緑肥
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代表的な緑肥植物のヒマワリ(小野市立ひまわりの丘公園)
緑肥(りょくひ)とは、栽培している植物を、収穫せずそのまま田畑にすきこみ、つまり、植物と土を一緒にして耕し、後から栽培する作物の肥料にすること、またはそのための植物のことである。
背景[編集]
戦後、硫安(硫酸アンモニウム)、尿素など、安価な化学肥料が大量生産されるまでは、窒素肥料になる物は貴重品で、人間の糞尿、捕れすぎた魚や、食用にならない海藻(ホンダワラ(Sargassum fulvellum)など)とともに、肥料としてよく利用されていた。根瘤バクテリアとの共生により、空中の窒素を同化するマメ科(Fabaceae)のクローバー(Trifolium)、ルピナス(Lupinus)、ウマゴヤシ(Medicago polymorpha)、レンゲソウ(Astragalus sinicus)などが多く用いられていた。
効果[編集]
- 土の構造がよくなることで、水はけ、保水力などが高まる。
- マメ科の植物は共生する菌による窒素固定が可能なため、後に栽培する作物に施肥する窒素肥料を減らす事ができる。
- 有機物が増加することで、土壌中の微生物の繁殖が促進される。
- 土壌中の微生物間のバランスがよくなり、病害虫の発生を防ぐ。
- 施設野菜土壌の塩類濃度を下げる[1]。
- マリーゴールド(Tagetes)などの植物はセンチュウに対する防御効果があり、栽培しておく事で後に栽培する作物のセンチュウ被害を抑える事ができる。
緑肥作物[編集]
緑肥として栽培される例として、次の植物がある。マメ科(Fabaceae)、イネ科(Poaceae)の植物が多く見受けられる。雑草を利用することもある。
- ムラサキウマゴヤシ(アルファルファ)(Medicago sativa)
- ヒマワリ[1](Helianthus annuus)
- エンバク[1](Avena sativa)
- ライ麦[1](Secale cereale)
- トウモロコシ(Zea mays)
- エビスグサ(決明子、ハブ茶の原料)
- マリーゴールド(Tagetes)
- レンゲソウ(Astragalus sinicus)
- ヤハズエンドウ(Vicia sativa subsp. nigra)
- クローバー(Trifolium)
- ベニバナツメクサ[1](Trifolium incarnatum)
- ダイズ[1](Glycine max)
- ヘアリーベッチ[2][1](Vicia villosa)
- シロカラシ[1]
- ナギナタガヤ
- クロタラリア(Crotalaria) - ピロリジジンアルカロイドのモノクロタリンによる毒性(肝毒性、発がん性)を有し、山羊、牛、馬、豚及家禽に中毒する[3]。
- セスバニア(ツノクサネム属)(Sesbania)
ギャラリー[編集]
脚注[編集]
- ^ a b c d e f g h タキイ種苗公式サイト
- ^ ヘアリーベッチ 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
- ^ 「有畜農業の役割と展開」(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所山地畜産研究チーム 池田哲也、2008年8月26日 平成20年度革新的農業技術習得研修資料) - 「山羊、牛、馬、豚及び家禽は全てクロタラリアに中毒する。」「…飼料にクロタラリア種子で汚染されていることが米国南東部で収穫されたトウモロコト及びダイズが含まれる飼料を購入する畜産農家にとって大きな問題となっている。商業的にトウモロコトとダイズを生産している業者は畑に生えているクロタラリアの種子にしばしば汚染されている。スクリーニングにおいて種子は特に広範に見付けられる。処理種子のクロタラリア汚染は米国南東州の飼料管轄部署によって飼料中のクロタラリア種子の汚染をなくす基準が採用されるようになっている。…」(※原文のまま引用)