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{{otheruses|天体現象のコロナ|コロナのその他の用法|コロナ (曖昧さ回避)}}
{{otheruses|天体現象のコロナ|コロナのその他の用法|コロナ (曖昧さ回避)}}
[[ファイル:Solar_eclipse_1999_4.jpg|thumb|300px|right|1999年8月11日の[[皆既日食]]で見られたコロナ。皆既日食中は、コロナや[[プロミネンス]]を肉眼で見ることができる。]]
{{出典の明記|date=2020-02-05}}
'''コロナ'''{{R|astro-dic}} ({{Lang-la|corona}}) 、または'''太陽コロナ'''{{Sfn|原弘久|2018|p=150}}は、太陽の外層大気の最も外側にある、100万[[ケルビン]] (K) を超える希薄なガスの層である{{R|astro-dic}}。corona はラテン語で「冠」を意味する言葉で、[[古代ギリシャ語]]で[[ガーランド]]や[[リース]]を意味する κορώνη に由来する。
[[ファイル:Solar_eclipse_1999_4.jpg|thumb|300px|right|1999年8月11日の皆既日食で見られたコロナ]]
'''コロナ'''{{R|astro-dic}}(英:Corona) は、<!--[[太陽]]の周りに見える[[自由電子]]の[[散乱]]光のこと。もしくは、-->太陽の外層大気の最も外側にある、100万度を超える希薄なガスの層である{{R|astro-dic}}。「太陽コロナ (たいようコロナ、英:solar corona{{R|astro-dic}})」との呼び方もある。主な成分は[[水素原子]]が[[原子核]]と[[電子]]とに分解された[[プラズマ]]である。普段は[[光球]]や[[彩層]]からの光が強いため見ることができないが、[[皆既日食]]の際や[[コロナグラフ]]と呼ばれる機器を使うことで観測できる。6,000度程度の光球から遠く離れたコロナが100万度を超える温度まで加熱される機構(コロナ加熱)には不明な点が残っており、「コロナ加熱問題」と呼ばれている{{R|ISAS419}}。


[[日食|皆既日食]]の際には肉眼で見ることができる。[[コロナグラフ]]という観測機器を使えば、常時観測することができる。ただし、コロナは100万 K以上の温度であるため、[[可視光]]より[[X線]]での放射の方が強い。大気がX線を吸収してしまうため、コロナの観測には宇宙空間の方が適している。
== 概要 ==

主な成分は[[水素原子]]が[[原子核]]と[[電子]]とに分解された[[プラズマ]]である。普段は[[光球]]や[[彩層]]からの光が強いため見ることができないが、[[皆既日食]]の際や[[コロナグラフ]]と呼ばれる機器を使うことで観測できる。6,000K程度の光球から遠く離れたコロナが100万Kを超える温度まで加熱される機構(コロナ加熱)には不明な点が残っており、「コロナ加熱問題」と呼ばれている{{R|ISAS419}}。

== 歴史 ==
[[ファイル:Solar eclipse 1806Jun16-Corona-Ferrer.png|thumb|300px|right|ニューヨーク [[:en:Kinderhook (town), New York|Kinderhook]]での、[[:en:solar eclipse of June 16, 1806|1806年6月16日の日食]]の[[:en:José Joaquín de Ferrer|José Joaquín de Ferrer]]によるコロナのスケッチ]]
[[ファイル:Solar eclipse 1806Jun16-Corona-Ferrer.png|thumb|300px|right|ニューヨーク [[:en:Kinderhook (town), New York|Kinderhook]]での、[[:en:solar eclipse of June 16, 1806|1806年6月16日の日食]]の[[:en:José Joaquín de Ferrer|José Joaquín de Ferrer]]によるコロナのスケッチ]]

1724年、フランス・イタリアの天文学者[[ジャコーモ・フィリッポ・マラルディ]]は、日食の間に見えるオーラは月ではなく太陽のものであることを認識した。1809年、スペインの天文学者ホセ・ホアキン・デ・フェレールは「コロナ」という言葉を生み出した{{R|de Ferrer1809}}。デ・フェレールはまた、ニューヨーク州キンダーフックでの1806年の日食の観測に基づいて、コロナは月ではなく太陽の一部であると提唱した{{R|de Ferrer1809}}。イギリスの天文学者[[ノーマン・ロッキャー]]は、地球上で初めて太陽の彩層に含まれる未知の元素を発見した。フランスの天文学者[[ピエール・ジャンサン]]は、[[太陽活動周期|黒点周期]]とともにコロナの大きさや形状が変化することを指摘した。1930年、[[ベルナール・リヨ]]が皆既日食によらずコロナを見ることができる装置「コロナグラフ」を発明した。1952年には、アメリカの天文学者[[ユージン・ニューマン・パーカー]]が、太陽表面全体に発生する無数の小さな「ナノフレア」によって太陽コロナが加熱されているのではないかと提唱した。

1869年の皆既日食の観測以降、コロナ中に輝線スペクトルが次々と発見された{{Sfn|原弘久|2018|p=150}}。これらは未知の元素「コロニウム」の存在を示唆するものと考えられたが、実際には高温によって高階電離したイオンによるものであった。[[ドイツ]]のグロトリアンの研究を引き継いだ[[スウェーデン]]の[[ベングト・エドレン]]により、1942年に637.4ナノメートル (nm) の赤色の輝線が、鉄の9階電離のイオン (Fe{{sup|9+}}) から放射されたものであることが同定された{{R|Edlén1943}}。その他、530.3 nmはFe{{sup|14+}}、338.8 nmはFe{{sup|12+}}、789.2 nmはFe{{sup|10+}}に、1074.4 nmと1079.8 nmはFe{{sup|12+}}と同定された{{R|Edlén1943}}。これ以降、コロナ中に発見されていた輝線が、ニッケル、カルシウム、アルゴンなどの高階電離したイオンからの放射であると同定されていった{{Sfn|原弘久|2018|p=150}}。

== 物理的特徴 ==
可視光で見えるコロナからの光は、物理過程の違いによって、Kコロナ、Eコロナ、Fコロナの3種類に大別される{{Sfn|原弘久|2018|p=152}}。
; Kコロナ
[[吸収線]]を持たない、[[スペクトル|連続光]]からなる成分{{Sfn|原弘久|2018|p=152}}。Kは、[[ドイツ語]]で「連続光」を意味する{{Lang|du|Kontinuierliche}}に由来する{{Sfn|原弘久|2018|p=152}}。Kコロナからの光は、太陽の光球に起源を持ち、高温に加熱されることで電離して高速運動する[[自由電子]]による[[トムソン散乱]]により、太陽の半径方向と直交する向きに強く偏光している{{Sfn|原弘久|2018|p=152}}。
; Eコロナ
0.1 nm程度の狭い波長範囲だけに局在する輝線成分{{Sfn|原弘久|2018|p=152}}。Eは、「輝線」を意味する{{lang|en|Emission}}に由来する{{Sfn|原弘久|2018|p=152}}。Eコロナからの光は、コロナ中で高階電離された原子が放射する光である{{Sfn|原弘久|2018|p=153}}。最も明るい13階電離した鉄イオン (Fe XIV, Fe{{sup|13+}}) からの530.28 nm付近の輝線を始め、可視光領域では20程度の輝線が見られる{{Sfn|原弘久|2018|p=153}}。太陽表面では最も強い成分だが、輝線の強度は電子密度の2乗に比例するため、光球からの距離が大きくなるとともに急速に暗くなる{{Sfn|原弘久|2018|p=153}}。
; Fコロナ
光球と同じくフラウンホーファー線を持つ成分{{Sfn|原弘久|2018|p=152}}。Fは、{{lang|du|Fraunhofer}}に由来する{{Sfn|原弘久|2018|p=152}}。Fコロナからの光は、黄道面に浮遊するダストの熱放射や太陽光の散乱光で、[[黄道光]]の太陽側への延長成分とされる{{Sfn|原弘久|2018|p=152}}。Kコロナに比べると距離が離れても輝度がゆっくりと減少するため、太陽中心から[[太陽半径]]の3倍くらい離れた距離になるとこの成分が主となる{{Sfn|原弘久|2018|p=153}}。Kコロナ、Eコロナと異なり、高温に加熱されているわけではないため、本来「黄道光」と呼ぶべきものである{{Sfn|原弘久|2018|p=153}}が、慣習的にFコロナと呼ばれている{{R|astro-dic}}。

太陽コロナは、太陽表面の[[有効温度]]よりもはるかに高温である。光球の平均温度が約5,800 Kであるのに対し、コロナは100万 - 300万 Kである。しかしながら、コロナの密度は光球の10{{sup|-12}}倍程度と非常に希薄なため、可視光での光度は光球の約100万分の1しかない。コロナは、比較的薄い彩層によって光球から切り離されている。コロナがどのようにして加熱されるのかはまだ議論の余地があるが、太陽コロナ中の磁場によって起こる微小なフレアによって加熱されるとする「ナノフレア説」と、プラズマ中を磁力線に沿って伝播する[[アルヴェーン波]]によって太陽表面のエネルギーが上空に伝えられているとする「波動加熱説」が有力視されている{{R|Solar-C_EUVST}}。太陽のコロナの外縁は、開いた磁束のために絶えず外へと運ばれ、[[太陽風]]を発生させている。

コロナは太陽の表面に常に均等に分布しているわけではない。静穏な時期には、コロナは多かれ少なかれ赤道域にとどまり、[[コロナホール]]が極域を覆う。逆に、活動期には、コロナは赤道域と極域に均等に分布しており、[[太陽黒点]]のある領域では最も顕著である。[[太陽活動周期|太陽の活動周期]]は、[[活動極小期]]から次の極小期までの約11年間である。太陽の自転は、赤道域の自転が極域よりも速い[[差動回転|差動自転]]をしていることにより[[太陽磁場]]が絶えず巻き上げられているため、黒点の活動は磁場がよりねじられやすい[[太陽極大期|活動極大期]]に最も顕著となる。太陽黒点と関連しているのは、太陽内部から上昇する磁束のループであるコロナループである。磁束が高温の光球を押しのけ、光球の下部にある比較的温度の低いプラズマを露出させることにより、暗い太陽黒点が作り出される。

1973年に[[宇宙ステーション]][[スカイラブ]]、その後「[[ようこう]]」を始めとする様々な宇宙機によって、スペクトルのX線領域の高解像度撮影が行われて以来、コロナの構造が非常に多様で複雑なものであることがわかってきた{{R|VaianaKrieger1973|VaianaRosner1978}}。天文学者は通常、以下のようにいくつかの領域に分類している。

=== 活動領域 ===
活動領域は、光球の磁気の極性が反対の点を結ぶループ構造、いわゆるコロナループの集合体である。活動領域は一般的に、太陽の赤道に平行な2つの領域に分布している。電子温度は100万 - 500万 Kで、電子密度は10{{sup|9}} - 10{{sup|10}}個/cm{{sup|3}}である{{Sfn|原弘久|2018|p=159}}。

活動領域は、太陽表面の異なる高さで発生する、磁場に直結した全ての現象に関係している。太陽黒点や[[白斑]]は光球で、[[スピキュール]]、H&alpha;フィラメント、[[プラージュ]]は彩層で、プロミネンスは彩層と[[遷移層]]で、[[太陽フレア]]や[[コロナ質量放出]] (corona mass ejection, CME) は彩層とコロナで発生する。フレアが非常に激しい場合には、光球を擾乱して[[モートン波]]を発生させることもある。一方で、静穏なプロミネンスは、大きく冷たく密度の高い構造物で、太陽面上に暗く蛇のようなH&alpha;リボンとして観測される。その温度はおよそ5,000 - 8,000 Kであることから、通常は彩層の特徴として考えられている。

;コロナループ
コロナループは、磁気太陽コロナの基本構造である。これらのループは、コロナホール領域や太陽風にみられる開いた磁束の従兄弟のような存在である。太陽本体から磁束のループが湧き上がり、高温の太陽プラズマで満たされる{{R|KatsukawaTsuneta2005}}。コロナループは、しばしば太陽フレアやCMEの前兆となる。

コロナループの足元の光球上には、一方にN極、もう一方にS極があり、コロナループはそれらを繋いだ磁気ループである{{Sfn|原弘久|2018|p=156}}。これらの構造物に供給される太陽プラズマは、光球から遷移層を経てコロナに至るまで、6,000 K以下から100万 K以上まで急速に加熱される。多くの場合、太陽プラズマは、フットポイント (foot point) と呼ばれる点からこれらのループを満たし、別のフットポイントから排出される。

[[ひので (人工衛星)|ひので]]のX線望遠鏡 (XRT) や[[TRACE]]、[[ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー|SDO]]の極端紫外線望遠鏡によるコロナの観測により、ループの下部から上部に向かって輝度が高くなる現象が捉えられるようになり、ひのでの極端紫外線分光観測によって、これがコロナループ足元からの上昇流であることがわかった。プラズマがフットポイントからループトップに向かって上昇する過程を「彩層蒸発 (chromospheric evaporation)」と呼んでいる{{Sfn|柴田一成|2018|p=249}}。また、ループの両方のフットポイントから対称的な流れが発生し、ループ構造に質量が蓄積されることもある。この領域では、プラズマは熱的不安定性のため急速に冷えることがあるため、周囲のコロナに比べて低温のプラズマ塊が太陽面ではダークフィラメントとして、あるいは太陽周縁部ではプロミネンスとしてはっきりと見えることがある。

コロナループの寿命は、数秒、数分、数時間、数日のオーダーである。ループのエネルギー源と吸収源のバランスが取れている場合、コロナループは長時間続くことがあり、定常状態または静止状態のコロナループとして知られている。

コロナループは、現在のコロナ加熱問題を理解する上で大変重要である。コロナループは、非常に放射性の高いプラズマの発生源であるため、日本のようこうや[[ひので (人工衛星)|ひので]]、アメリカの[[TRACE]]のような観測装置で容易に観測することができる。しかし、コロナ加熱問題を説明するためには遠くから構造を観測するだけでは不十分であり、コロナのある現場での観測が必要となる。[[NASA]]の[[パーカー・ソーラー・プローブ]]は、太陽に非常に近いところまで接近し、より直接的な観測を行う。

;大規模構造
大規模構造とは、太陽面の4分の1以上を覆うことができる非常に長いアーチのことで、活動領域のコロナループよりも密度の低いプラズマを含んでいる。これは、1968年6月8日にロケットでのフレア観測の際に初めて発見された。コロナの大規模構造は11年の太陽周期の間に変化し、太陽の磁場がほぼ双極子(+四極子)に近い状態となる極小期には特に単純なものとなる。
;活動領域の接続
活動領域の相互接続は、異なる活動領域の極性が逆の領域を接続するアーチである。これらの構造の大きな変化は、フレア発生の後によく見られる。他の特徴としては、ヘルメットストリーマー、あるいは単にストリーマーと呼ばれる、黒点や活動領域の上に長い尖ったピークを持つ、大きな兜のようなコロナの構造がある。ストリーマーは低速太陽風の発生源であると考えられている{{R|Ofman2000}}。
;X線輝点
X線輝点 (XBP) は、太陽面に見られる小さな活動領域で、1969年4月8日に観測ロケット搭載のX線望遠鏡で初めて検出された{{Sfn|原弘久|2018|p=190}}。X線輝点下部の光球には双極磁場構造が見られる{{Sfn|原弘久|2018|p=191}}。これは、異なる磁場構造が互いに接近して生じたもので、輝点の発生後に磁場は消滅する{{Sfn|原弘久|2018|p=191}}。このことから、X線輝点は、異なる磁場のN極とS極がコロナの中での磁気リコネクション過程を経た際に輝いているものであると考えられている{{Sfn|原弘久|2018|p=191}}。X線輝点の数は太陽周期活動に関係なくほぼ一定である{{Sfn|原弘久|2018|p=192}}。ひので搭載のX線望遠鏡 (XRT) による観測結果から推測される平均温度は110万 Kから340万 Kで、多くの場合温度の変化はX線放射の変動と相関が見られる{{R|KariyappaDeLuca2010}}。

=== コロナホール ===
[[コロナホール]]は、あまりX線を放出しないため、X線領域で暗く見える領域のことである{{R|ItoTsuneta2010}}{{Sfn|原弘久|2018|p=161}}。コロナホールは、磁場が単極で惑星間空間に向かって開いた磁力線構造をしており{{Sfn|原弘久|2018|p=163}}、極域とつながるコロナホールからは、地球軌道付近で秒速800 キロメートルのスピードに達する高速太陽風が吹き出している{{Sfn|原弘久|2018|p=163}}。

極域のコロナホールの紫外線画像の中には、明るい羽毛状の構造が噴き出しているように見えるものがあり、極域プルームと呼ばれている{{Sfn|原弘久|2018|p=166}}。これは、太陽の光球から惑星間空間へと延びていく磁場構造がコロナとして観測されたものである{{Sfn|原弘久|2018|p=166}}。コロナホールと異なり明るい構造として観測されるのは、極域プルームの密度が周囲のコロナホールよりも高いためである{{Sfn|原弘久|2018|p=166}}。

=== 静穏領域 ===
コロナホールも含め、活動領域以外の静かで磁場の弱い領域を静穏領域と呼ぶ{{Sfn|黒河宏企|2018|p=170}}。

赤道域は極域よりも自転速度が速い。太陽の差動自転の結果、活動領域は常に赤道に平行な2つのバンドで発生し、活動極大期にはその延長が増加するが、最小期にはほとんど消滅する。したがって、静穏領域は常に赤道帯と一致しており、極大期にはその表面はあまり活発ではない。極小期に近づくと、静穏領域は太陽円盤全体を覆うまで広がる{{Sfn|黒河宏企|2018|p=170}}。

== コロナの変動 ==
コロナの主な構造の力学の解析によって、多様性に富むコロナの描像は明確に示される。コロナの複雑な変動の研究は容易ではない。それは、異なる構造の進化のタイムスケールが、数秒から数か月と大きく異なるためである。コロナ現象が起こる領域の典型的な大きさも、次の表に示されるように、同様に異なる。
{| class="wikitable" | title="Typical length of observable coronal features"
|-
! コロナ現象 !! 典型的なタイムスケール !! 典型的な大きさ (km)
|-
| 活動領域[[太陽フレア|フレア]] || 10秒から1万秒 || 1万 - 10万
|-
| X線輝点 || 分 || 1000 - 1万
|-
| Transient in large-scale structures || 数分から数時間 || ~10万
|-
| Transient in interconnecting arcs || 数分から数時間 || ~ 10万
|-
| 静穏領域 || 数時間から数か月 || 10万 - 100万
|-
| [[コロナホール]] || several rotations || 10万 - 100万
|}

=== フレア ===
フレアは、活動領域で発生し、コロナの小さな領域から放出される放射フラックスの急激な増加によって特徴付けられる。フレアは非常に複雑な現象で、様々な波長で観測することができる。太陽大気のいくつかの層と多くの物理的影響、熱的・非熱的、そしてときには物質の放出を伴う大きな磁気リコネクションが関係している。

フレアは突発的な現象で、平均的な持続時間は15分だが、最もエネルギッシュなイベントでは数時間続くものもある。フレアは、密度と温度に強烈かつ急激な上昇をもたらす。

白色光での増光は大規模なフレアでないと観測されていなかったが、宇宙機から可視光領域での観測が可能となると、中規模のフレアでも白色光の増光が見られるようになった{{Sfn|増田智|2008|p=233}}。通常、フレアは主に極端紫外線とX線で観測される、彩層とコロナの発光現象である。コロナでのフレアの形態は、紫外線、軟X線、硬X線、H&alpha;波長での観測によって描写され、非常に複雑である。しかしながら、基本的な構造は以下の2種類に分類される{{R|PallaviciniSerio1977}}。

;コンパクトフレア
コンパクトフレアでは、イベントが発生している2つのアーチの各々がその形態を維持している。発光の増加のみが観測され、構造的には大きな変化はない。放出されるエネルギーのオーダーは10{{sup|22}} - 10{{sup|23}} ジュール (J) である。
;長時間持続フレア
長時間持続フレア (long duration event flare, LDEフレア) では、プロミネンスの噴出、突発的な白色光、2本のリボン状フレアが関連している{{R|GolubHerant1990}}
。この場合、磁気ループはイベントの間にその構造を変化させる。放出エネルギーが10{{sup|25}} Jに達するものが大きな割合を占めている。

時間的な力学については、一般的に3つの異なるフェーズに分類されており、その期間は比較できない。これらの期間の長さは、観測に用いた波長の範囲に依存する。
*初相(インパルシブ相):マイクロ波や極端紫外線、硬X線の波長でも数分程度の強いエネルギー放出が観測される。
*主相(グラジュアル相):ゆっくりとした強度の増加。
*減衰相:数時間続くことがある。

時には、フレアに先行するフェーズが観測されることもあり、通常「プレフレア」フェーズと呼ばれている。

=== コロナ質量放出 ===
{{See also|コロナ質量放出}}
[[ファイル:171879main LimbFlareJan12 lg.jpg|thumb|300px|right|2007年1月12日に人工衛星「ひので」がコロナ放出の瞬間を撮影した画像。]]
[[ファイル:171879main LimbFlareJan12 lg.jpg|thumb|300px|right|2007年1月12日に人工衛星「ひので」がコロナ放出の瞬間を撮影した画像。]]
太陽フレアや巨大なプロミネンスに合わせて、コロナ質量放出 (coronal mass ejection, coronal transient, CME) が発生することもある。コロナ物質の巨大なループは、太陽から時速100万 km以上の速度で外側に向かって移動し、それに伴う太陽フレアやプロミネンスの約10倍のエネルギーを含んでいる。中には、時速150万 kmで何億トンもの物質を宇宙空間に放出するものもある。
{{-}}
== コロナの物理学 ==
太陽大気の外部にある物質は、非常に高い温度と非常に低い密度のプラズマ状態にある。プラズマの定義は、集団的な振る舞いを示す準中性の粒子の集合体である。


その組成は、太陽内部に似て主に水素であるが、光球に見られるものよりはるかに高く電離している。鉄のような重い金属は、部分的にイオン化され、外部電子のほとんどを失っている。元素のイオン化状態は温度に厳密に依存しており、最下層大気ではサハ方程式によって調整されているが、光学的に薄いコロナでは衝突平衡によって調整されている。歴史的には、鉄の高階電離状態から放出されるスペクトル線の存在により、コロナプラズマの高温が知られるようになり、コロナが彩層の内側の層よりもはるかに高温であることが明らかとなった。
太陽コロナは[[プラズマ]]の一種であるが、コロナという言葉は2,000年以上前から冠の代名詞として使われてきて、クラウンという言葉につながった。


コロナは、非常に高温で軽い気体のような振る舞いを見せる。コロナ内の圧力は、活動領域では通常0.1 - 0.6 パスカル (Pa) と、地球表面の約10 hPaに比べて100万分の1の気圧しかない。しかしコロナは、基本的に陽子と電子という荷電粒子が異なる速度で運動しているため、正しくは気体ではない。エネルギー等配分の法則に基づき、平均的に同じエネルギーを持っていると仮定すると、電子は陽子の1800分の1の質量しか持っていないため、より多くの速度を得ることができる。金属イオンは常により遅い。この事実は、光球とは全く異なる放射過程や熱伝導に関連した物理的な影響を与えている。さらに、電荷の存在は、電流と高磁場の発生を誘導する。電磁流体波(MHD波動)もまた、コロナ内でどのように伝導したり生成されたりするのかまだ明らかにされていないが、このプラズマ内を伝播することができる。
太陽表面が6,000度程度であるのに対し、コロナは100万度以上と非常に高温である。高度500kmあたりから温度が上昇し始め、高度2,000kmを境に1万度から100万度まで急激に上昇する。なぜコロナが発生するのか、そして表面から離れているにも関わらず温度が上昇するかは現在でもはっきりとは分かっていない。太陽表面の運動によりひき起こされた波([[アルヴェン波]])が[[衝撃波]]となって温度を上げているという説や、コロナ中の小さな爆発現象が温度を上げているなど諸説ある。


=== 放射線 ===
[[日食|皆既日食]]の際には肉眼で見ることができる。専用の望遠鏡([[コロナグラフ]])を使えば、常時観測することができる。ただし、コロナは100万度以上の温度であるため、光領域よりは[[X線]]領域での放射の方が多い。大気がX線を吸収してしまうので、コロナの観測には宇宙空間の方が適している。
コロナは、主にX線で放射線を放出し、これは地上では観測できず宇宙からのみ観測できる。プラズマは、それ自身の放射と下からの放射に対して透明であるため、「[[光学的厚さ|光学的に薄い]]」と言われる。実際、ガスは非常に希薄で、光子の[[平均自由行程]]は、コロナの各特徴の典型的なスケールをはるかに超えている。


プラズマ粒子間の二体衝突により様々な放射の過程があるが、下からの光子との相互作用は非常に稀である。放射はイオンと電子の衝突によるものであるため、時間単位の単位体積から放出されるエネルギーは、単位体積内の粒子数の2乗に比例し、より正確には電子密度と陽子密度の積に比例する{{R|Mewe1991}}。
近年では、天体観測技術の向上により太陽以外の恒星にも同様の光冠があることが分かっている。

=== 熱伝導 ===
コロナでは、熱伝導が外部の高温大気から内部の冷却層に向かって起こる。この熱の拡散プロセスは、イオンよりもはるかに軽く高速で運動する電子が主役となる。

磁場がある場合、プラズマの熱伝導率は磁力線に垂直な方向より平行な方向のほうが高くなる。磁力線に垂直な方向へ運動する荷電粒子には、速度と磁力によって分割された平面に垂直な[[ローレンツ力]]が作用する。この力は粒子の軌道を曲げる。一般に、粒子は磁力線に沿った速度成分を持っているので、ローレンツ力はサイクロトロン周波数で磁力線を中心とするらせんに沿って移動することを強いる。

粒子間の衝突が非常に頻繁に起こる場合、粒子はあらゆる方向に散乱する。これは、プラズマが磁場を持って運動している光球で起こる。一方、コロナでは、電子の平均自由行程が数キロメートルかそれ以上であるため、衝突後に散乱される前に各電子はらせん運動をすることができる。そのため、熱伝導は磁力線に沿って強くなり、垂直方向には抑制される。

=== コロナ震動学 ===
コロナ震動学は、電磁流体波を用いて太陽コロナのプラズマを研究する新しい手法である。磁気流体力学は、電気的に伝導する流体の力学を研究する学問で、この場合の流体はコロナプラズマが相当する。哲学的には、コロナ震動学は、地球の[[地震学]]や太陽の[[日震学]]、実験室のプラズマ装置の磁気流体力学分光学に似ている。これらのアプローチでは、媒体を探査するのに様々な種類の波動が用いられる。コロナ磁場、密度スケールの高さ、微細構造、加熱の推定におけるコロナ震動学の可能性は、様々な研究グループによって実証されている。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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=== 注釈・出典 ===
=== 注釈・出典 ===
{{reflist|refs=
{{reflist|25em|refs=
<ref name="astro-dic">{{cite web
<ref name="astro-dic">{{cite web
|url=https://astro-dic.jp/solar-corona/
|url=https://astro-dic.jp/solar-corona/
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|journal=ISASニュース|date=2016-2|volume=No.419
|journal=ISASニュース|date=2016-2|volume=No.419
|publisher=[[宇宙航空研究開発機構]]/[[宇宙科学研究所]]}}</ref>
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<ref name="de Ferrer1809">{{cite journal
|last1=de Ferrer|first1=Jose Joaquin
|title=Observations of the Eclipse of the Sun, June 16th, 1806, Made at Kinderhook, in the State of New-York
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<ref name="Solar-C_EUVST">{{cite web
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<ref name="VaianaKrieger1973">{{cite journal|display-authors=1
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== 参考文献 ==
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2020年4月30日 (木) 15:51時点における版

1999年8月11日の皆既日食で見られたコロナ。皆既日食中は、コロナやプロミネンスを肉眼で見ることができる。

コロナ[1] (ラテン語: corona) 、または太陽コロナ[2]は、太陽の外層大気の最も外側にある、100万ケルビン (K) を超える希薄なガスの層である[1]。corona はラテン語で「冠」を意味する言葉で、古代ギリシャ語ガーランドリースを意味する κορώνη に由来する。

皆既日食の際には肉眼で見ることができる。コロナグラフという観測機器を使えば、常時観測することができる。ただし、コロナは100万 K以上の温度であるため、可視光よりX線での放射の方が強い。大気がX線を吸収してしまうため、コロナの観測には宇宙空間の方が適している。

主な成分は水素原子原子核電子とに分解されたプラズマである。普段は光球彩層からの光が強いため見ることができないが、皆既日食の際やコロナグラフと呼ばれる機器を使うことで観測できる。6,000K程度の光球から遠く離れたコロナが100万Kを超える温度まで加熱される機構(コロナ加熱)には不明な点が残っており、「コロナ加熱問題」と呼ばれている[3]

歴史

ニューヨーク Kinderhookでの、1806年6月16日の日食José Joaquín de Ferrerによるコロナのスケッチ

1724年、フランス・イタリアの天文学者ジャコーモ・フィリッポ・マラルディは、日食の間に見えるオーラは月ではなく太陽のものであることを認識した。1809年、スペインの天文学者ホセ・ホアキン・デ・フェレールは「コロナ」という言葉を生み出した[4]。デ・フェレールはまた、ニューヨーク州キンダーフックでの1806年の日食の観測に基づいて、コロナは月ではなく太陽の一部であると提唱した[4]。イギリスの天文学者ノーマン・ロッキャーは、地球上で初めて太陽の彩層に含まれる未知の元素を発見した。フランスの天文学者ピエール・ジャンサンは、黒点周期とともにコロナの大きさや形状が変化することを指摘した。1930年、ベルナール・リヨが皆既日食によらずコロナを見ることができる装置「コロナグラフ」を発明した。1952年には、アメリカの天文学者ユージン・ニューマン・パーカーが、太陽表面全体に発生する無数の小さな「ナノフレア」によって太陽コロナが加熱されているのではないかと提唱した。

1869年の皆既日食の観測以降、コロナ中に輝線スペクトルが次々と発見された[2]。これらは未知の元素「コロニウム」の存在を示唆するものと考えられたが、実際には高温によって高階電離したイオンによるものであった。ドイツのグロトリアンの研究を引き継いだスウェーデンベングト・エドレンにより、1942年に637.4ナノメートル (nm) の赤色の輝線が、鉄の9階電離のイオン (Fe9+) から放射されたものであることが同定された[5]。その他、530.3 nmはFe14+、338.8 nmはFe12+、789.2 nmはFe10+に、1074.4 nmと1079.8 nmはFe12+と同定された[5]。これ以降、コロナ中に発見されていた輝線が、ニッケル、カルシウム、アルゴンなどの高階電離したイオンからの放射であると同定されていった[2]

物理的特徴

可視光で見えるコロナからの光は、物理過程の違いによって、Kコロナ、Eコロナ、Fコロナの3種類に大別される[6]

Kコロナ

吸収線を持たない、連続光からなる成分[6]。Kは、ドイツ語で「連続光」を意味するKontinuierlicheに由来する[6]。Kコロナからの光は、太陽の光球に起源を持ち、高温に加熱されることで電離して高速運動する自由電子によるトムソン散乱により、太陽の半径方向と直交する向きに強く偏光している[6]

Eコロナ

0.1 nm程度の狭い波長範囲だけに局在する輝線成分[6]。Eは、「輝線」を意味するEmissionに由来する[6]。Eコロナからの光は、コロナ中で高階電離された原子が放射する光である[7]。最も明るい13階電離した鉄イオン (Fe XIV, Fe13+) からの530.28 nm付近の輝線を始め、可視光領域では20程度の輝線が見られる[7]。太陽表面では最も強い成分だが、輝線の強度は電子密度の2乗に比例するため、光球からの距離が大きくなるとともに急速に暗くなる[7]

Fコロナ

光球と同じくフラウンホーファー線を持つ成分[6]。Fは、Fraunhoferに由来する[6]。Fコロナからの光は、黄道面に浮遊するダストの熱放射や太陽光の散乱光で、黄道光の太陽側への延長成分とされる[6]。Kコロナに比べると距離が離れても輝度がゆっくりと減少するため、太陽中心から太陽半径の3倍くらい離れた距離になるとこの成分が主となる[7]。Kコロナ、Eコロナと異なり、高温に加熱されているわけではないため、本来「黄道光」と呼ぶべきものである[7]が、慣習的にFコロナと呼ばれている[1]

太陽コロナは、太陽表面の有効温度よりもはるかに高温である。光球の平均温度が約5,800 Kであるのに対し、コロナは100万 - 300万 Kである。しかしながら、コロナの密度は光球の10-12倍程度と非常に希薄なため、可視光での光度は光球の約100万分の1しかない。コロナは、比較的薄い彩層によって光球から切り離されている。コロナがどのようにして加熱されるのかはまだ議論の余地があるが、太陽コロナ中の磁場によって起こる微小なフレアによって加熱されるとする「ナノフレア説」と、プラズマ中を磁力線に沿って伝播するアルヴェーン波によって太陽表面のエネルギーが上空に伝えられているとする「波動加熱説」が有力視されている[8]。太陽のコロナの外縁は、開いた磁束のために絶えず外へと運ばれ、太陽風を発生させている。

コロナは太陽の表面に常に均等に分布しているわけではない。静穏な時期には、コロナは多かれ少なかれ赤道域にとどまり、コロナホールが極域を覆う。逆に、活動期には、コロナは赤道域と極域に均等に分布しており、太陽黒点のある領域では最も顕著である。太陽の活動周期は、活動極小期から次の極小期までの約11年間である。太陽の自転は、赤道域の自転が極域よりも速い差動自転をしていることにより太陽磁場が絶えず巻き上げられているため、黒点の活動は磁場がよりねじられやすい活動極大期に最も顕著となる。太陽黒点と関連しているのは、太陽内部から上昇する磁束のループであるコロナループである。磁束が高温の光球を押しのけ、光球の下部にある比較的温度の低いプラズマを露出させることにより、暗い太陽黒点が作り出される。

1973年に宇宙ステーションスカイラブ、その後「ようこう」を始めとする様々な宇宙機によって、スペクトルのX線領域の高解像度撮影が行われて以来、コロナの構造が非常に多様で複雑なものであることがわかってきた[9][10]。天文学者は通常、以下のようにいくつかの領域に分類している。

活動領域

活動領域は、光球の磁気の極性が反対の点を結ぶループ構造、いわゆるコロナループの集合体である。活動領域は一般的に、太陽の赤道に平行な2つの領域に分布している。電子温度は100万 - 500万 Kで、電子密度は109 - 1010個/cm3である[11]

活動領域は、太陽表面の異なる高さで発生する、磁場に直結した全ての現象に関係している。太陽黒点や白斑は光球で、スピキュール、Hαフィラメント、プラージュは彩層で、プロミネンスは彩層と遷移層で、太陽フレアコロナ質量放出 (corona mass ejection, CME) は彩層とコロナで発生する。フレアが非常に激しい場合には、光球を擾乱してモートン波を発生させることもある。一方で、静穏なプロミネンスは、大きく冷たく密度の高い構造物で、太陽面上に暗く蛇のようなHαリボンとして観測される。その温度はおよそ5,000 - 8,000 Kであることから、通常は彩層の特徴として考えられている。

コロナループ

コロナループは、磁気太陽コロナの基本構造である。これらのループは、コロナホール領域や太陽風にみられる開いた磁束の従兄弟のような存在である。太陽本体から磁束のループが湧き上がり、高温の太陽プラズマで満たされる[12]。コロナループは、しばしば太陽フレアやCMEの前兆となる。

コロナループの足元の光球上には、一方にN極、もう一方にS極があり、コロナループはそれらを繋いだ磁気ループである[13]。これらの構造物に供給される太陽プラズマは、光球から遷移層を経てコロナに至るまで、6,000 K以下から100万 K以上まで急速に加熱される。多くの場合、太陽プラズマは、フットポイント (foot point) と呼ばれる点からこれらのループを満たし、別のフットポイントから排出される。

ひのでのX線望遠鏡 (XRT) やTRACESDOの極端紫外線望遠鏡によるコロナの観測により、ループの下部から上部に向かって輝度が高くなる現象が捉えられるようになり、ひのでの極端紫外線分光観測によって、これがコロナループ足元からの上昇流であることがわかった。プラズマがフットポイントからループトップに向かって上昇する過程を「彩層蒸発 (chromospheric evaporation)」と呼んでいる[14]。また、ループの両方のフットポイントから対称的な流れが発生し、ループ構造に質量が蓄積されることもある。この領域では、プラズマは熱的不安定性のため急速に冷えることがあるため、周囲のコロナに比べて低温のプラズマ塊が太陽面ではダークフィラメントとして、あるいは太陽周縁部ではプロミネンスとしてはっきりと見えることがある。

コロナループの寿命は、数秒、数分、数時間、数日のオーダーである。ループのエネルギー源と吸収源のバランスが取れている場合、コロナループは長時間続くことがあり、定常状態または静止状態のコロナループとして知られている。

コロナループは、現在のコロナ加熱問題を理解する上で大変重要である。コロナループは、非常に放射性の高いプラズマの発生源であるため、日本のようこうやひので、アメリカのTRACEのような観測装置で容易に観測することができる。しかし、コロナ加熱問題を説明するためには遠くから構造を観測するだけでは不十分であり、コロナのある現場での観測が必要となる。NASAパーカー・ソーラー・プローブは、太陽に非常に近いところまで接近し、より直接的な観測を行う。

大規模構造

大規模構造とは、太陽面の4分の1以上を覆うことができる非常に長いアーチのことで、活動領域のコロナループよりも密度の低いプラズマを含んでいる。これは、1968年6月8日にロケットでのフレア観測の際に初めて発見された。コロナの大規模構造は11年の太陽周期の間に変化し、太陽の磁場がほぼ双極子(+四極子)に近い状態となる極小期には特に単純なものとなる。

活動領域の接続

活動領域の相互接続は、異なる活動領域の極性が逆の領域を接続するアーチである。これらの構造の大きな変化は、フレア発生の後によく見られる。他の特徴としては、ヘルメットストリーマー、あるいは単にストリーマーと呼ばれる、黒点や活動領域の上に長い尖ったピークを持つ、大きな兜のようなコロナの構造がある。ストリーマーは低速太陽風の発生源であると考えられている[15]

X線輝点

X線輝点 (XBP) は、太陽面に見られる小さな活動領域で、1969年4月8日に観測ロケット搭載のX線望遠鏡で初めて検出された[16]。X線輝点下部の光球には双極磁場構造が見られる[17]。これは、異なる磁場構造が互いに接近して生じたもので、輝点の発生後に磁場は消滅する[17]。このことから、X線輝点は、異なる磁場のN極とS極がコロナの中での磁気リコネクション過程を経た際に輝いているものであると考えられている[17]。X線輝点の数は太陽周期活動に関係なくほぼ一定である[18]。ひので搭載のX線望遠鏡 (XRT) による観測結果から推測される平均温度は110万 Kから340万 Kで、多くの場合温度の変化はX線放射の変動と相関が見られる[19]

コロナホール

コロナホールは、あまりX線を放出しないため、X線領域で暗く見える領域のことである[20][21]。コロナホールは、磁場が単極で惑星間空間に向かって開いた磁力線構造をしており[22]、極域とつながるコロナホールからは、地球軌道付近で秒速800 キロメートルのスピードに達する高速太陽風が吹き出している[22]

極域のコロナホールの紫外線画像の中には、明るい羽毛状の構造が噴き出しているように見えるものがあり、極域プルームと呼ばれている[23]。これは、太陽の光球から惑星間空間へと延びていく磁場構造がコロナとして観測されたものである[23]。コロナホールと異なり明るい構造として観測されるのは、極域プルームの密度が周囲のコロナホールよりも高いためである[23]

静穏領域

コロナホールも含め、活動領域以外の静かで磁場の弱い領域を静穏領域と呼ぶ[24]

赤道域は極域よりも自転速度が速い。太陽の差動自転の結果、活動領域は常に赤道に平行な2つのバンドで発生し、活動極大期にはその延長が増加するが、最小期にはほとんど消滅する。したがって、静穏領域は常に赤道帯と一致しており、極大期にはその表面はあまり活発ではない。極小期に近づくと、静穏領域は太陽円盤全体を覆うまで広がる[24]

コロナの変動

コロナの主な構造の力学の解析によって、多様性に富むコロナの描像は明確に示される。コロナの複雑な変動の研究は容易ではない。それは、異なる構造の進化のタイムスケールが、数秒から数か月と大きく異なるためである。コロナ現象が起こる領域の典型的な大きさも、次の表に示されるように、同様に異なる。

コロナ現象 典型的なタイムスケール 典型的な大きさ (km)
活動領域フレア 10秒から1万秒 1万 - 10万
X線輝点 1000 - 1万
Transient in large-scale structures 数分から数時間 ~10万
Transient in interconnecting arcs 数分から数時間 ~ 10万
静穏領域 数時間から数か月 10万 - 100万
コロナホール several rotations 10万 - 100万

フレア

フレアは、活動領域で発生し、コロナの小さな領域から放出される放射フラックスの急激な増加によって特徴付けられる。フレアは非常に複雑な現象で、様々な波長で観測することができる。太陽大気のいくつかの層と多くの物理的影響、熱的・非熱的、そしてときには物質の放出を伴う大きな磁気リコネクションが関係している。

フレアは突発的な現象で、平均的な持続時間は15分だが、最もエネルギッシュなイベントでは数時間続くものもある。フレアは、密度と温度に強烈かつ急激な上昇をもたらす。

白色光での増光は大規模なフレアでないと観測されていなかったが、宇宙機から可視光領域での観測が可能となると、中規模のフレアでも白色光の増光が見られるようになった[25]。通常、フレアは主に極端紫外線とX線で観測される、彩層とコロナの発光現象である。コロナでのフレアの形態は、紫外線、軟X線、硬X線、Hα波長での観測によって描写され、非常に複雑である。しかしながら、基本的な構造は以下の2種類に分類される[26]

コンパクトフレア

コンパクトフレアでは、イベントが発生している2つのアーチの各々がその形態を維持している。発光の増加のみが観測され、構造的には大きな変化はない。放出されるエネルギーのオーダーは1022 - 1023 ジュール (J) である。

長時間持続フレア

長時間持続フレア (long duration event flare, LDEフレア) では、プロミネンスの噴出、突発的な白色光、2本のリボン状フレアが関連している[27] 。この場合、磁気ループはイベントの間にその構造を変化させる。放出エネルギーが1025 Jに達するものが大きな割合を占めている。

時間的な力学については、一般的に3つの異なるフェーズに分類されており、その期間は比較できない。これらの期間の長さは、観測に用いた波長の範囲に依存する。

  • 初相(インパルシブ相):マイクロ波や極端紫外線、硬X線の波長でも数分程度の強いエネルギー放出が観測される。
  • 主相(グラジュアル相):ゆっくりとした強度の増加。
  • 減衰相:数時間続くことがある。

時には、フレアに先行するフェーズが観測されることもあり、通常「プレフレア」フェーズと呼ばれている。

コロナ質量放出

2007年1月12日に人工衛星「ひので」がコロナ放出の瞬間を撮影した画像。

太陽フレアや巨大なプロミネンスに合わせて、コロナ質量放出 (coronal mass ejection, coronal transient, CME) が発生することもある。コロナ物質の巨大なループは、太陽から時速100万 km以上の速度で外側に向かって移動し、それに伴う太陽フレアやプロミネンスの約10倍のエネルギーを含んでいる。中には、時速150万 kmで何億トンもの物質を宇宙空間に放出するものもある。

コロナの物理学

太陽大気の外部にある物質は、非常に高い温度と非常に低い密度のプラズマ状態にある。プラズマの定義は、集団的な振る舞いを示す準中性の粒子の集合体である。

その組成は、太陽内部に似て主に水素であるが、光球に見られるものよりはるかに高く電離している。鉄のような重い金属は、部分的にイオン化され、外部電子のほとんどを失っている。元素のイオン化状態は温度に厳密に依存しており、最下層大気ではサハ方程式によって調整されているが、光学的に薄いコロナでは衝突平衡によって調整されている。歴史的には、鉄の高階電離状態から放出されるスペクトル線の存在により、コロナプラズマの高温が知られるようになり、コロナが彩層の内側の層よりもはるかに高温であることが明らかとなった。

コロナは、非常に高温で軽い気体のような振る舞いを見せる。コロナ内の圧力は、活動領域では通常0.1 - 0.6 パスカル (Pa) と、地球表面の約10 hPaに比べて100万分の1の気圧しかない。しかしコロナは、基本的に陽子と電子という荷電粒子が異なる速度で運動しているため、正しくは気体ではない。エネルギー等配分の法則に基づき、平均的に同じエネルギーを持っていると仮定すると、電子は陽子の1800分の1の質量しか持っていないため、より多くの速度を得ることができる。金属イオンは常により遅い。この事実は、光球とは全く異なる放射過程や熱伝導に関連した物理的な影響を与えている。さらに、電荷の存在は、電流と高磁場の発生を誘導する。電磁流体波(MHD波動)もまた、コロナ内でどのように伝導したり生成されたりするのかまだ明らかにされていないが、このプラズマ内を伝播することができる。

放射線

コロナは、主にX線で放射線を放出し、これは地上では観測できず宇宙からのみ観測できる。プラズマは、それ自身の放射と下からの放射に対して透明であるため、「光学的に薄い」と言われる。実際、ガスは非常に希薄で、光子の平均自由行程は、コロナの各特徴の典型的なスケールをはるかに超えている。

プラズマ粒子間の二体衝突により様々な放射の過程があるが、下からの光子との相互作用は非常に稀である。放射はイオンと電子の衝突によるものであるため、時間単位の単位体積から放出されるエネルギーは、単位体積内の粒子数の2乗に比例し、より正確には電子密度と陽子密度の積に比例する[28]

熱伝導

コロナでは、熱伝導が外部の高温大気から内部の冷却層に向かって起こる。この熱の拡散プロセスは、イオンよりもはるかに軽く高速で運動する電子が主役となる。

磁場がある場合、プラズマの熱伝導率は磁力線に垂直な方向より平行な方向のほうが高くなる。磁力線に垂直な方向へ運動する荷電粒子には、速度と磁力によって分割された平面に垂直なローレンツ力が作用する。この力は粒子の軌道を曲げる。一般に、粒子は磁力線に沿った速度成分を持っているので、ローレンツ力はサイクロトロン周波数で磁力線を中心とするらせんに沿って移動することを強いる。

粒子間の衝突が非常に頻繁に起こる場合、粒子はあらゆる方向に散乱する。これは、プラズマが磁場を持って運動している光球で起こる。一方、コロナでは、電子の平均自由行程が数キロメートルかそれ以上であるため、衝突後に散乱される前に各電子はらせん運動をすることができる。そのため、熱伝導は磁力線に沿って強くなり、垂直方向には抑制される。

コロナ震動学

コロナ震動学は、電磁流体波を用いて太陽コロナのプラズマを研究する新しい手法である。磁気流体力学は、電気的に伝導する流体の力学を研究する学問で、この場合の流体はコロナプラズマが相当する。哲学的には、コロナ震動学は、地球の地震学や太陽の日震学、実験室のプラズマ装置の磁気流体力学分光学に似ている。これらのアプローチでは、媒体を探査するのに様々な種類の波動が用いられる。コロナ磁場、密度スケールの高さ、微細構造、加熱の推定におけるコロナ震動学の可能性は、様々な研究グループによって実証されている。

脚注

注釈・出典

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参考文献

関連項目

外部リンク