趙顕娥

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チョ・ヒョナ
趙 顕娥
生誕 (1974-10-05) 1974年10月5日(46歳)
大韓民国の旗 韓国·ソウル市江西区
国籍大韓民国の旗 韓国
出身校コーネル大学ホテル経営学部卒業
職業実業家
配偶者朴鐘周(2010年10月より)
子供双子(2013年生、米国籍[1]
趙亮鎬(父、韓進グループ2代目会長)
李明姫(母、国土交通次官の長女、)
親戚趙源泰(弟、大韓航空社長[2]
趙顯旼(妹、チョ・ヒョンミン、エミリー・チョー、米国籍[3]、大韓航空専務、LCCジンエアー副社長、KALホテルネットワーク代表取締役[4][5][6][7][8]
趙顕娥
各種表記
ハングル 조현아
漢字 趙顯娥
発音: チョ・ヒョナ
日本語読み: ちょう けんが
2000年式
MR式
英語名:
Jo Hyeona
Cho Hyŏna
Heather Cho
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趙顕娥(チョ・ヒョナ、またはチョ・ヒョンア[9]、ヘザー・チョー[8]1974年10月5日 - )は、大韓民国の元実業家韓進グループ代表取締役会長趙亮鎬(チョ・ヤンホ)の長女。大韓航空副社長[1]ナッツリターン事件後に韓進グループの子会社のKALKホテルネットワークの登記役員として社長の身分で経営復帰したが、妹の水かけ姫ことチョン・ヒョンミンの騒動で2018年4月22日に解任[10][7]

学歴[編集]

略歴[編集]

1999年に韓進グループの航空ホテル免税事業部に入社。その後、アメリカの南カリフォルニア大学経営大学院にてMBAを取得。以後、大韓航空の機内食部門とホテル経営部門、客室事業部門の3つの事業を統括する。

2013年3月、大韓航空の副社長に昇進したが後述する騒動を起こし2014年12月に辞任した。この事件で財閥支配の強い韓国で国民の非難を浴び、趙は「ナッツ姫」と呼ばれるようになっただけでなく[11]、2014年12月30日に航空機安全阻害暴行罪と航空保安法違反などの罪で逮捕された。以後国内外で批判を浴び、2015年末には航空機での業務妨害などに対する処罰を大幅に強化したナッツリターン防止法が成立するに至った。

2018年1月13日平昌オリンピック聖火ランナーの伴走をしていたことが報道された[12]

2018年3月29日、韓進グループの系列会社KALホテルは定期株主総会を開き、登記理事に選任する案件を議決。韓進グループの経営陣に復帰し、KALホテルネットワークの社長となることが決定した[13]

2018年4月22日、趙顕娥の妹の不祥事などを受け、趙亮鎬会長は趙顕娥についてもグループ企業の役職から外すことを表明した。前日の21日には、家族が海外で購入した私物を国内に持ち込む際に関税を支払っていなかった容疑で、韓国関税庁が自宅などの家宅捜索を行った[14]。その後、関税法違反の罪で起訴。2019年6月13日、仁川地方裁判所は懲役8月、執行猶予2年の判決を下した[15]

2019年4月、父親である趙亮鎬が死去。弟の趙源泰がグループの経営トップを継承したが、趙顕娥が経営陣に復帰することはなかった。同年12月23日、顕娥側の弁護士事務所は声明を発表し、弟の源泰が家族で協力していくよう求めた父の遺訓に反していると批判。姉弟間の不協和音が表面化した[16]

2020年には、韓進グループのオーナー経営に反対してきた大株主でもある私募ファンドのKCGI、半島建設と共同で、現在の経営陣の刷新と専門家経営を求めることを明らかにしたが[17]、3月27日の株主総会では、趙源泰会長の取締役再任が可決され、自身の案は否決された[18]

人物[編集]

コーネル大学のホテル経営学部時代の元同級生は、彼女について、目的意識が明確でリーダーシップがあり、自分の意見をはっきり言える人間だったと述べている[19]

同大学は富裕層が多く、親に一軒家を買ってもらったり、家賃が月2000ドルの部屋に住む学生がいる中、平均的な家賃のアパートを3人でシェア、目立ったブランド品も買うことなく堅実な生活ぶりだったという[19]。また彼女は、裕福だからといって自分より下の人を見下す人ではなく、プライドを持って仕事をしており、後述の事件について彼女を怒らせるよほどのことがあったのではないかと述べている[19]

一方で裁判には100万円を超えるような高級ブランド製コートを着用して臨んだり[20]、会社関係者に意味不明の謝罪文を作成させたり、裁判中に嗚咽し続けたり泣き崩れたりするなど、奔放な行動も報じられていたが、実刑判決が下された[21]

ナッツリターン騒動[編集]

2014年12月5日(現地時間)、アメリカのジョン・F・ケネディ国際空港韓国仁川国際空港行きの自社機に搭乗した際、客室乗務員マカダミアナッツを袋に入れたまま提供したことに腹を立て、機内で土下座を強要した。さらにサービス責任者を機内から降ろすよう指示。滑走路へ向かっていた機体を搭乗口まで引き返させた上、責任者を機内から降ろした[22]。結局、大韓航空機はサービス責任者不在のまま、20分遅れで離陸した。

韓国の航空法では、航空機の乗務員の指示監督は機長にあると定められており、乗客であった副社長が乗務員を叱責し、降機させたことなどについて「越権行為」であるとして批判が巻き起こった[23]国土交通部も捜査に乗り出し、趙副社長を検察に告発。さらに捜査の過程で大韓航空側がこの便に乗務したチーフパーサーなどに虚偽の証言をするよう脅迫していたことも明らかになり[24]、2014年12月30日、ソウル西部地検は趙を航空保安法違反と強要などの疑いで、また大韓航空の常務を従業員に虚偽の証言をするよう脅迫した疑いで逮捕した。さらに、この常務に捜査内容を漏らしたとして、国土交通部の調査官も逮捕されていたことも明らかになった[25][26][27]

裁判で裁判長は「職員を奴隷のように思わず、感情を調節できたならば、今回の事件は起きなかった」とし、趙が拘留中に書いたという数通の反省文についても、「自ら考えたのではなく、会社関係者が考えたとみられる。本当に反省しているのかは疑問」として、懲役1年の実刑を言い渡したが[28]、趙は翌日に控訴している。

この事件の起訴状を入手した野党の徐瑛教議員が明らかにした所によると、この激高は、趙顕娥が途中で自らの誤りであることに気付くも、引っ込みがつかなくなった上での逆恨みだった、とのこと。

趙顕娥はこの事件の前にも複数の問題を起こしていた。

  • 2013年4月、乗機した韓国の製鉄最大手ポスコの常務が、機内食のラーメンのスープが生煮えだったことに腹を立てて、客室乗務員に暴行を加える事件が発生。この際、社内の掲示板に「機内暴行は絶対あってはならないという社会的啓発効果を見た」とされる文章を掲載したが、自身がこのような事件を起こしたことによって、この文章について社会的非難を浴びた[29]

家族[編集]

息子の兵役逃れ[編集]

  • 2013年5月、会社から転勤辞令を受ける形でハワイ州へ行き、そこで双子の男児を出産。しかし、これについて、アメリカ合衆国の国籍を取得させることで『兵役逃れ』をしているのではないか、と批判されたこともあった[23][1]

離婚訴訟[編集]

  • 2010年に小学校の同級生だった美容整形外科の院長と結婚していたが、2019年、夫側から離婚訴訟を起こされている[30]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c “韓国人も激怒した大韓航空「ナッツ女性副社長」ワガママ人生”. NEWSポストセブン (小学館). (2014年12月15日). https://www.news-postseven.com/archives/20141215_292537.html 2020年2月13日閲覧。 
  2. ^ ““水かけ姫”よりヒドい!韓国財閥の子供たちの「悪行」”. FNN.jpプライムオンライン. (2018年4月17日). https://www.fnn.jp/posts/00297890HDK 2020年2月13日閲覧。 
  3. ^ [1][リンク切れ]コップが津波なるとは... 四面楚歌の航空
  4. ^ 水かけ騒動後の2018年4月22日に全て解任
  5. ^ “「水かけ姫」母もパワハラ疑惑”. FNNプライムオンライン. (2018年4月19日). オリジナルの2018年4月21日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180421030424/https://www.fnn.jp/posts/00390147CX 2020年2月13日閲覧。 
  6. ^ “「水かけ」の次は密輸疑惑 大韓航空経営者一家”. FNNプライムオンライン. (2018年4月20日). オリジナルの2018年4月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180420135739/https://www.fnn.jp/posts/00390193CX 2020年2月13日閲覧。 
  7. ^ a b “「ナッツ姫」と「水かけ姫」、全ての職を辞任へ”. 朝鮮日報. (2018年4月22日). オリジナルの2018年4月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180422183925/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/04/22/2018042201900.html 2020年2月13日閲覧。 
  8. ^ a b “大韓航空、会長の娘2人を解任 ナッツ騒動や水かけ騒動で”. CNN.co.jp. (2018年4月24日). https://www.cnn.co.jp/business/35118254.html 2020年2月13日閲覧。 
  9. ^ “「ナッツ・リターン」前副社長、儒教の国だからかこそ“やってはいけなかった”あの行為”. アサ芸プラス (徳間書店). (2014年12月19日). https://www.asagei.com/30111 2020年2月13日閲覧。 
  10. ^ “「ナッツ・リターン」大韓航空前副社長の経営復帰…「グループのホテル業務総括」”. 中央日報. (2018年3月30日). https://japanese.joins.com/JArticle/240106 2020年2月13日閲覧。 
  11. ^ ““ナッツ姫”懲役1年にネット民は「軽い」の声 実刑判決で法廷にリターン?”. ZAKZAK (産経デジタル). (2015年2月13日). https://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150213/frn1502131532007-n1.htm 2020年2月13日閲覧。 
  12. ^ “あの「ナッツ姫」がひょっこりと... 平昌五輪「聖火リレー参加」の思惑”. J-CASTニュース (株式会社ジェイ・キャスト). (2018年1月18日). https://www.j-cast.com/2018/01/18319030.html 2020年2月13日閲覧。 
  13. ^ “ナッツ姫” 趙前大韓航空副社長、経営復帰へ=KALホテル登記理事(社長)に選任”. WOW Korea (2018年3月31日). 2018年3月31日閲覧。
  14. ^ 大韓航空本社など捜索 創業家一族の「密輸」容疑で=韓国関税庁”. WOW korea (2018年4月23日). 2018年4月27日閲覧。
  15. ^ 大韓航空「ナッツ姫」また有罪 地裁、ブランド品密輸”. 日本経済新聞 (2019年6月13日). 2019年12月30日閲覧。
  16. ^ 財閥・韓進グループ「お家騒動」 ナッツ姫と弟、経営巡り”. 聯合ニュース (2019年12月27日). 2019年12月30日閲覧。
  17. ^ 조현아, KCGI·반도건설과 손잡는다…불붙은 한진 경영권 분쟁”. 聯合ニュース (2020年1月31日). 2020年2月1日閲覧。
  18. ^ 大韓航空内紛 現会長に軍配”. 日本経済新聞 (2020年3月28日). 2020年3月28日閲覧。
  19. ^ a b c “ナッツ姫、堅実だったお嬢時代”. nikkansports.com (日刊スポーツ新聞社). (2015年1月8日). オリジナルの2015年2月13日時点におけるアーカイブ。. https://megalodon.jp/2015-0213-1936-39/www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp1-20150108-1418812.html 2020年2月13日閲覧。 
  20. ^ ““ナッツ副社長”身柄を拘束へ コート109万円、資産52億円 報道過熱”. ZAKZAK (産経デジタル). (2014年12月22日). https://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141222/frn1412221528008-n1.htm 2020年2月13日閲覧。 
  21. ^ “ナッツ姫”悲鳴!判決の瞬間泣き崩れた スポーツ報知 2015年2月13日(金)7時4分配信
  22. ^ “「乗客」で搭乗の大韓航空、女性副社長「サービスなってない」と激怒 滑走路から引き返させ、責任者を降ろす制裁”. 産経ニュース. (2014年12月8日). https://www.sankei.com/world/news/141208/wor1412080027-n1.html 2020年2月13日閲覧。 
  23. ^ a b “大韓航空副社長、CAからマカダミアナッツを勧められキレる 飛行機を引き返させ責任者を下ろす”. ハフポスト. (2015年1月9日). https://www.huffingtonpost.jp/2014/12/08/korean-air_n_6291720.html 2020年2月13日閲覧。 
  24. ^ '조현아가 증거 인멸 지시' 검찰, 구속영장 청구키로 ハンギョレ(ハフィントン・ポスト掲載)、2014年12月18日配信、2015年1月5日閲覧。
  25. ^ ナッツ騒動、大韓航空前副社長を逮捕[リンク切れ] 読売新聞、2014年12月31日配信、2015年1月5日閲覧
  26. ^ “【大韓航空騒動】「ナッツ」前副社長と常務を逮捕 航空保安法違反容疑などで”. 産経ニュース. (2014年12月30日). https://www.sankei.com/world/news/141230/wor1412300047-n1.html 2020年2月13日閲覧。 
  27. ^ “ナッツ・リターン事件担当の調査官、大韓航空に調査内容を漏らして逮捕=韓国ネット「韓国は金を払えば何でもする国」”. レコードチャイナ. (2014年12月25日). https://www.recordchina.co.jp/b99655-s0-c30-d0052.html 2020年2月13日閲覧。 
  28. ^ ナッツ・リターン事件 裁判所「本当に反省しているか疑問」2015年2月12日 19:12 FNN
  29. ^ '땅콩 회항' 조현아 부사장은 누구? 남편은 성형외과 의사 지난해 원정출산 釜山日報、2014年12月9日配信、同24日閲覧。
  30. ^ 大韓航空「ナッツ姫」に三くだり半”. 聯合ニュース (2018年4月30日). 2019年12月30日閲覧。