NomadFactory

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ノーマッドファクトリー
Nomad Factory
本社所在地 カナダの旗 カナダ
H4A
カナダ ケベック州 モントリオール
北緯45度28分35.4秒 西経73度37分20.7秒 / 北緯45.476500度 西経73.622417度 / 45.476500; -73.622417座標: 北緯45度28分35.4秒 西経73度37分20.7秒 / 北緯45.476500度 西経73.622417度 / 45.476500; -73.622417
設立 2002年
業種 ソフトウェア
事業内容 音楽処理ソフトウェアの開発・制作
代表者 Eric Nolot(CEO)
関係する人物 ベルナール・トレリ英語: Bernard Torelliエリック・パーシング英語: Eric PersingEric NolotMaxenceGrandidier
外部リンク http://nomadfactory.com/
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Nomad Factory (ノーマッド ファクトリー)は、デジタル音声処理に、60年代、70年代のアナログ音響機器のフレーバーを加えることを目指して、2001年にフランスのギタリスト作曲家レコーディング・エンジニアプロデューサーのBernie Torelliこと、ベルナール・トレリ英語: Bernard Torelliが開発を開始、2002年にインターネットでプラグインを販売するためにカナダモントリオールに設立した会社である[1]

概要[編集]

Nomad Factoryは、2001年、創業者のベルナール・トレリ英語: Bernard Torelliが働くアメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴTrack Star Studiosにおいて、自身が使用する目的で個人的に開発を行なっていた現在のBlue Tubes Bundleのベータ版とも言えるソフトウェアから始まった。
スタジオ利用者がそのサウンドを高く評価し、ベルナール・トレリ英語: Bernard Torelliは入手方法を何度も尋ねられた事から、2002年にインターネットによる販売を開始、その後ベルナール・トレリ英語: Bernard Torelliはエンジニアを続けながら各種DAWで動作するプラグインソフトウェアを主に開発していた。
また、Spectrasonics社のソフトウェアインストゥルメント内のエフェクター部分の開発も担い、そのアルゴリズムやコードは現行製品でも利用されている。
日本においては日本法人のMedia Integration, Inc.(メディア インテグレーション)が販売や登録、サポートなどの業務を行っている[2]
2016年1月18日ベルナール・トレリ英語: Bernard Torelliが悪性腫瘍が原因で逝去[3]。ソフトウエアの開発を、バーニーの大学院助手であるMaxenceGrandidierが、販売をPlugiveryDistribution社が引き継いだ[4]

プラグイン使用時のレイテンシ[編集]

DAW等で使用するプラグインエフェクターの多くは音声を処理する際にレイテンシが発生する。
しかし、NomadFactoryのプラグインエフェクターはごく一部を除きレイテンシなく処理を実行できる。
これは、録音時のプラグインの掛け録りや録音時のモニター音声の処理、ライブ演奏の処理など、そのメリットを享受できる使用用途が広い事も意味する。 2022年現在、レイテンシが発生するプラグインとその遅延時間[5]は以下の通りである。

AMT Multi-Max[編集]

Magnetic 1 及び、2[編集]

Drum Tools[編集]

内部処理の解像度[編集]

第一世代[編集]

Retrology E-Tone Bundle、及び、Integral Studio Pack IIIに含まれる製品。
Rock Amp Legendsを除いて32bit 44.1kHz〜96kHz
Rock Amp Legendsは32bit 44.1kHz、もしくは、48kHz

第二世代[編集]

Analog Studio Rack、Bus Driver、Drum Tools、Garbage LSDの4製品は、
64bit 44.1kHz〜96kHz

第三世代[編集]

80's Spaces、BBE製品は、
64bit 44.1kHz〜192kHz

今後のアップデートに関して[編集]

Nomad Factory(Plugivery)は2019年9月13日2020年第一四半期に大規模アップデートが行われ、最新のプラットフォームへの対応と現行ユーザーへの無償アップデート、及び新製品のリリースがあることを発表した。[6]しかしCovid-19パンデミックなど様々な影響を受け、開発は遅延し、2022年6月現在、大規模アップデートは行われていない。この件に関し、Plugivery、及び、Don't Crac[k]のCEOのEric Nolotが、Don't Crac[k]のメーリングリストにて、開発が継続されていること、2022年1月10日に一部インストーラーとAuthorizerを更新し、現行製品で発生していたインストール、及びActivationの不具合を解決した旨を公表した。[7]この時点で正式に対応が発表されたOSはWindows 11、及び、macOS Montereyである。しかし、VSTの対応バージョンは2、mac版はRosetta経由での対応の為、ユーザーからは、VST3、及び、Apple Siliconへのネイティブ対応を求める声が多い。また、BBESonic SweetV4以降ととStomp Boardは、BBE Sound Inc. Audio Plug-insのwebページが新たに開設され、Plugivery社が引き続きサポートを行う旨が発表されえた。[8]しかし、日本国内代理店のメディアインテグレーションではBBE SONIC SWEET–OPTIMIZED–(V3に相当)と、Stomp Boardの前身にあたるStomp Wareの記載しかなく、最新バージョンの国内取り扱いに関しては2022年時点では不明である。[9]2022年8月30日、80's Spacesが80's SpacesV2としてNomadFactory初のVST3、及び、Apple Siliconへのネイティブ対応製品としてリリースされた。2022年10月27日、パブリックベータテストを開始した。[10]

ソフトウェア エフェクター[編集]

バンドル製品[編集]

Integral Studio Pack III[編集]

一部を除くNomadFactory製のプラグインのほとんどが収録された同社最大のバンドル製品プラグイン総数は51種に及ぶ。

収録プラグイン、及びバンドル[編集]
  • Analog Mastering Tools(バンドル製品)
  • Analog Signature Pack(バンドル製品)
  • Blue Tubes Bundle V3(バンドル製品)
  • BlueVerb DRV-2080(単体製品)
  • British Bundle(バンドル製品)
  • COSMOS(単体製品)
  • ECHOES(単体製品)
  • Essential Studio Suite(バンドル製品)
  • Liquid Bundle II(バンドル製品)
  • MAGNETIC ll(バンドル製品)
  • Motown Music & Film(バンドル製品)
  • PULSE-TEC EQs(単体製品)
  • Rock Amp Legends(単体製品)

Analog Mastering Tools[編集]

真空管のフレーバーを加味したマスタリング用エフェクトバンドル

収録プラグイン[編集]
  • A.M.T. Amp Leveling
  • A.M.T. Max Warm
  • A.M.T. Multi Max

Analog Signature Pack[編集]

多くの音楽スタジオで愛用されたアナログコンソールやエフェクターに着想を得たエフェクトバンドル

収録プラグイン[編集]
  • Program Equalizer EQP-4
  • Dual Limiting Amplifier LM-662
  • Studio Channel SC-226

Blue Tubes Bundle V3[編集]

BernieTorelliが最初に手掛けた12AX7真空管の特性をモデリングして設計されたエフェクトバンドル3種とチャンネルストリッププラグインを統合したバンドル。

収録プラグイン、及びバンドル[編集]
  • Blue Tubes Dynamics Pack(バンドル製品)
  • Blue Tubes Effects Pack(バンドル製品)
  • Blue Tubes Equalizers Pack(バンドル製品)
  • Blue Tubes Analog TrackBox(単体製品)

Blue Tubes Dynamics Pack[編集]

BernieTorelliが最初に手掛けた12AX7真空管の特性をモデリングして設計されたダイナミクス系エフェクトバンドル。

収録プラグイン[編集]
  • Blue Tubes BrickWall BW2S
  • Blue Tubes Compressor CP2S
  • Blue Tubes Deesser DS-2S
  • Blue Tubes Gate Expander GX622
  • Blue Tubes Limiter FA770
  • Blue Tubes Limiter LM2S

Blue Tubes Effects Pack[編集]

BernieTorelliが最初に手掛けた12AX7真空管の特性をモデリングして設計されたアンプ、ディレイ、モジュレーション系エフェクトバンドル。

収録プラグイン[編集]
  • Blue Tubes Analog Chorus CH2S
  • Blue Tubes Analog Phaser APH2S
  • Blue Tubes Oilcan Echo TLE2S
  • Blue Tubes Stereo Imager ST2S
  • Blue Tubes Tempo Delay 3D
  • Blue Tubes Valve Driver ADR2S

Blue Tubes Equalizers Pack[編集]

BernieTorelliが最初に手掛けた12AX7真空管の特性をモデリングして設計されたイコライザー系エフェクトバンドル。

収録プラグイン[編集]
  • Blue Tubes Equalizer BQ2S
  • Blue Tubes Equalizer BX2S
  • Blue Tubes Equalizer GEQ12
  • Blue Tubes Equalizer PEQ2B
  • Blue Tubes Equalizer PEQ322
  • Blue Tubes Equalizer PEQ5B

British Bundle[編集]

音楽スタジオで人気のあった英国製ミキシングコンソールのイコライザー、バスコンプレッサーに着想を得たプラグイン。

収録プラグイン[編集]
  • British MCL-2269
  • British NEQ-1972

Essential Studio Suite[編集]

音楽制作で必要な音声処理を幅広く、軽量、シンプルなUIで提供するために開発されたプラグインバンドル。

収録プラグイン[編集]
  • E-3B Compressor
  • E-3B Maximiser
  • E-Channel
  • E-Compressor
  • E-Gate Expander
  • E-Graphic EQ
  • E-Maximizer
  • E-RetroVox
  • E-TubeTape Warmer

Liquid Bundle II[編集]

音楽制作で基本となるエフェクトを解りやすい独自のUIとパラメーターで音作りに集中できる利便性に焦点を置いたプラグインバンドル。

収録プラグイン[編集]
  • Liquid Compressor II
  • Liquid Delays II
  • Liquid Gate II
  • Liquid Mod II
  • Liquid Phase II
  • Liquid Verb II

Magnetics Bundle II[編集]

Nomad Factory独自の技術、発想でサウンドの質感や空気感を操作するためのプラグインバンドル。

収録プラグイン[編集]
  • COSMOS
  • ECHOES
  • MAGNETIC II

Motown Music & Film[編集]

1960年代~1970年代のモータウンレコーズの最初の本社兼レコーディングスタジオであるヒッツヴィルUSAのエンジニアMike McLeanが制作したイコライザーに着想を得た周波数ポイントの違う固定7バンドのイコライザーのバンドル。

収録プラグイン[編集]
  • Retro Music-Tone
  • Retro Film-Tone

Retrology E-Tone[編集]

英国製のマスタリングコンソールに着想を得て作成されたプラグイン2種をまとめたバンドル製品。
後にBritish BundleのBritish NEQ-1972に統合される形でディスコンとなった。
NomadFactory製品で唯一ディスコンとなった製品ではあるものの、NEQ-1972で概ね同じ音作りが可能である。

収録プラグイン[編集]
  • Retro E3-Filter
  • Retro E4-Tone

単体製品[編集]

80's Spaces[編集]

Nomad FactoryとMoReVoXのコラボレーションで制作されたリバーブプラグイン。
80年代に人気のあった、YAMAHA SPX90II、AMS RMX16、Eventide H3000、Lexicon200,224,480L,PCM60もしくはPCM70のインパルスレスポンスが使用されている。

Analog Studio Rack[編集]

API500モジュールから着想を得たイコライザー、コンプレッサー、ゲート、エキサイター、真空管プリアンプなどのモジュールを自由に組み合わせてチャンネルストリップを構築できるプラグインエフェクト。
メインモジュールは単体のプラグインとしても起動が可能。

収録モジュール[編集]
  • Pre Amp(NomadFactoryオリジナル)
  • Gate Expander(SSLスタイル)
  • Comp Limitter(SSLスタイル)
  • Exiter(BBEスタイル)
  • State EQ(SSLスタイル)
  • PulseEQ(Pultecスタイル)
  • Bus Comp(SSLスタイル)

ALL-TECH 9063B EQ[編集]

ALTEC 9063Bプログラム・イコライザーに着想を得て制作されたプラグインエフェクト。

Blue Tubes Analog TrackBox[編集]

他のBlue Tubesシリーズ同様、NomadFactory独自の12AX7真空管モデリング技術を利用して設計されたチャンネルストリッププラグイン。
インプット、アウトプットゲイン、真空管サチュレーター、ゲート、コンプレッサー、4バンドイコライザー、ハイパス、ローパスフィルター、リミッターが一つのプラグインで利用できる。


Blue Verb Analog TrackBox[編集]

Lexicon 480LのAmbianceパッチに着想を得て制作されたプラグインエフェクト。

Bus Driver[編集]

60年代に音楽スタジオなどに広く使用されていた光学式のコンプレッサーの特性に、独自の真空管モデリングを組み合わせたプラグインエフェクト。
UIに MODEL 1176 LA2 と在るが光学式でアタック、リリース固定のLA2Aとスレッショルド固定でレシオがボタン選択式の1176の操作体系から着想を得たと思われる。

Drum Tools[編集]

ドラム、パーカッションなどの打楽器やアタックの強い楽器の音作りに特化したプラグインエフェクト。
キック、スネア、タム、ハイハット、オーバーヘッド、ドラムセット全体など、あらかじめ特化したプリセットが用意されていて、迅速に音作りができるように設計されている。

Garbage LSD[編集]

6種類のモードをもったフィルター、ディストーション、ビットクラッシャー、サンプルレートリデューサー、ノイズジェネレーター、リングモジュレーション、アンプモジュレーション、コンボリューションリバーブ、スペクトラル・ロスEQ、コンプレッサーなどの複数のエフェクトを組み合わせ、変調して複雑なサウンドを作り出すマルチエフェクター。

MAGAMA[編集]

65種類の様々なエフェクトを4つずつ、4パートの計16個同時に使用することが可能なマルチエフェクター。
また、各パートを直列、並列に組み合わせて複雑なシグナルチェーンを作れることと、MAGMA内で他社製のVSTエフェクトを使用することができる為、プラグインフォーマットのラッパーとしても利用できる。

PULSE-TEC EQ[編集]

Pultec EQP-1A、MEQ-5に着想を得て制作されたイコライザに、NomadFactory独自のソフトニーリミッター、+-18dBの調整が可能なインプットアウトプットセクションを備えたプリアンプPRE-2Sを組み合わせたプラグインエフェクト。

Rock Amp Legends[編集]

NomadFactoryとJimmy Crespoの共同開発で制作されたギターアンプシミュレーター。
英国や米国のめ名機と呼ばれるギターアンプのインパルスレスポンスを使用して、アンプサウンドを再現している。

OEM製品[編集]

Spectrasonicsソフトウェアシンセサイザーエフェクター部分の開発を担当。
Don't Crac[k](後のPlug&Mix)のソフトウェアエフェクターフレームワークの開発を担当。
Plug&MixソフトウェアエフェクターPro Seriesの開発。

脚注[編集]

外部リンク[編集]