Sゲージ

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Sゲージ(エスゲージ)は、鉄道模型縮尺軌間に基づく規格を示す呼称のひとつ。縮尺のみに着目する場合はSスケール(エススケール)とも呼ばれる。

概要[編集]

縮尺1/64・軌間22.4 - 22.5mmである。「S」は3/16 (Three Sixteenth) インチスケール、7/8 (Seven Eighth) インチゲージ、1/64 (One Sixtyfourth) の3つの頭文字から来ている。特にアメリカにおいて縮尺1/64のみを指してSスケールと呼称されることが多い。

1940年代アメリカではH-Iゲージとも呼ばれた。H-Iは1番ゲージ(Iゲージ)の半分という意味であった。1番ゲージは軌間45mmであったため、H-Iゲージはその半分である22.5mmという軌間になったが、後にNMRA規格では標準軌(1435mm)を正確に1/64に縮小した22.42mmとされた。ヨーロッパのMOROPによるNEM規格では22.5mmとなっている。

アメリカでは今なお根強い人気があり、アメリカンフライヤーなどのティンプレート製品だけでなくブラスモデルなどのスケールモデルも愛好者向けに供給されている。アメリカンフライヤーのティンプレート製品は、当初より二線式で販売されている。アメリカではスケールモデルのSスケールの細密レイアウトも時々雑誌で紹介されており、専業メーカーも存在する。

イギリスのSスケールの愛好者団体[1]1946年の設立で、Sゲージの愛好者団体の中では最も古い歴史を持つ。

歴史[編集]

最も初期の縮尺1/64の鉄道模型は1896年にイギリスの14歳の少年によって造られたMidland Railway 4-2-2である[2]。最初の動く模型は20世紀初頭にイングランドで製作された。イギリスでは1910年代以降に愛好者により多く製作されたが、手軽に遊べるOOゲージなどが普及すると、その影に隠れてしまった。現在ではもっぱらキットまたはパーツのみが発売されている。

アメリカでは1937年に最初の製品がCleveland Model & Supply Company (CD Models) から発売された。1939年にはアメリカンフライヤーから発売された。それらの製品は三線式であった。1946年、アメリカンフライヤーはより実物に近づける為に二線式を導入した[3]。Sゲージは多くの人に受け入れられ最盛期を迎えた (現在では当時よりも多く入手できる) が、1959年ごろには終息した。アメリカンフライヤーはその後1967年にライオネルに売却され、一旦は撤退をしたものの、1979年より再びSゲージに参入した。1981年からはAmerican Modelsが、1989年からはS-Helper Serviceが参入した。これら以外にもストラクチャーやパーツを供給するメーカーが数多く存在する。

西ドイツではニュルンベルクBubが第二次世界大戦後にSゲージに参入したが、売り上げが伸びず、すぐに撤退している。1956年からは東ドイツテューリンゲン州スタットイルムの国営金属工場でSゲージが製造されたが1964年に撤退した。

日本では1947年頃、大阪の朝日屋が縮尺1/50で軌間22.5mmという製品を発売したが普及には至らなかった。これはSゲージではなく、HIゲージと呼ばれていた。一方、東京では縮尺1/65、軌間22mmを企画する人たちがいた。しかし、1949年には雑誌への広告もなくなり、事実上消滅した。後年、模型とラジオ誌にライブスチームの製作記事が掲載されたことがある。

規格[編集]

  • 縮尺は1/64である。軌間は国や地域、愛好者団体によって細かい規格・規定が異なる。
  • 日本ニュージーランドなどでは縮尺1/64でケープゲージ (1067mm) を再現するために軌間16.5mmとするSn3 1/2(もしくはSm)の製品が存在する。
  • アメリカのNMRA規格で2フィートゲージ (610mm) は軌間9.6mmとなっているが、実際は9mm(Siと同じ)または10.5mmが使用される。
  • 接尾辞のnはNarrow、mはMeter、eはEnge、iはIndustrialの略とされる。
アメリカ
(備考に「NMRA」とあるものはNMRA S-1.2 規格[4])
呼称 軌間 換算軌間 実軌間 備考
S 22.42mm 1435mm相当 1435mm 標準軌 (NMRA)
Sn3 1/2 16.5mm 1056mm相当 1067mm 3フィート半(ケープ)ゲージ
Sn3 14.3mm 915mm相当 914mm 3フィートゲージ (NMRA)
Sn2 1/2 12mm 768mm相当 762mm 2フィート半ゲージ
Sn2 9.6mm 614mm相当 610mm 2フィートゲージ
ヨーロッパ NEM010 規格[5]
呼称 軌間 換算軌間 実軌間 備考
S 22.5mm 1440mm相当 1250 - 1700mm 標準軌など
Sm 16.5mm 1056mm相当 850 - 1250mm メーターゲージなど
Se 12mm 915mm相当 650 - 850mm 軽便鉄道など
Si 9mm 576mm相当 400 - 650mm 鉱山鉄道など

主なメーカー・ブランド[編集]

アメリカ
イギリス
  • Worsley Works

脚注[編集]

関連項目[編集]