ロジャー・ストーン
ロジャー・ストーン(Roger Joseph Stone Jr.、1952年8月27日 - )は、アメリカ合衆国の共和党寄りのロビイスト、政治コンサルタント。ドナルド・トランプの政治顧問などを務めたことで知られる。
経歴
生い立ち
コネチカット州で共和党支持者のカトリック教徒の両親のもとに生まれる。少年時代は共和党のバリー・ゴールドウォーターの著書に夢中になり、12歳の時に共和党全国大会に参席した。
ニクソン大統領再選委員会
ジョージ・ワシントン大学在学時代に、1972年のリチャード・ニクソン大統領再選運動に参加。これ以降、共和党の選挙戦および政治家の政治戦略に長年関わることとなった。1973年、ウォーターゲート事件を調べる議会公聴会では、民主党陣営に共和党側の工作員を潜入させるなど合法的だがきわどいことも行っている。
選挙参謀兼ロビイスト
1980年アメリカ合衆国大統領選挙、1984年アメリカ合衆国大統領選挙ではロナルド・レーガンの選挙運動を、1988年アメリカ合衆国大統領選挙ではジョージ・W・ブッシュの大統領選挙運動を支援して、いずれも成功を収めた[1]。
この頃よりロビイストとして「ブラック・マナフォート・ストーン」を設立し、「赤狩り」で有名な弁護士のロイ・コーンとも知り合いになる。また、ドナルド・トランプとも知り合いとなり、カジノ資金にまつわるロビイストとして活躍した。
ドナルド・トランプへの支援
後にアメリカ合衆国大統領に就任するドナルド・トランプとの政治上の関係は、トランプが2000年アメリカ合衆国大統領選挙にアメリカ合衆国改革党から出馬した際に支援したことから強まる。以降、長年にわたり泡沫候補であったドナルド・トランプの選挙戦に政治顧問、選挙参謀格として参画する。
2012年アメリカ合衆国大統領選挙における共和党の候補として、アーカンソー州のマイク・ハッカビー前州知事と並んで2位の支持率を獲得した(1位はマサチューセッツ州のミット・ロムニー元州知事)。2016年アメリカ合衆国大統領選挙において当選に導いた。この経緯は『困った時のロジャー・ストーン』というドキュメンタリー映画にまとめられ、2017年にNetflixで配信されている[2]。
逮捕
大成功を収めた2016年アメリカ合衆国大統領選挙であったが、後に選挙期間中のロジャー・ストーンのアンダーグランド的な活動について捜査が行われることとなった。捜査の中でロシアが行ったとされる選挙戦への干渉の中で、ウィキリークスを通じてヒラリー・クリントンのメールを暴露する工作などに関与し、2017年に情報特別委員会で偽証したことなどが明らかになり、司法妨害など7件の罪で起訴されて有罪となった[3]。
ストーンは禁固刑が言い渡されたが、2020年7月10日、トランプ大統領は収監直前のロジャー・ストーンに対して刑の免除[4]、さらに同年12月23日、恩赦を決定した[5]。
人物
- 妻とのスワッピングの告知広告を出したとしてメディアにたたかれた(本人は解雇した部下がやったと否定)。
- ニクソン大統領の選挙時のポスターやグッズなどの収集家としても知られる。
- 2017年に公開された『困った時のロジャー・ストーン』(前述)では、背中にニクソンのタトゥーを入れていることが紹介されている。
- 2019年、ヴァージニア州リッチモンドにあるストリップクラブは、ロジャー・ストーンのサイン会を25ドルの入場料で行うことを告知した。偽証に関して起訴された直後であること、それなりの資産を有していたことから物議を醸した[6]。
脚注
- ^ “トランプ氏の盟友ロビイスト逮捕、罪状7件で起訴 ロシア疑惑捜査”. BBC (2019年1月29日). 2020年12月24日閲覧。
- ^ “困った時のロジャー・ストーン”. Netflix (2017年). 2020年12月24日閲覧。
- ^ “トランプ氏元顧問を起訴 ロシア疑惑捜査で”. フランス通信 (2020年1月26日). 2020年12月24日閲覧。
- ^ “トランプ大統領、盟友ストーン被告の刑を免除 収監直前”. CNN (2020年7月11日). 2020年12月24日閲覧。
- ^ “トランプ氏、さらに26人に恩赦 娘婿クシュナー氏の父親にも”. フランス通信社 (2020年12月24日). 2020年12月24日閲覧。
- ^ “元トランプ陣営の顧問、ロジャー・ストーンがストリップクラブに出演する理由”. ロ-リングストーン (2019年4月29日). 2020年12月24日閲覧。