コンテンツにスキップ

アメリカン航空77便テロ事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
AA77から転送)
アメリカ同時多発テロ事件 > アメリカン航空77便テロ事件
アメリカン航空77便テロ事件
American Airlines Flight 77
AA77便の事故機 N644AA(中国語版より、1995年3月にロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港で撮影)
出来事の概要
日付 2001年9月11日
概要 ハイジャック
現場 アメリカ合衆国の旗 アメリカバージニア州ペンタゴン
乗客数 58 (ハイジャック犯5人含む)
乗員数 6
負傷者数 0
死者数 64 (全員)
生存者数 0
機種 ボーイング757-223
運用者 アメリカ合衆国の旗 アメリカン航空
機体記号 N644AA
出発地 アメリカ合衆国の旗 ダレス国際空港
目的地 アメリカ合衆国の旗 ロサンゼルス空港
地上での死傷者
地上での死者数 125
地上での負傷者数 106
テンプレートを表示

アメリカン航空77便テロ事件(アメリカンこうくう77びんテロじけん、American Airlines Flight 77)は、2001年9月11日に起きた、旅客機を狙ったハイジャック事件である。また、アメリカ同時多発テロ事件でハイジャックされた旅客機の内の1機でもある。

事件にあった旅客機は、ボーイング757-223機体記号N644AA、1991年製造)アメリカン航空77便で、犯人たちの計画通り、ワシントンD.C.の郊外、バージニア州アーリントンにあるペンタゴンに激突し、機体は原形を留めないほど大破した。

事件後に、犯人はアルカイダと判明した。事件発生日の日付9月11日は1941年にペンタゴンが着工された日であった。 この事件により189人(77便の乗員6名、乗客58名、ペンタゴンの125名)が死亡、106人がけがをした。

テロリスト

[編集]
アメリカン航空77便の航路

犯人は全員、サウジアラビア人。

ナワーフ・アル=ハーズミーとサリーム・アル=ハーズミーは兄弟である(ナワーフが兄、サリームが弟)。

事件当日のアメリカン航空77便

[編集]

事件の概要

[編集]
激突の瞬間

乗客58名・乗員6名が搭乗した77便は、午前8時51分から8時54分の間にかけて完全にハイジャックされた。ハイジャック直後に向きを北に変え、すぐに南へ転回した。

午前8時56分、飛行機のトランスポンダーのスイッチが切られた[1]。犯人はワシントンD.C.のある東の方角に向けてオートパイロットをセットした[2]

最初の針路離脱から3分間(08:50:51まで)は、管制官と機長による正常な通信があったが、その後は通信不能となった。ペンタゴンへの激突の間に、2人の搭乗者が地上にいた仲間と電話で連絡を取っていた。

午前9時29分に、ハイジャック犯はオートパイロットを解除し、手動制御に切り替えた[3]

77便はアーリントン国立墓地に隣接する海軍補助施設の上を530マイル毎時(853 km/h、237 m/s、もしくは460 ノット)の速度で飛び[4]09:37:46にバージニア州アーリントン郡ペンタゴンに西側から突入した[5]。機体はペンタゴンの1階に衝突し[6]、衝突の瞬間僅かに左に回り、右翼が持ち上がった[7]。機体は爆発し大破した。激突の瞬間は、周辺の監視カメラなどによって撮影されており、また目撃者も大勢いた。映像によると、ほぼ水平の状態で地面を滑走しながら、勢いよくペンタゴンに衝突していた。一般的な離着陸時の事故と違い、高速で建築物に激突・炎上したため、機体の残骸はほとんど原形を留めていなかった。当時、ペンタゴンの突入階の半分が改装工事中で使用されていなかった。もし改装工事中でなければ、犠牲者数はWTCのそれを上回っていたと推測される。

現場

10時10分、ペンタゴンのうちの被害を受けた部分から上の階が崩壊した[8]。崩壊した部分は最も広い場所で95フィート (29 m)、最も深い場所で50フィート (15 m)にもなった[8]。衝突から崩壊までの時間が、4階と5階にいた全員が崩壊の前に安全に避難することに繋がった[9]。崩壊の後、内部の火の勢いは激しくなり、建物の全フロアに拡がった[10]

アメリカン航空77便のボイスレコーダーの残骸

航空機の残骸の様々な部品がペンタゴンの内部から見つかった。ブラックボックスは3日後の9月14日に発見された。このうち、ボイスレコーダー(CVR)は大破しており、中のテープが完全に焼け焦げていたため再生不可能に終わった。一方、フライトレコーダー(FDR)のメモリースティックは無事に回収された。

また、突入時の映像が2006年5月16日に公開された[11][12]

旅客機激突に対する異説

[編集]
ボーイング機激突後のペンタゴン

77便のペンタゴン激突に関しては陰謀論者から様々な異説がある。最も代表的なものは、ペンタゴンに激突したのは77便ではなくミサイルだったとする説。この異説には批判もあるが、これらの異説を解釈しようとする調査結果なども数多くある[要出典]

映像化

[編集]
  • ナショナルジオグラフィックチャンネルが放送している『衝撃の瞬間2』(第13話「ペンタゴン9.11」)と『メーデー!:航空機事故の真実と真相』(シーズン14 第2話「9/11:The Pentagon Attack」)でこの事故の検証番組が放送されている。
  • フォックス放送制作のミステリードラマ『BONES -骨は語る-』シーズン8 第6話「あの日を忘れない(The Patriot in Purgatory)」では本件が題材とされており、事件の数日後に発見され長期間保管されていた身元不明遺体が、現場に居合わせ救助活動を行った際の負傷が原因で死亡した「犠牲者」だと発覚するエピソードになっている。

脚注

[編集]
  1. ^ “'We Have Some Planes'”. 9/11 Commission Report. National Commission on Terrorist Attacks Upon the United States. (2004). オリジナルのMay 14, 2008時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20080514052417/http://govinfo.library.unt.edu/911/report/911Report_Ch1.htm May 30, 2008閲覧。 
  2. ^ O'Callaghan, John (February 13, 2002). “Study of Autopilot, Navigation Equipment, and Fuel Consumption Activity Based on United Airlines Flight 93 and American Airlines Flight 77 Digital Flight Data Recorder Information”. National Transportation Safety Board. June 4, 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。June 1, 2008閲覧。
  3. ^ O'Callaghan, John (February 13, 2002). “Study of Autopilot, Navigation Equipment, and Fuel Consumption Activity Based on United Airlines Flight 93 and American Airlines Flight 77 Digital Flight Data Recorder Information”. National Transportation Safety Board. June 4, 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。June 1, 2008閲覧。
  4. ^ Goldberg, Alfred (2007). Pentagon 9/11. Washington, D.C.: United States Government Printing Office. p. 14. ISBN 978-0-16-078328-9. https://archive.org/details/pentagon911alfre00wash/page/14 
  5. ^ American Airlines Flight 77 FDR Report”. National Transportation Safety Board (January 31, 2002). September 26, 2007時点のオリジナルよりアーカイブJune 2, 2008閲覧。
  6. ^ Goldberg, Alfred (2007). Pentagon 9/11. Washington, D.C.: United States Government Printing Office. p. 17. ISBN 978-0-16-078328-9. https://archive.org/details/pentagon911alfre00wash/page/17 
  7. ^ Mlakar, Paul F.; Dusenberry, Donald O.; Harris, James R.; Haynes, Gerald; Phan, Long T.; Sozen, Mete A. (January 2003). The Pentagon Building Performance Report. American Society of Civil Engineers. オリジナルのJune 24, 2008時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20080624212810/http://www.fire.nist.gov/bfrlpubs/build03/PDF/b03017.pdf June 19, 2008閲覧。 
  8. ^ a b Goldberg, Alfred (2007). Pentagon 9/11. Washington, D.C.: United States Government Printing Office. pp. 80–82. ISBN 978-0-16-078328-9. https://archive.org/details/pentagon911alfre00wash/page/80 
  9. ^ Goldberg, Alfred (2007). Pentagon 9/11. Washington, D.C.: United States Government Printing Office. p. 20. ISBN 978-0-16-078328-9. https://archive.org/details/pentagon911alfre00wash/page/20 
  10. ^ Goldberg, Alfred (2007). Pentagon 9/11. Washington, D.C.: United States Government Printing Office. pp. 86–90. ISBN 978-0-16-078328-9. https://archive.org/details/pentagon911alfre00wash/page/86 
  11. ^ 9.11テロ ペンタゴンの監視カメラ(左). YouTube. 8 August 2009. 2010年7月10日閲覧
  12. ^ 9.11テロ ペンタゴンの監視カメラ(右). YouTube (YouTube). 8 August 2009. 2010年7月10日閲覧

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]