クライン・ゴルドン方程式は2階の時間微分を含むことが問題であるため、微分演算子を線形になるように定義する。
この方程式が見たさなければならない条件を見出し、この係数、
を決める。この方程式の解がクライン・ゴルドン方程式を満たすとして、
がクライン・ゴルトン方程式の形のように一致するよう定める。展開すると、
係数を比較すると、
まとめるために、
と置くと、
であり、ここで、ηはミンコフスキー計量である。括弧積は反交換子である。方程式の左からβをかけると条件
から、新たに
であり、
と置き、微分演算子もまとめれば、ディラック方程式は、
となる。[1]
ディラック方程式は
とする自然単位系では

と表される。ψ は4成分スピノルの場(ディラック場)である。

m は ψ の質量である。μ=0,1,2,3 についてはアインシュタインの縮約記法を用いる。微分
は

である。
はガンマ行列(ディラック行列)と呼ばれる 4×4行列で

を満たす。
はミンコフスキー空間の計量テンソルである。ディラック方程式は3次元的に書けば

となる。移項して左から
を掛ければ

と表すことができる。
ただし
である。ここで
はディラックのハミルトニアンと呼ばれる。
の反交換関係を
の反交換関係に置き換えると、
となり、これをディラック代数という。
相対論的な量子力学の基礎方程式として考案されたクライン-ゴルドン方程式

は、時間について2階の微分方程式であることから負の確率密度を生じ、確率解釈が困難となる問題を抱えていた。これを時間について1階の微分方程式

に帰着させるべく、ディラックは空間成分についての2階微分を1階微分に分解した関係式

を満たすように4つの係数 α=(α1, α2, α3)、β を与えることを考えた。このとき、αi(i=1,2,3)、βに要求される代数関係は


となるが、こうした性質を満たすには係数は行列でなくてはならない。
ディラック方程式は相対論的な方程式であり、ローレンツ共変性を持つ。
即ち、ローレンツ変換

![{\displaystyle \psi _{a}(x)\rightarrow \psi '_{a}(x)=[D(\Lambda )]_{a}{}^{b}\,\psi _{b}(\Lambda ^{-1}x)}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/d84149a3e1c2e426f7aa9001b4803e2098013ad0)
(μ,ν=0,1,2,3は時空の4成分、a, b = 1,2,3,4 はスピノルの4成分)に対して、

となる。ディラックスピノルの変換性をあらわす4×4行列 D(Λ) は
![{\displaystyle [D(\Lambda )]_{a}{}^{c}\,[\gamma ^{\mu }]_{c}{}^{d}\,[D(\Lambda )^{-1}]_{d}{}^{b}=(\Lambda ^{-1})^{\mu }{}_{\nu }[\gamma ^{\nu }]_{a}{}^{b}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/995354fac471dbfed5b3bc6ddf98193a5125dd7c)
によって定まる。
ワイル表示においては行列式 1 の2×2行列 M を用いて


と書くことができる。例えば、z-方向のブーストの場合は


となる。