スタンリー・クラーク・バンド フィーチャリング 上原ひろみ
『スタンリー・クラーク・バンド フィーチャリング 上原ひろみ』 | ||||
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スタンリー・クラーク・バンド の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
カリフォルニア州バーバンク レゾネイト・ミュージック カリフォルニア州トパンガ トパンガ・スタジオ | |||
ジャンル | ジャズ、フュージョン | |||
時間 | ||||
レーベル | ヘッズ・アップ・インターナショナル | |||
プロデュース | スタンリー・クラーク、レニー・ホワイト | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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スタンリー・クラーク アルバム 年表 | ||||
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『スタンリー・クラーク・バンド フィーチャリング 上原ひろみ』(原題:The Stanley Clarke Band)は、スタンリー・クラーク・バンドが2010年に発表したスタジオ・アルバム。
背景
[編集]前作『ジャズ・イン・ザ・ガーデン』(2009年)に続く上原ひろみとの共演アルバムで、前作に全面参加したレニー・ホワイトは、本作では演奏には参加せずプロデュースに貢献した[3]。音楽的には、ストレート・アヘッド・ジャズ色の強かった『ジャズ・イン・ザ・ガーデン』と異なりエレクトリック・サウンドが重視されているが、上原はエレクトリック・キーボードを弾かずアコースティック・ピアノに専念している[3]。
上原は自作の新曲「ラビリンス」を提供し[3]、更に「ノー・ミステリー」、「ラリー・ハズ・トラベルド・11マイルス・アンド・ウェイテッド・ア・ライフタイム・フォー・ザ・リターン・オブ・ヴィシュヌズ・レポート」、「ソニー・ロリンズ」で上原のピアノ・ソロがフィーチャーされている[4]。また、日本盤ボーナス・トラック「サムウェア」は、上原がアルバム『プレイス・トゥ・ビー』(2009年)で発表した曲の再演である[3]。
「ノー・ミステリー」はリターン・トゥ・フォーエヴァーのアルバム『ノー・ミステリー』(1975年)収録曲の再演。また、「ハウ・イズ・ザ・ウェザー・アップ・ゼア?」は、リターン・トゥ・フォーエヴァーのアルバム『第7銀河の讃歌』(1973年)で発表されたクラークの曲「アフター・ザ・コズミック・レイン」の改作である[5]。
「ラリー・ハズ・トラベルド・11マイルス・アンド・ウェイテッド・ア・ライフタイム・フォー・ザ・リターン・オブ・ヴィシュヌズ・レポート」のタイトルは、ラリー・コリエル率いるイレヴンス・ハウス、マイルス・デイヴィス、トニー・ウィリアムス率いるライフタイム、リターン・トゥ・フォーエヴァー、マハヴィシュヌ・オーケストラ、ウェザー・リポートといったバンドやミュージシャンの名前が組み合わされた[4][6]。上原はこの曲に関して「この曲名に決めた時のスタンリーとレニーのはしゃぎようったら、ちょっとびっくりでした」とコメントしている[5]。
反響・評価
[編集]アメリカでは『ビルボード』のジャズ・アルバム・チャートで7位に達した[7]。第53回グラミー賞では本作が最優秀コンテンポラリー・ジャズ・アルバム賞を受賞し、「ノー・ミステリー」が最優秀ポップ・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞にノミネートされた[8]。なお、クラークはリターン・トゥ・フォーエヴァーのオーストラリア・ツアー中だったため授賞式は欠席し、本作に参加したルスラン・シロタとロナルド・ブルナーJr.、それにクラークの妻ソフィがトロフィーを受け取った[8]。
日本のオリコンチャートでは12週チャート入りし、最高58位を記録[1]。また、グラミー賞受賞後の2011年2月28日には、Billboard JAPANのトップ・ジャズ・アルバム・セールスで1位を獲得した[9]。
Thom Jurekはオールミュージックにおいて5点満点中3.5点を付け「彼がここ何十年の間に制作してきたどのレコードよりも、バンド感が強い。彼のソロ・ワークが心なしか劣っているというわけではないが、彼は個々の才能を持ち合わせたミュージシャンに囲まれた時の方が、より満足のいく結果に至ることが多い」と評している[10]。また、John GarrattはPopMattersにおいて10点満点中7点を付け「ちょっとした失策を別とすれば、タイトルが物語るように手堅くしっかりしていると言えよう」「クラークはここで、優れたバンドを結成した」と評している[2]。
収録曲
[編集]特記なき楽曲はスタンリー・クラーク作。
- ソルジャー - "Soldier" (Ruslan Sirota) - 7:07
- フラニ - "Fulani" (Armand Sabal-Lecco) - 6:29
- ヒアズ・ホワイ・ティアーズ・ドライ - "Here's Why Tears Dry" - 4:52
- アイ・ワナ・プレイ・フォー・ユー・トゥー - "I Wanna Play for You Too" (Felton Pilate) - 4:13
- ベース・フォーク・ソング No. 10 - "Bass Folk Song No. 10" - 3:40
- ノー・ミステリー - "No Mystery" (Chick Corea) - 7:09
- ハウ・イズ・ザ・ウェザー・アップ・ゼア? - "How Is the Weather Up There?" (Stanley Clarke, Ronald Bruner Jr.) - 5:54
- ラリー・ハズ・トラベルド・11マイルス・アンド・ウェイテッド・ア・ライフタイム・フォー・ザ・リターン・オブ・ヴィシュヌズ・レポート - "Larry Has Traveled 11 Miles and Waited a Lifetime for the Return of Vishnu’s Report" - 6:32
- ラビリンス - "Labyrinth" (Hiromi Uehara) - 5:56
- ソニー・ロリンズ - "Sonny Rollins" - 8:49
- ベース・フォーク・ソング No. 6(モー・アナム・カラ) - "Bass Folk Song No. 6 (Mo Anam Cara)" - 2:41
日本流通盤ボーナス・トラック
[編集]- サムウェア - "Somewhere" (H. Uehara) - 3:56
参加ミュージシャン
[編集]- スタンリー・クラーク - エレクトリックベース、ウッドベース、トーキング・ボックス、ボーカル
- ルスラン・シロタ - ピアノ、エレクトリックピアノ、シンセサイザー、ボーカル
- ロナルド・ブルナーJr. - ドラムス
- 上原ひろみ - ピアノ(#6, #8, #9, #10, #12)
- チャールズ・アルトゥラ - ギター(#1, #2, #3, #6, #7, #8)
- ロブ・ベーコン - ギター(#4, #10)
- フェルトン・ピレイト - キーボード(#4)
- アルマンド・サバル=レッコ - エレクトリックベース(#2)
- クリス・クラーク - ドラム・プログラミング(#2)
- ジョン・ハカキアン - プログラミング(#2, #4, #5)
- ボブ・シェパード - ソプラノ・サックス(#8)、テナー・サックス(#10)
- ダグ・ウェブ - サックス(#10)
- ジョン・パペンブルック - トランペット(#10)
- アンドリュー・リップマン - トロンボーン(#10)
- ナターシャ・アグラマ - ボーカル(#1)
- アイズレー・ジュバー - ボーカル(#1)
- シェリル・ベンティーン - ボーカル(#10)
脚注・出典
[編集]- ^ a b c ORICON STYLE
- ^ a b c Garratt, John (2010年7月29日). “The Stanley Clarke Band: The Stanley Clarke Band”. PopMatters. 2016年1月6日閲覧。
- ^ a b c d “スタンリー・クラーク&上原ひろみの共演が再び実現”. TOWER RECORDS (2010年6月2日). 2016年1月6日閲覧。
- ^ a b CD英文ブックレット内クレジット
- ^ a b 日本流通盤CD (UCCT-1221)ライナーノーツ(成田正、2010年5月)
- ^ Varty, Alexander (2010年6月23日). “Stanley Clarke pays tribute to pioneering fusion bands”. The Georgia Straight. Vancouver Free Press. 2016年1月6日閲覧。
- ^ “Stanley Clarke The Stanley Clarke Band Chart History - Jazz Albums”. Billboard. 2019年3月16日閲覧。
- ^ a b Hadley, Diane (2011年2月14日). “Grammy Winner Stanley Clarke Reflects On His Win And Two Nominations”. All About Jazz. 2016年1月6日閲覧。
- ^ “Billboard Japan Top Jazz Album Sales - Chart”. Billboard JAPAN. 阪神コンテンツリンク (2011年2月28日). 2016年1月6日閲覧。
- ^ Jurek, Thom. “The Stanley Clarke Band - Stanley Clarke, Stanley Clarke Band”. AllMusic. 2016年1月6日閲覧。