SB-1 デファイアント

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本来の表記は「SB > 1 デファイアント」です。この記事に付けられた題名は技術的な制限または記事名の制約により不正確なものとなっています。

シコルスキー SB > 1 デファイアント

SB-1 デファイアント ( Defiant , 開発企業では"SB>1" と不等号数学記号にて表記される。 開発企業連合内部の製品名は『シコルスキー S-100 N100FV』) は、シコルスキー・エアクラフトボーイングアメリカ合衆国アメリカ陸軍の軍用ヘリコプターの数種類の系列を完全に新規開発する計画である統合多用途・将来型垂直離着陸機計画Joint Multi-Role / Future Vertical Lift , 略語:JMR / FVL)の要求に応えて開発中の二重反転式ローター(ABCローター、後述)を特徴とするターボシャフトエンジンであるライカミング T55を動力とする双発の複合ヘリコプターである。

2018年末の初飛行を予定していたが、複合材料で構成された回転翼の羽根をアメリカ陸軍の要求により、より歩留まりを改善した低費用積層のための自動積層形成法 〔Automated fiber placement (AFP), also known as advanced fiber placement 〕により製作することになり追加の作業が必要となったため、初の試験飛行は当初の予定より遅れ、[2] [3] フロリダ州ウエストパームビーチにて2019年3月21日(東部標準時[1]に初飛行となった。

開発[編集]

SB>1 デファイアント[4][5](シコルスキー社内製品記号: S-100 N100FV 、ハイフンを用いたより一般的な表記 "SB-1" として広く知られる)[6][7]は、 中型垂直離着陸・輸送機の機体規模の技術概念実証機(デモンストレーター)を共同開発の上で試作した。

「デファイアント」( Defiant ) は英語で「挑戦的な、反抗的な、傲慢 (ごうまん) な」[8]を意味する。

当初は2017年の初飛行が予定され、さらなる開発のために陸軍によって評価されることになっていた。[9][10] シコルスキー社は、回転翼航空機の試験機で同じく複合ヘリコプターである「シコルスキー X2」の設計によって技術的な経験を積んでおり、フェーズ1(第一段階)の開発に関して対抗する「ベル = ロッキード・マーティン」企業連合を引き離している。[11] ボーイングは戦闘任務システムの技術概念実証(デモンストレーション)段階である「 フェーズ 2 」をシコルスキー社に対して指導的立場で関わる予定である。

ボーイング = シコルスキー陣営は、ヘリコプター設計がこれまでに、軍において最も使用されてきているという事実と、過去から現在まで同形態機種の設計開発に成功してきたという絶対の自信により、ベル社が陸軍に提出したようなティルトローター技術にはほとんど関心を持たなかった。[12]

2013年までに、シコルスキー社とボーイング社は、試験機「シコルスキー X2」と 軽・武装偵察ヘリコプター 「シコルスキー S-97レイダー」の2機種に対して 約 2億 5,000万ドルを費やした。[7]

しかし同陣営チームの回転翼航空機は、「統合多用途・将来型垂直離着陸機計画」に関しては想定される任務が異なることから、あくまでも軽・武装偵察ヘリコプター である「S-97 レイダー」の設計とは別の機体になる予定である。[11] 同陣営は「SB > 1 デファイアント」( SB-1 Defiant ) の性能と信頼性に自信を持っており、総設計費用の半分以上を支払っている( 残りは米陸軍から応募企業への助成金で賄われた )。 同陣営のこれまでの最後の共同開発計画は、1980年代に始まり2004年に取り消されるまでに、総額 70億・米ドルの莫大な費用を費やした「RAH-66 コマンチ」( Comanche ) だった。

彼らは、予算削減、「要求の変化」( requirement creep )[13]、長引いた開発期間が偵察攻撃ヘリコプター「RAH-66 コマンチ」に問題を引き起こしたものの、企業チーム自体の機能不全は生じなかった。「RAH-66 コマンチ」計画各社はこの航空機の機体構成の各々の異なる部分を分担して製造した。統合多用途機 ( Joint Multi-Role , JMR )段階では、両社の従業員が協力し合った。チームは 2015年に「ザ・サプライヤー」(「基幹機体・納品企業連合」)として、自らの陣営を名付けた。[14] アメリカ東部時間の2019年4月17日、試験飛行の結果の成功の報告に基づきアメリカ陸軍航空技術審査部は、当初の予定通り従来型の「古い」ハネウェル・エアロスペースライカミング T55-GA-714A , ( ライカミング社内識別名称:「ライカミング LTC-4」)機体に取り付けることを認めた。


但し新規開発のエンジンを搭載しないとはいえ、T55には最新技術の成果を反映させる予定である。

「ターボシャフトエンジンの圧縮機区画に採用された新技術により、整備費用を削減し、航空機の即応性を向上させ、燃費を低下させることで有効荷重と飛行距離を延ばすことができます。」(“Our improvements come from new technology infused into the compressor section of the engine that will reduce maintenance costs, increase aircraft readiness and lower the fuel burn — all while increasing the aircraft's useful load and flight range.”)

ハネウェルエアロスペース軍用ターボシャフトエンジン社の上級生産管理者ジョン・ルッソ(John Russo, senior product director, Military Turboshaft Engines, Honeywell Aerospace)

[15]

特徴[編集]

二重反転式ローターは、高速化を実現するため「アドヴァンスト・ブレード・コンセプト・ローター[16](ABCローター)を採用している。(ヘリコプター#飛行速度の限界 も参照されたい。)

これはリジッドローター( 主回転翼の各々の羽根の迎角を羽根の前進翼状態から後退翼状態に掛けて周期的に変化させる蝶番〔ちょうつがい〕こと「フェザリング・ヒンジ」のみで構成され、他の関節部を持たない )を用いた二重反転式ローターのことで、上下に配置された各々の回転翼の前進側の羽根だけで全ての揚力を賄う〔 後退側は揚力を発生させないようにされ、利用しない 〕形式であり、後退側の逆流や失速による左右の揚力バランス喪失に対する解決策の1つとされている。

シコルスキー社はシコルスキー X2で収集されたデータを元に 武装偵察ヘリコプター計画英語版 Armed Aerial Scout (AAS) として重量が 5,00 t ( 11,000 lb ) 、回転翼の直径が 34 フィート (メートル法換算 約10.4 m )の規模のシコルスキー S-97レイダーを開発しており、これらの開発経過を踏まえてより大型化・大重量化した本機が開発された。

「SB >1 デファイアント」は 250 kn( 290 mph; 460 km / h )の巡航速度を持つが、費用低減のため[15]に「古い」ハネウェル・エアロスペースライカミング T55-GA-714A , ( ライカミング社内識別名称:「ライカミング LTC-4」)を使用した場合は、より少ない戦闘行動半径になる。

「ベル V-280 ヴェイラー」 ( ゼネラル・エレクトリック T64 を搭載 ) が試みている、米陸軍の「将来の手頃な価格のタービンエンジン」計画 (The Army's Future Affordable Turbine Engine (FATE) program ) からの資金提供を受けて新規にエンジンを開発した場合は、229 海里 (nmi)(264 マイル (mile) ; 424 km)の要求条件を満たす。[17] [6]

従来のヘリコプターと比較して、同軸二重反転の主回転翼 と 推進式プロペラは、185 km / h(115 mph)の速度増加、戦闘半径が 60%延長され、空中静止の性能に関して高温・高地の悪条件下においても、およそ 50% 優れた性能を発揮する。

対抗機種との比較[編集]

最高速度:300 kn (560 km/h)を発揮し、2017年12月に初飛行に成功している[18]アメリカ合衆国航空機メーカーベル・ヘリコプターロッキード・マーティンが開発中のティルトローターベル V-280(名称は英語で「武勇、剛勇、勇気」を意味する"Valor"(ヴェイラー、アメリカ英語式の発音では「バロー」)である[19])と比較して高速化された巡航速度(計算値)が約 250 kn (460 km/h)と幾分低速ではあるが、低速域内での機動性は対抗機種のティルトローター形式に較べて勝っているとされる。 このため、攻撃ヘリコプターに準じた派生型を開発するのに有利であり、SB-1 輸送型の護衛に性能差が僅少となる同機種の攻撃型を同行させることが可能でヘリボーン作戦の損害率の低減に役立つと開発企業側は説明している。

将来型・長距離攻撃航空機[編集]

シコルスキー = ボーイング側はまた、アメリカ陸軍が、2030年に初度作戦能力 ( Initial Operational Capability , IOC ) を予定することを求められる「将来型・長距離攻撃航空機 ( FLRAA (“Flora”と発音), the Future Long-Range Assault Aircraft ) の任務に関して、ティルトローター形式が、前方投影面積が翼端に回転翼を設置しなければならない同形式の必要性により横幅が大幅に増え、また機首の素早い回頭に難があり銃塔(ターレット)を必要とするなどの不利な欠点が存在し、SB>1 デファイアント の攻撃型はこれらの点でティルトローター機に勝り、また揚力に対し荷重を負担する円盤面積が比較的小さい複合ヘリコプターの特性により航続力を充分に確保可能であるとしている。[20]

仕様[編集]

名称[編集]

  • アメリカ陸軍提案記号:SB>1 デファイアント
  • 企業連合内の製品名:シコルスキー S-100 N100FV

諸元[編集]

性能[編集]

  • 超過禁止速度: km/h=M
  • 巡航速度:250 kn( 290 mph; 460 km / h )= M 0.37
  • 戦闘行動:229 海里 (nmi)(264 マイル (mile) ; 424 km)
  • フェリー航続距離:
  • 地面効果外のホバリング限界高度:8000フィート (メートル法換算 約2438.4m ) 〔 華氏95度/摂氏35度 にて 〕
  • 上昇率: m/s

武装[編集]

  • 固定武装:
  • 最大搭載量:

脚注・出典[編集]

  1. ^ a b Sikorsky-Boeing SB>1 DEFIANT™ Helicopter Achieves First FlightMarch February 22 2019閲覧。
  2. ^ a b HeliHub.com Changes for SB-1 Defiant Test Flight2018年11月16日閲覧。
  3. ^ Garrett Reim (2018年10月9日). “Despite delays, SB-1 Defiant on track for 2018 first flight”. Flightglobal. https://www.flightglobal.com/news/articles/despite-delays-sb-1-defiant-on-track-for-2018-first-452517/  2018年11月19日閲覧。
  4. ^ "Sikorsky, Boeing Selected to Build Technology Demonstrator for Future Vertical Lift SB>1 Defiant expected to fly in 2017". Sikorsky press release, 12 August 2014. 2017年1月31日閲覧。Archive2017年1月31日閲覧。
  5. ^ Parker, Andrew D. "Good things come in threes: Boeing-Sikorsky to develop two larger X2 offshoots for JMR and Future Vertical Lift" Vertical, 16 October 2014. 2017年1月31日閲覧。Archived on 16 July 2015.
  6. ^ a b Parsons, Dan (2014年10月14日). “Sikorsky, Boeing finalise design of SB-1 Defiant”. Flightglobal. Reed Business Information. 2014年10月18日閲覧。
  7. ^ a b "Sikorsky Moves X2 Technology Up A Size For JMR" Aviation Week & Space Technology, 4 November 2013. Accessed: 22 June 2014. Archived on 22 June 2014. 2017年1月31日閲覧。
  8. ^ Defiant の意味 - 英和辞典 Weblio辞書2017年2月5日閲覧。
  9. ^ Boeing and Sikorsky team up on US Army’s JMR - Flightglobal.com, 18 January 2013. 2017年1月31日閲覧。
  10. ^ Sikorsky, Boeing Partner for Joint Multi-Role Future Vertical Lift Requirements”. PR Newswire (2013年1月18日). 2017年1月31日閲覧。[リンク切れ]
  11. ^ a b Boeing and Sikorsky Name New Rotorcraft - Aviationweek.com, 21 October 2013. 2017年1月31日閲覧。
  12. ^ Boeing-Sikorsky Team Emerges as Frontrunner After EADS Quits Army Helo Competition - Nationaldefensemagazine.org, 14 June 2013. 2017年1月31日閲覧。
  13. ^ システムや製品の開発過程において、当初予定したものから要求事項や機能が相違してきてしまい、品質や工程に影響を与えること。requirement creepの意味 - 英和辞典 Weblio辞書 2017年1月31日閲覧。
  14. ^ Drwiega, Andrew. "Sikorsky-Boeing Announces JMR Defiant Team" MilTechMag, 9 April 2015.2017年1月31日閲覧。
  15. ^ a b U.S. Army Future Vertical Lift SB>1 Defiant will be powered by updated Honeywell T55 - Intelligent Aerospace,17 April 20192019年4月17日閲覧。
  16. ^ : advanced blade concept rotor
  17. ^ “Joint Multi-Role (JMR): The Technology Demonstrator Phase Contenders”, Defense media network, (8 October 2013), http://www.defensemedianetwork.com/stories/joint-multi-role-jmr-the-technology-demonstrator-phase-contenders/ .2017年1月31日閲覧。
  18. ^ The V-22 Osprey-Inspired Aircraft Takes Off for the First Time
  19. ^ valorの意味 - 英和辞典 Weblio辞書2017年2月5日閲覧。
  20. ^ Army Can Revolutionize Aviation Without Busting Budget, Leaders Say « Breaking Defense - Defense industry news, analysis and commentary2018年11月16日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク・参照資料[編集]

2018年11月22日閲覧。 〔ボーイング社の公式ウェブページ『統合多用途・将来型垂直離着陸機計画』への参加状況の紹介。〕