鶴澤浅造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

鶴澤 浅造(つるざわ あさぞう)は、文楽義太夫節三味線方の名跡

4代目[編集]

四代目 鶴澤 浅造(よだいめ つるざわ あさぞう)は、日本三味線奏者スタッフ1911年4月に四代目鶴澤浅造を襲名し、1930年4月まで名乗った。1930年5月、四代目鶴澤重造を襲名し、1980年5月まで名乗った。

5代目[編集]

五代目 鶴澤 浅造
出生名 上原 誠己(うえはら せいき)
別名 キーン誠己(現戸籍名)
出身地 日本の旗 新潟県西蒲原郡巻町(現新潟市西蒲区
学歴 東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業
ジャンル 伝統音楽
職業 三味線奏者
担当楽器 三味線
活動期間 1970年代 -
公式サイト 日々、ドナルド・キーンとともに:So-netブログ

五代目 鶴澤 浅造(ごだいめ つるざわ あさぞう 1950年-)は、日本三味線奏者実業家秘書。のちに越後 角太夫(えちご かくたゆう)を名乗った。本名はキーン 誠己(きーん せいき)。旧姓は上原(うえはら)。

来歴[編集]

新潟県西蒲原郡巻町(現新潟市西蒲区)出身[1]実家は『越後鶴亀』などで知られる蔵元の上原酒造である[2][3]新潟県立新潟高等学校東京外国語大学外国語学部フランス語学科を卒業し、文楽義太夫節三味線方の世界に入った[4]。のちに家業を継ぐため、新潟県に帰郷した[3]。なお、日本文学者であるドナルド・キーンから、浄瑠璃など古典について指導を受けていた[1][5]。これをきっかけにドナルドとの交友が深まり、ドナルドから養子になるよう申し出があった[1]。ドナルドは日本国籍を取得し、戸籍上の本名を「キーン ドナルド」としていたため、養子縁組に伴い誠己は「上原」から「キーン」に改姓した[1]。その後、2019年2月までドナルドの私設秘書を務めていた[1]

人物[編集]

弘知法印御伝記
人形遣いの西橋健とともに『弘知法印御伝記』の復活上演に取り組んでいた。『弘知法印御伝記』は江戸時代初期に演じられていた古浄瑠璃であるが、日本では忘れ去られており上演されることもなくなっていた。しかし、国文学者鳥越文蔵が、大英博物館に死蔵されていた絵入り本を1963年発見し、再び知られるようになった。のちに養父となるドナルド・キーンの発案により、300年ぶりに上演されることになった。誠己は、西橋らと協力して復活上演を成功させ、大英博物館などでも公演を行っている。なお、この復活上演に際して、新潟大学などでフランス語教師を務めたクロエ・ヴィアートに対し、浄瑠璃の指導をしていた。
語学
東京外国語大学の外国語学部ではフランス語学科に在籍しており、フランス語など語学に堪能である。

出演[編集]

  • 第30回文楽公演(1974年
    絵本太功記 発端 安土城中 - 三味線
  • 朝日座文楽公演(1974年)
    艶容女舞衣 道行霜夜の千日 - 三味線(交替出演)
  • 朝日座文楽公演(1974年)
    釣女 - 三味線(交替出演)
  • 第32回文楽公演(1974年)
    音冴春臼月 団子売 - 三味線
  • 朝日座文楽公演(1975年
    龍虎 - 三味線(交替出演)
  • 第33回文楽公演(1975年)
    一谷嫩軍記 堀川御所の段 - 三味線
  • 朝日座文楽公演(1975年)
    久米仙人吉野桜 吉野山の段 - 三味線(交替出演)
  • 第34回文楽公演(1975年)
    神霊矢口渡 道行比翼の袖 - 三味線(交替出演)
  • 朝日座文楽公演(1975年)
    音冴春臼月 団子売 - 三味線
  • 第35回文楽公演(1975年)
    彦山権現誓助剣 彦山権現社前の段 - 三味線
  • 朝日座文楽公演(1975年)
    紅葉狩 -
  • 第36回文楽公演(1975年)
    本朝廿四孝 道行似合の女夫丸 - 三味線
  • 朝日座文楽公演(1976年)
    寿式三番叟 - 三味線(交替出演)
  • 第37回文楽公演(1976年)
    桂川連理柵 道行朧の桂川 - 三味線
  • 朝日座文楽公演(1976年)
    良弁杉由来 桜の宮物狂ひの段 - 三味線
  • 第38回文楽公演(1976年)
    夏祭浪花鑑 住吉鳥居前の段 - 三味線
  • 朝日座文楽公演(1976年)
    仮名手本忠臣蔵 二ツ玉の段 - 胡弓
    花競四季寿 海士 - 三味線
  • 朝日座文楽公演(1976年)
    雪狐々姿湖 猟師源左内より冬の湖畔まで - 三味線 ツレ・胡弓
  • 第39回文楽公演(1976年)
    仮名手本忠臣蔵 鶴ヶ岡兜改めの段 - 三味線
    仮名手本忠臣蔵 塩谷館明渡しの段 - 三味線
  • 朝日座文楽公演(1977年)
    面売り - 三味線
  • 第40回文楽公演(1977年)
    小鍛冶 - 三味線
  • 朝日座文楽公演(1977年)
    妹背山婦女庭訓 山の段 - 妹山琴(交替出演)
    妹背山婦女庭訓 鱶七上使の段 - 三味線(交替出演)
  • 第41回文楽公演(1977年)
    妹背山婦女庭訓 道行恋苧環 - 三味線
  • 朝日座文楽公演(1977年)
    東海道中膝栗毛 赤坂並木より古寺まで - 三味線
  • 第42回文楽公演(1977年)
    増補忠臣蔵 本蔵下屋敷の段 - 琴
  • 朝日座文楽公演(1977年)
    冥途の飛脚 道行相合かご - 三味線
  • 第43回文楽公演(1977年)
    伊達娘恋緋鹿子 火の見櫓の段 - 三味線
  • 第9回文楽鑑賞教室(1977年)
    伊賀越道中双六 沼津の段 - 三味線(Bプロ)
  • 朝日座文楽公演(1978年)
    寿柱立万歳引抜き団子売 - 三味線
    近頃河原の達引 堀川猿廻しの段 - 三味線
  • 第44回文楽公演(1978年)
    鑓の権三重帷子 伏見京橋女敵討の段 - 三味線
  • 朝日座文楽公演(1978年)
    義経千本桜 仙洞御所評議の段 - 三味線
    義経千本桜 道行初音の旅 - 三味線
  • 第45回文楽公演(1978年)
    生写朝顔話 大内館の段・多々羅浜の段 - 三味線
    生写朝顔話 明石浦船別れの段 - 琴
  • 朝日座文楽公演(1978年)
    勧進帳 - 三味線
    曽根崎心中 天神森の段 - 三味線
  • 第46回文楽公演(1978年)
    鬼一法眼三略巻 五条橋の段 - 三味線
  • 朝日座文楽公演(1978年)
    假名手本忠臣蔵 鶴ヶ岡兜改めの段 - 三味線
    假名手本忠臣蔵 道行旅路の嫁入 - 三味線
  • 第47回文楽公演(1978年)
    菅原伝授手習鑑 寺入りの段 - 三味線
    鳴響安宅新関 勧進帳の段 - 三味線

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 「キーンさん、養子縁組を公表――新潟市出身の浄瑠璃三味線奏者と」『キーンさん、養子縁組を公表|社会|新潟県内のニュース|新潟日報netpark新潟日報社2013年4月30日
  2. ^ ドナルド・キーン「新潟との深い縁」『東京新聞:新潟との深い縁:ドナルド・キーンの東京下町日記:特集・連載(TOKYO Web)中日新聞社2014年4月6日
  3. ^ a b 嶋田和子「古浄瑠璃が結ぶ縁――ドナルド・キーンと三味線奏者・上原誠己」『古浄瑠璃が結ぶ縁ードナルド・キーンと三味線奏者・上原誠己 | 日本語教育みんなの広場』日本語教育みんなの広場、2011年9月8日
  4. ^ 坂本鉄男「イタリア便り――キーン先生の健康法」『【外信コラム】イタリア便り キーン先生の健康法 - 産経ニュース産経デジタル2015年5月3日
  5. ^ 「文化・芸術を愛する父子の日常――キーン誠己(せいき)さん 」『今週の本棚・本と人:『黄犬ダイアリー』 著者・キーン誠己さん - 毎日新聞毎日新聞社2016年10月23日

外部リンク[編集]