C-X (輸送機)

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XC-2(C-X)

Xc-2 20110520.jpg

C-X (Cargo aircraft-X) は、防衛省航空自衛隊における「次期輸送機」の一般名称である。本稿では主に第二次C-Xについて述べる。第一次C-Xは C-1 (輸送機) を参照のこと。

概要[編集]

  • 第一次C-XはC-46輸送機の後継として1960年代に計画されたもので、防衛庁(当時)技術研究本部日本航空機メーカー川崎重工業が開発・製造したターボファンエンジン双発の中型戦術輸送機。C-1として正式採用された。
  • 第二次C-XはC-1の後継として2000年平成12年)に計画され、2014年度末(平成26年度)に美保基地に配備する予定であったが、機体の強度不足の影響などで、配備は2016年前後に延長された[1]。防衛省技術研究本部と川崎重工業によって開発が進められている、ターボファンエンジン双発の大型戦術輸送機である。2010年(平成22)1月26日に初飛行した。初飛行に際して、試作機にXC-2の型式名称が与えられた。試験の進捗により蓄積されたデータ等を踏まえ、強度の再計算を行って構造上補強を要する部位が複数確認されている。

導入経緯[編集]

開発までの推移[編集]

置換え対象のC-1輸送機。当初仕様のままの航続距離が要件の変化に対応できなくなった。
現行の主力C-130H

防衛庁(現防衛省)では、国産のC-1(25機)と輸入したC-130H(16機)を戦術輸送機としているが、C-1が耐用飛行時間を迎えるため、後継が検討された。日本国内の航空産業の技術育成の観点から、2000年平成12)末に中型戦術輸送機の国産化を決定、MPA/P-X(P-1固定翼哨戒機)と同時に開発し、一部部品や治工具の共用によって両機種あわせた開発費を抑えることとされ、その額は両機合わせて3,400億円と見込まれた。

平成13年度予算の要求53億円は満額が認められ、2001年(平成13)初めよりエンジンの選定を開始、また防衛庁技術研究本部(技本)によって研究が行われた。5月25日に航空メーカーを選定する旨を官報にて告示、30日まで希望メーカーを募集した。応募した8社を招いて31日に説明会が開催され、7月31日午後5時を期限として、仕様の提出を行わせたが、1社は希望を撤回した。

主契約では川崎がP-X・C-Xの両機製作を希望、富士重工業が両機製作の新会社設立を提案、三菱重工業はどちらか一方(C-Xを希望)とした。分担生産では、川崎が主翼水平尾翼、富士が主翼・水平尾翼・垂直尾翼・翼胴フェアリング・C-Xのバルジ、三菱が中胴・後胴・垂直尾翼、さらに新明和工業日本飛行機昭和飛行機ジャムコが各部品を希望、計7社が参加を表明した。11月26日に防衛庁は主契約企業に川崎を選定したと発表、「次期輸送機及び次期固定翼哨戒機(その1)」(以下C-X/P-X)契約が締結され、三菱・富士を筆頭に各社が分担生産することとなった。平成14年(2002年)度予算の要求410億円が承認され、開発が開始された。

なお、このとき一部で国産旅客機YSX」と共通化させると報じられたが、2001年末に防衛庁と川崎は共同で否定している。しかし、自社で計画中の125席クラスジェット旅客機(2007年に実現を最終決定)では、P-Xの主翼技術を利用するとしている。また、日本航空機開発協会(JADC)では、平成14年(2002年)度よりP-XおよびC-Xを民間旅客機(100席〜150席クラス)へ転用するための開発調査を行っている。

機体開発[編集]

開発計画は、設計が平成13年度〜16年度、試作が平成15年度〜21年度、試験が平成18年度〜23年度(2012年3月まで)、契約は毎年度ごとに「その1」から「その7」まで7段階、総開発費は若干増額されて3,450億円とした。三菱が中胴と後胴、富士重工が主翼と垂直尾翼の開発・分担製造を担当している。中型機2機の同時開発と部品共通化は世界的にも珍しい。

2001年(平成13)度に防衛庁と川崎は「P-X/C-X(その1)」契約を締結し、川崎は社内に大型機設計チーム・MCET(MPA and C-X Engineeiring Team)を設置、三菱・富士・日本飛行機などの出向を含め約650名によって設計作業を開始した。基本図は技本による技術審査にまわされ、2003年(平成15)6月12日に「妥当」と判断された。これにより、三面図と性能諸元が想定できるエンジンの範囲内で確定した。翌日からは細部設計に段階に移行し、製造図を2004年(平成16)に完成させた。また、6月には岐阜県岐阜工場に自社最大規模のハンガーが竣工、C-Xの製造をここで行い、将来の旅客機製造も視野に入れている。12月2日に岐阜工場内でP-X/C-Xの実大模型を公開した[2]

地上試験用の2機(#01・#02号機)と飛行試験機2機(1・2号機)をまず製作、2003年(平成15)度の「C-X/P-X(その3)」により、静強度試験用機体(#01号機)の建造が開始された。2005年(平成17)には富士重工から#01号機用の主翼が納入、川崎で組み立てられた#01号機は2006年(平成18)3月15日に防衛庁に引き渡された[3]。#01号機は空自岐阜基地の第2補給処内に新設された強度試験場で再組み立ての後、耐久試験が行われていた。この静強度試験において、防衛省は2007年(平成19)7月30日に、C-Xの水平尾翼の変形、主脚及びその付近の胴体構造の一部に変形及び接触、胴体の床構造の一部にひび・変形といった不都合事象が複数発生したと公表した[4]。このため、各部の改設計が行われることとなったが、三菱が担当した中部胴体の改善に予想外の時間がかかったことから、その後の計画に遅れが生じた。[5]

2004年(平成16)度契約の「C-X/P-X(その4)」により、飛行試験機1号機(機体番号:08-1201)の建造が開始され、2007年(平成19)3月6日にロールアウト、地上での整備と試験を経て、同年夏に初飛行予定であった。しかし直前の2月に、輸入した米国製のリベット(長さ13.5mm)に強度不足が判明し、使用箇所の確認(数千箇所)と交換、再検査をする必要があるためロールアウトは延期された[6]。。 防衛省航空機課が6月7日に発表した調査結果によれば、交換が必要なリベット数は3663点に上り、ほとんどのリベットは川崎によって交換され、369カ所の交換不能な不適合リベットについては、周囲のリベットをより強度の大きいファスナー類に交換することで処置。別の手段を用いた補強が37カ所、あて板を用いた補強個所が2カ所で、航空機課ではこの改善処置により、機体強度の問題点は解消されたとしている[7]

2007年(平成19)7月4日にロールアウト(完成披露式典)が行われたが[8]、静的強度試験機の不都合発生により、一日の作業量を増やすなどして9月中に繰り下げて行う予定だった初飛行は、早くて12月とされたが、年内の飛行は達成できなかった。また2008年(平成20)3月31日に防衛省へ納入される予定であったが、不具合箇所が広範囲に及ぶため、初飛行は早くて同年夏以降とされた。C-X量産機の調達開始は2008年度予算では見送られ、事前に1年繰り下げたため(後述)、スケジュールには余裕があるが、防衛省では川崎に対し違約金の請求を検討するとしている。開発の遅れにより、2009年(平成21)度予算での調達も見送られた。

防衛省への納入後は、空自による飛行試験は岐阜基地の飛行開発実験団にて行われる。

2005年(平成17)度契約の「C-X/P-X(その5)」により、疲労強度試験機(#02号機)の建造が開始された。2006年(平成18)度契約の「C-X/P-X(その6)」では飛行試験機2号機が建造される他、空中受油機能と暗視装置対応機器が新たに追加される。2007年(平成19)度の「C-X/P-X(その7)」が最終契約となり、一連の開発は冒頭の通り、2012年(平成24)3月の完了を予定していたが、試験の進捗により蓄積されたデータ等を踏まえて強度の再計算を行い構造上補強を要する部位が複数確認された。これを受けて所要の措置を施すために開発期間を1年間延長し平成26年度までとすることが決まった。

2014年1月7日、岐阜基地で機体の強度を確認する地上試験中に貨物扉が脱落する不具合が発生。機内の圧力を、通常の運用で想定される上限よりも1.5倍にまで高めようとしたところ、1.2倍に加圧した段階で機体後部の貨物扉が破損し、一部が脱落したという[9]

2014年7月4日、防衛省は加圧試験中に扉が外れた原因について、試験機後部のフレーム強度が不足していた事を発表。再度試験のため平成26年度末に予定していた部隊配備を2年間延期する事を発表した。再試験には400億円の追加予算が必要であるという[10]

設計に参加した延べ人数は、国内航空技術者の3分の1にあたる1,800人に上った。また、ロールアウト時点での開発総額は約3,500億円とされる。

試作初号機の初飛行は2010年1月26日に行われ、3月30日に防衛省へ納入された。

調達と配備[編集]

当初は2011年(平成23)度以降にC-1の減数が始まることに合わせ、中期防衛力整備計画(平成17年度〜21年度対象)で、4機のKC-767J空中給油・輸送機)と共に、8機程度が調達される予定で、量産1号機(通算3号機)を2008年(平成20)度予算で計上する予定であった。しかし次期戦闘機の選定が先送りとなり、当初より多くのF-15J近代化改修ための予算を確保する必要が生じたため、C-Xの予算要求は1年見送られ、さらに開発の遅延により、2009年(平成21)度と2010年(平成22)度予算での調達も見送られた。

2010年12月に、中期防衛力整備計画(平成23年度〜27年度対象)で10機が整備される予定であることが発表され、同月の2011年(平成23)度防衛予算政府案決定概要において初めて2機の予算が計上され、2013年(平成25)度以降に配備されることになった。調達総数はC-1を完全に置き換えるためC-130Hとの兼ね合いもあるが、20数機から40機となる見通しで、国際平和協力業務や国際緊急援助活動にも運用される。

航空幕僚監部では、電子情報収集(ELINT)機として使用している4機のYS-11EBの後継として、改造機を4機程度購入することも検討している(#発展を参照)。C-1をベースにした電子戦訓練支援機EC-1も、XC-2派生型で置き換えることが検討されているが、はっきりとしていない。C-1試作1号機である試験機C-1FTBについては、2012年12月現在は後継機の計画が無い。XC-2とKC-767Jの導入により、C-130Hの一部は余剰となり空中給油機能を付与される予定だが、更新時期の来る非改修のC-130HをXC-2で置き換えるかは、機種の統一が戦略に与える影響を考慮して検討される。

調達数[編集]

C-Xの調達数
予算計上年度 調達数
平成23年度(2011年) 2機
平成23年度(2011年)補正 2機
平成24年度(2012年) 2機
平成25年度(2013年) 0機
平成26年度(2014年) 2機
合計 8機

機体[編集]

概要[編集]

Kawasaki XC-2.jpg

XC-2は戦後日本が自主開発する機体としては過去最大のサイズとなる。機体はターボファンエンジン双発、主翼は高翼配置、尾翼はT字タイプ、胴体後部に貨物出し入れ口を設け、主脚は胴体下部にバルジ(膨らみ)を設けて収納する等、現行のC-1と同様の形式であるが、サイズ・性能共にC-1を凌駕しており、C-1と比較し全長は1.51倍、全幅は1.45倍、全高は1.42倍、空虚重量は2.5倍、最大積載量は3.75倍、最大速度は1.2倍、エンジン合計推力は約4.24倍となっている。また航続距離は、C-1が有効積載量2.6t搭載時に約1700km、C-130Hは5t搭載時に約4,000kmなのに対し、XC-2は12t搭載時に約6,500kmである。[11]

XC-2開発での基本的なコンセプトは、大搭載量・長距離航続・高速巡航である。C-1での航続距離不足は輸送任務において足かせになっており、C-130Hと共に搭載量も大きくはない。また、旅客機は早くから高速化に取り組んできたため、民間航空路は「高速路線」と化しているが、戦術輸送機は人員や荷物の空中投下が容易なように高翼配置が多く旅客機に多い低翼配置に比べて、貨物室をできるだけ広く取るため胴体側面及び底面の補強のための張り出しなどが空気抵抗となり、高速化には不利である。[12]

また、車両などの大型貨物を搭載する為に断面積が旅客機より大きく、広い機内スペースを確保する為にバルジを設けて主脚を収納するために歪になった機体形状によっても空気抵抗が増える。これらにより、高速巡航には向かなくなりがちである。XC-2はこれらの課題を考慮し、機体は空気抵抗を抑えた形状として、主翼は高速巡航に最適化し、エンジンはボーイングエアバス製の旅客機にも使われている大推力エンジンを採用した。上記の通り機体サイズ・最大積載量・航続距離のいずれの点においてもC-1、更にC-130Hを大きく上回り、現在国際共同開発中のエアバス A400Mに匹敵するが、ターボプロップエンジン推進のA400M、あるいは他のジェット輸送機に比べて巡航速度が速く、民間の旅客機並みの高亜音速で、民間の旅客機と同じ高度や航路を活用して目的地への迅速な輸送が可能となる。またC-1等より大型の機体であるが、スラストリバーサー搭載型大推力エンジンの搭載等によりC-1並みの短距離離着陸(STOL) 性能を維持しており、滑走路の短い地方空港への輸送にも運用できる。

機首・コックピット部

機体形状はC-1同様、曲線を多用したものとなっている。胴体後部の貨物扉は平たい形状で、C-1が観音開き扉を備えていたのに対し、XC-2ではそのままローディングランプとなる。降着装置は主脚が片側6輪ずつ12輪の車輪を持つ。主翼前縁にスラットを装備、フラップカウリングは片側に4ヶ所ある。垂直尾翼方向舵は2分割式で、後縁はアンチバランスタブの役割も果たす。水平尾翼は全遊動式で、さらに後縁に昇降舵を持つ。機首には航法・気象レーダーを搭載。レーダードームの左右横と機体後部にはミサイル警報装置 (MWS) とレーダー警報受信機 (RWR) のセンサーを備える。編隊飛行時に点灯する編隊灯は、後部側面と垂直尾翼に設置される。上部には空中給油口を備えており、空中受油が可能である。機体下部に大きく張り出した主脚バルジに補助動力装置 (APU) を持つ。ペイロード搭載量の増加により、大型の手術車や装輪装甲車などの空輸も可能となり、災害有事の際の実用性が増す。後部空挺扉にはデフレクター(風除け)が追加され、空挺部隊降下の際の安全性が高められている。

コックピットはP-1と共通であり、NVGに対応する。大型液晶ディスプレイを6台、 HUD(ヘッドアップディスプレイ)を2台装備し、新たに搭載される戦術輸送飛行管理システムにより、低空飛行の際、操縦席のヘッドアップディスプレイ画面に飛行経路が誘導表示される他、経路上の脅威も示唆し、その回避経路を表示することで生存性の向上を図っている。また、省力化搭載卸下システムにより陸上で短時間の積み降ろし作業が行える。操縦系統はフライ・バイ・ワイヤ (FBW) 方式を採用した。

同時に開発されたP-1哨戒機とは、機体では操縦席風防、主翼外翼(全体の3分の1)、水平尾翼、システムでは統合表示機、慣性基準装置、飛行制御計算機、APU(補助動力装置)、衝突防止灯、脚揚降システムコントロールユニットの共通化を図り、機体重量比で約15パーセントの共通部品、搭載システム品目数で約75パーセントの共通装備となっており、これにより、開発費を250億円程度削減できたとしている。一方、P-Xはフライ・バイ・ライトや国産エンジンなど新技術を採用しているのに対し、C-Xは運用が確立された操縦系・エンジン系を採用して将来の民間転用を考慮している(後述)。

機体の配色は、試作1号機(#201)は白地に赤いストライプと胴体下面が灰色の、技本試作機の標準色であるが、試作2号機および量産機は灰色中心の迷彩色となる予定である。また海外派遣時には、C-130Hに採用された水色一色のような、特別迷彩が施される可能性もある。 2015年には量産型を使用しての積雪時離陸滑走試験を成功させるなど、主力輸送機としての地位を盤石な物にしつつある。

機体の開発・製造では、三菱重工業が中胴・後胴・翼胴フェアリング、富士重工業が主翼を分担し、日本飛行機も参加している。システムでは、搭載レーダーは東芝、管制装置は神鋼電機、自己防御装置は三菱電機、空調装置は島津製作所、脚組み立ては住友精密工業など、国内大手企業が参加している。

エンジン[編集]

CF6-80C2 ターボファンエンジン

装備するジェットエンジン防衛庁2002年(平成14)からロールス・ロイストレント500)、ゼネラル・エレクトリックプラット・アンド・ホイットニーPW4000)の3社からの提案を検討した結果、2003年(平成15)8月にゼネラル・エレクトリック(GE)のCF6-80C2型エンジン(推力:約27.9t)とナセルシステムを採用した。日本GE社のウェブサイトによると、CF6-80C2のカタログ価格は1基1,000万ドルである。

このエンジンの選定にあたっては、当時すでに航空自衛隊に導入されていたボーイング747-400政府専用機)やE-767KC-767Jが同一のエンジンを採用しており、整備面で都合が良いことから決定されたと思われる。海外でも広く普及している為、渡航先での整備拠点もあり、また日本国内の航空会社もボーイング製の機体と共に、同系統のエンジンを600基以上採用しており、形式は新しく無いが、信頼性の高さと国内での運用経験も選定の根拠とされている。ちなみに、XP-1のエンジン(F7-10)は純国産であり、輸入エンジンのXC-2とは対照的である。エンジン数もXP-1の4発に対してXC-2は双発であるが、推力の合計はXC-2のほうが大きい。

エンジンは防衛省が商社山田洋行(官庁が営業年数や年間平均売上等から算出する企業格付け(A~D)でAランク)を随意契約で代理店としてGE社から購入し、機体を組み立てる川崎へ支給されることになっており、2004年(平成16)度と2005年(平成17)度に5基が納入された。しかし、山田洋行の経営陣が株式をめぐって分裂し、GEエンジン担当者を含む約30名が2006年(平成18)9月に日本ミライズ(同Dランク)を設立。GEは2007年(平成19)7月に山田洋行との契約を解消して、日本ミライズを代理店とした。XC-2エンジンについては、防衛省は試作機用予備エンジン1基について、官製談合事件の余波により随意契約を見直し、同年8月に日本ミライズ以外の数社に競争入札させたが、条件(GE代理権を有し、かつランクがA〜C)を満たす業者がないため不調に終わった。2回の不調後は任意の業者と随意契約が可能となるため、日本ミライズと随意契約を結ぶことを検討していたが、当時の守屋武昌防衛事務次官宮崎元伸日本ミライズ社長との癒着が当初から省内で疑惑化しており、守屋武昌事務次官が8月末に退官した後は、具体的に進められていない。守屋武昌事務次官と宮崎元伸元日本ミライズ社長は逮捕され、防衛省は山田洋行・日本ミライズとの取引を停止した。その後、代理権は2007年に双日に移行している。2015年頃からは、基本的な機体生産体制にも目途がつき、量産機塗装を施された機体による飛行試験の他、積雪した滑走路での雪上滑走試験なども実施されている。輸送機としての航続距離や巡航速度などは各国で運用されている軍用輸送機と比較した場合もトップクラスの性能を持つといわれており、2014年末時点で計8機分の取得予算が既に計上されている。

年表[編集]

2000年(平成12年)
  • 次期輸送機(C-X)・次期固定翼哨戒機(MPA/P-X)の国内開発を決定。
2001年(平成13年)
  • 5月25日 - 防衛庁が官報にて、30日まで契約希望メーカーを募集すると告示。
  • 5月31日 - 希望メーカー8社を招いて説明会。7月31日午後5時までのスペック提出を要求。
  • 7月31日 - 希望7社がスペック提出。主契約希望3社、分担生産希望7社。
  • 11月26日 - C-X・P-X開発の主契約企業に川崎を選定。直後にYSX関連の報道が流れ、防衛庁と川崎は即座に否定。
2003年(平成15年)
  • 6月12日 - 技本がC-X・P-Xの技術審査の結果「妥当」と判断。翌日より細部設計に移る。
  • 8月8日 - 防衛庁の装備品審査会がC-XのエンジンをGECF6-80C2に決定。
2004年(平成16年)
  • 6月1日 - 川崎が岐阜工場内にC-X組み立て施設を竣工。
  • 11月9日 - 島津製作所がC-X・P-X搭載機器の試験場を竣工。
  • 12月2日 - 岐阜工場内でC-X・P-Xのモックアップを展示。
2005年(平成17年)
2006年(平成18年)
  • 3月15日 - C-Xの静強度試験用供試機(#01)が防衛庁に引き渡される。
  • 5月31日 - 経済産業省主催の民間機開発推進関係省庁協議会において、川崎が国土交通省に対し、C-X/P-Xに関する防衛庁の試験データを国交省の形式証明取得に流用できるように、防衛庁の試験に立ち会うことを要望する。防衛庁もデータ開示に協力すると表明。
  • 7月 - ファーンボロー国際航空ショーにて、川崎がC-Xの民間型案を展示。
  • 9月22日 - 静強度試験機(#01)過重負荷システムおよび取扱説明書の完成審査を実施。「妥当」(合格)と判断され、試験段階へ移行。
  • 9月28日 - 静強度試験機(#01)用の試験架構などを防衛庁技術研究本部へ引き渡し。
2007年(平成19年)
  • 2月2日 - C-X/P-Xにおいて使用される一部のリベット(米国製輸入品)が、所要の強度を有していない事が川崎より防衛省に報告され、該当リベットの交換の為、当初予定されていた3月6日のロールアウトが延期。
  • 4月 - GEが防衛省に対し、同年7月にC-X用エンジンの輸入代理店を新興の日本ミライズへ変更すると通告。
  • 5月 - 技本ウェブサイトで試作1号機 (#201) の全体写真を初めて公開(外部リンク参照)。
  • 6月7日 - 防衛省は強度不足のリベットの交換作業を行い、正常なリベットに交換するなどの処置を行い機体の強度に影響が無いことを確認。
  • 6月 - パリ航空ショーにて、川崎がP-X・C-Xの模型を展示。
  • 7月4日 - C-X・P-X試作1号機のロールアウト式典が川崎重工業岐阜工場で行われる。
  • 7月26日 - 防衛省がC-Xの調達を2009年(平成21年)度以降とする方針を発表。F-X選定を先送りし、遅れているF-15J近代化改修を進める予算を確保するため。
  • 7月30日 - 静強度試験中に不具合が発生し、初飛行を12月以降へ延期。
2008年(平成20年)
  • 3月 - 胴体フレームの強度不足のため、初飛行は延期。
2010年(平成22年)
  • 1月26日 - 航空自衛隊岐阜基地において初飛行。XC-2の型式番号を与えられる。
  • 3月30日 - 川崎重工業岐阜工場においてXC-2の納入式が行われた。以降は飛行開発実験団において実用試験が行われることになる。
2011年(平成23年)
2012年(平成24年)
  • 4月25日 - 開発期間を1年間延長することが決定。だが、これによる航空自衛隊美保基地への配備計画の変更はない。同計画によれば14年度1機・15年度3機・16年度2機配備する予定。
2014年(平成26年)
  • 1月18日 - 防衛省は地上試験機にて機体構造強度試験の際、同機の貨物扉、後部胴体などに損壊が発生したと発表。[14]
  • 6月16日 - 防衛省は、テストで機体強度の不足によるトラブルが出ているのを理由に、2014年末に配備予定だった計画を2年前後延長する方針を固めた[1]
2015年(平成27年)
  • 4月1日 - 防衛省は、C-2輸送機の積雪時における雪上滑走テストを行ったと発表した。

発展[編集]

民間輸送型
川崎重工では2007年(平成19)7月に、C-Xの機体フレームを利用した超大型貨物用高速民間輸送機「YCX」を開発し、民間向け貨物航空機事業に進出する方針を固めた。すでに2006年(平成18)7月に、ファーンボロー国際航空ショーにおいて提案し、ある程度のスペックも公表した。それによると、機体の規模はほぼ変わらない(貨物室両脇にある座席、空挺降下ドア、MWS/RWR/CMDで構成される自機防御システム、編隊維持装置等が民間フレイターには不要)が、最大積載量は37.5t、37tでの航続距離は5,600kmというものだった。(オーバーサイズカーゴの好例である航空機エンジンで最も重いGE90-115B×2基の積載重量は16.4tとなり、この場合の航続距離で8,000km程度に相当する)川崎が狙う市場は積載量40t以下の中小型機で、大型セミトレーラやトラックそのものを積めるなどの規格外積載能力が高いとして、旅客機を転用したボーイングエアバスの機体に対抗する。開発に当たっては、XC-2が採用する各種の国産装備は型式証明等で必要な費用などを見た上でYCXで引き続き採用するか検討・製造や点検修理整備をアウトソージングするかどうかは費用と国内産業育成を天秤にかけて検討、などで機体そのものはXC-2ほぼそのもので民間向けへの改修が開発の主体となる。
これは、防衛省からも検討資料が公開されているが[15]ファーンボローで川崎が出展した4枚のパネル/パンフで既にイメージは明らかにされており、空自での運用よりも滑走距離の制限を緩和することで最大離陸重量を設計限界までだした提案である。航空会社側がAn-124/Il-76/L-100の後継機候補と見ていることや、An-124では過大な需要にYCXが適していると製造者が考えていることも見て取れる。
これによって同クラスの戦術輸送機(A400M/An-70/Il-76)とそれらを上回る高速性能は維持したままで同水準にまで航続距離とペイロードを引き上げており、更に日本の特殊な事情(タイトな航空路、空自基地間定期便での少量貨物の多頻度輸送、予算抑制のための運用性と取得性を考慮)により、数ある軍用貨物輸送機が民間での採用実績が乏しいエンジンを採用している(特にターボプロップ機はその傾向が強い)のに比べて、エンジンが民間で多数採用され運用実績を積み重ねているCF6-80C2を採用している点で優れており、また最大の優位点は高速度なためいわゆる民間航空路線を使用可能ということである。これらにより結果として民間での導入に対するハードルを下げる機材となった。
この特殊な優位性は、そもそも戦術貨物輸送機にターボファンエンジンを導入するという思想が世界に少ないという点から派生してきているが、併せて民間旅客機改造型フレイターに対しては4×4×16mの貨物室へ後部ランプから容積ギリギリの規格外貨物を収納可能な軍用カーゴシップとしての特徴を併せ持つ規格外貨物への対応能力が最大のセールスポイントである。
またランプの位置が低いことも民間フレイターには無い特徴であり、リフトローダーの様な特殊な積み降ろし機材を必要としないメリットがある。しかも同等フレイター(同クラスエンジン機材は767-300FやA300-600F)が、LD3コンテナ40個程度積載能力であるのに対して同36個積載(高い荷室高を生かして2段積みオプション:展開式の架台を使い最後部用には揚降機能可能、機内クレーンシステムオプションは2条のレールに4本のクレーンを装備)の一般貨物輸送能力も保持している。
規格外貨物の積載においては、旧ソビエトのIl-76余剰中古機(200機規模)によって市場が拓かれているが、昨今の航空不況により、運行費の安い新規双発機(777、787等々)は現在大量に発注されており、その航空機のエンジンのサイズ自体が大直径化している(現在の主要航空機エンジンは概ね747Fでしか輸送できない)のを初め大きく市場規模が拡大しつつ有る。[16]
また戦術輸送機故の、不整地運用能力に由来する小規模空港での好運用性(747で車輪当たり重量18-23t、767で14-18t、巨大機A380で26tなものが、XC2は10t)も滑走路面強度上の優位点である。
国内外の航空貨物大手に売り込む計画で、2012年(平成24)の事業化を目指す。今後20年間のオーバーサイズ・カーゴ搭載機の需要の伸びは航空貨物需要の伸びの倍であると期待されており、近々旧ソビエト機の経年が問題になるので更新需要が見込まれる。
しかし需要予測調査の結果、販売期間30年に設定した場合でも、その需要はわずか約90機に留まるとの厳しい結果が出ている。[17]
自衛隊機の民間転用は初めてで、防衛省や経済産業省も支持する方針とされ、2007年7月4日付け日経新聞によれば、防衛省経理装備局航空機課課長も「民間転用については、データ提供などで可能な限り協力する」としている。また転用の際には川崎も相応の負担をすることを希望している。
日本航空機開発協会(JADC)では、平成14年(2002年)度よりP-XおよびC-Xを民間旅客機(100席〜150席クラス)へ転用するための開発調査を行っている。(但しP-1の民間転用は改造するにしてもエアバス・ボーイングの既存機材と被るので製造者である川崎では慎重な姿勢と上記Wing Diaryの記事にあり)
民間機仕様については、日本国外への輸出も検討されている[18]
電子偵察型
航空幕僚監部では、4機のYS-11EB電子測定(ELINT)機の後継機として、C-Xを改造母機とする研究を行っている。技術研究本部でも当初から電子戦任務への適合性を視野に入れた開発を進めており、システムを搭載した後継機は、YS-11同様に4機程度が調達される予定である。電子戦システムには技本が開発している「将来電子測定機搭載システム」(ALR-X)が採用される事になる[19]
このシステムは、
  • 広帯域で高感度のデジタル信号処理が可能な受信方式
  • マルチビーム機能を有し、ビーム形状の制御や偏波面の計測が可能なDBF(デジタル・ビーム・ホーミング)アンテナ方式
  • 瞬時に変化する複雑な信号について素早く分析できる能力
  • システムのモジュール化により、進歩した要素技術を組み込めること
  • ソフトウェア受信技術により、ソフトウェアを入れ替えることで各種変調方式に対応
  • マルチビーム化と受信機多チャンネル化による多目標同時収集
  • データリンクや衛星通信などとの連接による航跡情報の活用および収集データのタイムリーな報告
などを特徴としている[20][21]。2015年に公開された予想図では機首、機首下、前部・後部胴体側面および上面、尾翼上、尾部にアンテナを装備していた[21]

性能・主要諸元[編集]

出典: 防衛省[22][23]

諸元

性能

武装

  • なし
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比較[編集]

主な軍用輸送機の比較
XC-2
日本の旗
C-1
日本の旗
A400M
欧州連合の旗
C-130J
アメリカ合衆国の旗
C-17
アメリカ合衆国の旗
Y-20
中華人民共和国の旗
KC-390
ブラジルの旗
An-178
ウクライナの旗
Il-214
ロシアの旗
画像 Xc-2 20110520.jpg JASDF Kawasaki C-1 Aoki-1.jpg Airbus A400M EC-404 (8135661129).jpg C-130J 135th AS Maryland ANG in flight.jpg C-17 test sortie.jpg Xian Y-20 at the 2014 Zhuhai Air Show.jpg Embraer-KC-390.jpg Antonov An-178 in military grey colours.jpeg MTS Il214 maks2009.jpg
乗員 3名 5名 3-4名 3-6名 2-4名 3名 3名 4名 2名
全長 43.9m 29.0m 45.1m 29.79m 53.0m 47.0m 35.20m 32.95m 33.2m
全幅 44.4m 30.6m 42.4m 40.41m 51.8m 45.0m 35.05m 28.84 m 30.1m
全高 14.2m 9.99m 14.7m 11.84m 16.8m 15.0m 11.84m 10.14m 10.0m
空虚重量 60.8t 24t 60.8t 34.25t 128.1t 100t 51.0t 48.5t ?t
基本離陸重量 120t 39t ?t 70.305t 263t ?t 74.4t ?t ?t
最大離陸重量 141t 45t 136.5t 79.38t 265.35t 220t 81.0t ?t 68.0t
最大積載量 約30t 8t 37t 19.050t 77.519t 66t 23.6t 18.0t 20.0t
発動機 CF6-80C2K1F×2 JT8D×2 TP400-D6×4 AE2100-D3×4 F117-PW-100×4 D-30KP-2×4 V2500-E5×2 D-436-148FM×2 PS-90A-76×2
ターボファン ターボプロップ ターボファン
巡航速度 マッハ0.80
890km/h
(高度12,200m)
マッハ0.65
650km/h
マッハ0.68-0.72
780km/h
マッハ0.65
643km/h
マッハ0.77
830km/h
(高度7,620m)
マッハ0.70
630km/h
(高度8,000m)
マッハ0.80
890km/h
マッハ0.77
825km/h
マッハ0.75
810km/h
航続距離 12t/6,500km 0t/2,400km
6.5t/2,185km
8t/1,500km
0t/8,710km
20t/6,390km
30t/4,540km
0t/6,445km
16.3t/3,150km
0t/9,815km
72t/4,630km
0t/7,800km 0t/6,019km
13.3t/4,815km
23.6t/2,593km
0t/5,500km
5.0t/4,700km
18.0t/1,000km
0t/7,300km
4.5t/6,000km
20t/3,250km
最短離陸滑走距離 500m 460m 770m 600m 910m ? 1,100m ? 1,050m
運用状況 実用試験中 現役
2011年より退役中
実用試験中 増備中 実用試験中 開発中

登場作品[編集]

漫画・アニメ
第2話に登場。登場人物の一人が国連軍ユーコン基地に赴く際に搭乗する。
第2話に架空の発展型である「C-2改」が登場。機体サイズが120%スケールアップされており、実機では搭載不可能な10式戦車の搭載が可能になっている。劇中ではLAPESを用いて10式戦車を空挺投下した。

参考文献[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b “尖閣防衛に影響も…空自新輸送機の配備2年延期”. 読売新聞. (2014年6月16日). http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140616-OYT1T50069.html 2014年6月21日閲覧。 
  2. ^ <P-X C-X> ベールを脱いだ海空“兄弟機”実物大模型を公開 朝雲グラフ特集
  3. ^ 次期輸送機の静強度試験機(01号機)の受領防衛省技術研究本部
  4. ^ 次期固定翼哨戒機及び次期輸送機の不具合等について 防衛省
  5. ^ 次期輸送機の開発状況について 防衛省
  6. ^ 次期固定翼哨戒機及び次期輸送機に使用された不適合リベット及びロールアウトへの影響について防衛省
  7. ^ 次期固定翼哨戒機及び次期輸送機に使用された不適合リベットの調査結果等について防衛省
  8. ^ 次期固定翼哨戒機および次期輸送機のロールアウト式典について技術研究本部
  9. ^ 『開発中の新型輸送機「C2」、地上試験中に貨物扉が脱落』(読売新聞 2014年1月17日)
  10. ^ 『次期輸送機、配備2年延期=加圧試験中の扉脱落-機体強度不足で破断・防衛省』(時事通信 2014年7月4日)
  11. ^ 輸送機部隊の将来体制 平成21年版防衛白書
  12. ^ 高翼機対低翼機. Retrieved 2010-06-19. 
  13. ^ 次期輸送機C2:知事が配備了承 5点要請付きで /鳥取 - 毎日新聞 2011年11月3日
  14. ^ 防衛省、次期輸送機XC-2の地上試験で不具合が発生…開発遅れの懸念 - response.jp 2014年1月18日
  15. ^ 防衛省開発航空機の民間転用に関する検討会 その他の情報
  16. ^ 航空新聞社WingDiary08年2月18日付け記事
  17. ^ 航空新聞社WingDiary13年4月5日付け記事
  18. ^ “防衛装備をインフラ輸出 政府、経済成長と産業活性化”. サンケイビズ. (2013年8月16日). http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130816/mca1308160855004-n1.htm 2013年8月18日閲覧。 
  19. ^ 軍事研究2013年2月号
  20. ^ 将来電子測定機搭載システムの研究
  21. ^ a b 4 技術開発官(航空機担当)
  22. ^ a b 我が国の防衛と予算-平成23年度概算要求の概要-(PDF:2.2MB) (PDF)
  23. ^ Kawasaki News 147(p13) - Summer 2007 (PDF)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]