4S (原子炉)

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4S(よんえす)は、東芝が開発中であるとされている小型ナトリウム冷却高速炉。4Sの意味はSuper-Safe, Small & Simple。

概要と動作原理[編集]

元は電力中央研究所服部禎男[1]がもちかけて、東芝の原子力部門の技術者が具体的に設計したとされる、炉心の直径が約1メートル以下(5万キロワットタイプで高さ4メートル)という小型原子炉。小型の原子炉が中性子を漏らしやすいという特徴を逆手に取った発想で、燃料を装填しただけでは、どうやっても臨界にならないという安全性を備えているとされている。臨界させるには、燃料棒に沿ってリング状の中性子反射板をスライドさせることで、漏れた中性子を反射させて連鎖反応を維持させる設計になっており、燃料はスライドする中性子反射板に沿ってロウソクのように30年(5万キロワットタイプで20年)かけて徐々に燃焼して、終端まで反応して炉の寿命を終えるという。燃料の入れ替えという概念はなく、その分事故率を下げられるとされている。中性子反射板を燃料のない部分に退避させることで緊急停止する仕組みになっているとされる[2]

燃料は、高速炉で使われるようなウランプルトニウム(もしくはウラン・ジルコニウム[3])の合金を使い、冷却材は液体ナトリウムを使用するという。同じ液体ナトリウムを使用するタイプのもんじゅと違う点は、炉内の構造がシンプルなため、冷却材の流れに抵抗がない点。液体ナトリウムの量も断然少なく、これは故障の際にも自然対流による冷却が期待できることを意味している[2]。そのためバージョンアップされた東芝の設計では冷却材を循環をさせるポンプも、可動部分の存在しない電磁対流ポンプが採用されているという。

中性子反射板を重力に従って落下させるだけで緊急停止でき、装填されている核燃料も少量なため、事故の際の安全基準の目安とされている敷地境界距離も圧倒的に小さく、計算によると半径20メートルとされている。燃料となるウラン・プルトニウム合金(もしくはウラン・ジルコニウム合金)の製造は、旧動燃で培われた技術の転用が活かせると言われている。4S炉は、東芝が中心となって開発を進めているが、まだ実証実験には至っていない[2]

小型原子炉のメリットは、耐震強度、量産効果によるコストダウン、リコールによる安全性の向上、比較的都市部の近辺に設置可能なため、送電ロスを大幅に減らせることがあげられている[4]

開発の背景[編集]

4Sは、東芝がナトリウム冷却炉を開発する過程で得られたポンプ技術、充填燃料技術などを基に、開発を進めている発電出力10MW-50MW級の小型高速炉。

需要家側にとっての小型化のメリットは、火力発電用の燃料生産や運搬が不便な僻地でも発電が可能になることが挙げられている。設置箇所としては、アメリカ合衆国の奥地やサハラ砂漠以南のブラックアフリカなどが対象として考えられているが、アラスカ州では、4Sが拡大解釈されたと思われる6ft×20ftという小型サイズの発電システムが設置されるという噂が流れたことがある。

また、生産者側にとっての小型化のメリットは、発電プラントを工場で一体的に製作し、海上輸送することで、品質の確保と工期の短縮を狙えることである。さらに核燃料を30年間無交換とすることを前提としており、ライフサイクルコストの削減というメリットがある。

出典[編集]

  1. ^ 当時服部は中部電力から動力炉・核燃料開発事業団(旧動燃)、電力中央研究所へと出向中だった。[要出典]
  2. ^ a b c 鳥井弘之『原子力の未来』p.175-p.179(日本経済新聞社1999年)ISBN4-532-14749-2
  3. ^ CiNii論文 3510 1万kWe超小型高速炉(4S炉)の受動安全特性(S49-1 安全,材料,原子炉用機器,S49 原子炉システムおよびその要素技術)
  4. ^ 『原子力の未来』p.149-p.169

関連項目[編集]

外部リンク[編集]