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心理学においてダークトライアド (英: Dark Triad) とは、自己愛傾向 (Narcissism)、マキャヴェリアニズム (Machiavellianism)、サイコパシー (Psychopathy) の3つのパーソナリティ特性の総称である^[1]^[2]^[3]^[4]。「ダーク」と付くのは、これらの特性を持つ人々が悪の気質を持つことを意味する^[5]^[6]^[7]^[8]。

応用心理学においてダークトライアドの研究は、特に法執行、臨床心理学、経営管理などの分野でなされている。この3つの特性が高い人々は、犯罪を起こし、社会的苦痛を引き起こし、組織にとって重大な問題を引き起こす恐れがあり、それは特にリーダーシップポジションに置かれたときは顕著となる。

ダークトライアドの各要素は概念的には区別されるものであるが、経験的な証拠ではそれらの重なりが示されている。彼らは不自然な対人的なスタイルに関連づけられる^[9]。

ナルシシズムは、誇大性、自尊心、エゴージズム、共感の欠如が特徴とされる^[10]
マキャベリ主義は、対人操作、搾取、道徳観に対する冷笑的無視、自己中心や欺瞞を特徴とする^[11]。
サイコパスは、継続的な反社会的行動、衝動性、利己主義、無反省を特徴とする^[12]

グラスゴー・カレドニアン大学における因子分析によれば、五大パーソナリティ因子モデルにおいては協調性の低さが最もダークトライアドと関連性があり、また神経質傾向および低い誠実性は一部のダークトライアドの人々と関連性があった^[11]。

歴史

「History of narcissism」および「History of psychopathy」も参照

1998年にマホスキー、ウツェル、シヤルト^[13]は、ナルシシズム、マキャベリ主義、サイコパスはそれぞれの領域が重なっており、一般のそういった人達の間では多かれ少なかれ互いに交換可能であると主張して論争を引き起こした。デルロイ・パウルス（英語版）とマホスキーは、その後にアメリカ心理学会の会議でこれらの視点について議論し、発表された論文の中で発展し続けている研究に刺激を与えた。パウルスとウィリアムスは、2つの特性の間に行動、性格、認知的な違いがあることを発見し、2つの特性が異なる構成体であることを示唆した。しかし、それらがどのように、そしてなぜ重複するのかを明らかにするためにはさらなる研究が必要であると結論した^[14]。

構成要素

ダークトライアドの間には、概念的および実証的にかなりの重複がある。例えば、研究者らは、3つの特性はすべて、共感の欠如^[15]、対人敵意^[16]、対人攻撃性^[17]などの特徴を共有していると指摘している。部分的にはこの重複のために,ダーティーダズンズ^[18]とショート・ダークトライアド(SD3)^[19]のような3つのダークトライアドを同時に測定することを試みる多くの測定法が近年開発された。

しかし、根本的には、これらの尺度のほとんどはアンケート形式であり、自己反応や観察者反応(例えば、上司や同僚からの評価)のいずれかを必要とする。どちらの方法も,回答者が騙そうとする可能性があるため,社会的に嫌悪すべき特性を測定しようとする場合にはその点で問題となることがある^[20]。より特異的な交絡は、特にダークトライアドとマキャベリ主義についても存在するかもしれない。つまり、他人を欺いたり操ったりすることに長けている人物は、他人からは欺瞞や人を操ることがほとんどないと見なされるように振る舞っているため、不正確な評価を受ける可能性が高い^[20]。

こういった批判やダークトライアドの要素間で見られた共通性にもかかわらず,その構成要素は関連しているものの,それぞれ異なるという研究結果がある。

マキャヴェリズム

ニッコロ・マキャヴェッリが提唱した政治哲学にちなんで名付けられたこの特性を高く有する人たちは、シニカル(懐疑的な意味ではなく、道徳的な自己利益の意味)で、節操がなく、冷淡で、人間関係を操作することが人生の成功の鍵であると信じ、それに従って行動する^[21]。マキャヴェリズムの尺度の得点はビッグファイブ性格特性の要素である協調性(r=−.47)、誠実性(r=−.34)と負に相関する^[14]。また、マキャヴァリズムはサイコパスとも有意に相関している^[22]。

ナルシシズム

ナルシシズムで高いスコアを獲得した人物は、高潔さ、権利、優位性、優越性を示す^[23]。ナルシシズムはビッグファイブ性格特性の要素である外向性(r=.42)と開放性(r=.38)で正の相関を示し,協調性(r=−.36)と負の相関を示した^[14]。ナルシシズムはサイコパスと有意な相関があることもわかっている^[22]。

サイコパス

ダークトライアドの中で最も悪意があると考えられているが^[24]、精神病質で高いスコアを獲得する人は、低いレベルの共感と、高いレベルの衝動性やスリル追求を示す^[25]。サイコパスと反社会性人格障害の類似性は,一部の研究者によって指摘されている^[21]。DSM‐5は,サイコパスを反社会的人格障害スペクトルの最上位に分類する。ASPD患者の約30%はサイコパスにも分類される。サイコパスは,外向性(r=.34),協調性(r=−.25),誠実性(r=−.24),神経症傾向(r=−.34)、開放性(r=.24)の全てのビッグファイブ性格特性と相関することがわかっている^[22]。

起源

長く議論されてきた「生まれか育ちか（英語版）」という問題は、ダークトライアドにも適用されている。ダークトライアドの特徴の起源を探る研究が始まっており、ビッグファイブ性格特性の研究と同様に、ダークトライアド特性の発達に生物学（自然）と環境要因（育成）の相対的な貢献を理解するために実証研究が行われてきた。

研究者が遺伝的要因と環境的要因が性格（およびより一般的には個人差）に及ぼす相対的な影響を解剖しようとする方法の一つに、「双子研究」という大まかな見出しの下でグループ化された広範な調査手法が存在する。例えば、双子研究の一つのアプローチとして^[26]^[27]^[22]、研究者は一卵性双生児（MZ）または一卵性双生児と二卵性双生児（DZ）または兄弟姉妹の双生児における性格のスコアを比較する。この研究デザインの双子は両方のタイプの双子が一緒に育てられているので、すべての双子ペアは100％共通の環境を共有しているとみなされる。対照的に、一卵性双生児は100％の遺伝子を共有しているのに対し、二卵性双生児は約50％の遺伝子しか共有していない。したがって、どのような性格形質についても、まずMZ相関（100%の共通環境と100%の遺伝子共有を反映）を求め、DZ相関（100%の共通環境と50%の遺伝子共有を反映）を差し引くことで、遺伝的影響を分離することが可能になる。この差は遺伝的影響の50％を表し、2倍にすると遺伝的影響の100％を占めると言われており、遺伝性の指標（遺伝性係数と呼ばれることもあり、h2で表される）を導き出す一つの方法である。同様に、MZ-h2は共通環境の影響力の推定値と考えることもできる。最後に、個人差と環境が行動の全体を占めることになっているので、h2と共通環境の影響力の和を1から差し引くと、固有環境や非共有環境の影響力に等しいとされている^[要出典]。

生得的要因

ダークトライアドの3つの形質はすべて、実質的な遺伝的要素を持っていることがわかっている^[26]。また、ダークトライアドの間で観察される関係性、ダークトライアドとビッグファイブの間で観察される関係性は、遺伝子の個人差によって強く駆動されることが知られている^[21]。しかし、サイコパス（h2 = 0.64）とナルシシズム（h2 = 0.59）はどちらも比較的大きな遺伝性成分を持っているが、遺伝の影響を適度に受けているものの、マキャヴェリズム（h2 = 0.31）は他の2つの形質よりも遺伝性が低いことがわかっている^[21]^[22]。

環境的要因

生得的要因と比較すると、環境要因の影響はより微妙であり、ダークトライアド形質の発達に関連した個人差の変動は少ないが、依然重要なものであるように思われる^[21]。非共有またはユニークな環境因子（定義と数学的導出は、上記の「起源」の最後に含まれています）の影響は、3つのダークトライアド形質すべての分散の有意な量を占めている（ナルシシズム=0.41、マキャヴェリズム=0.30、サイコパス=0.32）。一方で、マキャヴェリズム（r=0.39）だけが共有環境因子と有意に関連していることが判明している^[27]。このことには立証が必要であるが、一部の研究者はこの後者の知見を（上記のセクションで述べた比較的少ない遺伝率と合わせて）、マキャヴェリズムが経験の影響を受ける可能性が最も高いダークトライアドの形質であることを意味していると解釈している^[15]。少なくとも、マキャヴェリズムの修正可能性に関するこの考え方は、遺伝的要因に起因する変動が少ないほど、他の要因に起因する変動が多いはずであり、「他の」要因は伝統的に環境的要因として同義化されてきた。

進化

進化論もまた、ダークトライアド特性の発達を説明する可能性がある。進化的な行動は、ダークトライアドの発達だけでなく、ダークトライアドの繁栄をも予測していると主張されている^[28]。実際、ダークトライアドの特性を持つ個人は、社会で非常に成功することがわかっている^[21]。しかし、この成功は一般的にはすぐ終わる^[21]。ダークトライアドの特徴に関連する主な進化論は、交配戦略を強調している^[29]^[30]。この議論は、生活史戦略の概念に焦点を当てている^[31]。交尾を重視することは「早産」戦略と呼ばれ、子育てを重視することは「遅産」戦略と呼ばれる^[31]。ダークトライアドの形質が速い生活史戦略と関連しているという証拠はいくつかあるが^[32]^[33]、いくつかの結果が混在しており、3つのダークトライアドの形質すべてがこの戦略と関連しているわけではない。より詳細なアプローチでは、形質をより詳細に分析することで、これらの混合した結果のいくつかを説明しようとしている^[34]。これらの研究者は、ダークトライアドのいくつかの構成要素が速い生活戦略に関連している一方で、他の構成要素は遅い生殖戦略に関連していることを発見した^[34]。

不顕性の次元と障害

「Personality disorder」も参照

一般的に、臨床医は、2つの特徴（ナルシシズムとサイコパス）を病的なもの、治療が必要なもの、そして本質的に望ましくないもの、例えば社会的に非難されたり、個人的には逆効果になるものとして扱っている。しかし、他の人は、適応的な資質が不適応なものを伴うこともあるかもしれないと主張している。進化論的観点（上記）では、ダークトライアドは異なる交配戦略を表すものと考えられている。遺伝子プールにおけるそれらの頻度は、少なくとも何らかの局所的な適応を必要とする。

これらの形質の日常的なバージョンは、学生や地域社会のサンプルに現れ、日常生活でうまくやっていける個体の間では、高いレベルでさえ観察される。これらのサンプルにおいても、攻撃性^[35]、人種差別^[36]、いじめ^[37]などの社会的嫌悪との相関があることが研究で示されている。

ナルシシズムは、ジークムント・フロイトの著作の中で議論され、臨床診断としてのサイコパスは、1941年に出版されたThe Mask of Sanity（英語版）でハーベイ・クレックリー（Hervey Cleckley）の初期の著作の中で取り上げられている^[38]。ナルシシズムとサイコパスの次元モデルを考えると、一般集団に適した自己報告評価を用いることで補完され、こうした特徴を不顕性レベルで研究することができるようになった^[39]。一般集団では、不顕性サイコパスの有病率は約1％、臨床サイコパスの有病率は約0.2％と推定されている^[40]^[41]^[42]。残念ながら、一般集団における臨床的ナルシシズムと不臨床的ナルシシズムのどちらの有病率も信頼できる推定値はないようである^[43]。

実証研究に関しては、サイコパスが正式に研究されるようになったのは1970年代に入ってからで、ロバート・ヘアの先駆的な努力により、彼のサイコパシー・チェックリスト（英語版）（PCL）とその改訂版（PCL-R）が発表された^[44]。ヘアは著書『良心のない人』^[45]の中で、サイコパスに心理学的に重要な事柄について自己申告を求めても、必ずしも正確で偏りのないデータが得られるとは限らないことを指摘している。しかし、最近では、Levenson Primary and Secondary Psychopathy Scales^[46]、The Psychopathic Personality Inventory^[47]、Self-Report Psychopathy Scale^[48]などの自己申告式の尺度を用いて、次元領域のサイコパスを研究する努力が続けられている。

同様に、1979年にラスキンとホールによって人気のある「Narcissistic Personality Inventory（英語版）」が作成されるまでは、サイコパスの評価には臨床的面接が必要であった^[49]。NPI以降、パーソナリティ障害の評価に自己報告の代替手段を提供しようとする他の尺度がいくつか登場している^[50]。さらに、「病的な」ナルシシズム^[51]を研究するための新しい尺度が開発された^[52]^[53]。

マキャヴェリズムは、精神疾患の診断と統計マニュアル（DSM）のどのバージョンでも言及されたことがない。この特性は厳密に人格の構成要素として扱われてきた。Mach-IVの原版^[54]は、今でも実証研究で最も広く使われている^[55]。

グループ間の差異

その差の大きさは特徴や使用する測定器によって異なるが、多くの研究で男性の方がナルシシズム^[56]、マキャヴェリズム^[57]^[58]^[59]、サイコパス^[46]^[47]^[60]^[61]のスコアが女性よりも高い傾向があることが示されている。自己愛に関連した興味深い発見の1つは、非代表的なサンプルに基づくものではあるが、1992年と2006年のコホートデータを比較すると、男性の方が女性よりも高いスコアを出し続けている一方で、性差はかなり縮小しているように見えることである。より具体的には、前述の調査結果は、男女の大学生の間で、時間の経過とともにナルシシズムのレベルが一般的に増加していることを示しているが、比較的、女性のナルシシズムの平均レベルは男性のナルシシズムの平均レベルよりも増加している^[56]。

ダークトライアド特性の人種差に関する情報ははるかに少なく、利用可能なデータは全体の人口を代表するものではない。例えば、学部生の参加者を用いた2008年の研究では、白人はアジア人に比べてナルシシズムのレベルが高いと報告されている^[62]^[63]。同様に、2008年に行われた学部生を対象とした別の研究では、白人はマキャヴェリズムのスコアが非白人に比べてわずかに高い傾向があることがわかった^[58]。サイコパスに民族差があるかどうかを見極めようとする場合、研究者はさまざまな測定尺度（例えば、自己報告サイコパス尺度やサイコパス・パーソナリティ・インベントリ）を用いてこの問題に取り組んできたが、どの測定尺度を用いても人種差は見出されていない^[64]^[65]。さらに、矯正施設、薬物乱用施設、精神科のサンプルから得られた白人とアフリカ系アメリカ人を比較したところ、精神病の有病率が一般的に高いグループでは、研究者たちはまたしても、精神病における有意な集団差を見つけることができなかった^[66]。しかし、リチャード・リン（英語版）による物議を醸した研究では、サイコパスにはかなりの人種差があることが判明した。リンは「連続的に分布する特徴として概念化された精神病性人格には人種的・民族的な違いがあり、そのような特徴の高い値は黒人やネイティブアメリカン、中間値はヒスパニック系、低い値は白人、一番低い値は東アジア人である」と主張している^[67]。

ダークトライアド特性の世代間またはコホート間の違いを分析する際の焦点となる変数は、いわゆる「ジェネレーション・ミー（英語版）（英語版）」または「ジェネレーション・エンタイトルメント」と呼ばれる世代が、前の世代よりも高いレベルのナルシズムを示すだろうという仮説から生じたナルシズムである傾向がある^[56]。実際、1979年から2006年の間に16,000人以上の米国の大学生から収集したナルシシズム・パーソナリティ・インベントリ（英語版）の回答の分析に基づいて、ナルシシズムの平均レベルは時間の経過とともに上昇していると結論づけられた。同様の結果は、各大学のキャンパス内での変化を分析した追跡調査でも得られた^[68]。ツェスニエフスキーとドネラン (2010)^[69]は、相反する証拠を提示し、世代を超えて気質や行動戦略に大きな変化はなかったと主張しているが、彼らは、現在の世代は信頼感が低く、よりシニカルであることに注目している。

展望

職場

オリバー・ジェームズ（英語版）は、3つのダークトライアドの性格特性をそれぞれ職場で一般的に見られるものとして特定していまる（職場のマキアベリズム（英語版）、職場のナルシシズム（英語版）、職場のサイコパス（英語版）も参照）^[70]。ファーナム (2010)^[21]は、ダークトライアドがリーダーシップの獲得や対人影響力に関係していることを明らかにしている。ダークトライアドと職場での成果のメタ分析では、ジョンソンとその同僚 (2012)は、ダークトライアドの特徴のそれぞれが職場において操作に関連しているが、それぞれがユニークなメカニズムを介して関連していることを発見した。具体的には、マキャヴェリズムは過剰な魅力を用いた操作と関連しており、ナルシシズムは身体的な外見を使った操作と関連しており、サイコパスは身体的な脅威と関連している^[71]。ジョンソンらはまた、ダークトライアドの形質が完全にジェンダーと職場の操作の関係を媒介していることを発見した。また、ダークトライアドの特徴は、上級管理職やCEOにもかなりよく表れていることがわかっている^[72]。

ネットの荒らし

詳細は「Troll (Internet)」を参照

最近の研究では、荒らしと認定された人はダークトライアドの性格的特徴を持つ傾向があり、サディズム、反社会的行動、サイコパス、マキャヴェリズムの兆候を示すことがわかっている^[73]^[74]^[75] 。2013年の事例研究では、反社会的な活動と炎上した荒らしの間には多くの類似点があることが示唆され、2014年の調査では、荒らしは日常的なサディズムのインターネット上での症状であることが示されている。どちらの研究も、この荒らしが思春期と大人のいじめにつながっている可能性を示唆している。

配偶戦略として

研究では、平均して、人格的特徴のダークトライアドを示す人は、速い交配戦略を持っていることが示唆されている。より多くのセックスパートナーを持っていることを報告し、カジュアルセックスにより好意的な態度を示し^[76]、短期的な相手の基準を引き下げ^[77]、他人から仲間を盗むか密猟する傾向があり^[78]、薬物乱用の形でより多くのリスクを取り^[33]、時間がかかるがより大きな金額を得るよりも、すぐに貰えるが少ない金額を得る傾向があり^[79]、限られた自制心とADHD症状の高い発生率があり^[32]、現実的でゲーム感覚のロマンススタイルを持つ^[80]。これらの特徴は、一般的に、仕事での生活への搾取的、日和見主義的、そして保護主義的なアプローチによって実行されるように見える速い生活戦略の一部として認識されている^[81]^[71]。

ダークトライアドと生殖の成功の間の正確な関係については、エビデンスが混在している。例えば、サイコパスの場合の生殖の成功のための経験的証拠が不足している^[82]。さらに、これらの特徴は普遍的に短期志向というわけではなく^[32]、すべてが衝動的でもない^[15]。さらに、上記の段落で引用されたダークトライアド関係に関連して報告されている研究の多くは、遺伝学的^[22]そしてメタ分析的な証拠があるにもかかわらず、ダークトライアドが単一の構成要素であると仮定した統計的手続きに基づいている^[20]。

外見

いくつかの学術研究では、ダークトライアドの性格を持つ人は、一目見ただけで平均よりもわずかに容姿が良いと判断されるという証拠が発見されている^[83]。2つの研究では、ダークトライアドの特徴を持つ人々が容姿が良いとされるのは、その人達が外見に力を入れているためであり、魅力の差は、無地の服を着て化粧をしないで「着飾ることをやめる」と消えてしまうと主張する^[84]^[85]。さらに2つの研究では、ナルシストの被験者だけが外見が良いと判断されたが、他のダークトライアドの特徴であるマキャヴェリズムとサイコパスは外見と相関性がないことがわかった^[86]^[87]。ダークトライアドの特徴に関連する顔の特徴は、魅力的ではないと評価される傾向がある^[88]^[89]。

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+[[ファイル:The_Dark_Triad.png|リンク=https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:The_Dark_Triad.png|代替文=|サムネイル|ダークトライアドの三角形 ]]
 [[心理学]]において'''ダークトライアド''' ({{lang-en-short|Dark Triad}}) とは、[[自己愛]]傾向 ({{lang|en|Narcissism}})、[[マキャヴェリズム|マキャヴェリアニズム]] ({{lang|en|Machiavellianism}})、[[精神病質|サイコパシー]] ({{lang|en|Psychopathy}}) の3つのパーソナリティ特性の総称である<ref name="Paulhus, D. L. 2002">{{cite journal | last1 = Paulhus | first1 = D. L. | last2 = Williams | first2 = K.M. | year = 2002 | title = The Dark Triad of Personality | url = | journal = Journal of Research in Personality | volume = 36 | issue = | pages = 556–563 | doi=10.1016/s0092-6566(02)00505-6}}</ref><ref name="RegoliHewitt2011">{{cite book|author1=Robert M. Regoli|author2=John D. Hewitt|author3=Matt DeLisi|title=Delinquency in Society: The Essentials|url=https://books.google.com/books?id=v6MTZ2WhcfIC&pg=PA99|date=20 April 2011|publisher=Jones & Bartlett Learning|isbn=978-0-7637-7790-6|page=99}}</ref><ref name="CampbellMiller2011">{{cite book|author1=W. Keith Campbell|author2=Joshua D. Miller|title=The Handbook of Narcissism and Narcissistic Personality Disorder: Theoretical Approaches, Empirical Findings, and Treatments|url=https://books.google.com/books?id=gw_zHSuejdcC&pg=PA154|date=7 July 2011|publisher=John Wiley & Sons|isbn=978-1-118-02924-4|page=154}}</ref><ref name="LearyHoyle2009">{{cite book|author1=Mark R. Leary|author2=Rick H. Hoyle|title=Handbook of individual differences in social behavior|url=https://books.google.com/books?id=VgcGZ5sCEcIC&pg=PA100|date=5 June 2009|publisher=Guilford Press|isbn=978-1-59385-647-2|page=100}}</ref>。「ダーク」と付くのは、これらの特性を持つ人々が悪の気質を持つことを意味する<ref name="Chamorro-PremuzicStumm2011">{{cite book|author1=[[Tomas Chamorro-Premuzic]]|author2=Sophie von Stumm|author3=Adrian Furnham|title=The Wiley-Blackwell Handbook of Individual Differences|url=https://books.google.com/books?id=K4yqoP4xwlEC&pg=PA527|date=23 February 2011|publisher=John Wiley & Sons|isbn=978-1-4443-4310-6|page=527}}</ref><ref>{{cite journal |author1=Paulhus, D. L. |author2=Williams, K. M. |title=The Dark Triad of personality: narcissism, Machiavellianism, and psychopathy |journal=Journal of Research in Personality |volume=36 |pages=556–63 |year=2002 |doi=10.1016/S0092-6566(02)00505-6 |issue=6 }}</ref><ref name="HorowitzPh.D.2010">{{cite book|author1=Leonard M. Horowitz|author2=Stephen Strack, Ph.D.|title=Handbook of Interpersonal Psychology: Theory, Research, Assessment and Therapeutic Interventions|url=https://books.google.com/books?id=VW-j6Lvxy_kC&pg=PA252|accessdate=15 February 2012|date=14 October 2010|publisher=John Wiley & Sons|isbn=978-0-470-88103-3|pages=252–55}}</ref><ref name="Lacey2009">{{cite book|author=David Lacey|title=Managing the Human Factor in Information Security: How to Win Over Staff and Influence Business Managers|url=https://books.google.com/books?id=EMyAJP1lEcUC&pg=PT248|date=17 March 2009|publisher=John Wiley & Sons|isbn=978-0-470-72199-5|page=248}}</ref>。
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 * [[サイコパス]]は、継続的な[[反社会的行動]]、[[衝動性]]、[[利己主義]]、[[無反省]]を特徴とする<ref name="gap">{{cite journal |doi=10.1177/1529100611426706 |title=Psychopathic Personality: Bridging the Gap Between Scientific Evidence and Public Policy |year=2011 |last1=Skeem |first1=J. L. |last2=Polaschek |first2=D. L. L. |last3=Patrick |first3=C. J. |last4=Lilienfeld |first4=S. O. |journal=Psychological Science in the Public Interest |volume=12 |issue=3 |pages=95–162 |url=http://www.psychologicalscience.org/index.php/publications/journals/pspi/psychopathy.html}}</ref>
-グラスゴー・カレドニアン大学における[[因子分析]]によれば、五大パーソナリティ因子モデルにおいてはagreeablenessの低さが最もダークトライアドと関連性があり、またneuroticismおよび低いconscientiousnessは一部のダークトライアドの人々と関連性があった<ref name=Jakobwitz/>。
+グラスゴー・カレドニアン大学における[[因子分析]]によれば、[[ビッグファイブ (心理学)|五大パーソナリティ因子モデル]]においては協調性の低さが最もダークトライアドと関連性があり、また神経質傾向および低い誠実性は一部のダークトライアドの人々と関連性があった<ref name=Jakobwitz/>。
+== 歴史 ==
-== ダークテトラッド ==
+{{See also|History of narcissism|History of psychopathy}}1998年にマホスキー、ウツェル、シヤルト<ref>{{Cite journal|year=1998|title=Machiavellianism and psychopathy|url=|journal=Journal of Personality and Social Psychology|volume=74|issue=1|pages=192–210|doi=10.1037/0022-3514.74.1.192|pmid=9457782|author1=McHoskey J. W.|author2=Worzel W.|author3=Szyarto C.}}</ref>は、[[ナルシシズム]]、[[マキャヴェリズム|マキャベリ主義]]、[[精神病質|サイコパス]]はそれぞれの領域が重なっており、一般のそういった人達の間では多かれ少なかれ互いに交換可能であると主張して論争を引き起こした。{{仮リンク|Delroy L. Paulhus|en|Delroy L. Paulhus|label=デルロイ・パウルス}}とマホスキーは、その後に[[アメリカ心理学会]]の会議でこれらの視点について議論し、発表された論文の中で発展し続けている研究に刺激を与えた。パウルスとウィリアムスは、2つの特性の間に行動、性格、認知的な違いがあることを発見し、2つの特性が異なる構成体であることを示唆した。しかし、それらがどのように、そしてなぜ重複するのかを明らかにするためにはさらなる研究が必要であると結論した<ref name="Paulhus & Williams 2002">{{Cite journal|last1=Paulhus|first1=Delroy L|last2=Williams|first2=Kevin M|date=December 2002|title=The Dark Triad of personality: Narcissism, Machiavellianism, and psychopathy|journal=Journal of Research in Personality|volume=36|issue=6|pages=556–563|doi=10.1016/S0092-6566(02)00505-6}}</ref>。
-ダークテトラッドは、ナルシシズム、マキャヴェリズム、サイコパシーというダークトライアドの3つの特性に加えて、[[サディズム]]の人格特性を加えたもの。
+== 構成要素 ==
+ダークトライアドの間には、概念的および実証的にかなりの重複がある。例えば、研究者らは、3つの特性はすべて、共感の欠如<ref name="ReferenceB">{{Cite journal|last1=Jones|first1=Daniel N.|last2=Paulhus|first2=Delroy L.|date=October 2011|title=The role of impulsivity in the Dark Triad of personality|journal=Personality and Individual Differences|volume=51|issue=5|pages=679–682|doi=10.1016/j.paid.2011.04.011}}</ref>、対人敵意<ref>{{Cite journal|last1=Lynam|first1=Donald R.|last2=Gaughan|first2=Eric T.|last3=Miller|first3=Joshua D.|last4=Miller|first4=Drew J.|last5=Mullins-Sweatt|first5=Stephanie|last6=Widiger|first6=Thomas A.|date=2011|title=Assessing the basic traits associated with psychopathy: Development and validation of the Elemental Psychopathy Assessment.|journal=Psychological Assessment|volume=23|issue=1|pages=108–124|doi=10.1037/a0021146|pmid=21171784}}</ref>、対人攻撃性<ref>{{Cite journal|last1=Egan|first1=Vincent|last2=McCorkindale|first2=Cara|date=December 2007|title=Narcissism, vanity, personality and mating effort|journal=Personality and Individual Differences|volume=43|issue=8|pages=2105–2115|doi=10.1016/j.paid.2007.06.034}}</ref>などの特徴を共有していると指摘している。部分的にはこの重複のために,ダーティーダズンズ<ref>{{Cite journal|last1=Jonason|first1=Peter K.|last2=Webster|first2=Gregory D.|date=June 2010|title=The dirty dozen: A concise measure of the dark triad.|journal=Psychological Assessment|volume=22|issue=2|pages=420–432|doi=10.1037/a0019265|pmid=20528068}}</ref>とショート・ダークトライアド(SD3)<ref>{{Cite journal|last1=Jones|first1=Daniel N.|last2=Paulhus|first2=Delroy L.|date=9 December 2013|title=Introducing the Short Dark Triad (SD3)|url=https://semanticscholar.org/paper/d6673107caa8f90263a28447df5d428c298e08b5|journal=Assessment|volume=21|issue=1|pages=28–41|doi=10.1177/1073191113514105|pmid=24322012}}</ref>のような3つのダークトライアドを同時に測定することを試みる多くの測定法が近年開発された。
+しかし、根本的には、これらの尺度のほとんどはアンケート形式であり、自己反応や観察者反応(例えば、上司や同僚からの評価)のいずれかを必要とする。どちらの方法も,回答者が騙そうとする可能性があるため,社会的に嫌悪すべき特性を測定しようとする場合にはその点で問題となることがある<ref name="social exchange perspective 2012">{{Cite journal|last1=O'Boyle|first1=Ernest H.|last2=Forsyth|first2=Donelson R.|last3=Banks|first3=George C.|last4=McDaniel|first4=Michael A.|date=2012|title=A meta-analysis of the Dark Triad and work behavior: A social exchange perspective.|url=https://zenodo.org/record/850152|journal=Journal of Applied Psychology|volume=97|issue=3|pages=557–579|doi=10.1037/a0025679|pmid=22023075|authorlink2=Donelson R. Forsyth}}</ref>。より特異的な交絡は、特にダークトライアドとマキャベリ主義についても存在するかもしれない。つまり、他人を欺いたり操ったりすることに長けている人物は、他人からは欺瞞や人を操ることがほとんどないと見なされるように振る舞っているため、不正確な評価を受ける可能性が高い<ref name="social exchange perspective 2012" />。
+こういった批判やダークトライアドの要素間で見られた共通性にもかかわらず,その構成要素は関連しているものの,それぞれ異なるという研究結果がある。
+=== マキャヴェリズム ===
+[[ニッコロ・マキャヴェッリ]]が提唱した政治哲学にちなんで名付けられたこの特性を高く有する人たちは、シニカル(懐疑的な意味ではなく、道徳的な自己利益の意味)で、節操がなく、冷淡で、人間関係を操作することが人生の成功の鍵であると信じ、それに従って行動する<ref name="ReferenceA">{{Cite journal|last1=Furnham|first1=Adrian|last2=Richards|first2=Steven C.|last3=Paulhus|first3=Delroy L.|date=March 2013|title=The Dark Triad of Personality: A 10 Year Review|url=http://www2.psych.ubc.ca/~dpaulhus/research/DARK_TRIAD/ARTICLES/SPC%202013.Furnham-Richards-Paulhus.pdf|journal=Social and Personality Psychology Compass|volume=7|issue=3|pages=199–216|accessdate=2019-07-20|doi=10.1111/spc3.12018}}</ref>。[[マキャヴェリズム]]の尺度の得点は[[ビッグファイブ (心理学)|ビッグファイブ性格特性]]の要素である協調性(r=−.47)、誠実性(r=−.34)と負に相関する<ref name="Paulhus & Williams 2002" />。また、マキャヴァリズムは[[精神病質|サイコパス]]とも有意に相関している<ref name="Vernon, Villani, Vickers, Harris 2008">{{Cite journal|last1=Vernon|first1=Philip A.|last2=Villani|first2=Vanessa C.|last3=Vickers|first3=Leanne C.|last4=Harris|first4=Julie Aitken|date=January 2008|title=A behavioral genetic investigation of the Dark Triad and the Big 5|journal=Personality and Individual Differences|volume=44|issue=2|pages=445–452|doi=10.1016/j.paid.2007.09.007}}</ref>。
+=== ナルシシズム ===
+[[ナルシシズム]]で高いスコアを獲得した人物は、高潔さ、権利、優位性、優越性を示す<ref>{{Cite journal|last1=Corry|first1=N.|last2=Merritt|first2=R.D.|last3=Mrug|first3=S.|last4=Pamp|first4=B.|date=2008|title=The factor structure of the Narcissistic Personality Inventory|journal=Journal of Personality Assessment|volume=90|issue=6|pages=593–600|doi=10.1080/00223890802388590|pmid=18925501}}</ref>。ナルシシズムは[[ビッグファイブ (心理学)|ビッグファイブ性格特性]]の要素である[[外向性と内向性|外向性]](r=.42)と開放性(r=.38)で正の相関を示し,協調性(r=−.36)と負の相関を示した<ref name="Paulhus & Williams 2002" />。ナルシシズムは[[精神病質|サイコパス]]と有意な相関があることもわかっている<ref name="Vernon, Villani, Vickers, Harris 2008" />。
+=== サイコパス ===
+ダークトライアドの中で最も悪意があると考えられているが<ref>{{Cite journal|last1=Rauthmann|first1=J.F.|date=2012|title=The Dark Triad and interpersonal perception: Similarities and differences in the social consequences of narcissism, Machiavellianism, and psychopathy|url=https://semanticscholar.org/paper/3d35be8cea913f479c7358714bd8514daddcf09f|journal=Social Psychological and Personality Science|volume=3|issue=4|pages=487–496|doi=10.1177/1948550611427608}}</ref>、[[精神病質]]で高いスコアを獲得する人は、低いレベルの共感と、高いレベルの衝動性やスリル追求を示す<ref>{{Cite journal|last1=Hare|first1=R.D.|date=1985|title=Comparison of procedures for the assessment of psychopathy|journal=Journal of Consulting and Clinical Psychology|volume=53|issue=1|pages=7–16|doi=10.1037/0022-006x.53.1.7|pmid=3980831}}</ref>。サイコパスと[[反社会性パーソナリティ障害|反社会性人格障害]]の類似性は,一部の研究者によって指摘されている<ref name="ReferenceA" />。[[DSM-5|DSM‐5]]は,サイコパスを反社会的人格障害スペクトルの最上位に分類する。ASPD患者の約30%はサイコパスにも分類される。サイコパスは,外向性(r=.34),協調性(r=−.25),誠実性(r=−.24),神経症傾向(r=−.34)、開放性(r=.24)の全てのビッグファイブ性格特性と相関することがわかっている<ref name="Vernon, Villani, Vickers, Harris 2008" />。
+== 起源 ==
+長く議論されてきた「{{仮リンク|nature versus nurture|en|nature versus nurture|label=生まれか育ちか}}」という問題は、ダークトライアドにも適用されている。ダークトライアドの特徴の起源を探る研究が始まっており、[[ビッグファイブ (心理学)|ビッグファイブ性格特性]]の研究と同様に、ダークトライアド特性の発達に生物学（自然）と環境要因（育成）の相対的な貢献を理解するために実証研究が行われてきた。
+研究者が遺伝的要因と環境的要因が性格（およびより一般的には個人差）に及ぼす相対的な影響を解剖しようとする方法の一つに、「双子研究」という大まかな見出しの下でグループ化された広範な調査手法が存在する。例えば、双子研究の一つのアプローチとして<ref name="Petrides, Vernon, Schermer, Veselka 2011">{{Cite journal|last1=Petrides|first1=K. V.|last2=Vernon|first2=Philip A.|last3=Schermer|first3=Julie Aitken|last4=Veselka|first4=Livia|date=February 2011|title=Trait Emotional Intelligence and the Dark Triad Traits of Personality|url=https://semanticscholar.org/paper/7c89424b8d0cf45ec68aba376f0d907b3ee74745|journal=Twin Research and Human Genetics|volume=14|issue=1|pages=35–41|doi=10.1375/twin.14.1.35|pmid=21314254}}</ref><ref name="Vernon, Martin, Schermer, Mackie 2008">{{Cite journal|last1=Vernon|first1=Philip A.|last2=Martin|first2=Rod A.|last3=Schermer|first3=Julie Aitken|last4=Mackie|first4=Ashley|date=April 2008|title=A behavioral genetic investigation of humor styles and their correlations with the Big-5 personality dimensions|journal=Personality and Individual Differences|volume=44|issue=5|pages=1116–1125|doi=10.1016/j.paid.2007.11.003}}</ref><ref name="Vernon, Villani, Vickers, Harris 2008" />、研究者は一卵性双生児（MZ）または一卵性双生児と二卵性双生児（DZ）または兄弟姉妹の双生児における性格のスコアを比較する。この研究デザインの双子は両方のタイプの双子が一緒に育てられているので、すべての双子ペアは100％共通の環境を共有しているとみなされる。対照的に、一卵性双生児は100％の遺伝子を共有しているのに対し、二卵性双生児は約50％の遺伝子しか共有していない。したがって、どのような性格形質についても、まずMZ相関（100%の共通環境と100%の遺伝子共有を反映）を求め、DZ相関（100%の共通環境と50%の遺伝子共有を反映）を差し引くことで、遺伝的影響を分離することが可能になる。この差は遺伝的影響の50％を表し、2倍にすると遺伝的影響の100％を占めると言われており、遺伝性の指標（遺伝性係数と呼ばれることもあり、h2で表される）を導き出す一つの方法である。同様に、MZ-h2は共通環境の影響力の推定値と考えることもできる。最後に、個人差と環境が行動の全体を占めることになっているので、h2と共通環境の影響力の和を1から差し引くと、固有環境や非共有環境の影響力に等しいとされている{{要出典|date=March 2019}}。
+=== 生得的要因 ===
+ダークトライアドの3つの形質はすべて、実質的な遺伝的要素を持っていることがわかっている<ref name="Petrides, Vernon, Schermer, Veselka 2011" />。また、ダークトライアドの間で観察される関係性、ダークトライアドとビッグファイブの間で観察される関係性は、遺伝子の個人差によって強く駆動されることが知られている<ref name="ReferenceA" />。しかし、サイコパス（h2 = 0.64）とナルシシズム（h2 = 0.59）はどちらも比較的大きな遺伝性成分を持っているが、遺伝の影響を適度に受けているものの、マキャヴェリズム（h2 = 0.31）は他の2つの形質よりも遺伝性が低いことがわかっている<ref name="ReferenceA" /><ref name="Vernon, Villani, Vickers, Harris 2008" />。
+=== 環境的要因 ===
+生得的要因と比較すると、環境要因の影響はより微妙であり、ダークトライアド形質の発達に関連した個人差の変動は少ないが、依然重要なものであるように思われる<ref name="ReferenceA" />。非共有またはユニークな環境因子（定義と数学的導出は、上記の「起源」の最後に含まれています）の影響は、3つのダークトライアド形質すべての分散の有意な量を占めている（ナルシシズム=0.41、マキャヴェリズム=0.30、サイコパス=0.32）。一方で、マキャヴェリズム（r=0.39）だけが共有環境因子と有意に関連していることが判明している<ref name="Vernon, Martin, Schermer, Mackie 2008" />。このことには立証が必要であるが、一部の研究者はこの後者の知見を（上記のセクションで述べた比較的少ない遺伝率と合わせて）、マキャヴェリズムが経験の影響を受ける可能性が最も高いダークトライアドの形質であることを意味していると解釈している<ref name="ReferenceB" />。少なくとも、マキャヴェリズムの修正可能性に関するこの考え方は、遺伝的要因に起因する変動が少ないほど、他の要因に起因する変動が多いはずであり、「他の」要因は伝統的に環境的要因として同義化されてきた。
+=== 進化 ===
+[[進化論]]もまた、ダークトライアド特性の発達を説明する可能性がある。進化的な行動は、ダークトライアドの発達だけでなく、ダークトライアドの繁栄をも予測していると主張されている<ref>{{Cite journal|last1=Mealey|first1=Linda|date=4 February 2010|title=The sociobiology of sociopathy: An integrated evolutionary model|url=https://semanticscholar.org/paper/506a33415163f32fd42339f9ec638e01b2ab2c04|journal=Behavioral and Brain Sciences|volume=18|issue=3|pages=523–41|doi=10.1017/s0140525x00039595}}</ref>。実際、ダークトライアドの特性を持つ個人は、社会で非常に成功することがわかっている<ref name="ReferenceA" />。しかし、この成功は一般的にはすぐ終わる<ref name="ReferenceA" />。ダークトライアドの特徴に関連する主な進化論は、交配戦略を強調している<ref>{{Cite journal|last1=Jonason|first1=Peter K.|last2=Li|first2=Norman P.|last3=Webster|first3=Gregory D.|last4=Schmitt|first4=David P.|date=February 2009|title=The dark triad: Facilitating a short-term mating strategy in men|url=https://semanticscholar.org/paper/cdf632663aed8b8d8787e95f54e7ed95ea4ffddc|journal=European Journal of Personality|volume=23|issue=1|pages=5–18|doi=10.1002/per.698}}</ref><ref>{{Cite journal|last1=Brumbach|first1=Barbara Hagenah|last2=Figueredo|first2=Aurelio José|last3=Ellis|first3=Bruce J.|date=6 February 2009|title=Effects of Harsh and Unpredictable Environments in Adolescence on Development of Life History Strategies|journal=Human Nature|volume=20|issue=1|pages=25–51|doi=10.1007/s12110-009-9059-3|pmid=20634914|pmc=2903759}}</ref>。この議論は、生活史戦略の概念に焦点を当てている<ref name="ReferenceC">{{Cite journal|last1=Rushton|first1=J.Philippe|date=January 1985|title=Differential K theory: The sociobiology of individual and group differences|journal=Personality and Individual Differences|volume=6|issue=4|pages=441–452|doi=10.1016/0191-8869(85)90137-0}}</ref>。交尾を重視することは「早産」戦略と呼ばれ、子育てを重視することは「遅産」戦略と呼ばれる<ref name="ReferenceC" />。ダークトライアドの形質が速い生活史戦略と関連しているという証拠はいくつかあるが<ref name="Jonason, Tost 2010">{{Cite journal|last1=Jonason|first1=Peter K.|last2=Tost|first2=Jeremy|date=October 2010|title=I just cannot control myself: The Dark Triad and self-control|journal=Personality and Individual Differences|volume=49|issue=6|pages=611–615|doi=10.1016/j.paid.2010.05.031}}</ref><ref name="Jonason, Koenig, Tost 2010">{{Cite journal|last1=Jonason|first1=Peter K.|last2=Koenig|first2=Bryan L.|last3=Tost|first3=Jeremy|date=19 November 2010|title=Living a fast life: The Dark Triad and Life History Theory|journal=Human Nature|volume=21|issue=4|pages=428–442|doi=10.1007/s12110-010-9102-4}}</ref>、いくつかの結果が混在しており、3つのダークトライアドの形質すべてがこの戦略と関連しているわけではない。より詳細なアプローチでは、形質をより詳細に分析することで、これらの混合した結果のいくつかを説明しようとしている<ref name="McDonald, Donnellan, Navarrete 2012">{{Cite journal|last1=McDonald|first1=Melissa M.|last2=Donnellan|first2=M. Brent|last3=Navarrete|first3=Carlos David|date=April 2012|title=A life history approach to understanding the Dark Triad|journal=Personality and Individual Differences|volume=52|issue=5|pages=601–605|doi=10.1016/j.paid.2011.12.003}}</ref>。これらの研究者は、ダークトライアドのいくつかの構成要素が速い生活戦略に関連している一方で、他の構成要素は遅い生殖戦略に関連していることを発見した<ref name="McDonald, Donnellan, Navarrete 2012" />。
+=== 不顕性の次元と障害 ===
+{{See also|Personality disorder}}一般的に、臨床医は、2つの特徴（ナルシシズムとサイコパス）を病的なもの、治療が必要なもの、そして本質的に望ましくないもの、例えば社会的に非難されたり、個人的には逆効果になるものとして扱っている。しかし、他の人は、適応的な資質が不適応なものを伴うこともあるかもしれないと主張している。進化論的観点（上記）では、ダークトライアドは異なる交配戦略を表すものと考えられている。遺伝子プールにおけるそれらの頻度は、少なくとも何らかの局所的な適応を必要とする。
+これらの形質の日常的なバージョンは、学生や地域社会のサンプルに現れ、日常生活でうまくやっていける個体の間では、高いレベルでさえ観察される。これらのサンプルにおいても、[[攻撃|攻撃性]]<ref>{{Cite journal|year=2010|title=Different provocations trigger aggression in narcissists and psychopaths|journal=Social Psychological and Personality Science|volume=1|pages=12–18|doi=10.1177/1948550609347591|author1=Jones D.N.|author2=Paulhus D. L.}}</ref>、[[人種差別]]<ref>{{Cite journal|last1=Hodson|first1=G. M.|last2=Hogg|first2=S. M.|last3=MacInnis|first3=C. C.|year=2009|title=The role of "dark personalities" (narcissism, Machiavellianism, psychopathy), Big Five personality factors, and ideology in explaining prejudice|url=|journal=Journal of Research in Personality|volume=43|issue=4|pages=686–690|doi=10.1016/j.jrp.2009.02.005}}</ref>、[[いじめ]]<ref name="Contributions to juvenile delinquency">{{Cite journal|year=2009|title=Contributions of psychopathic, narcissistic, Machiavellian, and sadistic personality traits to juvenile delinquency|journal=Personality and Individual Differences|volume=47|issue=7|pages=734–39|doi=10.1016/j.paid.2009.06.020|author1=Chabrol H.|author2=Van Leeuwen N.|author3=Rodgers R.|author4=Séjourné S.}}</ref>などの社会的嫌悪との相関があることが研究で示されている。
+ナルシシズムは、[[ジークムント・フロイト]]の著作の中で議論され、臨床診断としてのサイコパスは、1941年に出版された''{{仮リンク|The Mask of Sanity|en|The Mask of Sanity|label=The Mask of Sanity}}''でハーベイ・クレックリー（Hervey Cleckley）の初期の著作の中で取り上げられている<ref>Cleckly, H.&nbsp;C. (1941). The Mask of Sanity: An Attempt to Reinterpret the So-Called Psychopathic Personality. St.&nbsp;Louis, MO: Mosby.</ref>。ナルシシズムとサイコパスの次元モデルを考えると、一般集団に適した自己報告評価を用いることで補完され、こうした特徴を不顕性レベルで研究することができるようになった<ref>LeBreton, J. M., Binning, J. F., & Adorno, A. J. (2005). Sub-clinical psychopaths. In D. L. Segal & J. C. Thomas (Eds.), Comprehensive handbook of personality and psychopathology: Vol. 1. Personality and everyday functioning (pp. 388–411). New York: John Wiley.</ref>。一般集団では、不顕性サイコパスの有病率は約1％、臨床サイコパスの有病率は約0.2％と推定されている<ref>{{Cite journal|last1=Babiak|first1=P.|last2=Neumann|first2=C. S.|last3=Hare|first3=R. D.|year=2010|title=Corporate psychopathy: Talking the walk|url=https://semanticscholar.org/paper/e39960b1a4b6d43feb7511a6acd6e9f280d4c0ec|journal=Behavioral Sciences & the Law|volume=28|issue=2|pages=174–193|doi=10.1002/bsl.925|pmid=20422644}}</ref><ref>{{Cite journal|last1=Coid|first1=J.|last2=Yang|first2=M.|last3=Ullrich|first3=S.|last4=Roberts|first4=A.|last5=Hare|first5=R. D.|year=2009|title=Prevalence and correlates of psychopathic traits in the household population of Great Britain|url=http://roar.uel.ac.uk/660/1/Coid%2C%20JW%20%282009%29%20IJLP%2032%20%282%29%2065-73.pdf|journal=International Journal of Law and Psychiatry|volume=32|issue=2|pages=65–73|doi=10.1016/j.ijlp.2009.01.002|pmid=19243821}}</ref><ref>{{Cite journal|last1=Neumann|first1=C. S.|last2=Hare|first2=R. D.|year=2008|title=Psychopathic traits in a large community sample: Links to violence, alcohol use, and intelligence|url=https://semanticscholar.org/paper/a88698d2badaef7dd1b2531e8fb11aa7988e04ef|journal=Journal of Consulting and Clinical Psychology|volume=76|issue=5|pages=893–899|doi=10.1037/0022-006X.76.5.893|pmid=18837606}}</ref>。残念ながら、一般集団における臨床的ナルシシズムと不臨床的ナルシシズムのどちらの有病率も信頼できる推定値はないようである<ref>{{Cite journal|last1=Foster|first1=J. D.|last2=Campbell|first2=W. K.|year=2007|title=Are there such things as "narcissists" in social psychology? A taxometric analysis of the Narcissistic Personality Inventory|url=|journal=Personality and Individual Differences|volume=43|issue=6|pages=1321–1332|doi=10.1016/j.paid.2007.04.003}}</ref>。
+実証研究に関しては、サイコパスが正式に研究されるようになったのは1970年代に入ってからで、ロバート・ヘアの先駆的な努力により、彼の{{仮リンク|Psychopathy Checklist|en|Psychopathy Checklist|label=サイコパシー・チェックリスト}}（PCL）とその改訂版（PCL-R）が発表された<ref>Hare, R.D., (1991). The Hare Psychopathy Checklist-Revised. Toronto: Multi-Health Systems.</ref>。ヘアは著書『良心のない人』<ref>Hare, R. D. (1999). ''Without conscience: The disturbing world of the psychopaths among us''. New York: Guilford Press.</ref>の中で、サイコパスに心理学的に重要な事柄について自己申告を求めても、必ずしも正確で偏りのないデータが得られるとは限らないことを指摘している。しかし、最近では、Levenson Primary and Secondary Psychopathy Scales<ref name="Levenson M. R., Kiehl K. A., Fitzpatrick C. M. 1995 151–58">{{Cite journal|year=1995|title=Assessing psychopathic attributes in a noninstitutionalized population|url=|journal=Journal of Personality and Social Psychology|volume=68|issue=1|pages=151–58|doi=10.1037/0022-3514.68.1.151|pmid=7861311|author1=Levenson M. R.|author2=Kiehl K. A.|author3=Fitzpatrick C. M.}}</ref>、The Psychopathic Personality Inventory<ref name="Lilienfeld S. O., Andrews B. P. 1996 488–524">{{Cite journal|year=1996|title=Development and preliminary validation of a self-report measure of psychopathic personality traits in noncrimnal population|journal=Journal of Personality Assessment|volume=66|issue=3|pages=488–524|doi=10.1207/s15327752jpa6603_3|pmid=8667144|author1=Lilienfeld S. O.|author2=Andrews B. P.}}</ref>、Self-Report Psychopathy Scale<ref>Paulhus, D.&nbsp;L., Neumann, C.&nbsp;S., & Hare, R.&nbsp;D. (2015). Manual for the Self-Report Psychopathy scales (4th ed.). Toronto, Canada: Multi-Health Systems.</ref>などの自己申告式の尺度を用いて、次元領域のサイコパスを研究する努力が続けられている。
+同様に、1979年にラスキンとホールによって人気のある「{{仮リンク|Narcissistic Personality Inventory|en|Narcissistic Personality Inventory|label=Narcissistic Personality Inventory}}」が作成されるまでは、サイコパスの評価には臨床的面接が必要であった<ref>{{Cite journal|year=1979|title=A Narcissistic Personality Inventory|url=https://semanticscholar.org/paper/0bbefebbf79b776ea3eba6c446dd622a1d50d925|journal=Psychological Reports|volume=45|issue=2|page=590|doi=10.2466/pr0.1979.45.2.590|pmid=538183|author1=Raskin R.|author2=Hall C. S.}}</ref>。NPI以降、パーソナリティ障害の評価に自己報告の代替手段を提供しようとする他の尺度がいくつか登場している<ref>Hyler, S.E. (1994). Personality Diagnostic Questionnaire-4 (Unpublished test). New York: NYSPI.</ref>。さらに、「病的な」ナルシシズム<ref>{{Cite journal|year=2009|title=Initial construction and validation of the Pathological Narcissism Inventory|url=https://semanticscholar.org/paper/55327c16e9ace5bd6e716a83abc6ebdca7497621|journal=Psychological Assessment|volume=21|issue=3|pages=365–79|doi=10.1037/a0016530|pmid=19719348|author1=Pincus A. L.|author2=Ansell E. B.|author3=Pimentel C. A.|author4=Cain N. M.|author5=Wright A. G. C.|author6=Levy K. N.}}</ref>を研究するための新しい尺度が開発された<ref>{{Cite journal|last1=Miller|first1=J. D.|last2=Campbell|first2=W. K.|year=2008|title=Comparing clinical and Social-Personality Conceptutalizations of narcissism|url=https://semanticscholar.org/paper/435423d53c68912037d8ef811535c920c4a9ce51|journal=Journal of Personality|volume=76|issue=3|pages=449–476|doi=10.1111/j.1467-6494.2008.00492.x|pmid=18399956}}</ref><ref>{{Cite journal|author=Wink P|year=1991|title=Two faces of narcissism|url=https://semanticscholar.org/paper/1b85812d55334237edce388163b9185587c6d5be|journal=Journal of Personality and Social Psychology|volume=61|issue=4|pages=590–97|doi=10.1037/0022-3514.61.4.590|pmid=1960651}}</ref>。
+マキャヴェリズムは、[[精神障害の診断と統計マニュアル|精神疾患の診断と統計マニュアル（DSM）]]のどのバージョンでも言及されたことがない。この特性は厳密に人格の構成要素として扱われてきた。Mach-IVの原版<ref>Christie, R., & Geis, F.&nbsp;L. (1970). Studies in Machiavellianism. New York: Academic Press.</ref>は、今でも実証研究で最も広く使われている<ref>Jones, D.&nbsp;N., & Paulhus, D.&nbsp;L. (2009). Machiavellianism. In M.&nbsp;R. Leary & R.&nbsp;H. Hoyle (Eds.), Handbook of Individual Differences in Social Behavior (pp. 93–108). New York: Guilford.</ref>。
+== グループ間の差異 ==
+その差の大きさは特徴や使用する測定器によって異なるが、多くの研究で男性の方がナルシシズム<ref name="Egos inflating over time 2008">{{Cite journal|last1=Twenge|first1=Jean M.|last2=Konrath|first2=Sara|last3=Foster|first3=Joshua D.|last4=Keith Campbell|first4=W.|last5=Bushman|first5=Brad J.|date=August 2008|title=Egos Inflating Over Time: A Cross-Temporal Meta-Analysis of the Narcissistic Personality Inventory|journal=Journal of Personality|volume=76|issue=4|pages=875–902|doi=10.1111/j.1467-6494.2008.00507.x|pmid=18507710|citeseerx=10.1.1.586.7541}}</ref>、マキャヴェリズム<ref>{{Cite journal|last1=Chonko|first1=Lawrence B.|date=31 August 2016|title=Machiavellianism: Sex Differences in the Profession of Purchasing Management|journal=Psychological Reports|volume=51|issue=2|pages=645–646|doi=10.2466/pr0.1982.51.2.645}}</ref><ref name="new Machiavellianism scale">{{Cite journal|last1=Dahling|first1=Jason J.|last2=Whitaker|first2=Brian G.|last3=Levy|first3=Paul E.|date=5 February 2008|title=The Development and Validation of a New Machiavellianism Scale|url=https://semanticscholar.org/paper/9d31a12f18bb14026d614678c1b6b8d72b0cb6fe|journal=Journal of Management|volume=35|issue=2|pages=219–257|doi=10.1177/0149206308318618}}</ref><ref>{{Cite journal|last1=Wertheim|first1=Edward G.|last2=Widom|first2=Cathy S.|last3=Wortzel|first3=Lawrence H.|date=1978|title=Multivariate analysis of male and female professional career choice correlates.|journal=Journal of Applied Psychology|volume=63|issue=2|pages=234–242|doi=10.1037/0021-9010.63.2.234}}</ref>、サイコパス<ref name="Levenson M. R., Kiehl K. A., Fitzpatrick C. M. 1995 151–58" /><ref name="Lilienfeld S. O., Andrews B. P. 1996 488–524" /><ref>{{Cite journal|last1=Cale|first1=Ellison M.|last2=Lilienfeld|first2=Scott O.|date=November 2002|title=Sex differences in psychopathy and antisocial personality disorder|journal=Clinical Psychology Review|volume=22|issue=8|pages=1179–1207|doi=10.1016/s0272-7358(01)00125-8|pmid=12436810}}</ref><ref>{{Cite journal|last1=Zágon|first1=Ilona K.|last2=Jackson|first2=Henry J.|date=July 1994|title=Construct validity of a psychopathy measure|journal=Personality and Individual Differences|volume=17|issue=1|pages=125–135|doi=10.1016/0191-8869(94)90269-0}}</ref>のスコアが女性よりも高い傾向があることが示されている。自己愛に関連した興味深い発見の1つは、非代表的なサンプルに基づくものではあるが、1992年と2006年のコホートデータを比較すると、男性の方が女性よりも高いスコアを出し続けている一方で、性差はかなり縮小しているように見えることである。より具体的には、前述の調査結果は、男女の大学生の間で、時間の経過とともにナルシシズムのレベルが一般的に増加していることを示しているが、比較的、女性のナルシシズムの平均レベルは男性のナルシシズムの平均レベルよりも増加している<ref name="Egos inflating over time 2008" />。
+ダークトライアド特性の人種差に関する情報ははるかに少なく、利用可能なデータは全体の人口を代表するものではない。例えば、学部生の参加者を用いた2008年の研究では、白人はアジア人に比べてナルシシズムのレベルが高いと報告されている<ref>{{Cite journal|last1=Trzesniewski|first1=Kali H.|last2=Donnellan|first2=M. Brent|last3=Robins|first3=Richard W.|date=February 2008|title=Do Today's Young People Really Think They Are So Extraordinary?|journal=Psychological Science|volume=19|issue=2|pages=181–188|doi=10.1111/j.1467-9280.2008.02065.x|pmid=18271867}}</ref><ref>{{Cite journal|last1=Twenge|first1=Jean M.|last2=Foster|first2=Joshua D.|date=December 2008|title=Mapping the scale of the narcissism epidemic: Increases in narcissism 2002–2007 within ethnic groups|journal=Journal of Research in Personality|volume=42|issue=6|pages=1619–1622|doi=10.1016/j.jrp.2008.06.014}}</ref>。同様に、2008年に行われた学部生を対象とした別の研究では、白人はマキャヴェリズムのスコアが非白人に比べてわずかに高い傾向があることがわかった<ref name="new Machiavellianism scale" />。サイコパスに民族差があるかどうかを見極めようとする場合、研究者はさまざまな測定尺度（例えば、自己報告サイコパス尺度やサイコパス・パーソナリティ・インベントリ）を用いてこの問題に取り組んできたが、どの測定尺度を用いても人種差は見出されていない<ref>{{Cite journal|last1=Epstein|first1=Monica K.|last2=Poythress|first2=Norman G.|last3=Brandon|first3=Karen O.|date=26 July 2016|title=The Self-Report Psychopathy Scale and Passive Avoidance Learning|journal=Assessment|volume=13|issue=2|pages=197–207|doi=10.1177/1073191105284992|pmid=16672734}}</ref><ref>{{Cite journal|last1=Lander|first1=Gwendoline C.|last2=Lutz-Zois|first2=Catherine J.|last3=Rye|first3=Mark S.|last4=Goodnight|first4=Jackson A.|date=January 2012|title=The differential association between alexithymia and primary versus secondary psychopathy|journal=Personality and Individual Differences|volume=52|issue=1|pages=45–50|doi=10.1016/j.paid.2011.08.027}}</ref>。さらに、矯正施設、薬物乱用施設、精神科のサンプルから得られた白人とアフリカ系アメリカ人を比較したところ、精神病の有病率が一般的に高いグループでは、研究者たちはまたしても、精神病における有意な集団差を見つけることができなかった<ref>{{Cite journal|last1=Skeem|first1=Jennifer L.|last2=Edens|first2=John F.|last3=Camp|first3=Jacqueline|last4=Colwell|first4=Lori H.|date=2004|title=Are there ethnic differences in levels of psychopathy? A meta-analysis.|journal=Law and Human Behavior|volume=28|issue=5|pages=505–527|doi=10.1023/b:lahu.0000046431.93095.d8|pmid=15638207}}</ref>。しかし、{{仮リンク|Richard Lynn|en|Richard Lynn|label=リチャード・リン}}による物議を醸した研究では、サイコパスにはかなりの人種差があることが判明した。リンは「連続的に分布する特徴として概念化された精神病性人格には人種的・民族的な違いがあり、そのような特徴の高い値は黒人やネイティブアメリカン、中間値はヒスパニック系、低い値は白人、一番低い値は東アジア人である」と主張している<ref>{{Cite journal|last1=Lynn|first1=Richard|date=January 2002|title=Racial and ethnic differences in psychopathic personality|journal=Personality and Individual Differences|volume=32|issue=2|pages=273–316|doi=10.1016/S0191-8869(01)00029-0}}</ref>。
+ダークトライアド特性の世代間またはコホート間の違いを分析する際の焦点となる変数は、いわゆる「{{仮リンク|Generation Me|en|Generation Me|label=ジェネレーション・ミー}}（英語版）」または「ジェネレーション・エンタイトルメント」と呼ばれる世代が、前の世代よりも高いレベルのナルシズムを示すだろうという仮説から生じたナルシズムである傾向がある<ref name="Egos inflating over time 2008" />。実際、1979年から2006年の間に16,000人以上の米国の大学生から収集した{{仮リンク|Narcissistic Personality Inventory|en|Narcissistic Personality Inventory|label=ナルシシズム・パーソナリティ・インベントリ}}の回答の分析に基づいて、ナルシシズムの平均レベルは時間の経過とともに上昇していると結論づけられた。同様の結果は、各大学のキャンパス内での変化を分析した追跡調査でも得られた<ref>{{Cite journal|last1=Twenge|first1=Jean M.|last2=Campbell|first2=W. Keith|date=5 May 2017|title=Birth Cohort Differences in the Monitoring the Future Dataset and Elsewhere: Further Evidence for Generation Me—Commentary on Trzesniewski & Donnellan (2010)|url=https://semanticscholar.org/paper/afa90ae66d8ca48e74816b4d71586797ea719884|journal=Perspectives on Psychological Science|volume=5|issue=1|pages=81–88|doi=10.1177/1745691609357015|pmid=26162065}}</ref>。ツェスニエフスキーとドネラン (2010)<ref>{{Cite journal|last1=Trzesniewski|first1=Kali H.|last2=Donnellan|first2=M. Brent|date=5 May 2017|title=Rethinking 'Generation Me': A Study of Cohort Effects from 1976-2006|journal=Perspectives on Psychological Science|volume=5|issue=1|pages=58–75|doi=10.1177/1745691609356789|pmid=26162063}}</ref>は、相反する証拠を提示し、世代を超えて気質や行動戦略に大きな変化はなかったと主張しているが、彼らは、現在の世代は信頼感が低く、よりシニカルであることに注目している。
+== 展望 ==
+=== 職場 ===
+{{仮リンク|Oliver James (psychologist)|en|Oliver James (psychologist)|label=オリバー・ジェームズ}}は、3つのダークトライアドの性格特性をそれぞれ職場で一般的に見られるものとして特定していまる（{{仮リンク|Machiavellianism in the workplace|en|Machiavellianism in the workplace|label=職場のマキアベリズム}}、{{仮リンク|narcissism in the workplace|en|narcissism in the workplace|label=職場のナルシシズム}}、{{仮リンク|psychopathy in the workplace|en|psychopathy in the workplace|label=職場のサイコパス}}も参照）<ref>{{Cite book|last1=James|first1=Oliver|title=Office Politics: How to Thrive in a World of Lying, Backstabbing and Dirty Tricks|year=2013|isbn=978-1-4090-0557-5}}{{要ページ番号|date=March 2019}}</ref>。ファーナム (2010)<ref name="ReferenceA" />は、ダークトライアドがリーダーシップの獲得や対人影響力に関係していることを明らかにしている。ダークトライアドと職場での成果のメタ分析では、ジョンソンとその同僚 (2012)は、ダークトライアドの特徴のそれぞれが職場において操作に関連しているが、それぞれがユニークなメカニズムを介して関連していることを発見した。具体的には、マキャヴェリズムは過剰な魅力を用いた操作と関連しており、ナルシシズムは身体的な外見を使った操作と関連しており、サイコパスは身体的な脅威と関連している<ref name="Jonason, Slomski, Partyka 2012">{{Cite journal|last1=Jonason|first1=Peter K.|last2=Slomski|first2=Sarah|last3=Partyka|first3=Jamie|date=February 2012|title=The Dark Triad at work: How toxic employees get their way|journal=Personality and Individual Differences|volume=52|issue=3|pages=449–453|doi=10.1016/j.paid.2011.11.008}}</ref>。ジョンソンらはまた、ダークトライアドの形質が完全にジェンダーと職場の操作の関係を媒介していることを発見した。また、ダークトライアドの特徴は、上級管理職やCEOにもかなりよく表れていることがわかっている<ref>{{Cite journal|last1=Amernic|first1=Joel H.|last2=Craig|first2=Russell J.|date=23 February 2010|title=Accounting as a Facilitator of Extreme Narcissism|journal=Journal of Business Ethics|volume=96|issue=1|pages=79–93|doi=10.1007/s10551-010-0450-0|jstor=40836190}}</ref>。
+=== ネットの荒らし ===
+{{Main|Troll (Internet)}}最近の研究では、荒らしと認定された人はダークトライアドの性格的特徴を持つ傾向があり、[[サディズム]]、[[反社会的行動]]、サイコパス、マキャヴェリズムの兆候を示すことがわかっている<ref>{{Cite journal|last1=Buckels|first1=Erin E.|last2=Trapnell|first2=Paul D.|last3=Paulhus|first3=Delroy L.|date=September 2014|title=Trolls just want to have fun|journal=Personality and Individual Differences|volume=67|pages=97–102|doi=10.1016/j.paid.2014.01.016}}</ref><ref>{{Cite web|url=https://arstechnica.com/science/2014/02/science-confirms-online-trolls-are-horrible-people-also-sadists/|title=Science confirms: Online trolls are horrible people (also, sadists!)|date=20 February 2014|accessdate=2 November 2016|website=Ars Technica|first=Nate|last=Anderson|url-status=live|archiveurl=https://web.archive.org/web/20161104004119/http://arstechnica.com/science/2014/02/science-confirms-online-trolls-are-horrible-people-also-sadists/|archivedate=4 November 2016}}</ref><ref>{{Cite web|title=Internet Trolls Are Narcissists, Psychopaths, and Sadists|url=http://www.psychologytoday.com/blog/your-online-secrets/201409/internet-trolls-are-narcissists-psychopaths-and-sadists|website=Psychology Today|accessdate=2019-12-09|language=en}}</ref> 。2013年の事例研究では、反社会的な活動と炎上した荒らしの間には多くの類似点があることが示唆され、2014年の調査では、荒らしは日常的なサディズムのインターネット上での症状であることが示されている。どちらの研究も、この荒らしが思春期と大人の[[いじめ]]につながっている可能性を示唆している。
+=== 配偶戦略として ===
+研究では、平均して、人格的特徴のダークトライアドを示す人は、速い交配戦略を持っていることが示唆されている。より多くのセックスパートナーを持っていることを報告し、カジュアルセックスにより好意的な態度を示し<ref name="short-term mating">{{Cite journal|last1=Jonason|first1=Peter K.|last2=Li|first2=Norman P.|last3=Webster|first3=Gregory D.|last4=Schmitt|first4=David P.|date=February 2009|title=The dark triad: Facilitating a short-term mating strategy in men|journal=European Journal of Personality|volume=23|issue=1|pages=5–18|doi=10.1002/per.698|citeseerx=10.1.1.650.5749}}</ref>、短期的な相手の基準を引き下げ<ref>{{Cite journal|last1=Jonason|first1=Peter K.|last2=Valentine|first2=Katherine A.|last3=Li|first3=Norman P.|last4=Harbeson|first4=Carmelita L.|date=October 2011|title=Mate-selection and the Dark Triad: Facilitating a short-term mating strategy and creating a volatile environment|journal=Personality and Individual Differences|volume=51|issue=6|pages=759–763|doi=10.1016/j.paid.2011.06.025|citeseerx=10.1.1.648.3614}}</ref>、他人から仲間を盗むか密猟する傾向があり<ref>{{Cite journal|last1=Jonason|first1=Peter K.|last2=Li|first2=Norman P.|last3=Buss|first3=David M.|date=March 2010|title=The costs and benefits of the Dark Triad: Implications for mate poaching and mate retention tactics|journal=Personality and Individual Differences|volume=48|issue=4|pages=373–378|doi=10.1016/j.paid.2009.11.003}}</ref>、薬物乱用の形でより多くのリスクを取り<ref name="Jonason, Koenig, Tost 2010" />、時間がかかるがより大きな金額を得るよりも、すぐに貰えるが少ない金額を得る傾向があり<ref>{{Cite journal|last1=Jonason|first1=P. K.|last2=Li|first2=N. P.|last3=Teicher|first3=E. A.|year=2010|title=Who is James Bond?:The Dark Triad as an agentic social style|url=https://ink.library.smu.edu.sg/soss_research/1109|journal=Individual Differences Research|volume=8|issue=|pages=111–120}}</ref>、限られた[[セルフコントロール|自制心]]と[[注意欠陥・多動性障害|ADHD]]症状の高い発生率があり<ref name="Jonason, Tost 2010" />、現実的でゲーム感覚のロマンススタイルを持つ<ref>{{Cite journal|last1=Jonason|first1=Peter K.|last2=Kavanagh|first2=Phillip|date=October 2010|title=The dark side of love: Love styles and the Dark Triad|journal=Personality and Individual Differences|volume=49|issue=6|pages=606–610|doi=10.1016/j.paid.2010.05.030}}</ref>。これらの特徴は、一般的に、仕事での生活への搾取的、日和見主義的、そして保護主義的なアプローチによって実行されるように見える速い生活戦略の一部として認識されている<ref>{{Cite journal|last1=Jonason|first1=Peter K.|last2=Webster|first2=Gregory D.|date=March 2012|title=A protean approach to social influence: Dark Triad personalities and social influence tactics|journal=Personality and Individual Differences|volume=52|issue=4|pages=521–526|doi=10.1016/j.paid.2011.11.023}}</ref><ref name="Jonason, Slomski, Partyka 2012" />。
+ダークトライアドと生殖の成功の間の正確な関係については、エビデンスが混在している。例えば、サイコパスの場合の生殖の成功のための経験的証拠が不足している<ref name="gap2">{{Cite journal|last1=Skeem|first1=Jennifer L.|last2=Polaschek|first2=Devon L. L.|last3=Patrick|first3=Christopher J.|last4=Lilienfeld|first4=Scott O.|date=15 December 2011|title=Psychopathic Personality|url=https://semanticscholar.org/paper/43365b857d3243621d3d8becc3e2a4d47553142c|journal=Psychological Science in the Public Interest|volume=12|issue=3|pages=95–162|doi=10.1177/1529100611426706|pmid=26167886}}</ref>。さらに、これらの特徴は普遍的に短期志向というわけではなく<ref name="Jonason, Tost 2010" />、すべてが衝動的でもない<ref name="ReferenceB" />。さらに、上記の段落で引用されたダークトライアド関係に関連して報告されている研究の多くは、遺伝学的<ref name="Vernon, Villani, Vickers, Harris 2008" />そしてメタ分析的な証拠があるにもかかわらず、ダークトライアドが単一の構成要素であると仮定した統計的手続きに基づいている<ref name="social exchange perspective 2012" />。
+=== 外見 ===
+いくつかの学術研究では、ダークトライアドの性格を持つ人は、一目見ただけで平均よりもわずかに容姿が良いと判断されるという証拠が発見されている<ref>Carter, Gregory Louis, Anne C. Campbell, Steven Muncer, "[http://scottbarrykaufman.com/wp-content/uploads/2013/09/The-Dark-Triad-Personality.pdf The Dark Triad personality: Attractiveness to women] {{Webarchive|url=https://web.archive.org/web/20150226020227/http://scottbarrykaufman.com/wp-content/uploads/2013/09/The-Dark-Triad-Personality.pdf|date=2015-02-26}}", ''[[エルゼビア|Elsevier]]/[[ScienceDirect]]'', 12 June 2013</ref>。2つの研究では、ダークトライアドの特徴を持つ人々が容姿が良いとされるのは、その人達が外見に力を入れているためであり、魅力の差は、無地の服を着て化粧をしないで「着飾ることをやめる」と消えてしまうと主張する<ref>{{Cite journal|last1=Grewel|first1=Daisy|year=2012|title=Psychology Uncovers Sex Appeal of Dark Personalities|url=http://www.scientificamerican.com/article/psychology-uncovers-sex-appeal-dark-personalities/|journal=[[サイエンティフィック・アメリカン|Scientific American]]|url-status=live|archiveurl=https://web.archive.org/web/20150825175428/http://www.scientificamerican.com/article/psychology-uncovers-sex-appeal-dark-personalities/|archivedate=2015-08-25}}</ref><ref>{{Cite journal|last1=Holtzman|first1=Nicholas S.|last2=Strube|first2=Michael J|date=4 October 2012|title=People With Dark Personalities Tend to Create a Physically Attractive Veneer|url=https://semanticscholar.org/paper/e63ccb45f9fab11607551335c5b49e9852161aaf|journal=Social Psychological and Personality Science|volume=4|issue=4|pages=461–467|doi=10.1177/1948550612461284}}</ref>。さらに2つの研究では、ナルシストの被験者だけが外見が良いと判断されたが、他のダークトライアドの特徴であるマキャヴェリズムとサイコパスは外見と相関性がないことがわかった<ref>{{Cite journal|last1=Dufner|first1=Michael|last2=Rauthmann|first2=John F.|last3=Czarna|first3=Anna Z.|last4=Denissen|first4=Jaap J. A.|date=2 April 2013|title=Are Narcissists Sexy? Zeroing in on the Effect of Narcissism on Short-Term Mate Appeal|journal=Personality and Social Psychology Bulletin|volume=39|issue=7|pages=870–882|doi=10.1177/0146167213483580|pmid=23554177}}</ref><ref>{{Cite journal|last1=Back|first1=Schmuckle|last2=Egloff|date=Jan 2010|title=Why are narcissists so charming at first sight? Decoding the narcissism-popularity link at zero acquaintance.|url=https://semanticscholar.org/paper/40f31b17c14ca61be20e4e9bd2b00d7c4780f96f|journal={{仮リンク|Journal of Personality and Social Psychology|en|Journal of Personality and Social Psychology|label=Journal of Personality and Social Psychology}}|volume=98|issue=1|pages=132–45|doi=10.1037/a0016338|pmid=20053038}}</ref>。ダークトライアドの特徴に関連する顔の特徴は、魅力的ではないと評価される傾向がある<ref>{{Cite journal|last1=Holtzman|first1=Nicholas S.|date=December 2011|title=Facing a psychopath: Detecting the dark triad from emotionally-neutral faces, using prototypes from the Personality Faceaurus|journal=Journal of Research in Personality|volume=45|issue=6|pages=648–654|doi=10.1016/j.jrp.2011.09.002}}</ref><ref>{{Cite web|title=Study: Women dislike men with 'Dark Triad' facial features -- even when they're drunk|url=https://www.psypost.org/2017/12/study-women-dislike-men-dark-triad-facial-features-even-theyre-drunk-50507|website=PsyPost|date=2017-12-31|accessdate=2020-03-22|language=en-US}}</ref>。
+== 関連概念 ==
+=== ビッグファイブ ===
+[[ビッグファイブ (心理学)|性格の5因子モデル]]は、ダークトライアドを合わせたものと、ダークトライアドの各特徴との間に有意な関係がある。ダークトライアド全体としては、協調性と誠実性の両方に負の関係がある<ref name="ReferenceA" />。より具体的には、マキャヴェリズムは、人間の本性に対する「信頼-疑念」の軸を捉えており、またそれは、協調性特性のサブスケールである信頼によって捕捉されています<ref name=":1">{{Cite journal|last=Hunter|first=J. E.|last2=Gerbing|first2=D. W.|last3=Boster|first3=F. J.|date=1982|title=Machiavellian beliefs and personality: Construct invalidity of the Machiavellianism dimension|url=|journal=Journal of Personality and Social Psychology|volume=43|issue=6|pages=1293–1305|doi=10.1037/0022-3514.43.6.1293|pmid=|access-date=}}</ref>。[[外向性と内向性|外向性]]は、ナルシシズムのような自己主張、優位性、自己重要感の類似した側面を捉えている<ref name=":1" />。ナルシシズムはまた、誠実性の達成努力と能力の側面にも正に関連している。サイコパスは、誠実性の低い忠実さと熟慮の側面と最も強い相関関係を持っている<ref name="ReferenceA" />。
+=== 誠実さ-謙虚さ ===
+{{仮リンク|HEXACO model of personality structure|en|HEXACO model of personality structure|label=HEXACO}}性格モデルの「正直さ-謙虚さ」因子は、誠実さ、公正さ、欲求の回避、謙虚さを測定するために使用されている。正直さと謙虚さは、ダークトライアドの特徴と強く負の相関があることがわかっている<ref>{{Cite journal|last1=Aghababaei|first1=N.|last2=Mohammadtabar|first2=S.|last3=Saffarinia|first3=M.|year=2014|title=Dirty Dozen vs. the H factor: Comparison of the Dark Triad and Honesty–Humility in prosociality, religiosity, and happiness|url=|journal=Personality and Individual Differences|volume=67|issue=|pages=6–10|doi=10.1016/j.paid.2014.03.026}}</ref>。同様に、3つのダークトライアドの特徴はすべて、正直さと謙虚さと強い負の相関がある<ref name="ReferenceA" />。個人的な利益のために他人を操り、搾取する傾向を表す3つの特徴が概念的に重なっていることが、正直さと謙虚さの要素の負の関係を定めている<ref>{{Cite journal|last1=Lee|first1=K.|last2=Ashton|first2=M. C.|last3=Wiltshire|first3=J.|last4=Bourdage|first4=J. S.|last5=Visser|first5=B. A.|last6=Gallucci|first6=A.|year=2013|title=Sex, power, and money: Prediction from the Dark Triad and Honesty–Humility|url=|journal=European Journal of Personality|volume=27|issue=2|pages=169–184|doi=10.1002/per.1860}}</ref>。一般的に、DTと低H-Hからの肯定的な効果は、個人レベルで発生し、つまり、どんな利益も形質の観察者（例えば、成功した交配、指導的地位の獲得）に与えられ、他の人や社会全体に利益が与えられることはない。研究では、正直さと謙虚さのスコアが低い個人は、自己申告の創造性において高いレベルを持っていることがわかっている<ref>{{Cite journal|last=Silvia|first=P|last2=Kaufman|first2=J|date=2011|title=Cantankerous creativity: Honesty–Humility, Agreeableness, and the HEXACO structure of creative achievement|url=|journal=Personality and Individual Differences|volume=51|issue=5|pages=687–689|doi=10.1016/j.paid.2011.06.011|pmid=|access-date=}}</ref>。
+=== ダークテトラッド ===
+何人かの研究者は、ダークトライアドに新たに含められる第4の特性を含めて、ダークトライアドが拡大されることを示唆している。日常的なサディズムは、残酷さを楽しむことと定義され、一般的に最も追加される特性の1つである<ref name="apa-sadism">{{Cite news|url=https://www.psychologicalscience.org/news/releases/everyday-sadists-take-pleasure-in-others-pain.html|title=Everyday Sadists Take Pleasure In Others' Pain|work=Association for Psychological Science|access-date=2018-05-26|language=en-US|url-status=live|archiveurl=https://web.archive.org/web/20180527025804/https://www.psychologicalscience.org/news/releases/everyday-sadists-take-pleasure-in-others-pain.html|archivedate=2018-05-27}}</ref>。サディズムはダークトライアドと高い相関があるが、研究者はサディズムがダークトライアドを超えた[[反社会的行動]]を予測することを示している<ref name="Contributions to juvenile delinquency" /><ref>{{Cite journal|last1=Buckels|first1=E.E.|last2=Jones|first2=D. N.|last3=Paulhus|first3=D. L.|year=2013|title=Behavioral Confirmation of Everyday Sadism|url=|journal=Psychological Science|volume=24|issue=11|pages=2201–2209|doi=10.1177/0956797613490749|pmid=24022650}}</ref>。また、[[境界性パーソナリティ障害]]やステータス駆動型のリスクテイクも追加要素として提案されている<ref name="ReferenceA" />。
+=== 脆弱性ダークトライアド ===
+脆弱性ダークトライアド（VDT）は、脆弱性ナルシシズム、第2因子サイコパス、[[境界性パーソナリティ障害]]の3つの関連性のある類似した構成要素から構成されている。ある研究では、これら3つの構成要素は互いに有意に関連しており、類似した名目論的ネットワークを示していることが明らかになっている。また、VDTの人々は、否定的な感情や拮抗的な対人関係のスタイルに関連しているが、[[外向性と内向性|内向性]]や抑制にも関連している。しかし、この研究の結果は、臨床評価から得られた情報よりも、白人大学生の両親の自己申告に基づいていることに注意が必要である<ref name="vdt">{{Cite journal|last1=Miller|first1=Joshua D.|last2=Dir|first2=Ally|last3=Gentile|first3=Brittany|last4=Wilson|first4=Lauren|last5=Pryor|first5=Lauren R.|last6=Campbell|first6=W. Keith|date=October 2010|title=Searching for a Vulnerable Dark Triad: Comparing Factor 2 Psychopathy, Vulnerable Narcissism, and Borderline Personality Disorder|url=https://semanticscholar.org/paper/627a2d72670f67c0a13f7730aa6cd02e9809c872|journal=Journal of Personality|volume=78|issue=5|pages=1529–1564|doi=10.1111/j.1467-6494.2010.00660.x|pmid=20663024}}</ref>。
+=== 悪性ナルシシズム ===
+臨床/病理学的領域内では、ナルシシズムは悪性ナルシシズムとして知られている特に重篤な形態で現れることがある。[[悪性自己愛|悪性ナルシシズム]]は、壮大なナルシシズムの徴候や症状だけでなく、被害妄想、サディズム、攻撃性、およびサイコパス（特に反社会的行動）の特徴を含む<ref>{{Cite journal|last1=Lenzenweger|first1=Mark F.|last2=Clarkin|first2=John F.|last3=Caligor|first3=Eve|last4=Cain|first4=Nicole M.|last5=Kernberg|first5=Otto F.|date=2018|title=Malignant Narcissism in Relation to Clinical Change in Borderline Personality Disorder: An Exploratory Study|journal=Psychopathology|volume=51|issue=5|pages=318–325|doi=10.1159/000492228|pmid=30184541}}</ref>。
+=== ライトトライアド ===
+ダークトライアドに影響を受けた{{仮リンク|Scott Barry Kaufman|en|Scott Barry Kaufman|label=スコット・バリー・カウフマン}}は、[[ヒューマニズム]]、{{仮リンク|Kantianism|en|Kantianism|label=カンティズム}}、人間性への信仰という人格的美徳の「ライトトライアド」を提案した。このテストは、ダークトライアド・テストの反転テストではなく、実際にカウフマンは、ダークトライアドのコーディングを逆転させることを避け、ダークトライアド・テストとは概念的に反対の特性に焦点を当てた。
+ライトトライアドの特性で高いスコアを獲得した個人は、より高いレベルの宗教性、精神性、人生の満足、他者の受容、自分も他者もいい人であるという信念、思いやり、共感性、開放性、誠実性を示した<ref name=":0">{{Cite journal|last=Tsukayama|first=Eli|last2=Hyde|first2=Elizabeth|last3=Yaden|first3=David Bryce|last4=Kaufman|first4=Scott Barry|date=2019|title=The Light vs. Dark Triad of Personality: Contrasting Two Very Different Profiles of Human Nature|url=|journal=Frontiers in Psychology|volume=10|pages=467|language=|doi=10.3389/fpsyg.2019.00467|issn=1664-1078|pmid=30914993|pmc=6423069}}</ref>。
+== 関連項目==
+* [[反社会性パーソナリティ障害]]
+* [[悪]]
+* [[進化心理学]]
+* [[泥棒政治]]
+* {{仮リンク|Macdonald triad|en|Macdonald triad|label=Macdonald triad}}
+* {{仮リンク|Life history theory|en|Life history theory|label=Life history theory}}
 == 脚注 ==

表話編歴ナルシシズム
形式	集合的エゴマニア健康的悪性誇大妄想自己愛性パーソナリティ障害唯物論職場
特性	大言壮語エリート主義自己中心性自惚れ共感 (の欠如) (誇張された) 権利羨望空想誇大性傲慢魔術的思考対人操作自己愛的虐待自己愛的高揚自己愛的傷つき自己愛的屈辱自己愛的怒り自己愛的供給自己愛的ひきこもり完璧主義自尊心独善性厚顔無恥表面的魅力優越感癇癪偽りの自己虚栄心
防衛	否認脱価値化認知の歪み理想化と脱価値化投影
文化的現象	コントロールフリークドリアン・グレイ症候群メトロセクシャルプリマドンナ自撮りステータスシンボルミスタートード
関連記事	共依存反依存ダークトライアド自我理想学閥マイクロマネジメント身体醜形障害ナルキッソスセルフラブ職場いじめ
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表話編歴精神病質
状況	小説職場における精神病質
特徴	罪悪感の欠如表面的魅力能動的攻撃反社会的行動大胆冷淡共感の薄さ脱抑制誇大性衝動性対人操作虚言癖無慈悲
関連項目	反社会性パーソナリティ障害行為障害ダークトライアドハーベイ・M・クレックリー精神病質の歴史非行少年サイコキラーマキャヴェリズムマクドナルドトライアドナルシシズム精神病質的パーソナリティ調査票精神病質チェックリストロバート・D・ヘアサディスティックパーソナリティ障害性的サディズム障害社会病質
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