「結婚活動」の版間の差分

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婚活サービスには下記のようなタイプがある。
婚活サービスには下記のようなタイプがある。


# 結婚情報サービス業:主に会員情報を提供することに主眼を置いているものであり、入会時に前払いをするシステムが多い
#[[結婚情報サービス]]業:主に[[会員]]情報を提供することに主眼を置いているものであり、入会時に[[前払い]]をするシステムが多い
# 仲人業:主に成婚に主眼を置いており、成婚時に成果報酬として成婚料を受領するシステム。
#[[仲人]]業:主に成婚に主眼を置いており、成婚時に[[成功報酬|成果報酬]]として成婚料を受領するシステム。
# イベント業:婚活パーティを主催し、その場を提供するもの
#[[イベント]]業:[[婚活パーティー|婚活パーティ]]を主催し、その場を提供するもの
#[https://komono.me/20246 婚活アプリ]:主に[[スマートフォン]]のアプリ上での[[出会い]]を提供するものであり、アプリ利用者は月額利用料を支払うシステム


=== 限定 ===
=== 限定 ===

2018年7月20日 (金) 09:35時点における版

結婚活動(けっこんかつどう)は、結婚するために必要な行動。略称は婚活(こんかつ)。

日本

「婚活」の概要

日本においては、結婚を目指して恋愛相手を自力で探したり、見合い結婚相談所を利用したりすることは2000年代以前から行われていた。

「婚活」は就職活動(就活)に見立てて社会学者、山田昌弘が考案、提唱した造語である。言葉の初出は『AERA』2007年11月5日号[1]。ちなみに、山田は後に白河桃子と『「婚活」時代』を執筆。動機として「日本の結婚の実態を明らかにし、“結婚できないけれどしたい”という人をサポートすることが必要だと思った」[2]とインタビューで答えている。一方共著の白河桃子は婚活は限界に迎えていると説いている(後述)。

山田らによる『「婚活」時代』では以下のとおり。

  • 自分を磨いてみる - 男性のコミュニケーション能力や経済力など。女性は磨きすぎると、逆に結婚可能性が遠のくという指摘がある[1]

なお、婚活のブーム化や、少子化対策などを背景として、結婚活動の支援に取り組む地方自治体や企業も出てきている[3][4][5]。また、こうした社会情勢を奇貨とみた企業によって、結婚活動関係のビジネスが活況を呈している[6]。しかし、商行為が悪質とされた企業が告発されるなどの問題も発生している[7]。また、様々な婚活に参加したもののうまくいかず「婚活疲れ」に陥った女性らも存在する[8]

評論家三浦展エコノミスト門倉貴史らは、結婚相手の収入に対する女性側の要求水準が高まり、少子化が進む一方、収入の不安定な者同士の「できちゃった結婚」が増えることで、社会階層(ないし階級)の固定化及び世襲化が進むと論じている。

批判

橋爪大三郎東京工業大学教授(社会学)は、「就職活動の連想で『婚活』が出てきたことに、奇妙なものを感じる」「本来、恋愛から結婚への過程は千差万別。それを他人に用意されたパッケージで、リスクを取らず最小限の労力で済まそうなんて、信じられません。クローゼットの洋服を選ぶ感覚で結婚相手を決める発想は勘違いだよ、と言いたい」「あの世に旅立ったキヨシローじゃないが、婚活に血道を上げる連中に聞いてみたい。「愛し合ってるかい?」と。彼らに「恋愛」の2文字はみじんも感じない。あるのは「計算」だけ。「草食系」などとチヤホヤするな。もっとガツガツ「肉」を食え、もっと恋をしようではないか。」「『恋愛結婚』が定着したのは、1960年前後。まだ、社会全体が恋愛に慣れていないのです。結婚制度の変化に多くの人が戸惑っているのが現状で、独身でいることは、そんな自分に正直に生きた結果でもある。結婚する、しないは個人の自由。その意思は尊重されるべき」等々と批判する(「婚カツ!」参考URL参照)。

2010年3月5日の『朝日新聞』において、マスコミや有識者達が婚活ブームを煽り、「必ず結婚しなければならない」「結婚しなければ孤独死が待っている」と不安にさせ、それをストレスに感じている人達がいるという「婚圧]」が紹介された。

女性の願望と現実

野村総合研究所の調査によると、50歳未満の未婚男性では、年収400万円未満の割合が83.9%である。しかし、一般的な女性の理想相手とする男性の年収は500-700万円であり、男性の僅か4.9%しかいない。それらの男性ですら、結婚後は共働きを希望している。一方で女性は、金融危機や不況などを原因とした、就職活動への絶望もあり「専業主婦願望」は高まっているのである。養って欲しい女性と専業主婦を養い、かつ養う気のある男性とのバランスは崩れ、その結果ジャーナリストである岡林くみこは「婚活の限界は既に見えている」と説いている[9]

中国

中国ではかつての一人っ子政策の影響で男女の人口比が大きく崩れており、社会問題となっている[10]

中国ではお見合いイベントが屋外の公園などで開催されることも多い[10]

また、数百人規模の婚活パーティーが開催されることもあるが、本人は仕事のため直接参加できず、多くは子に代わって両親が代理参加しているイベントもある[11]

北米

アメリカでは世界的ネット企業であるMatchグループがOKCupid、Match.com、Tinderといったデーティングサービスを展開している[12]。北米では2010年代半ばには3人に1人がインターネット上で知り合った人と結婚しているという統計がある[12]

アメリカではオンライン・デーティングサービスを利用していることを周囲に言わない人が多かったが、デーティングサービスの運営者がテレビCMに教師、医師、弁護士などを多く起用したことによって利用者間で変化が起こったとされている[12]

婚活事業

リクルートなどの人材派遣会社やイベント会社が婚活事業に参入する例が多いが、婚活ブームにより婚活専門の会社も登場している。

別分野の企業が関連事業として開始することもあり、ミサワホームは結婚後に家の購入やリフォームする際に自社を選択してもらうためとして、子会社の広告会社(メディアエムジー)で親を対象とした代理婚活を行っている[13]。またコミック店を展開するとらのあなオタク向けの婚活事業を開始している。

非婚男女の増加は少子化ひいては人口減少問題を深刻化させるため、地方の公共団体が町おこしの一環として行うこともある。愛媛県が運営する「えひめ結婚支援センター」では、結婚希望者の履歴などのデータを人工知能(AI)で分析する交際相手の候補を紹介している[14]

防衛省の広報誌『MAMOR』には、独身自衛官が誌面で伴侶を募集する「マモルの婚活」という連載がある。

ゼクシィなどの結婚情報誌も多く出版されている。

サービス

婚活サービスには下記のようなタイプがある。

  1. 結婚情報サービス業:主に会員情報を提供することに主眼を置いているものであり、入会時に前払いをするシステムが多い
  2. 仲人業:主に成婚に主眼を置いており、成婚時に成果報酬として成婚料を受領するシステム。
  3. イベント業:婚活パーティを主催し、その場を提供するもの
  4. 婚活アプリ:主にスマートフォンのアプリ上での出会いを提供するものであり、アプリ利用者は月額利用料を支払うシステム

限定

差別化を図るため、職業や年収・あるいは参加者の趣味や嗜好を限定した仲介活動やイベントも多い。自衛官警察官弁護士や会社経営者など職種が細かく設定されていたり、スポーツアニメなど趣味別、50代以上やバツイチ(離婚経験者)など婚活では不利とされる条件の人間を対象としたりする仲介事業もある。

結婚活動がテーマの作品

テレビドラマ

脚注

  1. ^ a b 山田昌弘、白河桃子『「婚活」時代』ディスカヴァー・トゥエンティワン〈ディスカヴァー携書〉、2008年、ISBN 4887596235
  2. ^ 「結婚できない男女が増加 今後は「婚活(こんかつ)」が必須に 『「婚活」時代』の著者、家族社会学者の山田昌弘氏に聞く」『日経ビジネスオンライン』2008年3月12日付配信より引用
  3. ^ MSN産経ニュース (2008年12月13日). “自治体の「婚活」支援拡大 パーティーや講座、仲人…”. 2009年4月20日閲覧。
  4. ^ MSN産経ニュース (2008年12月21日). “独身男女の“婚活”支援 リロ・ホールディングス”. 2009年4月20日閲覧。
  5. ^ 財団法人こども未来財団. “地方公共団体等における結婚支援に関する調査研究”. 2009年4月20日閲覧。
  6. ^ ZAKZAK (2008年12月15日). “ヤフー、「婚活」を支援…イオングループと連携”. 2009年4月20日閲覧。
  7. ^ J-CASTニュース (2009年1月26日). “「婚活ブーム」の一方で 結婚紹介業への苦情増加”. 2009年4月20日閲覧。
  8. ^ そ〜いや“婚活”ってどうなった?独女通信
  9. ^ 白河桃子 (2010年10月7日). “【1】年収1000万円以上男の「結婚の条件」”. プレジデント. 2011年2月13日閲覧。
  10. ^ a b AFP BB (2009年5月3日). “北京の「婚活」は公園で”. 2017年6月5日閲覧。
  11. ^ AFP BB (2017年5月23日). “両親が集う代理「婚活パーティー」、中国”. 2017年6月5日閲覧。
  12. ^ a b c “ネット婚活ブレークの兆しか―初開催のJapan Dating Summitで関係者が語る”. TechCrunch. (2016年4月12日). http://jp.techcrunch.com/2016/04/12/japan-dating-summit/ 2018年3月2日閲覧。 
  13. ^ 『婚難の中で 第4部 親心 1』 河北新報2017年10月4日
  14. ^ AIが紡ぐ「赤い糸」愛媛県の婚活事業、結婚成立900組『産経新聞』朝刊2018年3月18日(2018年4月20日閲覧)

関連文献

  • 『「婚活」時代』(ディスカヴァー携書) 山田昌弘 白河桃子 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008年 ISBN 4887596235
  • 『婚活したらすごかった』石神賢介(新潮新書)実体験本
  • 結婚氷河期をのりきる本!』白河桃子(メディアファクトリー)
  • 『すべての婚活やってみました』石神賢介(小学館新書)

関連項目