Turion 64

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Turion 64
Turion 64 (MT-34)
生産時期 2005年から2006年まで
生産者 AMD
CPU周波数 1.6 GHz から 2.4 GHz
HyperTransport帯域 1600 MT/s
プロセスルール 90 nm
マイクロアーキテクチャ K8マイクロアーキテクチャ
命令セット x86, AMD64
コア数 1
ソケット Socket 754
Socket S1
コードネーム Lancaster
Richmond
テンプレートを表示

Turion 64 (テュリオン シックスティフォー、またはツリオン ろくよん)は、AMDAMD-K8 アーキテクチャマイクロプロセッサ

AMDのノートパソコン向け製品群 AMD Turion 64 モバイル・テクノロジ (AMD Turion 64 MOBILE TECHNOLOGY) の中核となる製品である。

概要[編集]

AMD Turion64 (裏)

AMD Turion2005年に発表されたAMDのモバイルCPUのシリーズである。 Turionという名称は、「旅行」を意味する英単語 Tour に由来する造語である。ロゴマークにはオレンジ色の意匠があしらわれている。

Athlon64と同じAMD K8アーキテクチャの製品であり、モバイルAthlon 64の後継製品という位置づけがなされ、モバイルAthlon 64より消費電力が低く抑えられている。Athlon64シリーズおよびSempronシリーズと共通のSocket 754プラットフォームに対応する。

一部の大手メーカー製ノートPCで採用された。当時のモバイルCPUとしては珍しくリテールパッケージ販売がされた他、一部ではバルク品としても流通した。

AMDは2006年にTurion 64の後継製品としてSocket S1プラットフォームに対応するTurion 64 X2を発表し、Turion 64シリーズは終了した。

Turion 64 モバイル・テクノロジ[編集]

Turion 64 モバイル・テクノロジでは、Athlon 64 (Socket754) と基本的に同一のプラットフォームを利用する形態をとっており、専用CPU・専用チップセット・専用ネットワーク製品より構成されるプラットフォームとしたインテル Centrino モバイルテクノロジとは対照的である。Centrinoのロゴを使用するにはプラットフォームを構成する要件を満たす必要があるが、それによってインテルからPCベンダに対し資金的な供与が約束される。対しAMDではそのようなプログラムは行われておらず、資金供与は行われないもののCentrinoと比較すると多くの自由度がある。これはチップセットなどを基本的にサードパーティに依存していた当時のAMDの経営事情によるものでもある。

歴史[編集]

製品[編集]

ラインナップ
モデルナンバー クロック L2 キャッシュ TDP
ML-44 2.4 GHz 1 MB 35 W
ML-42 2.4 GHz 512 KB
ML-40 2.2 GHz 1 MB
ML-37 2.0 GHz 1 MB
ML-34 1.8 GHz 1 MB
ML-32 1.8 GHz 512 KB
ML-30 1.6 GHz 1 MB
ML-28 1.6 GHz 512 KB
MK-38 2.2 GHz 512 KB 31 W
MK-36 2.0 GHz 512 KB
MT-40 2.2 GHz 1 MB 25 W
MT-37 2.0 GHz 1 MB
MT-34 1.8 GHz 1 MB
MT-32 1.8 GHz 512 KB
MT-30 1.6 GHz 1 MB
MT-28 1.6 GHz 512 KB

モデルナンバー[編集]

Turion 64のモデルナンバーは、モバイル用途への適応度を示すアルファベット2文字と、処理性能の上下関係を示す2桁の数字からなる。Athlon 64のそれとは異なる方式で、どちらかと言えばOpteronやAthlon 64 FXのそれに近い。

Turion 64では熱設計電力 (TDP) によりモデルを分けており、35Wモデルを「ML」、25Wモデルを「MT」としている。Mの後ろに続く一文字のアルファベットが、そのモデルのモビリティ・レベル、すなわちノートパソコンなど携帯機器に搭載するにあたっての、適応性の度合いを表している。AからZまでのうち、Zに近付くほどモビリティ・レベルは高いものとされる。

Lancaster (90 nm SOI)[編集]

Lancaster(ランカスター)は、Turion 64第一世代製品の開発コードネーム。

90ナノメートル SOIプロセスで製造され、64ビット拡張技術 AMD64拡張ウィルス防止機能 (Enhanced Virus Protection) 、SIMD拡張命令 3DNow! プロフェッショナル・テクノロジおよびSSE2SSE3省電力機能 PowerNow! などをサポート。 対応ソケットはSocket 754で、800 MHz HyperTransportに対応。 メモリコントローラーを内蔵し、PC3200のDDR SDRAMにシングルチャネルでアクセスする。

Richmond (90 nm SOI)[編集]

  • リビジョン: F
  • L1 キャッシュ: 64 + 64 KiB (命令 + データ)
  • L2 キャッシュ: 512 KiB
  • MMX, Enhanced 3DNow!, SSE, SSE2, SSE3, AMD64, PowerNow!, NX Bit, AMD-V
  • HyperTransport: 800 MHz (1600 MT/s)
  • Socket S1
  • コア電圧: 1.00 V - 1.45 V
  • リリース: 2006年9月1日


外部リンク[編集]