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「12.7x99mm NATO弾」の版間の差分

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開発から長くたった現代でも多目的な[[火力支援]]火器として現役である。対空用途では航空機が高速化するにつれ追従が難しくなっていったが、代わって対ヘリ用途に有効性が認められており、車両や歩兵中隊の自衛用火器として機能している。対戦車用途では登場当時の薄い装甲には有効性があったが、直ぐに通用しなくなった事は[[対戦車ライフル]]の歴史と同じである。しかし軽車両には有効であることには現代でも変わりない。対人用としては威力が高すぎるものの、長距離の弾道性が優れているため火力支援用に用いられている。貫通力の高さから障害物ごしに敵兵を殺傷するという使い方もされる。
開発から長くたった現代でも多目的な[[火力支援]]火器として現役である。対空用途では航空機が高速化するにつれ追従が難しくなっていったが、代わって対ヘリ用途に有効性が認められており、車両や歩兵中隊の自衛用火器として機能している。対戦車用途では登場当時の薄い装甲には有効性があったが、直ぐに通用しなくなった事は[[対戦車ライフル]]の歴史と同じである。しかし軽車両には有効であることには現代でも変わりない。対人用としては威力が高すぎるものの、長距離の弾道性が優れているため火力支援用に用いられている。貫通力の高さから障害物ごしに敵兵を殺傷するという使い方もされる。


現代では1kmを超えるような超長距離射撃にも活躍している。この口径の銃を用いる狙撃銃は[[対物ライフル]]と呼ばれ、かつて[[対戦車ライフル]]と呼ばれていた銃と同カテゴリである。なお、この弾薬で狙撃された兵士の[[死体|遺体]]は激しく損壊されるため、[[ハーグ陸戦条約]]が定める不必要な苦痛を与える兵器に該当するのではないかという意見もある。もっとも、もっと高威力の兵器は無数にあるため、現実的な批判とはみなされておらず、各国軍は配備・使用を続けている{{efn2|そもそも口径だけをいうのであれば、大砲を撃つ際にも通常、着弾地点に人がいることをわかって撃っているはずである。}}。
現代では1kmを超えるような超長距離射撃にも活躍している。{{信頼性要検証範囲|[[1982年]]の[[フォークランド紛争]]での歩兵戦闘では、[[アルゼンチン軍]]が[[ブローニングM2重機関銃|M2 12.7mm重機関銃]]を用いて[[イギリス軍]]の[[歩兵]]部隊を長距離狙撃した<ref name="あかぎ2015">{{Cite book|和書|author=あかぎひろゆき |title=40文字でわかる 銃の常識・非常識: 映画の主人公の銃の撃ち方は本当に正しい?(Kindle版) |publisher=Panda Publishing |year=2015 |asin=B00TG26T6C}}('''[https://books.google.co.jp/books?id=ZvpaDwAAQBAJ&pg=PT203#v=onepage&f=false Google Booksで閲覧可能な当該ページ]''')</ref>。小銃弾の有効射程外から一方的に攻撃されたイギリス軍はやむなく高価な[[ミラン (ミサイル) |ミラン]][[対戦車ミサイル]]で陣地もろとも破壊するしかなかった<ref name="あかぎ2015" />。この戦訓がきっかけとなって[[対物ライフル]]が誕生することとなる<ref name="大波2016">{{Cite book|和書|author1=大波篤司 |author2=福地貴子 |title=図解 スナイパー |chapter=No.037 コンクリートの壁をも撃ち抜く狙撃銃とは? |page=83 |publisher=新紀元社 |year=2016 |isbn=978-4775314333}}('''[https://books.google.co.jp/books?id=iUs8DwAAQBAJ&pg=PT119&f=false#v=onepage Google Booksで閲覧可能な当該ページ]''')</ref>。|date=2020年1月|title=「フォークランド紛争でのブローニングM2重機関銃による狙撃(単なる射撃ではなく)」「フォークランド紛争をきっかけに大口径ライフルでの狙撃が注目され」などの話は、和文文献では見かけるものの、英文文献では見当たらない。}}これはかつて[[対戦車ライフル]]と呼ばれていた銃と同カテゴリである。


[[フォークランド紛争]]の[[#フォークランド諸島奪還|フォークランド諸島奪還]]において、アルゼンチン軍はしばしば.50BMG弾の[[ブローニングM2重機関銃]]を陣地の防衛に用いたが、イギリス軍の地上部隊は同クラスの機関銃を配備しておらず、汎用機関銃で支援された偵察兵を遮蔽物に沿って一人ずつ前進させ、火点をあぶりだすと[[ミラン (ミサイル)|ミラン]][[対戦車ミサイル]]や手りゅう弾と銃剣突撃による直接攻撃を敢行するという対応を余儀なくされた{{Sfn|防衛研究所戦史研究センター|2014|pp=299-318}}{{Sfn|Bijl|2014|pp=172-173}}。なおアルゼンチン軍の重機関銃の運用を、通常の射撃ではなく「単発'''狙'''撃」であったとする記述が一部の和文文献に見受けられる(例えば<ref name="床井1993">{{Cite book|和書|author=[[床井雅美]] |title=アンダーグラウンド・ウェポン 非公然兵器のすべて |publisher=[[日本出版社]] |year=1993 |isbn=4-89048-320-9 |page=135}}</ref><ref name="あかぎ2015">{{Cite book|和書|author=あかぎひろゆき |title=40文字でわかる 銃の常識・非常識: 映画の主人公の銃の撃ち方は本当に正しい?(Kindle版) |publisher=Panda Publishing |year=2015 |asin=B00TG26T6C}}([https://books.google.co.jp/books?id=ZvpaDwAAQBAJ&pg=PT203#v=onepage&f=false オンライン版]、Google Books)</ref><ref name="大波2016">{{Cite book|和書|author1=大波篤司 |author2=福地貴子 |title=図解 スナイパー |chapter=No.037 コンクリートの壁をも撃ち抜く狙撃銃とは? |page=83 |publisher=新紀元社 |year=2016 |isbn=978-4775314333}}([https://books.google.co.jp/books?id=iUs8DwAAQBAJ&pg=PT119&f=false#v=onepage オンライン版]、Google Books)</ref>)。しかしフォークランド紛争、狙撃銃、狙撃手などに関する英文の文献やその和訳書(例えば<ref name="Pegler">{{Cite book|author=Martin Pegler |title=Sniper Rifles: From the 19th to the 21st Century |publisher=[[:en: Osprey Publishing|Osprey Publishing]] |year=2010 |isbn=9781849083980 |page=62}}([https://books.google.co.jp/books?id=vDi3CwAAQBAJ&pg=PA62&q=falklands%20remingtons%20milan#v=onepage&q=falklands%20remingtons%20milan&f=false オンライン版]、Google Books)</ref><ref name="Dougherty">{{Cite book|author=Martin J Dougherty |title=Sniper: SAS and Elite Forces Guide: Sniping skills from the world's elite forces |year=2012 |isbn=9780762782840 |publisher=[[:en:Lyons Press|Lyons Press]] |page=70}} ([https://books.google.co.jp/books?id=j1Dm6EnU7mkC&pg=PT70&dq=falklands+sniper+milan&hl=ja&sa=X#v=onepage オンライン版]、Google Books)</ref><ref name="ブルックスミス">{{Cite book|和書|title=狙撃手(スナイパー) |author1=[[:en:Peter Brookesmith|ピーター・ブルックスミス]](著) |author2=森真人(訳) |year=2000 |isbn=978-4562033621|pages=15-18}}</ref><ref name="ファレイ">{{Cite book|和書 |chapter=フォークランド戦争の狙撃手 |title=図説 狙撃手大全 |author1=パット・ファレイ、マーク・スパイサー(著) |author2=大槻敦子(訳) |publisher=[[原書房]] |year=2011 |isbn=978-4562046737 |pages=262-271}}</ref>)には、「重機関銃による単発'''狙'''撃」についての言及が見当たらない。また「フォークランド紛争での重機関銃運用の戦訓がきっかけとなって[[対物ライフル]]が開発された」とする説も、一部の和文文献(例えば<ref name="床井1993" /><ref name="大波2016" />)には見受けられるが、これも英文文献やその和訳書(例えば<ref name="Pegler" /><ref name="Dougherty" /><ref name="ブルックスミス" /><ref name="ファレイ" /><ref name="McNab">{{Cite book|author=[[:en:Chris McNab|Chris McNab]] |title=The Barrett Rifle: Sniping and anti-materiel rifles in the War on Terror |publisher=[[:en:Osprey Publishing|Osprey Publishing]] |year=2016 |isbn=978-1472811011}}</ref>)では言及されていない。
なお、この弾薬で狙撃された兵士の[[死体|遺体]]は激しく損壊されるため、[[ハーグ陸戦条約]]が定める不必要な苦痛を与える兵器に該当するのではないかという意見もある。もっとも、もっと高威力の兵器は無数にあるため、現実的な批判とはみなされておらず、各国軍は配備・使用を続けている{{efn2|そもそも口径だけをいうのであれば、大砲を撃つ際にも通常、着弾地点に人がいることをわかって撃っているはずである。}}。


== 威力 ==
== 威力 ==

2020年8月2日 (日) 02:55時点における版

12.7x99mm NATO弾
左から12.7x99mm NATO弾、300ウィンチェスターマグナム弾、7.62x51mm NATO弾7.62x39mm弾5.56x45mm NATO弾、22ロングライフル弾
種類 重機関銃・ライフル弾
原開発国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
使用史
使用期間 1921年から現在
使用者・地域 NATOやその同盟国など
使用戦争 第二次世界大戦
朝鮮戦争
ベトナム戦争
フォークランド紛争
湾岸戦争
対テロ戦争(対アルカーイダ他)
イラク戦争
その他多数。
製造の歴史
設計者 Winchester Repeating Arms Co. and Frankford Arsenal
特徴
薬莢形状 無起縁式、ボトルネック形状
弾丸 .510 in (13.0 mm)
首径 .560 in (14.2 mm)
肩径 .714 in (18.1 mm)
底面径 .804 in (20.4 mm)
リム径 .804 in (20.4 mm)
リム厚 .083 in (2.1 mm)
薬莢長 3.91 in (99 mm)
全長 5.45 in (138 mm)
薬莢容量 292.8 gr H2O (18.97 cm3)
雷管のタイプ #35 Arsenal Primer
最大圧 54,800 psi (378 MPa)
弾丸性能
弾頭重量/種類 初速 エネルギー
647 gr (42 g) Speer 3,044 ft/s (928 m/s) 13,310 ft⋅lbf (18,050 J)
655 gr (42 g) ADI 3,029 ft/s (923 m/s) 13,350 ft⋅lbf (18,100 J)
700 gr (45 g) Barnes 2,978 ft/s (908 m/s) 13,971 ft⋅lbf (18,942 J)
750 gr (49 g) Hornady 2,820 ft/s (860 m/s) 13,241 ft⋅lbf (17,952 J)
800 gr (52 g) Barnes 2,895 ft/s (882 m/s) 14,895 ft⋅lbf (20,195 J)
算出時の銃砲身の長さ: 45 in (1,100 mm)
出典: Ammoguide.com
Hornady.com

12.7x99mm弾 (.50 Browning Machine Gun, .50BMG) は1910年代後半にジョン・ブローニングによって開発された銃弾である。1921年に軍に正式採用されたこの.50BMGのデザインは.30-06弾に基づいている。この銃弾は誕生以来様々な派生型が開発されており、その一例としてフルメタルジャケット曳光弾徹甲弾焼夷弾、サボット(装弾筒)弾が挙げられる。これらの内、機関銃に使用される.50BMGは金属製のベルトリンクに繋がれている。

機関銃に使用して、援護制圧射撃を行うほか、この12.7mm弾は狙撃銃に使用して長距離狙撃を行う際にも使用される。この際に使用されるのは通常の掃射用機関銃弾とは異なる高精度弾薬であり、ボルトアクションもしくはセミオートの狙撃銃(主に、対物ライフルといった類のもの)から発射される。

歴史

この弾丸は第一次世界大戦中、新たな対空兵器を求めるアメリカ陸軍の求めに応じてジョン・ブローニングが開発に着手したものである。実包は1906年に正式採用された30-06弾を、そしてこれを使用する機関銃は自身が20世紀の始めに開発したM1919機関銃をモデルとすることとした。これによって誕生したのがM2 12.7mm重機関銃であり、とりわけ第二次世界大戦P-51などの戦闘機に搭載され盛んに使用された[注 1]

しかし陸上兵器としては開発から一世紀以上経過した現在でも軽装甲車両に搭載されたり、陣地にすえつけられたりするなどして世界各国の軍隊で使用されている。

弾丸の内、焼夷弾は対航空機に、徹甲弾はコンクリート製のトーチカや軽装甲車両の破壊に特に優れた威力を発揮する。

ドイツ軍が世界で初めて運用を始めた対戦車ライフル弾 (13.2mm) をコピーして使用するかどうかの議論が開発中におきたが、分析の結果13.2mm弾は連続撃発に適していないと分かり、コピーする案も撤回された。これは.50BMGを対空機関銃に使用する意図があったからで、この13.2mm弾とは用途が異なったことも理由に挙げられた。対空・対戦車・対人と多目的に使用できる大型火器としての特徴を意図して設計されているのである[注 2]

開発から長くたった現代でも多目的な火力支援火器として現役である。対空用途では航空機が高速化するにつれ追従が難しくなっていったが、代わって対ヘリ用途に有効性が認められており、車両や歩兵中隊の自衛用火器として機能している。対戦車用途では登場当時の薄い装甲には有効性があったが、直ぐに通用しなくなった事は対戦車ライフルの歴史と同じである。しかし軽車両には有効であることには現代でも変わりない。対人用としては威力が高すぎるものの、長距離の弾道性が優れているため火力支援用に用いられている。貫通力の高さから障害物ごしに敵兵を殺傷するという使い方もされる。

現代では1kmを超えるような超長距離射撃にも活躍している。この口径の銃を用いる狙撃銃は対物ライフルと呼ばれ、かつて対戦車ライフルと呼ばれていた銃と同カテゴリである。なお、この弾薬で狙撃された兵士の遺体は激しく損壊されるため、ハーグ陸戦条約が定める不必要な苦痛を与える兵器に該当するのではないかという意見もある。もっとも、もっと高威力の兵器は無数にあるため、現実的な批判とはみなされておらず、各国軍は配備・使用を続けている[注 3]

フォークランド紛争フォークランド諸島奪還において、アルゼンチン軍はしばしば.50BMG弾のブローニングM2重機関銃を陣地の防衛に用いたが、イギリス軍の地上部隊は同クラスの機関銃を配備しておらず、汎用機関銃で支援された偵察兵を遮蔽物に沿って一人ずつ前進させ、火点をあぶりだすとミラン対戦車ミサイルや手りゅう弾と銃剣突撃による直接攻撃を敢行するという対応を余儀なくされた[1][2]。なおアルゼンチン軍の重機関銃の運用を、通常の射撃ではなく「単発撃」であったとする記述が一部の和文文献に見受けられる(例えば[3][4][5])。しかしフォークランド紛争、狙撃銃、狙撃手などに関する英文の文献やその和訳書(例えば[6][7][8][9])には、「重機関銃による単発撃」についての言及が見当たらない。また「フォークランド紛争での重機関銃運用の戦訓がきっかけとなって対物ライフルが開発された」とする説も、一部の和文文献(例えば[3][5])には見受けられるが、これも英文文献やその和訳書(例えば[6][7][8][9][10])では言及されていない。

威力

通常、の威力を検証する際には銃口威力(マズルエナジー)が測定される。第二次世界大戦においてアメリカ軍の歩兵装備であったM1ガーランドに使用され、現在においても広く狩猟用ライフル銃に使用されている30-06ライフル弾のマズルエナジーは2,000 - 3,000Feet・Pound(2711 - 4067ジュール)という単位で表される。

一方で.50BMG弾の威力は10,000 - 13,000Feet・Pound(1,3558 - 1,7625ジュール)以上ある。ただしこれは銃弾やそれを撃ちだすライフルの種類によって大きく異なる。また弾道係数が大きいため、他の小口径、軽量弾よりも風に流されることが少ない。

法的問題

.50BMG弾の正確な直径は0.50in(約12.7mm)ではなく、0.51in(約13.0mm)である。これが.50口径と呼ばれる理由は、その弾を発射する銃のライフル(腔線)間の直径が0.50in(グルーブと呼ばれるライフルの谷間から測定した直径は0.50in(約12.7mm)より少々大きい)だからであり、発射される際に弾が圧縮されライフルにしっかり食い込むことで、発射ガスの圧力を十分に受けながら加速することができる。

上記のように普通の狩猟ライフル銃弾の数倍の威力を持つことからアメリカ合衆国では規制に関する法的な論争の渦中にある.50BMGとそれを使用する銃火器ではあるが、(アメリカ合衆国の連邦火器法において規制対象外の銃火器で同弾薬を使用する銃は最も威力が高い)依然としてアメリカ国内ではその精度の高さと射程距離の長さから長距離射撃を愛好する人々の間で人気である。高精度のマッチグレード弾薬が使用された場合、1000yd(約914m)先の標的にも有効弾を送り込める数少ない民間用弾薬の一つに数えられている。

.50BMG弾を使用するバレットM82がアメリカ軍などの狙撃部隊に採用されて以降、カリフォルニア州ニューヨーク州マサチューセッツ州ハワイ州そしてイリノイ州を含むいくつかの州において民間人による.50口径ライフルの所持を禁止しようとする銃規制の運動が起きている。2004年にカリフォルニアで承認されたBill AB50という法案ではあらゆる作動方式の.50口径ライフルを攻撃武器として分類し、州の公安や許可を受けた販売者以外がライフルを州に持ち込んだり、他の州に持ち出したりすることを禁じた。この法案の支持者であるカリフォルニア州議会議員は「.50口径のライフルはテロ行為に最適な銃だ」と主張しているが、実際にはアメリカで.50口径ライフル銃を使用した犯罪は起きていない[注 4]。通常.50口径の対物ライフルは長さが1.5mほどかそれ以上あり、重さも種類によっては10kg以上あるため個人で隠し持って犯罪に使用することは殆ど無理と考えられている。値段に関しても非常に高額で単発式のもので最低2,000ドル、バレットM82A1にいたっては一丁8,000ドルもする。

カリフォルニア州にて上記法案が審議を通過した後、M82などの.50口径ライフルを製造しているバレット・ファイアーアームズ社はその法案に抗議する意味で、カリフォルニア州の法執行機関(警察等)に対する.50口径ライフルの販売とサービスを一切停止すると発表し以下のコメントを自社のウェブサイトにて発表した。

“The California legislature has banned the .50BMG from the good citizens of the state of California, violating their rights and the constitution of our republic. Therefore, Barret will not sell to or service any California government agencies.”

「和訳:カリフォルニア州はその善良なる市民達に対する.50口径ライフル銃の販売を禁止した。これは彼らの権利の侵害であり、共和国憲法違反である。よってバレット社はカリフォルニア州政府機関への銃の販売及びサービスを行わない。」

欧米で.50BMGの規制が強まったことを受けて、その代替となる弾薬も開発された。バレット社では.416バレットという.50BMGをネックダウンさせた口径10.3mmのライフル弾を開発している。

メディアにおいてはしばしばその威力が誇張気味に伝えられる傾向にある。AP通信のあるニュースでは「.50BMGは1.6km先の戦車装甲を貫徹する弾丸として湾岸戦争で使用された」と報道され後に修正されたことがある。また.50BMGを用いてテロリストが民間機を撃墜する可能性があるという事も主張されたが、実際にライフルで航空機を撃墜することは不可能に近い。確かに軍ではバレットM82を対物狙撃銃として利用し、航空機を破壊する任務に使用されることがあるが、この場合における航空機は駐機しているものであり、飛行中のものではない。

脚注

注釈

  1. ^ ただし現在の航空機用兵器としてのM2はヘリコプターに一部搭載される程度であり、各戦闘機や攻撃機は、M61 バルカンなどの機関砲を搭載している。
  2. ^ ソビエトでは12.7x108mm弾を使用するDShKNSVといったよく似たコンセプトに基づく車両搭載型機関銃が開発されたほか、より強力な14.5mm口径のKPV重機関銃も開発された。
  3. ^ そもそも口径だけをいうのであれば、大砲を撃つ際にも通常、着弾地点に人がいることをわかって撃っているはずである。
  4. ^ AR-15を不法に全自動化したものを用いた乱射事件は度々起きている。

出典

  1. ^ 防衛研究所戦史研究センター 2014, pp. 299–318.
  2. ^ Bijl 2014, pp. 172–173.
  3. ^ a b 床井雅美『アンダーグラウンド・ウェポン 非公然兵器のすべて』日本出版社、1993年、135頁。ISBN 4-89048-320-9 
  4. ^ あかぎひろゆき『40文字でわかる 銃の常識・非常識: 映画の主人公の銃の撃ち方は本当に正しい?(Kindle版)』Panda Publishing、2015年。ASIN B00TG26T6C オンライン版、Google Books)
  5. ^ a b 大波篤司、福地貴子「No.037 コンクリートの壁をも撃ち抜く狙撃銃とは?」『図解 スナイパー』新紀元社、2016年、83頁。ISBN 978-4775314333 オンライン版、Google Books)
  6. ^ a b Martin Pegler (2010). Sniper Rifles: From the 19th to the 21st Century. Osprey Publishing. p. 62. ISBN 9781849083980 オンライン版、Google Books)
  7. ^ a b Martin J Dougherty (2012). Sniper: SAS and Elite Forces Guide: Sniping skills from the world's elite forces. Lyons Press. p. 70. ISBN 9780762782840 オンライン版、Google Books)
  8. ^ a b ピーター・ブルックスミス(著)、森真人(訳)『狙撃手(スナイパー)』2000年、15-18頁。ISBN 978-4562033621 
  9. ^ a b パット・ファレイ、マーク・スパイサー(著)、大槻敦子(訳)「フォークランド戦争の狙撃手」『図説 狙撃手大全』原書房、2011年、262-271頁。ISBN 978-4562046737 
  10. ^ Chris McNab (2016). The Barrett Rifle: Sniping and anti-materiel rifles in the War on Terror. Osprey Publishing. ISBN 978-1472811011 

関連項目

近似の性能の実包

参考ページ