U-PRESS

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

U-PRESS (ゆーぷれす) とは共同通信社が独自に策定した文字コード文字符号化方式および文字セット)。Unicode2.1をベースに基本多言語面 (BMP) の私用領域新聞独特の外字を配置したもので、総収録文字数は15,269文字である[1]

概要[編集]

1990年代ワープロパソコンなどの情報機器用に「K-JIS」など新聞社用の独自文字コードが案出されたが、運用の不統一、啓蒙・周知が不十分であったことなどから広く普及はしなかった。そこで共同通信社ではUnicodeを16ビット固定長として(→UTF-16)その外字領域に新聞独自の外字を配置したものを規格化し、2002年より社内運用、2003年からは新聞各社への配信も同文字コードを運用して行っている。

各種文字コードとの対応[編集]

  1. JIS X 0201[2]…全文字を収録している。
  2. JIS X 0208[2]…全文字を収録している。ただし字体印刷標準字体に準じる。
  3. JIS X 0212[2]…全文字を収録している。
  4. JIS X 0213[2]…BMPに収録されているものはそのまま収録。それ以外のものは私用領域に収録。
  5. ラテ欄記号や縦書き専用文字、連数字などの独自文字を私用領域に収録している。符号化方式にはUTF-16が使われているため、BMPの範囲内においてはUnicodeと互換性がある。
  6. 上記にないUCSの一部非漢字[2]

U-PRESSは一般的に使われているIBM拡張文字、古い新聞社用文字コードのK-JIS、ラテ欄(特にBSデジタル)に使われているARIB外字などの一部の文字が含まれておらず[3]、イワタはU-PRESSにそれらとの互換性を持たせるめの独自の拡張文字セット(848文字)を規定している[3]

またAdobe-Japan1-6ではU-PRESSの独自文字が追加されているが、例えばモリサワのフォントではU-PRESSとAdobe-Japan1-6との間に字体の違いが存在する[4]

対応システム・フォント[編集]

入力用のIMEとしてジャストシステムよりATOKの「for U-PRESS」バージョンが開発・販売されている。

U-PRESS対応フォントには例えば以下が存在する:

  • イワタの各種新聞書体 (イワタ U-PRESS 拡張文字セット対応)[5]
  • モリサワの各種OTF Uprフォント[6]
  • SCREENのヒラギノフォントのUpr版[7]

問題点[編集]

JIS X 0213:2004制定前に策定されたあくまで私的な規格であり、サロゲートペア(代用対)に対応していないなどUnicodeとの互換性も不完全であるため、今後、既存コードとの衝突を起こす可能性も危惧される。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 株式会社イワタ 製品情報 - イワタU-PRESS
  2. ^ a b c d e 今さら聞けない文字コードのはなし p.45 イワタ 2019年11月19日
  3. ^ a b 拡張文字セット イワタ U-PRESS Ver.2.1 イワタ
  4. ^ U-PRESS に関して モリサワ
  5. ^ イワタ新聞書体について イワタ
  6. ^ OpenTypeにも種類があるのですか? - よくあるご質問 - サポート モリサワ
  7. ^ ユニバーサルデザインに対応したヒラギノフォントの新書体が販売開始 マイナビ 2012年11月6日