の[[コホーテク彗星]]があり、今世紀最大と謳われていたが見栄えのしない姿になった{{R|TimeDiscovery}}。
ヘール・ボップ彗星の出現は、彗星についてはここ数十年無かったような[[パニック]]を誘発した度合いもまた注目すべきものだった。彗星に続いて[[宇宙人]]の[[宇宙船]]がやってくるという噂が非常に広がり、[[カルト]]団体である[[ヘヴンズ・ゲート (宗教団体)|ヘヴンズ・ゲート]]の信者の[[集団自殺]]を引き起こした。


== 発見 ==
== 近日点通過 ==
[[File:Comet-Hale-Bopp-29-03-1997 hires adj.jpg|thumb|right|1997年近日点通過前に肉眼でも見られたヘール・ボップ彗星]]
ヘール・ボップ彗星は、[[アラン・ヘール (天文学者)|アラン・ヘール]]とトーマス・ボップの2人の[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の観測者が独立して発見した。ヘールは彗星捜索に数百時間を費やしていたが、それまで一つも発見できていなかった。彼は[[ニューメキシコ州]]の自宅のドライブウェイで既知の彗星を辿っていたある日、真夜中を過ぎてすぐの頃に[[いて座]]の[[球状星団]][[M70 (天体)|M70]]の近くに11[[等級 (天文)|等級]]で輝くヘール・ボップ彗星を見つけた。ヘールはすぐにM70の近くに他の深宇宙天体(遠距離天体、DSO)が無いことを確認し、次に既知の彗星の一覧を調べ、その領域には既知の天体は何も無いことを確かめた。彼は天体が背景の星に対して動いていることを一度確認し、天文学的発見の情報センターである天文中央電報局に[[電子メール]]を送った。
[[File:Comet Hale-Bopp starmap 1997.png|thumb|right|恒星の位置を基準とした2週間ごとのハレー彗星の位置。]]
ヘール・ボップ彗星は1996年5月には肉眼でも見られるようになった。1996年下半期は光度の上昇率がかなり遅かった{{R|KidgerHurst1997}}が、科学者らは彗星が明るくなることを警戒しながらも楽観視していた。1996年12月には地球からみて太陽と同じ方向にあったため観測できないこともあったが1997年1月に再出現したときは[[光害]]を受けた大都市ですらも見ることができた{{R|NYTimes19970309}}。


当時はインターネットも進化し始めており、ヘール・ボップ彗星を追跡するウェブサイトや世界中の画像を提供するウェブサイトが極めて人気を集めた。このようにインターネットは民衆へヘール・ボップ彗星への興味を促進する一因となった{{R|SA19970331}}。
ボップは自分の[[天体望遠鏡|望遠鏡]]を持っていなかった。彼は星団と[[銀河]]を見るために[[アリゾナ州]]スタンフィールドの近くに友人と外出していて、友人の望遠鏡のアイピースを覗いているときにたまたま彗星を見つけた。彼はM70の近くにある深宇宙天体が何か探すため自分の星図を確認し、そのようなものは無いことが分かったため、何か新しい天体を見つけたかもしれないと確信した。彼は天文中央電報局に[[電報]]を送った。翌朝、これは新彗星だと確認され、名称はヘール・ボップ彗星、符号はC/1995&nbsp;O1となった。この発見は[[国際天文学連合]]の回報6187号で発表された。


ヘール・ボップ彗星が太陽に近づいたとき、しだいに明るくなってゆき2月には2[[等級 (天文)|等級]]になった。尾も成長が見られ始め、青くて直線のタイプIの尾と黄色くて軌道に沿ったタイプIIの尾が見られるようになった。3月9日には中国やモンゴル、シベリア東部などで[[1997年3月9日の日食|日食]]が見られ、昼間でも観測できる機会があった{{R|McGee1997}}。地球に最も近づいたのはは1997年3月22日でその距離は1.315auであった{{R|stardust}}。
== 初期の経過 ==
[[ファイル:Comet c1995o1.jpg|thumb|200px|left|[[愛知県]][[豊田市]][[旭高原元気村]]で撮影されたヘール・ボップ彗星。撮影時のイオンの尾の長さは30度以上にも達し、写真の画角から大きくはみ出している。]]
ヘール・ボップ彗星は普通の彗星ではないということはすぐに明らかになった。まず、[[軌道 (力学)|軌道]]を計算したところ、ヘール・ボップ彗星は[[木星]]と[[土星]]の軌道の間に当たる、太陽から7.2[[天文単位]] (AU) のところにあることが分かった。これは彗星が発見された時の位置としては、地球から見て飛び抜けて遠い。これほど遠方にある彗星のほとんどは極めて暗く、確認できるような活動はしていないが、ヘール・ボップ彗星は既に[[コマ (彗星)|コマ]]が観測できた。1993年にアングロ・オーストラリア望遠鏡で撮影された画像からは、太陽から13AUの位置にあったヘール・ボップ彗星が写っているのが見つかったが、この位置ではほとんどの彗星は観測不可能である([[ハレー彗星]]は太陽から同じ距離では5万倍も暗い)。分析により核の直径は約50[[キロメートル|km]]もあり、ハレー彗星の3倍近い大きさであることが分かった。


ヘール・ボップ彗星は1997年4月1日に近日点を通過するとピーク時には-1等級程度となり[[シリウス]]以外の全ての恒星よりも明るくなり{{R|光度の比較について|group=注}}{{R|eso19970413|jiten|Kidger1997}}、尾は45 &deg;にわたった{{R|Shylaja1997}}。空が完全に暗くなるより前でもよく見えるようになり、北半球では一晩中観測できた{{R|eso19970307}}。
太陽から非常に遠くても驚くべき活動をしていることから、1997年に近日点を通過する頃にはヘール・ボップ彗星は非常に明るくなるかもしれないと考えられた。しかし、彗星科学者達は慎重であった。彗星の活動は非常に予測しづらく、遠距離で巨大なアウトバーストを何度も起こしていると結局は後で暗くなってしまう。「世紀の彗星」として大いに宣伝されたが、結局非常に平凡な彗星に終わった1973年の[[コホーテク彗星 (C/1973 E1)|コホーテク彗星]]のように、ヘール・ボップ彗星も地球に近づくときにそんなに明るくならないかもしれないとも思われたからである。


== 大彗星へ ==
== 近日点通過後 ==
近日点通過後、ヘール・ボップ彗星は南半球の方へ移動していった。南半球からの観測は北半球からの観測より感銘を与えるようなものではなかったものの、1997年下半期には徐々に消えていく様子を観測することができた。肉眼で最後に観測されたのは1997年12月でこれは肉眼での観測が569日(=18.7か月)間できたということである{{R|KidgerHurst1997}}。ヘール・ボップ彗星以前の肉眼観測最長記録は{{仮リンク|1811年の大彗星|en|Great Comet of 1811}}の9か月であり、2倍以上の更新となった{{R|KidgerHurst1997}}。
ヘール・ボップ彗星は1996年の夏頃からは[[肉眼]]でも見られるようになった。1996年の後半には明るくなる割合がやや鈍ったので、科学者達はこの彗星が非常に明るくなるという楽観的な考えに対してなお慎重だった。1996年12月には太陽に近すぎて観測できなくなったが、1997年の1月になって再び見えるようになると、空が汚い上に[[光害]]が進んだ大都市からでも、探している人には誰でも見えるほど明るくなっていた。これは最も楽観的な予測に沿った明るさであった。


後退して肉眼では見えなくなった後も天文学者によって追跡が行われた。2007年10月には太陽から25.7auの地点でも一酸化炭素による活動を行っていたことが明らかになっている{{R|Szabo2008}}。[[ハーシェル宇宙天文台]]により2010年に撮影された画像からはヘール・ボップ彗星は霜に覆われたような層から成ることが示唆された{{R|Szabo2012}}。2010年12月には太陽から30.7au離れている地点でも再び検出され{{R|Szabo2011}}、2012年8月7日には太陽から33.2auの地点でも検出された{{R|Moltenbrey2015}}。天文学者らは2020年ごろになると[[見かけの等級]]が30ぐらいになりその頃にまで見られるだろうと予測した。その時までにはヘール・ボップ彗星と他の無数の銀河を識別することは非常に難しくなる{{R|eso19970207}}。
[[ファイル:Comet-Hale-Bopp-29-03-1997 hires adj.jpg|thumb|right|200px|1997年初頭には壮大な姿を見せるようになった。]]
当時、利用者数が急激に増大し始めていた[[インターネット]]では、世界中から彗星の経過を追い日々の画像を提供するおびただしい数のウェブサイトが非常に人気を集めた。インターネットはヘール・ボップ彗星に対する人々の空前の関心を高めることに大きな役割を果たしたと言える。


== 軌道の変化 ==
彗星は太陽に近づくにつれ明るくなりつづけ、2月には2等級になり、太陽と反対側に直線状に伸びる青いガスの尾と、軌道に沿って曲がった黄色っぽい塵の尾の2本が成長していくのが観測できた。[[3月9日]]には[[1997年3月9日の日食|モンゴルとシベリア東部で日食]]が起こり、そこでは昼間に彗星を見ることができた。ヘール・ボップ彗星は[[1997年]][[3月22日]]に地球に最接近した。
[[File:Hale-Bopp orbit.svg|thumb|right|1997年4月1日接近時のヘール・ボップ彗星の軌道。]]
{{multiple image
| align = right
| direction = vertical
| width = 220
| header = ヘール・ボップ彗星の軌道
| image1 = Animation of Hale-Bopp orbit.gif
| caption1 = 真上から見た図
| image2 = Animation of Hale–Bopp orbit - equatorial view.gif
| caption2 = 真横から見た図
| footer = {{legend2|magenta|ヘール・ボップ彗星}}{{·}}{{legend2|Cyan|[[水星]]}}{{·}}{{legend2| OrangeRed |[[金星]] }}{{·}}{{legend2|Royalblue|地球}} {{·}}{{legend2|Gold|[[火星]] }}{{·}}{{legend2|Lime|[[木星]] }} }}


ヘール・ボップ彗星は約4200年前の紀元前2215年7月にも近日点を通過した可能性がある{{R|perturb|Marsden1997}}。1.4auほど地球に接近したと推定され、[[エジプト第6王朝]]の[[ペピ2世]]の治世の頃に観測された可能性がある。ペピ2世の[[サッカラ]]にあるピラミッドには"nhh-star"というものについて言及しており、nhhとは長い髪を表す[[ヒエログリフ]]であることからヘール・ボップ彗星であると考えられている{{R|Weeks1999}}。
1997年[[4月1日]]には彗星は近日点を通過し、素晴らしい姿に成長した。[[シリウス]]を除く全天のどの恒星よりも明るく輝き、30-40[[度 (角度)|度]]の2本の尾が空を横切って伸びていた。彗星は毎晩空が完全に暗くなる前にさえ見えるようになった。多くの大彗星が近日点を通過する頃のみ、しかも太陽の非常に近くでしか見ることができなかったのに対して、ヘール・ボップ彗星は[[北半球]]では一晩中見ることができた。


ヘール・ボップ彗星は紀元前2215年7月の接近より前にに木星と衝突しそうになったことがあり、おそらく元の軌道から軌道が変わったと考えられている。また、太陽系の内側を通過したのはこの時が初めてである可能性がある{{R|Marsden1997}}。現在のヘール・ボップ彗星の軌道は[[黄道]]面と垂直なので惑星との接近は珍しい。しかし、1996年4月には木星と0.77auという距離で接近しており、重力により軌道が変わってもおかしくないぐらいの近さである{{R|perturb}}。それにより公転周期は大まかに見ると2533年ほどに縮まりさらに[[摂動 (天文学)|摂動]]により縮まることを想定すると、次に回帰してくるのは4385年だと推測されている{{R|Hale-Bopp4385}}。太陽からの[[遠日点]]は525au{{R|Marsden1997}}から363auになると推測されている{{R|jpldata}}。
この彗星は見事なものだったが、もっと見事なものになっていた可能性もあった。1996年の[[百武彗星 (C/1996 B2)|百武彗星]]と同じぐらい地球に接近していたら、ヘール・ボップ彗星の尾は空全体を横切るほどに伸び、[[満月]]よりも明るくなっていたかもしれない。しかし、実際は地球に最接近した時の距離は1.315AU止まりだった。この距離では多くの小さな彗星は全く見えないままに終わるところだが、ヘール・ボップ彗星はそれでも2本の尾を、尾の最も伸びたところは暗すぎて肉眼では見えなかったものの、空の半分ほどにまで伸ばしたのである。


ヘール・ボップ彗星が将来地球に衝突する可能性は非常に低く、1回の公転につき2.54{{E|-9}}程度の確率である{{R|Weissman2006}}。しかし、彗星核が直径にして60kmである{{R|jpldata}}ことを考慮するとその影響は地球を破滅させるほど大きい。Paul R. Weissmanは直径を35km、平均密度を0.6g/cm{{sup|3}}、質量を1.3{{E|19}}kgとしたところ、速度は52.5 km/s、衝突によるエネルギーは1.9{{E|32}}[[エルグ|erg]]にもなると算出した。これは[[TNT換算]]では4.4{{E|9}}メガトンになり、[[大量絶滅#白亜紀末|白亜紀の大量絶滅]]際の4.4倍にも及ぶ{{R|Weissman2006}}
== 遠ざかる彗星 ==
近日点通過後、彗星は南天に移動し、一般の人々に関する限りでは、ショーは終わった。彗星は[[南半球]]の観測者にとっては、北半球での壮大さに対してはるかに地味なものだったが、南半球の人々は1997年の夏から秋にかけて、彗星がゆっくりと暗くなり見えなくなっていくのを見ることができた。最後に[[肉眼]]での観測が報告されたのは1997年12月であり、これは彗星が道具無しで569日間、あるいは約18か月半見えつづけたことを意味していた。それまでの記録は、肉眼で約9か月間見え続けた[[1811年の大彗星]]によるものであった。


一般的に[[軌道傾斜角]]が大きく、近日点距離が小さい彗星は重力による摂動の影響で近日点距離が非常に小さくなる。そのため、ヘール・ボップ彗星も太陽をかすめるように通過する[[サングレーザー]]になる可能性がある{{R|Bailey1996}}。
彗星は遠ざかるにつれ暗くなり続けているが、未だに天文家たちによって追跡され続けている。[[2003年]][[12月31日]]以降、消息が途絶えていたが、[[2005年]][[1月8日]]に、[[天王星]]の軌道よりも外側の、太陽から 21AU(天文単位)離れたところにいる2本の尾を持つヘール・ボップ彗星が[[チリ]]の[[ラスカンパナス天文台]]で観測され、[[2007年]]10月には[[シドニー大学]]のグループにより、太陽から25.7AU離れている20等級の明るさで直径18万kmのコマを持つ彗星が観測された。これは活動状態の彗星が観測された距離としては最も遠い。


== 研究による成果 ==
[[ハレー彗星]]は2003年に太陽から28AUで活動状態にない核が観測されたが、ヘール・ボップ彗星はこの記録を超えた。2010年、 [[ハーシェル宇宙望遠鏡]] により彗星表面が新しい霜で覆われていることを示唆する画像が観測された<ref name="Szabó2012">{{cite journal |last=Szabó |first=Gy. M. |author2=Kiss, L. L.|author3=Kiss, Cs.|author4=Pál, A.|author5=Sárneczky, K.|author6=Juhász, A.|author7=Hogerheijde, M. R.|title=Evidence for fresh frost layer on the bare nucleus of comet Hale--Bopp at 32 AU distance |journal=Astrophysical Journal |volume= 761|issue= |page= 8|year=2012 |doi= 10.1088/0004-637X/761/1/8|arxiv=1210.2785 |bibcode= 2012ApJ...761....8S}}</ref>。この2010年12月時点の太陽からの距離は30.7AUあり<ref name="Szabó2011">{{cite journal |last=Szabó |first=M. |author2=Sárneczky, K. |author3=Kiss, L. L. |title=Frozen to death? -- Detection of comet Hale-Bopp at 30.7 AU |journal=Earth and Planetary Astrophysics |volume= 1104|issue= |page= 4351|year=2011 |doi= 10.1051/0004-6361/201116793|arxiv=1104.4351 |bibcode= 2011A&A...531A..11S}}</ref>、2012年8月には33.2AUの距離にあることが再観測された<ref name="Herald2012">{{cite web |date=Aug 7, 2012 |title=Comet Hale-Bopp C/1995 O1 - observed tonite |publisher=Yahoo Groups |author=Dave Herald |url=http://tech.groups.yahoo.com/group/comets-ml/message/19755 |accessdate=2012-08-09}}</ref>。
ヘール・ボップ彗星は近日点通過の間、多くの天文学者によって観測され、彗星科学に大いな貢献をもたらした。ヘール・ボップ彗星のダストの生成速度は2.0{{E|6}} kg/sと非常に速いことが分かり{{R|Jewitt1999}}、それによりコマ内部の[[光学的厚さ]]が大きくなっていると分かった{{R|Fernandez1999}}。ダストの温度や[[アルベド]]は高く、10μm程度の[[ケイ酸塩]]から成るという特性から天文学者らはヘール・ボップ彗星のダストに関して、他の観測されている彗星よりもダストが小さいと結論づけた{{R|Mason2001}}。


ヘール・ボップ彗星は過去、観測された彗星の中でも非常に強力な[[直線偏光]]を示した。このような偏光はコマ内のダストが太陽からの光を散乱させているためであり、これはダストの性質によるものである。さらに、また、直線偏光について[[ハレー彗星]]と比較した結果、ヘール・ボップ彗星のコマ内のダストが他の彗星で推測されているようなダストよりも小さいということが分かっている{{R|Ganesh1998}}。
天文学者たちは、彗星は30[[等級 (天文)|等級]]近くになる2020年頃まで大望遠鏡では観測可能かもしれないと予測している。しかしその頃には、遥か遠くにある同じような明るさの数多くの銀河と区別することは非常に難しくなっているだろう。彗星は[[5千年紀|4530年頃]]に戻ってくると考えられている。

== 軌道の変化 ==
ヘール・ボップ彗星は[[紀元前22世紀|紀元前2200年頃]]に前回の近日点通過をしたかもしれない。彗星の軌道は[[黄道]]面に対してほとんど[[垂直]]であり、これは惑星に非常に接近することが稀であることを意味している。しかし、1997年3月には彗星は[[木星]]から0.77AUのところを通った。これは軌道が木星の[[引力]]によって影響を受けるのに十分な近さであった。彗星の軌道は大幅に短くなり、公転周期は約2530年になったため、次に太陽系の内側に戻ってくるのは西暦4530年頃になるだろう。彗星が太陽から最も遠ざかった時の距離([[遠日点]]距離)は約525AUから短くなり、約370AUになっている。

== 科学的結果 ==
ヘール・ボップ彗星は近日点通過の間に[[天文学者]]達によって徹底的に観測され、その観測結果から、彗星科学にいくつかの重要な発展をもたらした。


=== ナトリウムの尾 ===
=== ナトリウムの尾 ===
{{混同|月のナトリウム尾}}
非常に驚くべき発見の1つは、この彗星は3種類目の尾を持っていたということである。よく知られていたガスの尾と塵の尾に加えて、ヘール・ボップ彗星は、専用のフィルターを付けた強力な装置でのみ見ることのできる、かすかな[[ナトリウム]]の尾も伸ばしていたのである。ナトリウムが放出されているのは以前に他の彗星でも観測されていたが、尾に由来するとは示されていなかった。ヘール・ボップ彗星のナトリウムの尾は[[電荷|中性の原子]]から構成され、5000万kmもの長さに伸びていた。
[[File:Hale-Bopp sodium tail.gif|thumb|right|ヘール・ボップ彗星のナトリウムを含んだ尾。細長い方{{R|Cremonese1997a}}と拡散している方があるが、拡散している方はダストの尾と混合しており、拡散しているナトリウムの尾だけを見るにはそれを差し引く処理が必要となる{{R|Wilson1998}}。]]
ヘール・ボップ彗星の研究における最も著しい発見として彗星の第3の尾が発見されたことがあげられる。一般的に知られていたガスの尾、ダストの尾に次いでナトリウムの尾が発見された。ナトリウムを放出していること自体は他の彗星でも観測されていたが尾で見られたのはこれが初めてである。ナトリウムの尾は[[イオン]]ではなく中性[[原子]]から成り{{R|Cremonese1997a}}数千万kmにまで伸びる{{R|Ip1998}}。


ナトリウムの尾はGabriele Cremoneseらによって発見された当初は図の左上へと伸びているものだけしかないと考えられていた{{R|Cremonese1997a}}。しかし、J. K. Wilsonらによる研究では右側に拡散しているダストの尾に重なる形でナトリウムの尾、つまりはヘール・ボップ彗星の第4の尾が存在することが発見された{{R|Wilson1998}}。これらを区別するために最初に発見された細く伸びた方のナトリウムの尾は英語でnarrow sodium tailと呼ばれ、後に発見された広く拡散している方のナトリウムの尾は英語でdiffuse sodium tailと呼ばれる{{R|Cremonese1997b}}(日本語の定訳なし)。
ナトリウムの源はコマの内部にあるように思われるが、必ずしも核からとは限らない。ナトリウム原子の源を生み出す仕組みは、核を取り巻く塵の殻と、塵の殻から[[紫外線]]光で「弾き飛ばされた」ナトリウムが衝突するというものなど、いくつか考えられる。ヘール・ボップ彗星のナトリウムの尾が主にどの仕組みによって作り出されるのかはまだ確定していない。


narrow sodium tailは中性ナトリウム原子に[[放射圧]]が加えられることによって起こる{{R|Cremonese1997a}}のに対し、diffuse sodium tailはダストと共にナトリウム原子が放出されることにより起こる{{R|Cremonese1997b}}。この2つの尾に関しては起源が違う可能性もある{{R|Cremonese1997b}}。
ヘール・ボップ彗星の塵の尾は大体彗星の軌道の道筋に沿っており、ガスの尾はほとんど太陽と反対側に直線的に向いていたが、ナトリウムの尾は2本の尾の間にあるように見えた。ここから、ナトリウム原子は彗星の頭部から[[放射圧]]によって吹き飛ばされると思われる。


=== 重水素の存在度 ===
=== 重水素 ===
ヘール・ボップ彗星に[[重水]]の形で存在する[[重水]]の存在度は、地球の[[大]]およそ2倍あることが分かっ。これは、もしヘール・ボップ彗星の重水素の存在度全ての彗星に普遍的なのだとすれば彗星の衝突はかなりの量の地球上の水の源になっと考えられものの、唯一の源はないということになる。
ヘール・ボップ彗星に含まれる[[重水]][[重水]]分子となっており、地球のにある量の2倍あることが分かっているもしこれがの彗星ありきたりなことであったとすると、地球上の水の大半は彗星の衝突でもたらものであるという説は通らなくなる{{R|Meier1999}}


他の多くの[[水素]]の中に重水素が混じって存在しているということもこの彗星で分かった普通の水素に対する重水素の比率は化合物ごと様々あることが分かり、天文学者たちは彗星の氷は[[原始太陽系星雲]]よりもむしろ[[星間雲]]で作らたとす説を信じようになった。星間雲での氷の形成についての理論的モデリングからヘール・ボップ彗星は25-45[[ケルビン]]前後の温度作られたと考えられる。
水素水以外の水素化合物とても検出されている。重水素[[軽水素]]に対する割合は化合物によりまちまちで、天文学者は彗星の氷は[[原始太陽系星雲]]が起源ではなく、[[星間雲]]で形成されるものであると提唱している。星間雲での氷の形成モデルではヘール・ボップ彗星は25 - 45 [[ケルビン|K]]で形成される{{R|Meier1999}}


=== 有機化学種 ===
=== 有機 ===
分光器によるヘール・ボップ彗星の観測から、多くの[[有機化学|有機化合]]存在することが明らかなっており、そのうち数種れまで彗星で見つかったことが無いものった。これらの複雑な分子は彗星の中存在すもしれないし、コマの反応によって成されたのかもれない。
ヘール・ボップ彗星の分光観測では多くの有機物が発見され、中にはれまで彗星では検出されなかったものもあった。これらの分子は彗星核内部るか彗星合しる可能性がある{{R|Rodgers2001}}

=== アルゴンの検出 ===
ヘール・ボップ彗星は初めて[[第18族元素|貴ガス]]の[[アルゴン]]が発見された彗星でもある{{R|Stern2000}}。貴ガスは化学的に[[不活性気体|不活性]]で揮発性が低いものから高いものまである。また、貴ガスによって[[昇華 (化学)|昇華点]]は異なり、他の元素との反応性も低いため彗星の氷の温度を求める時に使われる。[[ネオン]]のヘール・ボップ彗星における量は太陽での存在度よりも25倍も小さい{{R|Krasnopolsky1997}}が、[[アルゴン]]は昇華点が高いため太陽の存在度と比較して多い{{R|Stern2000}}。これらの結果からヘール・ボップ彗星内部の温度は35 - 40Kよりも小さく、彗星の一部では16 - 20Kよりも大きい場所があるということが分かっている。原始太陽系星雲が想定よりも温度が低くなく、アルゴンが多くない限り、ヘール・ボップ彗星は[[海王星]]より向こうの[[エッジワース・カイパーベルト]]で形成され、[[オールトの雲]]に移ってきたということになる{{R|Stern2000}}。


=== 自転 ===
=== 自転 ===
ヘール・ボップ彗星の活動とガスの噴出は核全体に均等に広がっていたのではなく、特定の数箇所からの巨大なジェットからていこれらのジェットからの物質の流れ観測することによって([http://www2.jpl.nasa.gov/comet/anim30.html 螺旋状の波の動画])彗星の自転速度を測定することができ、約11時間46分であることが分かった。この自転周期に加え数日間にわたるくつかの周期的な変動があることから、彗星は2つ以上の[[自転軸]]の周りを自転していると考えられる。
ヘール・ボップ彗星の[[ガス]]一様に広がっているわけではなく、いくつかの特定のジェットから放出されてい。ジェットからの物質の流れ観測により{{R|nasa_hale-boppjet}}、自転周期は11.46時間(=11時間27.6)であることが分かっている{{R|Warell1999}}


=== 衛星 ===
=== 衛星保持説とその疑惑 ===
1999観測されたヘール・ボップ彗星の塵の放出のパターンを完全に説明するために、彗星本体の周りを巡[[衛星]][[核 (天体)#彗星|核]]の存在を仮定した論文が発行された。この論文は理論分析に基づいていて提案された衛星核が観測で発見されるとは主張していなかったが衛星核は直径が約30kmあり、差し渡し約70kmある本体の核の周りを180kmの距のところを3日かけて公転していると推定されてい
1997年、1995年10月にヘール・ボップ彗星でも観測されたダストの放出のパターンを完全に説明するために核が2つ存在す(=一方が衛星のようになる)仮定した論文が公表された。この論文は理論上の分析に基づ、衛星となる発見は主張せずに、直径70kmの主の核の付近に直径30kmのものが存在し、180km離れた場所2、3日公転ると推定した{{R|Sekanina1997a}}。この分析結果は1996年、[[ハッブル望遠鏡]]の[[広域惑星カメラ2]]を用いて衛星があることが明らかにされた{{R|Sekanina1997a}}


1997年後半から1998年早期の[[補償光学]]を用いて核の明るさに2回のピークが現れたにもかかわらず{{R|Marchis1999}}、ハッブル宇宙望遠鏡の観測で核の衛星を説明できるかどうかには議論が残った{{R|Fernandez2000}}。衛星の発見もハッブル宇宙望遠鏡以外によっては裏付けられていなかった{{R|McCarthy2007|Weaver1999}}。また、彗星の分裂に関してはそれまでにも観測されていたが{{R|Sekanina1997b}}、核の衛星が安定して存在することに関しては2017年に{{mpl|P/2006 VW|139}}で発見されるまで事例はなかった{{R|Agarwal2017}}。
[[ハッブル宇宙望遠鏡]]による最高解像度の画像でも、ヘール・ボップ彗星の画像には明らかに核が2つである形跡も無かったため、この論文の結論には観測天文学者らが反対した。また、彗星が分裂するのは以前にも観測されてきたが、核が安定した連星になったのはそれまでに観測されたことが無かった。彗星の核の質量が非常に小さいことを考えると、連星の核の軌道は太陽や[[惑星]]の重力によって簡単に乱されてしまうだろう。


== UFOの主張とその後 ==
[[補償光学]]を使った1997年後半と1998年前半の観測から、核の明るさには2回のピークがあったという主張がされた。しかし、核が連星であるということでしか説明できない観測があるかどうかという論争が存在し続けている。
{{See also|ヘヴンズ・ゲート (宗教団体)}}
1996年11月、[[テキサス州]]の[[ヒューストン]]でアマチュア天文家のChuck ShramekはCCDによりヘール・ボップ彗星を撮影したが近くにぼんやりとした細長い物体が映っていた。彼がコンピュータを用いて他の天体と照らし合わせても恒星を確認することはできなかった。そこで彼はArt Bell{{sub|{{small|([[:en:Art Bell|英語版]])}}}}による超常現象を扱う番組、{{仮リンク|Coast to Coast AM|en|Coast to Coast AM}}にヘール・ボップ彗星の後ろをついて行く土星状の物体を発見したと連絡した。[[遠隔透視]]の支持者などUFOの愛好家や[[エモリー大学]]政治学部教授、Courtney Brown{{sub|{{small|([[:en:Courtney Brown (researcher)|英語版]])}}}}はすぐにこれをヘール・ボップ彗星を追うエイリアンの宇宙船であると結論づけた{{R|TIME1997}}。


アラン・ヘールも含め、一部の天文学者はこの物体は単に8.5等星の[[スミソニアン天文台星表|SAO]] 141894(=[[ヘンリー・ドレイパーカタログ|HD]] 162115)であると主張した{{R|Hale1997}}。また、彼らはShramekのコンピュータの設定の誤りであるということにも気付いた{{R|Burnham2000}}。Art bellはUFOの発見を確認しようとしていたある匿名の天体物理学者から入手したと主張したが、[[ハワイ大学]]のOlivier Hainaut{{sub|{{small|([[:fr:Olivier Hainaut|フランス語版]])}}}}とDavid Tholen{{sub|{{small|([[:en:David J. Tholen|英語版]])}}}}は主張された写真がハワイ大学で彼らが撮影した彗星の画像を改変したものであると述べた{{R|Tholen1997}}。
== 妄想と迷信 ==
多くの文化で、彗星は悪いことの前兆であると歴史的に見られてきており、大きな疑念を持って見られていた。ヘール・ボップ彗星が発見されてから最接近するまでに非常に長い展開があったことと、それ以前の数十年間見られなかったほど大彗星であったためかもしれないが、この彗星は多くの奇妙な信仰や理論の主題となり、その出現が引き起こしたパニックの度合いにも特筆すべきものがあった。


1997年3月、宗教団体[[ヘヴンズ・ゲート (宗教団体)|ヘヴンズ・ゲート]]は彗星の後方を飛来している宇宙船にテレポートするために39人のメンバーが集団自殺を行った{{R|Robinson2006}}。
1996年11月に、[[テキサス州]][[ヒューストン]]のアマチュア天文家のチャック・シュラメックが、羽毛のように見える少し長く伸びた天体この彗星の[[CCDイメージセンサ|CCD]]画像を撮影した。彼のコンピュータ掃天プログラムがある恒星を識別しなかったので、シュラミックはラジオ番組[[アート・ベル]]に、彼がヘール・ボップ彗星に続いて来る「土星状の天体」を発見したと発表するように電話した。[[遠隔透視]]の提唱者である[[コートニー・ブラウン (遠隔透視者)|コートニー・ブラウン]]のような[[未確認飛行物体|UFO]]ファンたちは、それは彗星に続いてやって来る[[宇宙人]]の[[宇宙船]]だとすぐに結論付けた。実際には、その天体は単に8.5等の[[恒星]]であるSAO141894であり、シュラミックのコンピュータプログラムに出なかったのは利用者の選択が間違って設定されていただけだった。しかし、伝えられるところによれば、シュラミックはそれを指摘されても自分の間違いを認めるのを拒んだ。


脳を移植してエイリアンからエッセージを受け取ると主張したNancy Liederはヘール・ボップ彗星を追うUFOはフィクションで民衆の[[ニビル (仮説上の惑星)|ニビル]](Planet X)に対する興味を逸らそうとしたものだと述べた{{R|NYTimes19970328}}。彼女が黙示した最初の日付は2003年5月だったが何の事件も起こらかった。それでもニビルの到来を予測する様々なウェブサイトでは[[2012年人類滅亡説]]に結び付けられた{{R|Morrison2008}}。Liederらのニビルが存在するという主張は科学者らにより何度も反駁されている{{R|space2018}}。
後にアート・ベルも、その発見を確認しようとした匿名の天体物理学者からその天体の画像を得たと主張した。しかし、[[ハワイ大学]]の天文学者であるオリビエ・エノーとデービッド・トーレンは、持ち出された写真は、彼ら自身による彗星の画像のコピーを改竄したものだということを示した[http://www.sc.eso.org/~ohainaut/Hale_Bopp/hb_ufo_tholen.html]。


== その他 ==
数ヵ月後の1997年3月には、カルト団体である[[ヘヴンズ・ゲート (宗教団体)|ヘヴンズ・ゲート]]が、この彗星の出現を彼等の[[集団自殺]]の引き金として選んだ。彼らは、自分達がこの世の天体から彗星に続いて来る宇宙船に旅立つために出発するのだと主張した。
[[File:ESO-Comet Hale-Bopp-Phot-07a-01-hires.jpg|thumb|right|太陽から20億kmほど離れている場所で2001年に撮影されたヘール・ボップ彗星。写真は[[ヨーロッパ南天天文台]](ESO)による。]]
ヘール・ボップ彗星は観測可能な期間が長く、メディアでも大きく取り上げられたことからおそらく歴史上でもっとも多くの人に見られた彗星である。1986年の[[ハレー彗星]]よりもその衝撃は大きく、確実に見た人も多い。その例としてアメリカにはヘール・ボップ彗星を1997年4月9日に見た人は69%であるというデータがある{{R|eso19970925}}。


ヘール・ボップ彗星は数多くの記録を持つ彗星である。発見当時の太陽からの遠さはこれまでの彗星の中で最も遠く{{R|stardust}}、大きさでは直径が推測されているものの中では[[キロン (小惑星)|キロン彗星]]の次に大きく{{R|Fernandez2000}}、肉眼での観測記録がある期間はそれ以前の最長記録であった彗星の2倍更新した{{R|KidgerHurst1997}}。また、見かけの等級0等よりも明るくなった期間が8週間に及ぶのも最長である{{R|stardust}}。
== ヘール・ボップ彗星の遺産 ==

だが、ヘール・ボップ彗星を見たほとんどの人にとっては、それはただ単に夕暮れの空の美しく壮大な光景であった。見られた期間の長さとメディアの報道の活発さ、更に北半球での観測が容易であったことも重なり、この彗星は歴史上最も観測された彗星で、1986年の[[ハレー彗星]]の回帰よりも遥かに大きな衝撃を一般大衆に与えたかもしれないということが言えるし、確かにハレー彗星の前回の回帰よりも多くの人がこの彗星を見た。全く記録破りの彗星だった。太陽から最も遠いところで発見され、知られている中で最も核が大きく、それまで記録を保持していた彗星の2倍もの期間にわたって肉眼で見ることができた。また8週間もの間0等級以上であり、過去数千年間のどの彗星よりも長かった。
[[キャロライン・シューメーカー]]と夫、[[ユージン・シューメーカー]]は1997年7月18日、クレーターの調査のとき、自動車事故に巻き込まれた。夫ユージンは死亡し、のちにNASAの月探査機である[[ルナ・プロスペクター]]にカプセルに入った遺灰が運ばれ、[[宇宙葬]]が行われた。カプセルには晩年に見たヘール・ボップ彗星と宇宙飛行士の訓練を行ったアリゾナ大隕石孔の写真が添えられた{{R|nasa19980106}}。

== 脚注 ==
=== 注釈 ===
{{Reflist|group=注|refs=

<ref name="光度の比較について" group="注">見かけの等級第一位のシリウスが-1.46等、第二位のカノープスが-0.74等なのでそこから比較している。</ref>


== 出典 ==
{{reflist|refs=
<ref name="IAU minor">[http://cgi.minorplanetcenter.net/cgi-bin/returnprepeph.cgi?d=c&o=CJ95O010] [[国際天文学連合]]</ref>
}}
}}


== 参考文献 ==
=== 出典 ===
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<ref name="Marsden1997">{{Cite journal |last1=Marsden |first1=B. G. |journal=Earth, Moon, and Planets |volume=79 |issue=1/3 |year=1997 |pages=3–15 |issn=01679295 |doi=10.1023/A:1006268813208 |s2cid=121368997 |bibcode=1997EM&P...79....3M }}</ref>

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<ref name="Sekanina1997b">{{Cite journal |last=Sekanina |first=Z. |title=The problem of split comets revisited |journal=[[アストロノミー・アンド・アストロフィジックス|Astronomy and Astrophysics Letters]] |year=1997 |volume=318 |pages=L5–L8 |bibcode=1997A&A...318L...5S }}</ref>

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<ref name="Szabo2012">{{Cite journal |last1=Szabó |first1=Gyula M. |last2=Kiss |first2=László L. |last3=Pál |first3=András |last4=Kiss |first4=Csaba |last5=Sárneczky |first5=Krisztián |last6=Juhász |first6=Attila |last7=Hogerheijde |first7=Michiel R. |display-authors=1 |title=Evidence for Fresh Frost Layer on the Bare Nucleus of Comet Hale-Bopp at 32 AU Distance |journal=[[アストロフィジカルジャーナル|The Astrophysical Journal]] |volume=761 |issue=1 |year=2012 |pages=8 |issn=0004-637X |doi=10.1088/0004-637X/761/1/8 |arxiv=1210.2785 |s2cid=119197339 |bibcode= 2012ApJ...761....8S }}</ref>

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<ref name="TimeDiscovery">{{Cite news |title=Comet of the decade Part II |url=http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,986055,00.html |work=Time |date=1997-03-17 |first=Michael D. |last=Lemonick |accessdate=2020-12-20 }}</ref>

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}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[百武彗星]]
{{commonscat|Comet Hale-Bopp|ヘール・ボップ彗星}}
* [[1997年3月9日の日食]]
* [[1997年3月9日の日食]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{Commons category|Comet Hale-Bopp}}
* [http://www.cometography.com/lcomets/1995o1.html Cometography.com: Comet Hale-Bopp]
* [http://www.cometography.com/lcomets/1995o1.html Cometography.com: Comet Hale-Bopp]
* [http://www.jpl.nasa.gov/comet NASA Hale-Bopp page]
* [http://www.jpl.nasa.gov/comet NASA Hale-Bopp page]
* [https://web.archive.org/web/20110827030726/http://shadowandsubstance.com/Past%20graphics/Comet%20Hale-Bopp%20orbit.htm shadowandsubstance.com: 軌道図]
* [https://ssd.jpl.nasa.gov/sbdb.cgi?sstr=Hale-Bopp;orb=1 JPL Orbit Simulation (Accessed 10/6/08)]
* [https://web.archive.org/web/20070929083554/http://one.revver.com/watch/90657/flv/affiliate/14715 Comet Nucleus Animation]
* {{JPL Small Body|name=Hale-Bopp}}
* [http://www.astroarts.co.jp/news/2008/04/14c1995_o1/index-j.shtml ヘール・ボップ彗星が、彗星活動の最遠観測記録を更新(AstroArts 2008年4月14日)]
* [http://www.astroarts.co.jp/news/2008/04/14c1995_o1/index-j.shtml ヘール・ボップ彗星が、彗星活動の最遠観測記録を更新(AstroArts 2008年4月14日)]

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2020年12月28日 (月) 07:55時点における版

ヘール・ボップ彗星
Comet Hale–Bopp
1997年4月、近日点を少し通過した後のヘール・ボップ彗星
1997年4月、近日点を少し通過した後のヘール・ボップ彗星
仮符号・別名 C/1995 O1、1997年の大彗星
分類 長周期彗星
発見
発見日 1995年7月23日
発見者 アラン・ヘール
トーマス・ボップ英語版
軌道要素と性質
元期:2454724.5 TDB[1]
軌道長半径 (a) 186 au
離心率 (e) 0.995[1]
公転周期 (P) 2520[2] - 2533年[3]
2456.41年[1]
軌道傾斜角 (i) 089.2 °[1]
近点引数 (ω) 130.7 °[1]
昇交点黄経 (Ω) 282.9 °[1]
平均近点角 (M) 001.7 °[1]
前回近日点通過 1997年4月1日[4]
次回近日点通過 4385年12月25日?[3]
Earth MOID 0.116 au[1]
Jupiter MOID 0.00736 au[1]
物理的性質
直径 60 km[1]
アルベド(反射能) 0.04[1]
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ヘール・ボップ彗星英語: Comet Hale-Bopp、仮符号:C/1995 O1)は1997年ごろに明るくなった大彗星である。近日点通過後には見かけの等級は-1前後にものぼり、肉眼で18か月も見ることができた。これはそれ以前の最長記録1811年の大彗星英語版の8か月を大幅に上回った。そのため、ヘール・ボップ彗星は1997年の大彗星とも言われる。

発見

ヘール・ボップ彗星は1995年7月23日にアラン・ヘールトーマス・ボップ英語版が発見した[5]

ヘールは彗星を探そうと何時間もかけていたが成功せず、すでに知られている彗星をニューメキシコ州の自分の私道で追跡していたところ、偶然真夜中に発見した。そのときの見かけの等級は10.5でいて座球状星団M70の付近にあった[6][7]。ヘールはまずDSO英語版でないことを確かめ、さらに既知の彗星と照らし合わせ、M70付近には彗星が発見されていないことが分かった。背景にあった恒星に対してその天体が動いたため彼は天文電報中央局にメールを送った[8]

ボップは自身の望遠鏡を持っていなかった。彼が友人とアリゾナ州スタンフィールド英語版で星団や銀河を観測していたとき、偶然発見した。彼は新しい天体を発見したと思い、ヘールのように別のDSOがないか確認し何もないことが分かった。そして彼はウエスタンユニオンを介して天文電報中央局に連絡した。当時天文電報中央局に務めていたブライアン・マースデンは「電報で(ヘール・ボップ彗星の発見が)送られたのは初めてだ」と笑いながら言い、「つまり、アラン・ヘールが3回座標をメールで送ってきたということだ。」と言った[9]

翌朝、未知の彗星であることが確認され、仮符号はC/1995 O1 とされた。これはIAU Circular英語版第6187号で公表された[6][10]

初期の観測

ヘール・ボップ彗星発見当初の軌道の位置は太陽から7.3auの場所にあり、木星と土星の間ぐらいであった[11][12]。ほとんどの彗星はこの距離ではかなり薄暗く見え、識別できないぐらいであるが、ヘール・ボップ彗星はコマを観測することができた[6]。また、アングロ・オーストラリアン望遠鏡英語版の1993年の画像にも注目されないまま残っており、後になって太陽から13.1auという距離で発見された[13]。この距離ではほとんどの彗星は観測不可能で、ハレー彗星が同じ距離にあったとしても100倍ほど暗い[14]。後の分析によると彗星のは直径60 ± 20kmでハレー彗星の6倍もある[1][15]

このような条件からヘール・ボップ彗星は1997年に近日点に到達したときに明るくなると予想された。しかし、彗星科学者らは彗星がアウトバーストを引き起こしてその結果光度が減少していくことを警戒していた。その例としては1973年のコホーテク彗星があり、今世紀最大と謳われていたが見栄えのしない姿になった[8]

近日点通過

1997年近日点通過前に肉眼でも見られたヘール・ボップ彗星
恒星の位置を基準とした2週間ごとのハレー彗星の位置。

ヘール・ボップ彗星は1996年5月には肉眼でも見られるようになった。1996年下半期は光度の上昇率がかなり遅かった[16]が、科学者らは彗星が明るくなることを警戒しながらも楽観視していた。1996年12月には地球からみて太陽と同じ方向にあったため観測できないこともあったが1997年1月に再出現したときは光害を受けた大都市ですらも見ることができた[17]

当時はインターネットも進化し始めており、ヘール・ボップ彗星を追跡するウェブサイトや世界中の画像を提供するウェブサイトが極めて人気を集めた。このようにインターネットは民衆へヘール・ボップ彗星への興味を促進する一因となった[18]

ヘール・ボップ彗星が太陽に近づいたとき、しだいに明るくなってゆき2月には2等級になった。尾も成長が見られ始め、青くて直線のタイプIの尾と黄色くて軌道に沿ったタイプIIの尾が見られるようになった。3月9日には中国やモンゴル、シベリア東部などで日食が見られ、昼間でも観測できる機会があった[19]。地球に最も近づいたのはは1997年3月22日でその距離は1.315auであった[20]

ヘール・ボップ彗星は1997年4月1日に近日点を通過するとピーク時には-1等級程度となりシリウス以外の全ての恒星よりも明るくなり[注 1][21][22][23]、尾は45 °にわたった[24]。空が完全に暗くなるより前でもよく見えるようになり、北半球では一晩中観測できた[25]

近日点通過後

近日点通過後、ヘール・ボップ彗星は南半球の方へ移動していった。南半球からの観測は北半球からの観測より感銘を与えるようなものではなかったものの、1997年下半期には徐々に消えていく様子を観測することができた。肉眼で最後に観測されたのは1997年12月でこれは肉眼での観測が569日(=18.7か月)間できたということである[16]。ヘール・ボップ彗星以前の肉眼観測最長記録は1811年の大彗星英語版の9か月であり、2倍以上の更新となった[16]

後退して肉眼では見えなくなった後も天文学者によって追跡が行われた。2007年10月には太陽から25.7auの地点でも一酸化炭素による活動を行っていたことが明らかになっている[26]ハーシェル宇宙天文台により2010年に撮影された画像からはヘール・ボップ彗星は霜に覆われたような層から成ることが示唆された[27]。2010年12月には太陽から30.7au離れている地点でも再び検出され[28]、2012年8月7日には太陽から33.2auの地点でも検出された[29]。天文学者らは2020年ごろになると見かけの等級が30ぐらいになりその頃にまで見られるだろうと予測した。その時までにはヘール・ボップ彗星と他の無数の銀河を識別することは非常に難しくなる[30]

軌道の変化

1997年4月1日接近時のヘール・ボップ彗星の軌道。
ヘール・ボップ彗星の軌道
真上から見た図
真横から見た図
      ヘール・ボップ彗星 ·       水星 ·       金星  ·       地球  ·       火星  ·       木星

ヘール・ボップ彗星は約4200年前の紀元前2215年7月にも近日点を通過した可能性がある[31][32]。1.4auほど地球に接近したと推定され、エジプト第6王朝ペピ2世の治世の頃に観測された可能性がある。ペピ2世のサッカラにあるピラミッドには"nhh-star"というものについて言及しており、nhhとは長い髪を表すヒエログリフであることからヘール・ボップ彗星であると考えられている[33]

ヘール・ボップ彗星は紀元前2215年7月の接近より前にに木星と衝突しそうになったことがあり、おそらく元の軌道から軌道が変わったと考えられている。また、太陽系の内側を通過したのはこの時が初めてである可能性がある[32]。現在のヘール・ボップ彗星の軌道は黄道面と垂直なので惑星との接近は珍しい。しかし、1996年4月には木星と0.77auという距離で接近しており、重力により軌道が変わってもおかしくないぐらいの近さである[31]。それにより公転周期は大まかに見ると2533年ほどに縮まりさらに摂動により縮まることを想定すると、次に回帰してくるのは4385年だと推測されている[3]。太陽からの遠日点は525au[32]から363auになると推測されている[1]

ヘール・ボップ彗星が将来地球に衝突する可能性は非常に低く、1回の公転につき2.54×10−9程度の確率である[34]。しかし、彗星核が直径にして60kmである[1]ことを考慮するとその影響は地球を破滅させるほど大きい。Paul R. Weissmanは直径を35km、平均密度を0.6g/cm3、質量を1.3×1019kgとしたところ、速度は52.5 km/s、衝突によるエネルギーは1.9×1032ergにもなると算出した。これはTNT換算では4.4×109メガトンになり、白亜紀の大量絶滅際の4.4倍にも及ぶ[34]

一般的に軌道傾斜角が大きく、近日点距離が小さい彗星は重力による摂動の影響で近日点距離が非常に小さくなる。そのため、ヘール・ボップ彗星も太陽をかすめるように通過するサングレーザーになる可能性がある[35]

研究による成果

ヘール・ボップ彗星は近日点通過の間、多くの天文学者によって観測され、彗星科学に大いな貢献をもたらした。ヘール・ボップ彗星のダストの生成速度は2.0×106 kg/sと非常に速いことが分かり[36]、それによりコマ内部の光学的厚さが大きくなっていると分かった[37]。ダストの温度やアルベドは高く、10μm程度のケイ酸塩から成るという特性から天文学者らはヘール・ボップ彗星のダストに関して、他の観測されている彗星よりもダストが小さいと結論づけた[38]

ヘール・ボップ彗星は過去、観測された彗星の中でも非常に強力な直線偏光を示した。このような偏光はコマ内のダストが太陽からの光を散乱させているためであり、これはダストの性質によるものである。さらに、また、直線偏光についてハレー彗星と比較した結果、ヘール・ボップ彗星のコマ内のダストが他の彗星で推測されているようなダストよりも小さいということが分かっている[39]

ナトリウムの尾

ヘール・ボップ彗星のナトリウムを含んだ尾。細長い方[40]と拡散している方があるが、拡散している方はダストの尾と混合しており、拡散しているナトリウムの尾だけを見るにはそれを差し引く処理が必要となる[41]

ヘール・ボップ彗星の研究における最も著しい発見として彗星の第3の尾が発見されたことがあげられる。一般的に知られていたガスの尾、ダストの尾に次いでナトリウムの尾が発見された。ナトリウムを放出していること自体は他の彗星でも観測されていたが尾で見られたのはこれが初めてである。ナトリウムの尾はイオンではなく中性原子から成り[40]数千万kmにまで伸びる[42]

ナトリウムの尾はGabriele Cremoneseらによって発見された当初は図の左上へと伸びているものだけしかないと考えられていた[40]。しかし、J. K. Wilsonらによる研究では右側に拡散しているダストの尾に重なる形でナトリウムの尾、つまりはヘール・ボップ彗星の第4の尾が存在することが発見された[41]。これらを区別するために最初に発見された細く伸びた方のナトリウムの尾は英語でnarrow sodium tailと呼ばれ、後に発見された広く拡散している方のナトリウムの尾は英語でdiffuse sodium tailと呼ばれる[43](日本語の定訳なし)。

narrow sodium tailは中性ナトリウム原子に放射圧が加えられることによって起こる[40]のに対し、diffuse sodium tailはダストと共にナトリウム原子が放出されることにより起こる[43]。この2つの尾に関しては起源が違う可能性もある[43]

重水素

ヘール・ボップ彗星に含まれる重水素重水分子となっており、地球の海洋にある量の2倍あることが分かっている。もしこれが他の彗星でもありきたりなことであったとすると、地球上の水の大半は彗星の衝突でもたらされたものであるという説は通らなくなる[44]

重水素は重水以外の水素化合物としても検出されている。重水素の軽水素に対する割合は化合物によりまちまちで、天文学者らは彗星の氷は原始太陽系星雲が起源ではなく、星間雲で形成されるものであると提唱している。星間雲での氷の形成モデルではヘール・ボップ彗星は約25 - 45 Kで形成される[44]

有機物

ヘール・ボップ彗星の分光観測では多くの有機物が発見され、中にはこれまで彗星では検出されなかったものもあった。これらの分子は彗星核内部にあるか彗星で化合している可能性がある[45]

アルゴンの検出

ヘール・ボップ彗星は初めて貴ガスアルゴンが発見された彗星でもある[46]。貴ガスは化学的に不活性で揮発性が低いものから高いものまである。また、貴ガスによって昇華点は異なり、他の元素との反応性も低いため彗星の氷の温度を求める時に使われる。ネオンのヘール・ボップ彗星における量は太陽での存在度よりも25倍も小さい[47]が、アルゴンは昇華点が高いため太陽の存在度と比較して多い[46]。これらの結果からヘール・ボップ彗星内部の温度は35 - 40Kよりも小さく、彗星の一部では16 - 20Kよりも大きい場所があるということが分かっている。原始太陽系星雲が想定よりも温度が低くなく、アルゴンが多くない限り、ヘール・ボップ彗星は海王星より向こうのエッジワース・カイパーベルトで形成され、オールトの雲に移ってきたということになる[46]

自転

ヘール・ボップ彗星のガス放出は一様に広がっているわけではなく、いくつかの特定のジェットから放出されている。ジェットからの物質の流れの観測により[48]、自転周期は11.46時間(=11時間27.6分)であることが分かっている[49]

衛星保持説とその疑惑

1997年、1995年10月にヘール・ボップ彗星でも観測されたダストの放出のパターンを完全に説明するために核が2つ存在する(=一方が衛星のようになる)と仮定した論文が公表された。この論文では理論上の分析に基づき、衛星となる核の発見は主張せずに、直径70kmの主の核の付近に直径30kmのものが存在し、180km離れた場所を2、3日で公転すると推定した[50]。この分析結果は1996年、ハッブル望遠鏡広域惑星カメラ2を用いて衛星があることが明らかにされた[50]

1997年後半から1998年早期の補償光学を用いて核の明るさに2回のピークが現れたにもかかわらず[51]、ハッブル宇宙望遠鏡の観測で核の衛星を説明できるかどうかには議論が残った[15]。衛星の発見もハッブル宇宙望遠鏡以外によっては裏付けられていなかった[52][53]。また、彗星の分裂に関してはそれまでにも観測されていたが[54]、核の衛星が安定して存在することに関しては2017年にP/2006 VW139で発見されるまで事例はなかった[55]

UFOの主張とその後

1996年11月、テキサス州ヒューストンでアマチュア天文家のChuck ShramekはCCDによりヘール・ボップ彗星を撮影したが近くにぼんやりとした細長い物体が映っていた。彼がコンピュータを用いて他の天体と照らし合わせても恒星を確認することはできなかった。そこで彼はArt Bell(英語版)による超常現象を扱う番組、Coast to Coast AM英語版にヘール・ボップ彗星の後ろをついて行く土星状の物体を発見したと連絡した。遠隔透視の支持者などUFOの愛好家やエモリー大学政治学部教授、Courtney Brown(英語版)はすぐにこれをヘール・ボップ彗星を追うエイリアンの宇宙船であると結論づけた[56]

アラン・ヘールも含め、一部の天文学者はこの物体は単に8.5等星のSAO 141894(=HD 162115)であると主張した[57]。また、彼らはShramekのコンピュータの設定の誤りであるということにも気付いた[58]。Art bellはUFOの発見を確認しようとしていたある匿名の天体物理学者から入手したと主張したが、ハワイ大学のOlivier Hainaut(フランス語版)とDavid Tholen(英語版)は主張された写真がハワイ大学で彼らが撮影した彗星の画像を改変したものであると述べた[59]

1997年3月、宗教団体ヘヴンズ・ゲートは彗星の後方を飛来している宇宙船にテレポートするために39人のメンバーが集団自殺を行った[60]

脳を移植してエイリアンからエッセージを受け取ると主張したNancy Liederはヘール・ボップ彗星を追うUFOはフィクションで民衆のニビル(Planet X)に対する興味を逸らそうとしたものだと述べた[61]。彼女が黙示した最初の日付は2003年5月だったが何の事件も起こらかった。それでもニビルの到来を予測する様々なウェブサイトでは2012年人類滅亡説に結び付けられた[62]。Liederらのニビルが存在するという主張は科学者らにより何度も反駁されている[63]

その他

太陽から20億kmほど離れている場所で2001年に撮影されたヘール・ボップ彗星。写真はヨーロッパ南天天文台(ESO)による。

ヘール・ボップ彗星は観測可能な期間が長く、メディアでも大きく取り上げられたことからおそらく歴史上でもっとも多くの人に見られた彗星である。1986年のハレー彗星よりもその衝撃は大きく、確実に見た人も多い。その例としてアメリカにはヘール・ボップ彗星を1997年4月9日に見た人は69%であるというデータがある[64]

ヘール・ボップ彗星は数多くの記録を持つ彗星である。発見当時の太陽からの遠さはこれまでの彗星の中で最も遠く[20]、大きさでは直径が推測されているものの中ではキロン彗星の次に大きく[15]、肉眼での観測記録がある期間はそれ以前の最長記録であった彗星の2倍更新した[16]。また、見かけの等級0等よりも明るくなった期間が8週間に及ぶのも最長である[20]

キャロライン・シューメーカーと夫、ユージン・シューメーカーは1997年7月18日、クレーターの調査のとき、自動車事故に巻き込まれた。夫ユージンは死亡し、のちにNASAの月探査機であるルナ・プロスペクターにカプセルに入った遺灰が運ばれ、宇宙葬が行われた。カプセルには晩年に見たヘール・ボップ彗星と宇宙飛行士の訓練を行ったアリゾナ大隕石孔の写真が添えられた[65]

脚注

注釈

  1. ^ 見かけの等級第一位のシリウスが-1.46等、第二位のカノープスが-0.74等なのでそこから比較している。

出典

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関連項目

外部リンク