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[[File:Rio tinto river CarolStoker NASA Ames Research Center.jpg|thumb|right|[[スペイン]]の{{仮リンク|リオ・ティント川|en|Rio Tinto (river)}}。強酸の河川水に鉱山由来の重金属が溶解している。]]
{{Expand English|Environmental impact of mining|date=2020年9月}}
'''鉱害'''(こうがい)とは、[[鉱山]]活動を通じて、地域、地球規模で発生する[[公害]]である。鉱害では土地の浸食や[[シンクホール]]の生成、[[生物多様性]]への影響、または採掘過程で排出される化学物質による土壌、地下水、地表水の汚染が問題となる。また、[[炭素]]排出による人間の健康と生物多様性の質に影響もある<ref>{{Cite journal|last=Laura J.|first=Sonter|date=December 5, 2018|title=Mining and biodiversity: key issues and research needs in conservation science|journal= Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences|volume=285|issue=1892|pages=20181926|doi=10.1098/rspb.2018.1926|pmc=6283941|pmid=30518573}}</ref> 。 採掘法の中には、環境と公衆衛生に重大な影響を及ぼすものもあり、一部の国では、採掘された地域が元の状態に戻るように、鉱山事業者は厳しい環境・原状回復に関する規制に従うことを求められている。


== 土地の浸食 ==
'''鉱害'''(こうがい)とは、[[鉱業]]([[鉱物]]資源の採掘活動)が原因で発生する[[公害]]のこと。
露出した丘陵地の侵食や鉱山ダンプ、[[鉱滓ダム]]、排水路、小川、河川の沈下は、周辺地域に大きな影響を与えることがある。[[パプアニューギニア]]の巨大な{{仮リンク|オク・テディ鉱山|en|Ok Tedi Mine}}がその一例であり、原生林で[[生態系]]や生息地の破壊を引き起こし、農地では、放牧地や農地での生産活動に影響している<ref>{{Cite journal|last1=Zhang|first1=Ling|last2=Wang|first2=Jinman|last3=Bai|first3=Zhongke|last4=Lv|first4=Chunjuan|date=2015-05-01|title=Effects of vegetation on runoff and soil erosion on reclaimed land in an opencast coal-mine dump in a loess area|url=http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0341816215000211|journal=CATENA|language=en|volume=128|pages=44–53|doi=10.1016/j.catena.2015.01.016|issn=0341-8162}}</ref>。


== 陥没 ==
古くは[[金属]]生産が優先されたことから、被害が見過ごされ、時には拡大し、地域住民のみならず周辺環境にも大きな打撃を与える例が観られた。日本では、[[鉱業法]]が施行され、鉱害の発生が抑止されている。


[[Image:2008-05-23 Haus Ecke Kamp und Johowstrasse.JPG|thumb|ドイツの{{仮リンク|グラートベック|en|Gladbeck}}の住宅。 鉱山開発による陥没穴の影響で亀裂が入っている。|188x188px]]
==事例==
鉱山やその周辺の[[シンクホール]]は、通常、資源の採掘による鉱山の崩落、{{仮リンク|オーバーバーデン|en|overburden}}の脆弱化、または地質学的な不連続性によって引き起こされる<ref>{{Cite journal|last=Singh|first=Kalendra B.|date=1997|title=Sinkhole subsidence due to mining|url=|journal=Geotechnical & Geological Engineering|volume=15|issue=4|pages=327–341|doi=10.1007/BF00880712|s2cid=140168064}}</ref>。 鉱山のオーバーバーデンは、下層土や岩盤に空洞を形成し、その上にある地層からの土砂や土砂で埋め尽くされる可能性がある。このようなオーバーバーデンの空洞は、最終的には陥没して地表にシンクホールを形成する可能性がある。突然の土石の崩壊は、何の前触れもなく地表に大きな窪みを形成し、生命や財産に重大な危険が及ぶことがある<ref name=":0">{{cite journal |last1=Singh |first1=Kalendra B. |last2=Dhar |first2=Bharat B. |title=Sinkhole subsidence due to mining |journal=Geotechnical and Geological Engineering |date=December 1997 |volume=15 |issue=4 |pages=327–341 |doi=10.1007/BF00880712|s2cid=140168064 }}</ref>。 鉱山の陥没穴は、陥没しやすい区域が拡大しないよう、支持などを適切に設計したり、障壁を建設したりすることで緩和することができる。また廃鉱では、その崩壊を防ぐ手段として、埋め戻しや[[グラウト]]の注入が行われることがある。
*[[精錬]]に伴う[[二酸化硫黄|亜硫酸ガス]]の発生
*[[鉱山]]周辺や流域の[[土壌汚濁]]、[[水質汚濁]]
**ズリ山([[ボタ山]])から[[重金属]]の流出
**強[[酸]]性排水の流出
*坑道・[[油井]]・[[ガス井]]の[[地盤沈下]]
**鉱山付近にある温泉での湯量不足(鉱山が坑内で湧出する温泉を普通の排水として捨てていた)
*亜ヒ酸([[三酸化二ヒ素]])製造に伴う亜ヒ酸ガスや亜硫酸ガスの発生。
*[[露天掘り]]鉱山における[[粉塵]]


== 関連項目 ==
==水質汚染==

鉱山活動は周辺の[[地表水]]や[[地下水]]に有害な影響を及ぼす。適切な予防措置を怠ると、[[ヒ素]]、[[硫酸]]、[[水銀]]などの化学物質によってかなりの面積の地表水や地下水が汚染される<ref>{{cite web|url=http://ngm.nationalgeographic.com/2009/01/gold/larmer-text/3|title=January 2009|website=ngm.nationalgeographic.com|accessdate=2020-09-07}}</ref>。 鉱山の排水や冷却、汲み上げなど、採掘では大量の水が使用されているため、地下水や地表水はこうした化学物質に汚染されやすい。また、これらの化学物質を含む流水は、周囲の[[植生]]を荒廃させることがある。そのため、流出水を表層や森林に投棄することは避け、[[鉱滓]]を海底に処分するべきという主張もある(廃棄物を非常に深くまで沈めることが条件)<ref>{{cite web|url=http://ngm.nationalgeographic.com/2009/01/gold/larmer-text/6|title=January 2009|website=ngm.nationalgeographic.com|accessdate=2020-09-07}}</ref> 。化学物質の流出による流域の汚染は、地域住民の健康問題となることもある<ref>{{Cite web|url=https://www.usgs.gov/special-topic/water-science-school/science/mining-and-water-quality?qt-science_center_objects=0#|title=Mining and Water Quality|website=www.usgs.gov|access-date=2020-04-21}}</ref>。

環境規制に配慮した鉱山では、水質学者や地質学者が水の測定を慎重に行い、鉱山の操業によって引き起こされるあらゆる種類の[[水質汚染]]を排除するための予防策を講じている。アメリカでは環境への影響を最小限に抑えるため、連邦法と州法が定めた鉱業慣行の規制があり、地表水と地下水を保護するための基準を満たすよう事業者を制限している<ref>The principal federal laws are:
* [[Resource Conservation and Recovery Act]] (solid waste management and groundwater protection). {{uspl|94|580}}, {{USC|42|6901}}
* [[Clean Water Act]] (surface water pollution control). {{uspl|92|500}}, {{USC|33|1251}}</ref>。 これは、{{仮リンク|バイオリーチング|en|bioleaching}}([[微生物]]による処理)のような非毒性の抽出方法を使用することによって効果的に行われる<ref>{{Cite journal|last=Asante|first=Ramseyer|date=March 29, 2017|title=Environmental Impact of Mining|url=|journal=Global Congress on Process Safety|volume=|pages=|via=}}</ref>。

===酸性鉱山廃水(AMD)===
{{main|:en:Acid mine drainage}}

地下での採掘は水位より下で進行することが多いため、浸水を防ぐためには常に坑道から水を汲み上げなければならない。鉱山が閉山されると、水の汲み上げが止まり、鉱山が浸水する。ほとんどの酸性岩由来の排水はこの水がきっかけになることが多い。[[File:Lagoa vermelha na Mina do Losal 05.jpg|thumb|right|[[ポルトガル]]の酸性鉱山の排水]]
酸性の岩石による排水は、岩石の風化過程の一部として自然に発生することもあるが、通常、採掘やその他の大規模な建設活動特有の大規模な地盤のかく乱によって、硫化物鉱物を豊富に含む岩石で悪化する。地盤が乱された地域(建設現場、関連施設、輸送路など)では、酸性岩由来の排水が発生することがある。多くの地域では、石炭の貯蔵所、取扱施設、洗浄場、廃棄所から排水される液体が強酸性になることがあり、そのような場合には酸性鉱山排水(AMD)として扱われる。また、大規模な海面上昇が起きると、沿岸・河口条件で形成された酸性の[[硫酸塩]]を含む土壌が撹乱され、同様の化学反応やプロセスが発生し、環境問題となることがある。
鉱山排水を監視・制御するために、分水、ため池への封じ込め、地下水の汲み上げ、 地下への排水、地下での障壁の建設が有効である。AMDの場合、汚染水は一般的に汚染物質を中和する処理施設に汲み上げられる<ref>{{cite web|url=http://itech.fgcu.edu/faculty/ndemers/Miningconference/mcindex.htm|title=Mining conference 2008|website=itech.fgcu.edu|accessdate=2020-09-07}}</ref> 。 2006年の環境影響評価書のレビューでは、「緩和の効果を考慮した後に行われた水質予測は、地下水、浸食層、表流水への実際の影響を著しく過小評価している」ことが明らかになった<ref>Maest et al. 2006.[http://www.asmr.us/Publications/Conference%20Proceedings/2006/1122-Maest-CO.pdf Predicted Versus Actual Water Quality at Hardrock Mine Sites: Effect of Inherent Geochemical and Hydrologic Characteristics].</ref>。

===重金属===
流出水や地下水による[[金属]]や[[重金属]]の溶解・流出も、[[ブリティッシュ・コロンビア]]州[[バンクーバー]]近郊の旧銅鉱山{{仮リンク|ブリタニア鉱山|en|Britannia Beach, British Columbia}}など、鉱山の環境問題の一例である。[[オクラホマ州]][[ピッチャー]]の廃鉱地で、現在は[[アメリカ合衆国環境保護庁]]の{{仮リンク|スーパーファンド法|en|Superfund}}の保護対象となっている{{仮リンク|タール・クリーク|en|Tar Creek Superfund site}}も重金属汚染が問題視されており、[[鉛]]や[[カドミウム]]などの重金属が溶存した鉱山の排水によって地下水が汚染された<ref>{{cite web|url=http://www.health.state.ok.us/PROGRAM/envhlth/sites/ottawa.html|title=Ottawa County, Oklahoma Hazardous Waste Sites<!-- Bot generated title -->|access-date=2009-07-26|archive-url=https://web.archive.org/web/20080220055930/http://www.health.state.ok.us/PROGRAM/envhlth/sites/ottawa.html|archive-date=2008-02-20|url-status=dead}}</ref> 。 [[キプロス]]の廃銅鉱山{{仮リンク|スクーリオティッサ|en|Cyprus Mines Corporation}}では、長期に保管された鉱滓や粉塵が風で飛ばされたことが汚染の原因となった。[[地球温暖化]]や採掘活動の増加などによる環境変化で、河川堆積物中の重金属の含有量を増加する可能性が指摘されている<ref>{{Cite journal|last1=Huang|first1=Xiang|last2=Sillanpää|first2=Mika|last3=Gjessing|first3=Egil T.|last4=Peräniemi|first4=Sirpa|last5=Vogt|first5=Rolf D.|date=2010-09-01|title=Environmental impact of mining activities on the surface water quality in Tibet: Gyama valley|journal=The Science of the Total Environment|volume=408|issue=19|pages=4177–4184|doi=10.1016/j.scitotenv.2010.05.015|issn=1879-1026|pmid=20542540|bibcode=2010ScTEn.408.4177H}}</ref>。

==生物多様性への影響==

[[File:Tabubil-world_wind.png|thumb|鉱山の[[尾鉱]]で汚染された{{仮リンク|オキ・テディ川|en|Ok Tedi River}}]]
鉱山を埋設することで生物の生息地を大きく変え、開発区域を越えて大規模に発生し、鉱山廃棄物の残留物による環境汚染などが起きる。鉱山の閉山後も、悪影響は長期間にわたって観察される可能性がある<ref name=art1>{{cite journal|last1=Jung|first1=Myung Chae|last2=Thornton|first2=Iain|title=Heavy metals contamination of soils and plants in the vicinity of a lead-zinc mine, Korea|journal=Applied Geochemistry|date=1996|volume=11|issue=1–2|pages=53–59|doi=10.1016/0883-2927(95)00075-5|bibcode=1996ApGC...11...53J}}</ref> 。生息地の破壊が生物多様性の損失の主な要因であるが、鉱山から抽出された物質による直接的な被毒や、食物や水を介した間接的な被毒は、[[動物]]や[[植物]]、[[微生物]]にも影響を与える。[[pH]]や[[温度]]の変化などの生息地の環境変化は、周辺地域の生物群集を撹乱する。特に[[固有種]]は、非常に特殊な環境条件を必要とするため、影響を受けやすく、生息地の破壊やわずかな環境変化によって[[絶滅]]の危険にさらされやすい。また動植物の生息地への影響を無視して周囲に廃棄された鉱山からの岩石のような非化学的な産物によっても損傷を受ける可能性がある<ref name=art3>{{cite journal|last1=Diehl|first1=E|last2=Sanhudo|first2=C. E. D|last3=DIEHL-FLEIG|first3=Ed|title=Ground-dwelling ant fauna of sites with high levels of copper|journal=Brazilian Journal of Biology|date=2004|volume=61|issue=1|pages=33–39|doi=10.1590/S1519-69842004000100005|pmid=15195362|doi-access=free}}</ref>。

[[重金属]]の濃度は鉱山からの距離とともに減少することが知られており<ref name="art1" /> 、[[生物多様性]]への影響も同じ傾向がある。影響は、汚染物質の移動性と[[バイオアベイラビリティ]]によって大きく変化する可能性がある。例えば、堆積物中の[[金属イオン]]の溶解は、それらのバイオアベイラビリティを変更し、水生生物に対する毒性を変えることがある<ref name=art13>{{cite journal|last1=Tarras-Wahlberga|first1=N.H.|last2=Flachier|first2=A.|last3=Lanec|first3=S.N.|last4=Sangforsd|first4=O.|title=Environmental impacts and metal exposure of aquatic ecosystems in rivers contaminated by small scale gold mining: the Puyango River basin, southern Ecuador|journal=The Science of the Total Environment|date=2001|volume=278|issue=1–3|pages=239–261|doi=10.1016/s0048-9697(01)00655-6|pmid=11669272|bibcode=2001ScTEn.278..239T}}</ref>。

[[生物濃縮]]は汚染された生息地で深刻なものになる。生物多様性に対する鉱業の影響は、暴露された生物を直接殺すほどの濃度ではなくても、この現象により、[[食物連鎖]]の上位にいる種にとってはより大きなものになる<ref>{{Cite journal|last1=Cervantes-Ramírez|first1=Laura T.|last2=Ramírez-López|first2=Mónica|last3=Mussali-Galante|first3=Patricia|last4=Ortiz-Hernández|first4=Ma. Laura|last5=Sánchez-Salinas|first5=Enrique|last6=Tovar-Sánchez|first6=Efraín|date=2018-05-18|title=Heavy metal biomagnification and genotoxic damage in two trophic levels exposed to mine tailings: a network theory approach|journal=Revista Chilena de Historia Natural|volume=91|issue=1|pages=6|doi=10.1186/s40693-018-0076-7|issn=0717-6317|doi-access=free}}</ref>
<ref name=art11>{{cite journal|last1=Pyatt|first1=F. B.|last2=Gilmore|first2=G.|last3=Grattan|first3=J. P.|last4=Hunt|first4=C. O.|last5=McLaren|first5=S.|title=An Imperial Legacy? An Exploration of the Environmental Impact of Ancient Metal Mining and Smelting in Southern Jordan|journal=Journal of Archaeological Science|date=2000|volume=27|issue=9|pages=771–778|doi=10.1006/jasc.1999.0580|citeseerx=10.1.1.579.9002}}</ref> 。

採掘による生物多様性への悪影響は、汚染物質の性質、環境中に存在する濃度、生態系そのものの性質に大きく左右される。人為的な撹乱に対して非常に抵抗力のある種もあれば、汚染された地域から完全に消滅する種もある<ref name=art7>{{cite journal|last1=Mummey|first1=Daniel L.|last2=Stahl|first2=Peter D.|last3=Buyer|first3=Jeffrey S.|title=Soil microbiological properties 20 years after surface mine reclamation: spatial analysis of reclaimed and undisturbed sites|journal= Soil Biology and Biochemistry|date=2002|volume=34|issue=11|pages=1717–1725|doi=10.1016/s0038-0717(02)00158-x}}</ref>。長期間を経ても生息地が汚染から完全に回復することは難しい。

==水生生物への影響==

鉱業はさまざまな方法で水生生物の多様性に影響を与える可能性がある。汚染物質が堆積物中で移動している場合<ref name=art2>{{cite journal|last1=Steinhauser|first1=Georg|last2=Adlassnig|first2=Wolfram|last3=Lendl|first3=Thomas|last4=Peroutka|first4=Marianne|last5=Weidinger|first5=Marieluise|last6=Lichtscheidl|first6=Irene K.|last7=Bichler|first7=Max|title=Metalloid Contaminated Microhabitats and their Biodiversity at a Former Antimony Mining Site in Schlaining, Austria|journal=Open Environmental Sciences|date=2009|volume=3|pages=26–41|doi=10.2174/1876325100903010026|doi-access=free}}</ref><ref name=art8>{{cite journal|last1=Niyogi|first1=Dev K.|last2=William M.|first2=Lewis Jr.|last3=McKnight|first3=Diane M.|title=Effects of Stress from Mine Drainage on Diversity, Biomass, and Function of Primary Producers in Mountain
Streams|journal=Ecosystems|volume=6|date=2002|issue=5|pages=554–567|doi=10.1007/s10021-002-0182-9|s2cid=17122179}}</ref>や水中<ref name="art2" />で生物学的に作用する場合は、より高いリスクとなる。鉱山排水は水のpHを変化させる可能性があり<ref name=art14>{{cite journal|last1=Ek|first1=A. S.|last2=Renberg|first2=I.|title=Heavy metal pollution and lake acidity changes caused by one thousand years of copper mining at Falun, central Sweden|journal=Journal of Paleolimnology|date=2001|volume=26|issue=1|pages=89–107|doi=10.1023/A:1011112020621|s2cid=130466544}}</ref>、生物への直接的な影響とpH変化による影響を区別することは困難である。にもかかわらず、pHの変化によって水生生物への影響が引き起こされることが証明されている<ref name="art8" /> 。 汚染物質は物理的な影響を介しても水生生物にも影響を与える可能性がある<ref name=art15>{{cite journal|last1=RYAN|first1=PADDY A.|title=Environmental effects of sediment on New Zealand streams: a review|journal=New Zealand Journal of Marine and Freshwater Research|date=1991|volume=25|issue=2|pages=207–221|doi=10.1080/00288330.1991.9516472}}</ref> 金属酸化物の堆積は、[[藻類]]またはその基質を覆うことで個体数を減少させ、その群生を妨害する<ref name="art8" />。

[[File:Osisko lake.JPG|thumb|汚染された[[カナダ]]の{{仮リンク|オジスコ湖|en|Joan Gaspart}}]]

酸性鉱山排水地の生物群集に影響を与える要因は、季節でも変化する。温度、降雨量、pH、塩分濃度、金属量はすべて長期的に変化し、生物集団に大きな影響を与える可能性がある。pHや温度の変化は金属の溶解度に影響を与え、それによって生物に直接影響を与える生物利用可能量に影響を与える可能性がある。さらに、その影響は長期間に持続する。例えば90年前に閉山した黄鉄鉱鉱山では、水のpHはまだ非常に低く、微生物の個体群は主に酸球菌で構成されていたことが確かめられた<ref name=art6>{{cite journal|last1=Kimura|first1=Sakurako|last2=Bryan|first2=Christopher G.|last3=Hallberg|first3=Kevin B.|last4=Johnson|first4=D. Barrie|title=Biodiversity and geochemistry of an extremely acidic, low-temperature subterranean environment sustained by chemolithotrophy|journal=Environmental Microbiology|date=2011|volume=13|issue=8|pages=2092–2104|doi=10.1111/j.1462-2920.2011.02434.x|pmid=21382147}}</ref>。

水生生物に対する毒性が極めて強いとされた大きな事例として、水俣湾で発生した汚染がある<ref name=":3">{{Cite journal|last=BABY|first=Joseph|date=2010|title=Toxic effect of heavy metals on aquatic environment|url=https://www.researchgate.net/publication/308299883|journal=International Journal of Biological and Chemical Sciences|volume=|pages=|via=}}</ref>。工業化学会社の排水中にメチル水銀が放出され、熊本で水俣病と呼ばれる病気が発見された<ref name=":3" />。これにより、魚介類の水銀中毒が発生し、周辺の生物種を汚染し、多くの人がそれによって死亡し、汚染された魚を食べた人にも影響を与えた<ref name=":3" />。

===微生物===

亜鉛濃度の高い酸性水では藻類群集の多様性が低下し<ref name="art8" /> 、鉱山排水による負荷が藻類の一次生産量を減少させる。珪藻類の群集は、あらゆる化学的変化<ref name=art5>{{cite journal|last1=Salonen|first1=Veli-Pekka Salonen|last2=Tuovinen|first2=Nanna|last3=Valpola|first3=Samu|title=History of mine drainage impact on Lake Orija¨ rvi algal communities, SW Finland|journal=Journal of Paleolimnology|date=2006|volume=35|issue=2|pages=289–303|doi=10.1007/s10933-005-0483-z|bibcode=2006JPall..35..289S|s2cid=128950342}}</ref>やpHの植物プランクトン群集<ref name=art16>{{cite journal|last1=Michelutti|first1=Neal|last2=Laing|first2=Tamsin E.|last3=Smol|first3=John P.|title=Diatom Assessment of Past Environmental Changes in Lakes Located Near the Noril'sk (Siberia) Smelters|journal=Water, Air, & Soil Pollution|date=2001|volume=125|issue=1|pages=231–241|doi=10.1023/A:1005274007405|bibcode=2001WASP..125..231M|s2cid=102248910}}</ref>によって大きく変化し、金属濃度が高いとプランクトン種の多様性が低下する<ref name="art5" />。 珪藻類の中には、金属濃度の高い堆積物中に生育する種もある。 また、表層に近い堆積物では、シストが腐食や重被覆に悩まされる<ref name="art5" /> 。 非常に汚染された条件では、藻類の総バイオマスが非常に少なく、浮遊性珪藻類群集が欠落している<ref name="art5" />が、機能的に補完されている場合は、植物プランクトンや動物プランクトンの質量が安定している可能性がある。

===水生生物===
鉱山周辺の水生昆虫や甲殻類は鉱山活動によって 、栄養学的な完全性が低下したり、捕食者によって個体数が減少するといった影響を受ける<ref name=art9>{{cite journal|last1=Gerhardt|first1=A.|last2=Janssens de Bisthoven|first2=L.|last3=Soares|first3=A.M.V.M.|title=Macroinvertebrate response to acid mine drainage: community metrics and on-line behavioural toxicity bioassay|journal=Environmental Pollution|date=2004|volume=130|issue=2|pages=263–274|doi=10.1016/j.envpol.2003.11.016|pmid=15158039}}</ref>。しかし、影響を受けやすい種が耐性のある種に置き換えられれば、脊椎動物の生物多様性は高い状態を維持することができる<ref name=art10>{{cite journal|last1=MALMQVIST|first1=BJOÈ RN|title=Influence of drainage from old mine deposits on benthic macroinvertebrate communities in central Swedish streams|last2=HOFFSTEN|first2=PER-OLA|journal=Water Research|date=1999|volume=33|issue=10|pages=2415–2423|doi=10.1016/s0043-1354(98)00462-x}}</ref> 。 地域の多様性が減少した場合でも、河川の汚染が個体数に影響を及ぼさないこともある<ref name="art10" /> 。 これは汚染された場所で、同じ機能を果たす耐性のある種が、影響を受けやすい種の代わりを務めることを示唆している。魚類もまた、pH<ref name=art17>{{cite journal|last1=Wong|first1=H.K.T|last2=Gauthier|first2=A.|last3=Nriagu|first3=J.O.|title=Dispersion and toxicity of metals from abandoned gold mine tailings at Goldenville, Nova Scotia, Canada|journal=Science of the Total Environment|date=1999|volume=228|issue=1|pages=35–47|doi=10.1016/s0048-9697(99)00021-2|bibcode=1999ScTEn.228...35W}}</ref>や 温度変化、化学物質濃度に影響されることがある。
[25]。

==陸上生物==

===植物===

汚染された場所では、表土の土質や水分量が大きく変化する可能性があり<ref name="art7" />、その地域の植生の変化につながる。ほとんどの植物は土壌中の低濃度の金属に対する耐性を持っているが、その感受性は[[種 (分類学)|種]]によって異なる。[[地被類]]の多様性と総被覆率は、高濃度の汚染物質の影響を受けにくく、[[広葉草本]]や[[低木]]よりも影響を受けにくい<ref name="art7" />。より抵抗力のある種は、これらのレベルを生き延びることができ、土壌中の金属に耐えることができる。また、生態学的な主導権を獲得するために[[外来種]]が鉱山の周辺の土地に移動することもある<ref name=art4>{{cite journal|last1=del Pilar Ortega-Larrocea|first1=Marıa|last2=Xoconostle-Cazares|first2=Beatriz|last3=Maldonado-Mendoza|first3=Ignacio E.|last4=Carrillo-Gonzalez|first4=Rogelio|last5=Hernandez-Hernandez|first5=Jani|last6=Dıaz Garduno|first6=Margarita|last7=Lopez-Meyer|first7=Melina|last8=Gomez-Flores|first8=Lydia|last9=del Carmen A. Gonzalez-Chavez|first9=Ma.|title=Plant and fungal biodiversity from metal mine wastes under remediation at Zimapan, Hidalgo, Mexico|journal=Environmental Pollution|date=2010|volume=158|issue=5|pages=1922–1931|doi=10.1016/j.envpol.2009.10.034|pmid=19910092}}</ref>。

例えば、[[ヒ素]]の土壌含有量は[[蘚苔類]]の多様性を減少させ<ref name="art2" />、化学的汚染による土壌の酸性化もまた、種の数の減少につながる<ref name="art2" /> 。 汚染物質は微生物を改変したり、撹乱したりして、栄養の利用可能性を変え、その地域の植生の損失を引き起こす。 <ref name="art2" /> 一部の樹木の根は、汚染地域を避けるため、より深い土壌層から遠ざかろうと深い土壌層内での定着力を欠いた結果、樹木高や地上部分の重量が増加し、風によって根こそぎされる可能性がある<ref name="art4" />。 この理由で、汚染地域ではそうでない地域に比べ根の探索が減少する<ref name="art7" /> 。 植物種の多様性は、汚染されていない地域に比べて、回復した生息地でも低いままであると考えられる<ref name="art7" />。

作物も、鉱山の近くで影響を受ける可能性がある。ほとんどの作物は軽度に汚染された場所でも生育できるが、収量は通常の栽培条件よりも低くなる。また、植物は地上部分の器官に重金属を蓄積する傾向があり、果物や野菜を介して人間が重金属を摂取することがある。このように汚染された作物の消費は、長期的な金属曝露による健康問題につながる可能性がある<ref name="art1" /> 。 例えば、汚染された場所で栽培された[[タバコ]]から作られた[[たばこ]]も、タバコの葉に[[カドミウム]]と[[亜鉛]]が蓄積される傾向があるため、人間に悪影響を及ぼす可能性がある。

===動物===

動物は鉱山の製品や残留物によって[[中毒]]を起こすことがある。[[馬]]や[[ヤギ]]、[[羊]]は牧草の中の[[銅]]と[[鉛]]にさらされている<ref name="art11" /> 。 銅鉱山の周辺では、銅濃度の高い土壌には[[アリ]]の種類が少ない<ref name="art3" /> 。 もしアリの数が少なければ、周辺の景観に住む他の生物も銅濃度の高さの影響を強く受けている可能性が高い。アリは土壌の中で直接生活しているため、その地域が生息地であるかどうかの判断力に優れており、環境の乱れに敏感であるためである。

===土壌中の微生物===
[[微生物]]は、その大きさゆえに、[[pH]]の変化や温度変化、化学物質の濃度などの環境変化に非常に敏感である<ref name="art2" />。例えば、土壌中の[[ヒ素]]や[[アンチモン]]の存在は、土壌中の総[[バクテリア]]の減少につながっている<ref name="art2" />。 水域の感受性と同様に、土壌のpHのわずかな変化は、pHに敏感な生物への直接的な影響に加えて、汚染物質の再固定化を引き起こす可能性がある<ref name=art12>{{cite journal|last1=Rösner|first1=T.|last2=van Schalkwyk|first2=A.|title=The environmental impact gold mine tailings footprints in the Johannesburg region, South Africa|journal=Bulletin of Engineering Geology and the Environment|date=2000|volume=59|issue=2|pages=137–148|doi=10.1007/s100640000037|s2cid=140563892}}</ref> 。

微生物は全個体群の中で多種多様な[[遺伝子]]を持っているため、影響が極端にならない限り、一部の[[コロニー]]が持っている[[耐性遺伝子]]によって種の存続の可能性が高くなる<ref name=art62>{{cite journal|last1=Hoostal|first1=MJ|last2=Bidart-Bouzat|first2=MG|last3=Bouzat|first3=JL|title=Local adaptation of microbial communities to heavy metal stress in polluted sediments of Lake Erie|journal=FEMS Microbiology Ecology|date=2008|volume=65|issue=1|pages=156–168|doi=10.1111/j.1574-6941.2008.00522.x|pmid=18559016|doi-access=free}}</ref>。とはいえ、このような条件では、遺伝子の多様性が大きく失われ、結果として、その後の変化への適応の可能性が低下することになる。重金属汚染地域の土壌では、土壌微生物相や微生物叢の活動が低下しており、個体数の減少や活動の低下の要因となっている<ref name="art7" /> 。

[[アーバスキュラー菌根]]は、化学物質の存在に特に敏感であり、植物の根が定着しないできないほどに土壌を攪乱することがある。しかし、一部の菌類は、汚染物質の生物分散性を変化させることで、汚染物質の蓄積能力や土壌浄化能力を有しており、化学物質による潜在的な被害から植物を保護することができる<ref name="art4" />。 このことから微生物の利用によって、鉱山廃棄物汚染による生物多様性の損失を防ぐことができる。具体的には[[バイオレメディエーション]]、すなわち汚染された土壌から望ましくない化学物質を除去できる技術を利用することが提案されている<ref name="art4" />。逆に、微生物の中には環境を悪化させるものもあり、水中の[[硫酸イオン]]濃度の上昇に伴い、多くの水生植物や生物にとって有毒である[[硫化水素]]を発生させる微生物を増加させることが示唆されている<ref name="art4" />。

== 廃棄物==

=== 選鉱くず ===
鉱山活動では、[[尾鉱]]として知られる過剰な廃棄物が発生する。後に残る材料は、鉱石の価値のある部分を分離した残滓である。これらの大量の廃棄物は、水、砂、粘土、残留[[アスファルト]]の混合物であり、自然に存在する渓谷または大規模な[[人工ダム]]や[[堤防]]から作られた[[鉱滓池]]に貯留される<ref name=":02">{{Cite web|url=https://www.canadasoilsands.ca/en/explore-topics/tailings-ponds|title=Tailings Ponds|website=Canada's Oil Sands|accessdate=2020-09-07}}</ref>。これにより、鉱滓堆積物が沈降したり、貯留池としての再利用が可能になる<ref name=":02" />。

尾鉱は、酸性の鉱山排水によって有毒な金属を放出することで、環境問題となりやすい<ref>{{Cite journal|last=Franks, DM, Boger, DV, Cote, CM, Mulligan|date=2011|title=Sustainable Development Principles for the Disposal of Mining and Mineral Processing Wastes|url=|journal=Resources Policy|volume=36|issue=2|pages=114–122|doi=10.1016/j.resourpol.2010.12.001}}</ref> 。しかし、鉱滓池の最大のリスクはダムの決壊である。鉱滓池は一般的に、土地に由来する盛土(土、粗い廃棄物、または採掘作業や鉱滓からの残土)によって形成され、ダムの壁は、より多くの量の鉱滓を維持するために積み上げられることが多い<ref>{{Cite journal|last=Rico|first=M|date=2008|title=Floods from tailings dam failures|url=|doi=10.1016/j.jhazmat.2007.09.110|pmid=18096316|journal= Journal of Hazardous Materials|volume=154|issue=1–3|pages=79–87|hdl=10261/12706|hdl-access=free}}</ref>。 しかし、鉱滓池の設計基準に対して規制がなく、鉱滓池からの洪水の危険にさらされている。

=== ボタ山 ===

[[ボタ山]]とは、石炭や鉱石を採掘する際に鉱山の現場から撤去された、堆積した表土の山のことである。これらの廃棄物は、通常の土壌や岩石で構成されており、化学的な廃棄物で汚染されていることがある。これは、鉱石から有用な成分が抽出された後に残る処理物であるため、[[鉱滓]]とは大きく成分が異なっている<ref>{{Cite web|url=https://www.definitions.net/definition/spoil+tip|title=Spoil tip|accessdate=2020-09-07}}</ref>。ボタ山は主に可燃性の高い炭素質物質で構成されているため、火気によって意図せず発火することがある<ref>{{Cite book |doi = 10.1016/S0166-1116(08)70744-1|chapter = 7 Colliery Spoil Heap Combustion|title = The Reclamation of Former Coal Mines and Steelworks|volume = 56|pages = 213–232|series = Studies in Environmental Science|year = 1993|isbn = 9780444817037}}</ref>。 ボタ山は火災の原因となり、地中や山の中で何年も燃焼が止まらないことがある。

==人体への影響==
{{further|土呂久砒素公害|イタイイタイ病}}

人間もまた、鉱業の影響を受けている。鉱業の過程で大気や水中に放出される汚染物質が原因で発生する病気は数多く存在する。例えば、製錬作業中では、[[浮遊粒子状物質]]、[[硫黄酸化物]]、[[ヒ素]]粒子、[[カドミウム]]などの[[大気汚染]]物質が大量に排出され、通常粒子状物質として大気中に放出される。また鉱山労働者が直面する多くの職業上の健康被害もある。従事者の多くは、[[石綿症]]、[[珪肺|珪肺症]]、[[塵肺|炭坑夫塵肺症]]などの様々な[[呼吸器疾患]]や[[皮膚疾患]]に苦しめられている。

さらに、人間に影響を与える鉱業の大きな要素として、水に含まれる汚染物質による水質悪化である<ref name=":1">{{Cite journal|last1=Schwarzenbach|first1=René P.|last2=Egli|first2=Thomas|last3=Hofstetter|first3=Thomas B.|last4=von Gunten|first4=Urs|last5=Wehrli|first5=Bernhard|date=2010-11-21|title=Global Water Pollution and Human Health|journal=Annual Review of Environment and Resources|language=en|volume=35|issue=1|pages=109–136|doi=10.1146/annurev-environ-100809-125342|issn=1543-5938}}</ref>。世界の約30%が再生可能な淡水を利用しているが、これは、様々な濃度の化学物質を含む廃棄物を大量に発生させて淡水に沈着させる産業によって利用されている。水中の[[活性]]化学物質の懸念は、水中や魚類に蓄積する可能性があるため、人の健康に大きなリスクをもたらす可能性がある<ref name=":1" />。[[中国]]の廃坑である[[大宝山]]鉱山の調査では、鉱山が長年稼働していなかったにもかかわらず、水や土壌に蓄積した金属が近隣の村々に大きな影響を与えていた<ref name=":2">{{Cite journal|last1=Zhuang|first1=Ping|last2=McBride|first2=Murray B.|last3=Xia|first3=Hanping|last4=Li|first4=Ningyu|last5=Li|first5=Zhian|date=2009-02-15|title=Health risk from heavy metals via consumption of food crops in the vicinity of Dabaoshan mine, South China|url=http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969708011121|journal=Science of the Total Environment|language=en|volume=407|issue=5|pages=1551–1561|doi=10.1016/j.scitotenv.2008.10.061|pmid=19068266|bibcode=2009ScTEn.407.1551Z|issn=0048-9697}}</ref>この事例では廃棄物の適切な管理がなされていなかったため、この鉱山周辺地域では56%の[[死亡率]]を記録し、多くの人が[[食道がん]]や[[肝臓がん]]と診断されている<ref name=":2" />。その結果、現在に至るまで、この鉱山は農作物を通じた健康への悪影響を及ぼしており、周辺地域の[[除染]]が必要であることが明らかになった。

==炭鉱==

[[石炭]]産業は、大気や水源管理、土地利用に影響を与えているだけでなく、石炭の燃焼によって深刻な健康被害を引き起こしている。汚染された大気には、[[水銀]]、[[鉛]]、[[二酸化硫黄]]、[[窒素酸化物]、その他の重金属などの有害物質が存在している<ref>{{Cite journal|last1=Bian|first1=Zhengfu|last2=Inyang|first2=Hilary I|last3=Daniels|first3=John L|last4=Otto|first4=Frank|last5=Struthers|first5=Sue|date=2010-03-01|title=Environmental issues from coal mining and their solutions|url=http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1674526409601873|journal=Mining Science and Technology (China)|language=en|volume=20|issue=2|pages=215–223|doi=10.1016/S1674-5264(09)60187-3|issn=1674-5264}}</ref>。 これは、[[呼吸困難]]を伴う健康問題を引き起こしており、清浄な空気を必要とする周辺の野生生物にも影響を与えている。[[アメリカ合衆国環境保護庁]]は、有害物質の排出を抑制しようとしているが、石炭の採掘を行うすべての工場に対して管理措置を講じていないため、大気汚染の解決は依然として不透明である<ref>{{Cite journal|last1=Bian|first1=Zhengfu|last2=Inyang|first2=Hilary I|last3=Daniels|first3=John L|last4=Otto|first4=Frank|last5=Struthers|first5=Sue|date=2010-03-01|title=Environmental issues from coal mining and their solutions|url=http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1674526409601873|journal=Mining Science and Technology (China)|language=en|volume=20|issue=2|pages=215–223|doi=10.1016/S1674-5264(09)60187-3|issn=1674-5264}}</ref>。 水質汚染もまた、この石炭採掘の過程で被害を受けているもう一つの要因である。石炭廃棄物がある水場の浄化には最大10年かかると見込まれており、水源にダメージを与える可能性があるため、ろ過をより困難にするだけである。

==森林伐採==

露天採掘では、採掘を開始する前に森林に覆われている表土を除去する場合がある。採掘による[[森林破壊]]はその他の要因に比べれば少ないかもしれないが、地域生態系の固有性が高い場合には種の[[絶滅]]につながる可能性がある。石炭の採掘によって、土壌や水環境に放出される毒素や重金属の量のために森林の破壊をもたらしている<ref>Prasad, Siva, T Byragi Reddy, and Ramesh Vadde. 2015. “Environmental Aspects and Impacts Its Mitigation Measures of Corporate Coal Mining” 11: 2–7. https://doi.org/10.1016/j.proeps.2015.06.002.</ref> 。石炭採掘の影響は環境に影響を与えるまでに長い時間がかかるが、石炭の燃焼や数十年に及ぶ火災は飛灰を放出し、[[温室効果ガス]]を増加させる。具体的には、露天採掘場の近くにある景観、森林、野生生物の生息地を破壊する可能性がある<ref>Prasad, Siva, T Byragi Reddy, and Ramesh Vadde. 2015. “Environmental Aspects and Impacts Its Mitigation Measures of Corporate Coal Mining” 11: 2–7. https://doi.org/10.1016/j.proeps.2015.06.002. </ref> 。さらに、降雨が発生すると、灰やその他の物質が小川に流され、水生生物に影響する可能性がある。これらの影響は、採掘場が完成した後も発生する可能性があり、土質が低下するため、森林破壊の回復には通常よりも時間がかかる<ref>Prasad, Siva, T Byragi Reddy, and Ramesh Vadde. 2015. “Environmental Aspects and Impacts Its Mitigation Measures of Corporate Coal Mining” 11: 2–7. https://doi.org/10.1016/j.proeps.2015.06.002.</ref>

==オイルシェール==

[[オイルシェール]]は、[[炭化水素]]を生産できる[[ケロゲン]]を含む[[堆積岩]]である。オイルシェールの採掘は環境に影響を与え、生物の生息地や生態系にダメージを与える懸念がある。採掘過程での加熱と燃焼は、[[二酸化炭素]]と[[温室効果ガス]]を含む物質と廃棄物を発生させるため、オイルシェールの生産と使用に反対する[[環境主義]]者は多い。大気汚染の中でも、オイルシェールは[[酸素]]と炭化水素を扱っているため、水質汚染は主に大きな問題である<ref>{{Cite journal|last1=Jiang|first1=Zaixing|last2=Zhang|first2=Wenzhao|last3=Liang|first3=Chao|last4=Wang|first4=Yongshi|last5=Liu|first5=Huimin|last6=Chen|first6=Xiang|date=2016-12-01|title=Basic characteristics and evaluation of shale oil reservoirs|url=http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S209624951730039X|journal=Petroleum Research|language=en|volume=1|issue=2|pages=149–163|doi=10.1016/S2096-2495(17)30039-X|issn=2096-2495|doi-access=free}}</ref> 。 オイルシェールの採掘と化学製品の生産により、採掘場の環境に影響を及ぼしている<ref> Toomik, Arvi, and Valdo Liblik. 1998. “Oil Shale Mining and Processing Impact on Landscapes in North-East Estonia” 41: 285–92.</ref> 。 地下採掘の領域内の地盤の動きは、地域の非安定性を引き起こすため、長期的な問題である。[[地下採掘]]により、新たな地層が発生し、植物の成長に適したものになることもあるが、原状回復が必要になることがある<ref> Toomik, Arvi, and Valdo Liblik. 1998. “Oil Shale Mining and Processing Impact on Landscapes in North-East Estonia” 41: 285–92.</ref>。

==鉱害緩和に向けた取り組み==

廃鉱の埋立を確実に完了し、将来利用するために鉱山の土地を復元する目的で、各国の政府や規制当局は、埋立地の生産性が実証されるまでの間、鉱業会社が[[エスクロー]]として保有する債券を発行することを義務付けている。1978年以来、鉱山事業者は米国だけでも8,000&nbsp;km<sup>2</sup>以上の土地を埋め立ててきた。この埋め立てられた土地は、以前の採掘地の植生や野生生物を一新し、農業や牧場に利用することもできる。

==関連項目==
* [[足尾鉱毒事件]]
* [[足尾鉱毒事件]]
* [[安中公害訴訟]]
* [[安中公害訴訟]]
* [[新エネルギー・産業技術総合開発機構]]
* [[深海底鉱山保安技術職員]]
* [[イタイイタイ病]]
* [[イタイイタイ病]]
* [[はげ山]]
* [[はげ山]]
26行目: 124行目:
* [[土呂久砒素公害]]
* [[土呂久砒素公害]]
* [[細うで繁盛記]] - ドラマのエピソードとして[[土肥鉱山]]の[[土肥温泉|温泉]]枯渇問題が取り上げられている。
* [[細うで繁盛記]] - ドラマのエピソードとして[[土肥鉱山]]の[[土肥温泉|温泉]]枯渇問題が取り上げられている。
==参考文献==

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[[Category:公害|こうかい]]
[[Category:公害|こうかい]]

2020年9月7日 (月) 15:30時点における版

スペインリオ・ティント川英語版。強酸の河川水に鉱山由来の重金属が溶解している。

鉱害(こうがい)とは、鉱山活動を通じて、地域、地球規模で発生する公害である。鉱害では土地の浸食やシンクホールの生成、生物多様性への影響、または採掘過程で排出される化学物質による土壌、地下水、地表水の汚染が問題となる。また、炭素排出による人間の健康と生物多様性の質に影響もある[1] 。 採掘法の中には、環境と公衆衛生に重大な影響を及ぼすものもあり、一部の国では、採掘された地域が元の状態に戻るように、鉱山事業者は厳しい環境・原状回復に関する規制に従うことを求められている。

土地の浸食

露出した丘陵地の侵食や鉱山ダンプ、鉱滓ダム、排水路、小川、河川の沈下は、周辺地域に大きな影響を与えることがある。パプアニューギニアの巨大なオク・テディ鉱山英語版がその一例であり、原生林で生態系や生息地の破壊を引き起こし、農地では、放牧地や農地での生産活動に影響している[2]

陥没

ドイツのグラートベック英語版の住宅。 鉱山開発による陥没穴の影響で亀裂が入っている。

鉱山やその周辺のシンクホールは、通常、資源の採掘による鉱山の崩落、オーバーバーデン英語版の脆弱化、または地質学的な不連続性によって引き起こされる[3]。 鉱山のオーバーバーデンは、下層土や岩盤に空洞を形成し、その上にある地層からの土砂や土砂で埋め尽くされる可能性がある。このようなオーバーバーデンの空洞は、最終的には陥没して地表にシンクホールを形成する可能性がある。突然の土石の崩壊は、何の前触れもなく地表に大きな窪みを形成し、生命や財産に重大な危険が及ぶことがある[4]。 鉱山の陥没穴は、陥没しやすい区域が拡大しないよう、支持などを適切に設計したり、障壁を建設したりすることで緩和することができる。また廃鉱では、その崩壊を防ぐ手段として、埋め戻しやグラウトの注入が行われることがある。

水質汚染

鉱山活動は周辺の地表水地下水に有害な影響を及ぼす。適切な予防措置を怠ると、ヒ素硫酸水銀などの化学物質によってかなりの面積の地表水や地下水が汚染される[5]。 鉱山の排水や冷却、汲み上げなど、採掘では大量の水が使用されているため、地下水や地表水はこうした化学物質に汚染されやすい。また、これらの化学物質を含む流水は、周囲の植生を荒廃させることがある。そのため、流出水を表層や森林に投棄することは避け、鉱滓を海底に処分するべきという主張もある(廃棄物を非常に深くまで沈めることが条件)[6] 。化学物質の流出による流域の汚染は、地域住民の健康問題となることもある[7]

環境規制に配慮した鉱山では、水質学者や地質学者が水の測定を慎重に行い、鉱山の操業によって引き起こされるあらゆる種類の水質汚染を排除するための予防策を講じている。アメリカでは環境への影響を最小限に抑えるため、連邦法と州法が定めた鉱業慣行の規制があり、地表水と地下水を保護するための基準を満たすよう事業者を制限している[8]。 これは、バイオリーチング英語版微生物による処理)のような非毒性の抽出方法を使用することによって効果的に行われる[9]

酸性鉱山廃水(AMD)

地下での採掘は水位より下で進行することが多いため、浸水を防ぐためには常に坑道から水を汲み上げなければならない。鉱山が閉山されると、水の汲み上げが止まり、鉱山が浸水する。ほとんどの酸性岩由来の排水はこの水がきっかけになることが多い。

ポルトガルの酸性鉱山の排水

酸性の岩石による排水は、岩石の風化過程の一部として自然に発生することもあるが、通常、採掘やその他の大規模な建設活動特有の大規模な地盤のかく乱によって、硫化物鉱物を豊富に含む岩石で悪化する。地盤が乱された地域(建設現場、関連施設、輸送路など)では、酸性岩由来の排水が発生することがある。多くの地域では、石炭の貯蔵所、取扱施設、洗浄場、廃棄所から排水される液体が強酸性になることがあり、そのような場合には酸性鉱山排水(AMD)として扱われる。また、大規模な海面上昇が起きると、沿岸・河口条件で形成された酸性の硫酸塩を含む土壌が撹乱され、同様の化学反応やプロセスが発生し、環境問題となることがある。 鉱山排水を監視・制御するために、分水、ため池への封じ込め、地下水の汲み上げ、 地下への排水、地下での障壁の建設が有効である。AMDの場合、汚染水は一般的に汚染物質を中和する処理施設に汲み上げられる[10] 。 2006年の環境影響評価書のレビューでは、「緩和の効果を考慮した後に行われた水質予測は、地下水、浸食層、表流水への実際の影響を著しく過小評価している」ことが明らかになった[11]

重金属

流出水や地下水による金属重金属の溶解・流出も、ブリティッシュ・コロンビアバンクーバー近郊の旧銅鉱山ブリタニア鉱山英語版など、鉱山の環境問題の一例である。オクラホマ州ピッチャーの廃鉱地で、現在はアメリカ合衆国環境保護庁スーパーファンド法英語版の保護対象となっているタール・クリーク英語版も重金属汚染が問題視されており、カドミウムなどの重金属が溶存した鉱山の排水によって地下水が汚染された[12]キプロスの廃銅鉱山スクーリオティッサ英語版では、長期に保管された鉱滓や粉塵が風で飛ばされたことが汚染の原因となった。地球温暖化や採掘活動の増加などによる環境変化で、河川堆積物中の重金属の含有量を増加する可能性が指摘されている[13]

生物多様性への影響

鉱山の尾鉱で汚染されたオキ・テディ川英語版

鉱山を埋設することで生物の生息地を大きく変え、開発区域を越えて大規模に発生し、鉱山廃棄物の残留物による環境汚染などが起きる。鉱山の閉山後も、悪影響は長期間にわたって観察される可能性がある[14] 。生息地の破壊が生物多様性の損失の主な要因であるが、鉱山から抽出された物質による直接的な被毒や、食物や水を介した間接的な被毒は、動物植物微生物にも影響を与える。pH温度の変化などの生息地の環境変化は、周辺地域の生物群集を撹乱する。特に固有種は、非常に特殊な環境条件を必要とするため、影響を受けやすく、生息地の破壊やわずかな環境変化によって絶滅の危険にさらされやすい。また動植物の生息地への影響を無視して周囲に廃棄された鉱山からの岩石のような非化学的な産物によっても損傷を受ける可能性がある[15]

重金属の濃度は鉱山からの距離とともに減少することが知られており[14]生物多様性への影響も同じ傾向がある。影響は、汚染物質の移動性とバイオアベイラビリティによって大きく変化する可能性がある。例えば、堆積物中の金属イオンの溶解は、それらのバイオアベイラビリティを変更し、水生生物に対する毒性を変えることがある[16]

生物濃縮は汚染された生息地で深刻なものになる。生物多様性に対する鉱業の影響は、暴露された生物を直接殺すほどの濃度ではなくても、この現象により、食物連鎖の上位にいる種にとってはより大きなものになる[17] [18]

採掘による生物多様性への悪影響は、汚染物質の性質、環境中に存在する濃度、生態系そのものの性質に大きく左右される。人為的な撹乱に対して非常に抵抗力のある種もあれば、汚染された地域から完全に消滅する種もある[19]。長期間を経ても生息地が汚染から完全に回復することは難しい。

水生生物への影響

鉱業はさまざまな方法で水生生物の多様性に影響を与える可能性がある。汚染物質が堆積物中で移動している場合[20][21]や水中[20]で生物学的に作用する場合は、より高いリスクとなる。鉱山排水は水のpHを変化させる可能性があり[22]、生物への直接的な影響とpH変化による影響を区別することは困難である。にもかかわらず、pHの変化によって水生生物への影響が引き起こされることが証明されている[21] 。 汚染物質は物理的な影響を介しても水生生物にも影響を与える可能性がある[23] 金属酸化物の堆積は、藻類またはその基質を覆うことで個体数を減少させ、その群生を妨害する[21]

汚染されたカナダオジスコ湖英語版

酸性鉱山排水地の生物群集に影響を与える要因は、季節でも変化する。温度、降雨量、pH、塩分濃度、金属量はすべて長期的に変化し、生物集団に大きな影響を与える可能性がある。pHや温度の変化は金属の溶解度に影響を与え、それによって生物に直接影響を与える生物利用可能量に影響を与える可能性がある。さらに、その影響は長期間に持続する。例えば90年前に閉山した黄鉄鉱鉱山では、水のpHはまだ非常に低く、微生物の個体群は主に酸球菌で構成されていたことが確かめられた[24]

水生生物に対する毒性が極めて強いとされた大きな事例として、水俣湾で発生した汚染がある[25]。工業化学会社の排水中にメチル水銀が放出され、熊本で水俣病と呼ばれる病気が発見された[25]。これにより、魚介類の水銀中毒が発生し、周辺の生物種を汚染し、多くの人がそれによって死亡し、汚染された魚を食べた人にも影響を与えた[25]

微生物

亜鉛濃度の高い酸性水では藻類群集の多様性が低下し[21] 、鉱山排水による負荷が藻類の一次生産量を減少させる。珪藻類の群集は、あらゆる化学的変化[26]やpHの植物プランクトン群集[27]によって大きく変化し、金属濃度が高いとプランクトン種の多様性が低下する[26]。 珪藻類の中には、金属濃度の高い堆積物中に生育する種もある。 また、表層に近い堆積物では、シストが腐食や重被覆に悩まされる[26] 。 非常に汚染された条件では、藻類の総バイオマスが非常に少なく、浮遊性珪藻類群集が欠落している[26]が、機能的に補完されている場合は、植物プランクトンや動物プランクトンの質量が安定している可能性がある。

水生生物

鉱山周辺の水生昆虫や甲殻類は鉱山活動によって 、栄養学的な完全性が低下したり、捕食者によって個体数が減少するといった影響を受ける[28]。しかし、影響を受けやすい種が耐性のある種に置き換えられれば、脊椎動物の生物多様性は高い状態を維持することができる[29] 。 地域の多様性が減少した場合でも、河川の汚染が個体数に影響を及ぼさないこともある[29] 。 これは汚染された場所で、同じ機能を果たす耐性のある種が、影響を受けやすい種の代わりを務めることを示唆している。魚類もまた、pH[30]や 温度変化、化学物質濃度に影響されることがある。 [25]。

陸上生物

植物

汚染された場所では、表土の土質や水分量が大きく変化する可能性があり[19]、その地域の植生の変化につながる。ほとんどの植物は土壌中の低濃度の金属に対する耐性を持っているが、その感受性はによって異なる。地被類の多様性と総被覆率は、高濃度の汚染物質の影響を受けにくく、広葉草本低木よりも影響を受けにくい[19]。より抵抗力のある種は、これらのレベルを生き延びることができ、土壌中の金属に耐えることができる。また、生態学的な主導権を獲得するために外来種が鉱山の周辺の土地に移動することもある[31]

例えば、ヒ素の土壌含有量は蘚苔類の多様性を減少させ[20]、化学的汚染による土壌の酸性化もまた、種の数の減少につながる[20] 。 汚染物質は微生物を改変したり、撹乱したりして、栄養の利用可能性を変え、その地域の植生の損失を引き起こす。 [20] 一部の樹木の根は、汚染地域を避けるため、より深い土壌層から遠ざかろうと深い土壌層内での定着力を欠いた結果、樹木高や地上部分の重量が増加し、風によって根こそぎされる可能性がある[31]。 この理由で、汚染地域ではそうでない地域に比べ根の探索が減少する[19] 。 植物種の多様性は、汚染されていない地域に比べて、回復した生息地でも低いままであると考えられる[19]

作物も、鉱山の近くで影響を受ける可能性がある。ほとんどの作物は軽度に汚染された場所でも生育できるが、収量は通常の栽培条件よりも低くなる。また、植物は地上部分の器官に重金属を蓄積する傾向があり、果物や野菜を介して人間が重金属を摂取することがある。このように汚染された作物の消費は、長期的な金属曝露による健康問題につながる可能性がある[14] 。 例えば、汚染された場所で栽培されたタバコから作られたたばこも、タバコの葉にカドミウム亜鉛が蓄積される傾向があるため、人間に悪影響を及ぼす可能性がある。

動物

動物は鉱山の製品や残留物によって中毒を起こすことがある。ヤギは牧草の中のにさらされている[18] 。 銅鉱山の周辺では、銅濃度の高い土壌にはアリの種類が少ない[15] 。 もしアリの数が少なければ、周辺の景観に住む他の生物も銅濃度の高さの影響を強く受けている可能性が高い。アリは土壌の中で直接生活しているため、その地域が生息地であるかどうかの判断力に優れており、環境の乱れに敏感であるためである。

土壌中の微生物

微生物は、その大きさゆえに、pHの変化や温度変化、化学物質の濃度などの環境変化に非常に敏感である[20]。例えば、土壌中のヒ素アンチモンの存在は、土壌中の総バクテリアの減少につながっている[20]。 水域の感受性と同様に、土壌のpHのわずかな変化は、pHに敏感な生物への直接的な影響に加えて、汚染物質の再固定化を引き起こす可能性がある[32]

微生物は全個体群の中で多種多様な遺伝子を持っているため、影響が極端にならない限り、一部のコロニーが持っている耐性遺伝子によって種の存続の可能性が高くなる[33]。とはいえ、このような条件では、遺伝子の多様性が大きく失われ、結果として、その後の変化への適応の可能性が低下することになる。重金属汚染地域の土壌では、土壌微生物相や微生物叢の活動が低下しており、個体数の減少や活動の低下の要因となっている[19]

アーバスキュラー菌根は、化学物質の存在に特に敏感であり、植物の根が定着しないできないほどに土壌を攪乱することがある。しかし、一部の菌類は、汚染物質の生物分散性を変化させることで、汚染物質の蓄積能力や土壌浄化能力を有しており、化学物質による潜在的な被害から植物を保護することができる[31]。 このことから微生物の利用によって、鉱山廃棄物汚染による生物多様性の損失を防ぐことができる。具体的にはバイオレメディエーション、すなわち汚染された土壌から望ましくない化学物質を除去できる技術を利用することが提案されている[31]。逆に、微生物の中には環境を悪化させるものもあり、水中の硫酸イオン濃度の上昇に伴い、多くの水生植物や生物にとって有毒である硫化水素を発生させる微生物を増加させることが示唆されている[31]

廃棄物

選鉱くず

鉱山活動では、尾鉱として知られる過剰な廃棄物が発生する。後に残る材料は、鉱石の価値のある部分を分離した残滓である。これらの大量の廃棄物は、水、砂、粘土、残留アスファルトの混合物であり、自然に存在する渓谷または大規模な人工ダム堤防から作られた鉱滓池に貯留される[34]。これにより、鉱滓堆積物が沈降したり、貯留池としての再利用が可能になる[34]

尾鉱は、酸性の鉱山排水によって有毒な金属を放出することで、環境問題となりやすい[35] 。しかし、鉱滓池の最大のリスクはダムの決壊である。鉱滓池は一般的に、土地に由来する盛土(土、粗い廃棄物、または採掘作業や鉱滓からの残土)によって形成され、ダムの壁は、より多くの量の鉱滓を維持するために積み上げられることが多い[36]。 しかし、鉱滓池の設計基準に対して規制がなく、鉱滓池からの洪水の危険にさらされている。

ボタ山

ボタ山とは、石炭や鉱石を採掘する際に鉱山の現場から撤去された、堆積した表土の山のことである。これらの廃棄物は、通常の土壌や岩石で構成されており、化学的な廃棄物で汚染されていることがある。これは、鉱石から有用な成分が抽出された後に残る処理物であるため、鉱滓とは大きく成分が異なっている[37]。ボタ山は主に可燃性の高い炭素質物質で構成されているため、火気によって意図せず発火することがある[38]。 ボタ山は火災の原因となり、地中や山の中で何年も燃焼が止まらないことがある。

人体への影響

人間もまた、鉱業の影響を受けている。鉱業の過程で大気や水中に放出される汚染物質が原因で発生する病気は数多く存在する。例えば、製錬作業中では、浮遊粒子状物質硫黄酸化物ヒ素粒子、カドミウムなどの大気汚染物質が大量に排出され、通常粒子状物質として大気中に放出される。また鉱山労働者が直面する多くの職業上の健康被害もある。従事者の多くは、石綿症珪肺症炭坑夫塵肺症などの様々な呼吸器疾患皮膚疾患に苦しめられている。

さらに、人間に影響を与える鉱業の大きな要素として、水に含まれる汚染物質による水質悪化である[39]。世界の約30%が再生可能な淡水を利用しているが、これは、様々な濃度の化学物質を含む廃棄物を大量に発生させて淡水に沈着させる産業によって利用されている。水中の活性化学物質の懸念は、水中や魚類に蓄積する可能性があるため、人の健康に大きなリスクをもたらす可能性がある[39]中国の廃坑である大宝山鉱山の調査では、鉱山が長年稼働していなかったにもかかわらず、水や土壌に蓄積した金属が近隣の村々に大きな影響を与えていた[40]この事例では廃棄物の適切な管理がなされていなかったため、この鉱山周辺地域では56%の死亡率を記録し、多くの人が食道がん肝臓がんと診断されている[40]。その結果、現在に至るまで、この鉱山は農作物を通じた健康への悪影響を及ぼしており、周辺地域の除染が必要であることが明らかになった。

炭鉱

石炭産業は、大気や水源管理、土地利用に影響を与えているだけでなく、石炭の燃焼によって深刻な健康被害を引き起こしている。汚染された大気には、水銀二酸化硫黄、[[窒素酸化物]、その他の重金属などの有害物質が存在している[41]。 これは、呼吸困難を伴う健康問題を引き起こしており、清浄な空気を必要とする周辺の野生生物にも影響を与えている。アメリカ合衆国環境保護庁は、有害物質の排出を抑制しようとしているが、石炭の採掘を行うすべての工場に対して管理措置を講じていないため、大気汚染の解決は依然として不透明である[42]。 水質汚染もまた、この石炭採掘の過程で被害を受けているもう一つの要因である。石炭廃棄物がある水場の浄化には最大10年かかると見込まれており、水源にダメージを与える可能性があるため、ろ過をより困難にするだけである。

森林伐採

露天採掘では、採掘を開始する前に森林に覆われている表土を除去する場合がある。採掘による森林破壊はその他の要因に比べれば少ないかもしれないが、地域生態系の固有性が高い場合には種の絶滅につながる可能性がある。石炭の採掘によって、土壌や水環境に放出される毒素や重金属の量のために森林の破壊をもたらしている[43] 。石炭採掘の影響は環境に影響を与えるまでに長い時間がかかるが、石炭の燃焼や数十年に及ぶ火災は飛灰を放出し、温室効果ガスを増加させる。具体的には、露天採掘場の近くにある景観、森林、野生生物の生息地を破壊する可能性がある[44] 。さらに、降雨が発生すると、灰やその他の物質が小川に流され、水生生物に影響する可能性がある。これらの影響は、採掘場が完成した後も発生する可能性があり、土質が低下するため、森林破壊の回復には通常よりも時間がかかる[45]

オイルシェール

オイルシェールは、炭化水素を生産できるケロゲンを含む堆積岩である。オイルシェールの採掘は環境に影響を与え、生物の生息地や生態系にダメージを与える懸念がある。採掘過程での加熱と燃焼は、二酸化炭素温室効果ガスを含む物質と廃棄物を発生させるため、オイルシェールの生産と使用に反対する環境主義者は多い。大気汚染の中でも、オイルシェールは酸素と炭化水素を扱っているため、水質汚染は主に大きな問題である[46] 。 オイルシェールの採掘と化学製品の生産により、採掘場の環境に影響を及ぼしている[47] 。 地下採掘の領域内の地盤の動きは、地域の非安定性を引き起こすため、長期的な問題である。地下採掘により、新たな地層が発生し、植物の成長に適したものになることもあるが、原状回復が必要になることがある[48]

鉱害緩和に向けた取り組み

廃鉱の埋立を確実に完了し、将来利用するために鉱山の土地を復元する目的で、各国の政府や規制当局は、埋立地の生産性が実証されるまでの間、鉱業会社がエスクローとして保有する債券を発行することを義務付けている。1978年以来、鉱山事業者は米国だけでも8,000 km2以上の土地を埋め立ててきた。この埋め立てられた土地は、以前の採掘地の植生や野生生物を一新し、農業や牧場に利用することもできる。

関連項目

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