観測問題

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量子力学
\Delta x\, \Delta p \ge \frac{\hbar}{2}
不確定性原理
紹介 · 数学的基礎

観測問題(かんそくもんだい、: measurement problem)とは、量子力学における問題のひとつで、波動関数の収縮がどのように起きるのか、ということに関する問題である。

概説[編集]

観測前に重ね合わせの状態であった波動関数が、観測後には一つの状態に確定していることについて、現実に起きている現象を推定することが困難である問題をいう。

例えば「シュレーディンガーの猫」などの問題である。

「波動関数の収縮」はどのようにして起きるか、また「重ね合わせの状態」は存在するか、あるいはこの二つの現象をどのように解釈すべきかは未だ解決されていない問題であり、観測問題の根本には、「観測」が何を指すのかさえ明確に定義できないという困難がある。 なお、「波動関数」とは、あらゆる物理量の測定値に対応する状態を表す関数であり、またそれらの固有状態重ね合わせも「波動関数」と呼ぶ。

波動関数の時間発展は、シュレーディンガー方程式に従う決定論的な時間発展(ユニタリー時間発展)と、観測に伴う波動関数に収縮という二つがあり、量子力学の既存の数学的枠組みでは、波動関数の収縮を記述できない。

さまざまな解釈[編集]

この問題について説明を与えようとする様々な解釈がある。

コペンハーゲン解釈は基本的に収縮を認める立場であるが、収縮を道具(実用的な利用価値だけを認め、解釈には触れない)と見做す道具主義的な立場である現代コペンハーゲン派の立場と、「収縮の詳細を積極的に解釈すべきである」とする立場に分かれる。

アルベルト・アインシュタインは、「どの波動関数になるかについて、人間の知識が不足しているだけで、実際には決まっている」とし(と主張し)(隠れた変数理論)、1926年12月にアルベルト・アインシュタインからマックス・ボルンに送られた手紙で、"He does not throw dice" (「彼(Old One、創造主)は賽を投げない」あるいは「神はサイコロを振らない」)と書いた。だが、このアインシュタインの解釈では、ベルの定理によりクラスター分解性を失うことが知られるなど、不適切だと考えられるようになった。

その他の解釈としては、マクスウェルの電磁方程式から導かれる遅延波と先進波に基づく、アメリカの理論物理学者ジョン・クレイマー (John G. Cramer) の「交流解釈(transactional interpretation)」がある。

関連項目[編集]